BOYSぴあSelection 第36回 阿久津仁愛
阿久津仁愛 Part1「いつもぬいぐるみと一緒に寝てます(照)」
全2回
PART1

彼が、越前リョーマとして本公演の舞台に立ったのは、2016年12月のこと。あれから3年半、ミュージカル『テニスの王子様』コンサート Dream Live 2020(ドリライ)をもって3rdシーズンはフィナーレを迎えます。
俳優・阿久津仁愛くん。代表作となった『テニミュ』を経て、ここからはさらなる飛躍のフェーズへ。6月からはW主演となる音楽劇『プラネタリウムのふたご』が開幕。さらに、Huluオリジナルドラマ『マイルノビッチ』への出演も決まっています。
新しい世界へ踏み出す今の気持ち、BOYSぴあにだけたっぷり語ってくれました。
※この取材は3月に行われました。
── 仁愛くんが芸能界に入ったのは、2015年に行われた第27回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストがきっかけ。最終選考会のことは覚えていますか?
めっちゃ緊張して、配られたお弁当をひと口も食べられなかったことを覚えています。そんなこと初めてで、こんなことあるんだって。
── 自己PRは何をしたんですか?
ソフトテニス部だったので、ソフトテニスのラケットを持って、ソーラン節を踊りました。
── すごい組み合わせ(笑)。
編集部の方に何をやればいいか相談したときに、「踊りとかやったことないの?」って聞かれて、「小学校でソーラン節はやりました」って言ったら、それとソフトテニスを組み合わせればいいじゃんって感じで即決まって(笑)。
家で結構練習したんですけど、途中からどんどん追いつめられて。一生懸命手伝ってくれている親に対して、「もうやりたくねえよ!」って反抗しているときの様子がうちのビデオカメラにおさまっています(笑)。
── (笑)。告白審査もあったんですよね。
はい。デートの帰り際にプレゼントのブレスレットを渡すっていう内容で。最初に渡した箱がびっくり箱になってて、ちょっと驚かせてから、本物の箱を渡すっていう。それで、ブレスレットをつげてあげたあとに、俺もあらかじめ同じブレスレットをこっそりつけておいて、「見て? お揃い」って。
── めちゃくちゃ胸キュンじゃないですか……。
その練習を、家でお父さん相手にやってました(笑)。
── お父さんっていうのがいいですね(笑)。その結果、準グランプリに輝き、芸能界入り。地元の栃木から上京したのは、ミュージカル『テニスの王子様』が決まってからですよね。まだ若かったですし、寂しくなかったですか?
周りのみんながすごく応援してくれたので。どちらかと言うと、みんなにいい報告ができるように頑張ろうっていう気持ちの方が強かったですね。
東京に来てからもホームシックはあんまりなくて。地元が1時間に電車が2本しか来ないようなところなんですよ。だから新宿とか渋谷とかデッカい駅をひとりで歩いているとテンションが上がったし、ひとりで東京で暮らしている自分がなんだか大人な感じがしてワクワクしていました。まあ新宿はよく迷いましたけど(笑)。
── 根本的にポジティブなんですね。
性格が0、100みたいなところはあるかもしれないです。基本ポジティブだけど、沈むときはガチで沈むみたいな。
── 上京していちばん沈んだのは?
やっぱり『テニミュ』の最初のころは、なかなかうまくいかなくて、夜寝るときとか明日稽古不安だなって思うこともありました。でも、そんなときに支えてくれたのがチームの仲間で。「ご飯行こう」って誘ってくれたり、遊んでくれたおかげで頑張れましたね。
それぞれが必死に練習している姿を見て俺も頑張らないとって思ったし。逆に誰かが沈んでいるときは周りのみんなで「いけるいける」って励ましたりして。めちゃくちゃいい関係だったなって思います。
── ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学vs立海 後編が終わって1ヶ月が経ちました(※取材は3月中旬)。改めて大千秋楽の日のことを振り返ってもらえますか?
めっちゃ泣いちゃいましたね(照)。悲しいとか寂しいとかじゃなくて、達成感というか、やりきった気持ちがいちばん大きくて。明日からこのめっちゃ苦しくて、楽しくて、すごく充実した公演がないんだって考えると、ちょっと空っぽになりました。
── ロスだ!
ロスでした(笑)。なのに、「またねー!」ってみんなと解散して、ひとりで帰っているときに、自然と「明日は月曜だからソワレ公演か」みたいなことを考えていて。終わった実感がないというか、まだ明日からもずっと『テニミュ』をやり続けているような、不思議な感じでした。
── 涙が出たのはカーテンコールで?
そうです。最後に一人ひとり礼とかするときに、本当は何もするつもりなかったし、何もしないでいたかったんですけど、みんなが楽しそうにしているのを見て、じゃあ俺も思い切りやろうと思って全力でガッツポーズをしたんですよ。そしたら、勝手に涙がこぼれてきて。
── 自分でも泣くとは思っていなかったんですか?
思ってなかったです。わりと人見知りで、人前で泣くとかできないんですけど、そのときはもうそんなの関係なく涙が出てきました。
── 終演後のキャストのみなさんとのやりとりで印象的だったことはありますか?
手塚国光役の青木 瞭くんからメッセージをもらって。「今日の仁愛の芝居やラリーをやっている姿には、自分自身を重ねて見るところがあった。今日の仁愛には心を動かされるものがあった」というような内容だったんですけど。
── 素敵ですね。
俺もうれしくて長文で返そうと思ったんですけど、これは文字では伝わらないなと思って、すぐに電話して、直接感謝の気持ちを伝えました。
── 俳優・阿久津仁愛にとって『テニミュ』はどんな存在ですか?
もはや生きがいですよね。今はまだキャストのみんなともよく会ったりするので、そこまで実感がないんですけど、終わるとやっぱり寂しいのかなって。『テニミュ』がない生活は、不思議というか、まだ想像がつかないです。
あとは自信になりました。歌も歌って、ダンスも踊って、いろんなことに挑戦させてもらえたので、この経験を活かして、また次につなげていきたいなと思うし。
『テニミュ』は自分にとっての原点。ここで得たもの、感じたことを忘れずに、これからも頑張っていきたいです。
── 主演される音楽劇『プラネタリウムのふたご』も開幕を控えています。(注:現在、公演時期は未定です)原作を読んだ感想を聞かせてもらえますか?
世界観がすごく素敵だなと思いました。表現方法が独特で、こんな使い方するんだって思うような例えがいっぱいあったりして。普段あんまり小説を読まない俺でも、読んでいて自然に情景が浮かぶんです。文字しかないのに、こんなに想像が膨らむのが不思議だし、面白いところでした。
── 仁愛くんは、ふたごのタットルを演じます。
タットルは本当に優しい子で。俺は性格が結構雑なんで、まずはタットルを演じるにあたって普段の生活から変えていければなと思いました(笑)。
── 雑なんですね(笑)。
本当に雑なんです。だからもっと心に余裕を持つというか、冷静に物事を考えられるようになるといいなって。そうじゃないと、心からタットルにはなれないと思ったので。
── お客さんが観たときに、どんな気持ちになる作品だと思いますか?
たぶんすごくリラックスしてもらえると思います。少年時代はわちゃわちゃして楽しい感じで、そこは観ていても楽しいと思いますし。成長して双子のテンペルとタットルがそれぞれお互いの道に進むところは、ちょっと切ない気持ちにもなるだろうし。
『テニミュ』はとにかく熱量を武器に全力でやりきることをいちばんに考えていたんですけど、この『プラネタリウムのふたご』はすごく繊細な世界。タットルは語りもあるし、今までとはまったく違う表現を求められるのかなという気がします。
── テンペル役は同じ事務所の永田崇人さんです。
崇人くんとは事務所の演技レッスンが一緒で、その頃から何でもできる器用な人だなと思っていて。あとコミュニケーション能力がすごくて、本当にすぐ誰とでも打ち解けられる印象があるので、すごく憧れています。とりあえず「ふたりでプラネタリウムに行こう」って話をしているので、本番までには必ず行きたいです!
── そして、Huluオリジナルドラマ『マイルノビッチ 』に出演されると聞いています。演じる香月未来ちゃんについて聞かせてください。
未来ちゃんは原作と設定がちょっと違っていて。やっぱりファンのみなさんは原作の未来ちゃんを期待している人も多いと思うので、そこはしっかり分けて、阿久津仁愛が演じる未来ちゃんを表現できたらと思っています。
── これまで2.5次元舞台で原作のある作品をやってきましたが、同じ原作ものでも演技のアプローチは違いますか?
そうですね。今回の場合、自分の表現方法を見た上で、監督がそれに合わせてキャラクターを少し変えてくれたりしているところもあって。原作がこうだから必ずそれを守るというわけではなく、1シーン1シーン撮りながら、こっちの方がいいかもって試行錯誤できるのは、また違う楽しさだなと思いました。
── その上で、原作ファンの方にも納得してもらえる未来ちゃんを構築しないといけないわけですから、また別の難しさがありますね。
大丈夫かな?ってちょっと不安です(笑)。監督からも「未来ちゃんはファンが多いから」って言われていて。みなさんの期待値が高いわけじゃないですか。だから、内心ヤバいってドキドキしているんですけど(笑)、ちゃんとファンの方に喜んでもらえる未来ちゃんを提示できるよう、ひとつひとつ考えながら演じていきたいです。
── 今後、俳優としてどんなふうに歩んでいきたいと考えていますか?
まずはいろいろ経験することだなと思って。とにかく新しい現場でひとつひとつ学んでいきたいです。『マイルノビッチ』をやって思うのは、映像のお仕事は舞台と違って稽古がない。現場で共演者の方との掛け合いで生まれるものを信じてやるしかないので、そのセンスはもっと磨いていけたらなって。
やっぱりお芝居は自分がこうやって言うって決めてかかるものじゃなくて、相手から受け取って返すものだと思うから。なかなかうまくいかないんですけど、そこをもっと自然にできるようになりたいです。やった分だけ成長できることは舞台をやって実感しているので、とにかくめげずにいろんなことに挑戦していきたいなと思います。
── 今後は大人の一面を見せてくれることも……?
そうですね! ……できるかな?(笑)
── カッコいい、可愛い、大人っぽい、いろんなワードがありますが、なんて言われるのがうれしいですか?
いや、もう何でも! 褒めていただけたらうれしいです!
── 可愛いも平気ですか?
全然! 最高です(笑)。ただ、言われたときに照れちゃいはしますけど(照)。
── 色っぽいとかはどうですか?
色っぽいは……まだ早いかな(照)。まだ可愛いの方が安心します(笑)。
── 撮影のときにぬいぐるみを持ってもらいましたけど、あんなにぬいぐるみが似合う男の子はいませんからね。
あ、俺、普段本当にぬいぐるみと一緒に寝ているんですよ(照)。
── え、そうなんですか!
ポムポムプリンなんですけど。ファンの方がプレゼントで贈ってくださったものを大事に使っています!
── 可愛すぎる! ではしばらくはこれからも可愛いと言わせてください!
PART2は5月19日(火)公開予定です。阿久津さんのプライベートにぐぐっと迫ります。
サイン入りチェキプレゼントもあるのでお楽しみに!
(撮影/高橋那月、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹、ヘアメイク/大西トモオ、スタイリング/持田洋輔、衣装協力/シャツ\¥17,500/SCOTCH & SODA(SCOTCH & SODA NAMBA PARKS TEL:06-6585-7207)
Tシャツ\¥5,800、靴\¥26,000/mercibeaucoup,(A-net Inc. TEL:03-5624-2696)
パンツ\¥18,000/Johnbull(ジョンブルカスタマーセンター TEL:086-4705770) )