BOYSぴあSelection 第38回 赤楚衛二
赤楚衛二 Part2「『チェリまほ』に出会えて良かった」
全2回
PART2

ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称:チェリまほ)がいよいよ最終回目前! 赤楚衛二さん演じる安達と、町田啓太さん演じる黒沢の恋の行方はどうなるのか……? みんなが気になるフィナーレを目前に控えた今、主演の赤楚衛二さんのインタビューを再びお届け。後編では、気になる赤楚さんの素顔を覗かせてもらいました。
── そういえば、撮影が進むにつれて町田さんからの愛がダダ漏れになってきたという話を聞きました。詳しく聞かせてください。
いっぱいありますよ。ハグするシーンとかお互いニヤけが止まらなくて。なんですかね、幸福感といいますか、カットがかかってもついニヤついちゃうんですよ。あと、黒沢から安達にウインクするシーンがあったんですけど、カットがかかってからもずっとウインクされたり。撮影でもなんでもないときに壁ドンされたり(笑)。
── 赤楚さんから町田さんに攻めるときもあるんですか?
たまにあります(笑)。「黒沢!」っていくと、町田さんも「安達!?」って返してくれたり。
町田さんはお芝居でも台本にないことをプラスされる方なんですね。1回すごかったのが、安達が黒沢に「何でもない」ってジラされるシーンがあって。撮影では3分くらい町田さんからジラされました。もうこっちは気が気じゃないというか。そのシーンが終わったあと、町田さんの方を見たら、めちゃくちゃニヤニヤされていて。そんな感じで、町田さんにはずっと振り回されています(笑)。
── 演じてみて、男女のラブストーリーと何か違うところはありましたか?
距離が近くなりやすいというのが大きいかなと思います。女優さんが相手だとやっぱりいろいろと気を遣わなくちゃいけないですけど、相手が男性だと撮影以外のところでも遊び半分でイチャコラできる。その空気感が役につながっているところはあると思います。
あとはカッコつける必要がない。安達も黒沢も好きになった根本は人間性の部分。だから背伸びせずにいられたし、町田さん自身も役とリンクしてありのままの僕を受け止めてくれた。変にカッコつける必要がなかったというのは大きかった気がします。
── 安達はいつもコンビニ弁当ですが、赤楚さんは自炊はしますか?
撮影に入るとほぼしないですね。安達と一緒でコンビニ弁当になっちゃう。やっぱり野菜が足りなくなるので、食物繊維やビタミンはちゃんと自分で料理して摂っていきたいなと思っているんですけど。
── 自炊ができないときは、サプリで補うんですか?
そうですね。マルチビタミンとかマルチミネラルを飲んで。
── 肌のケアにもこだわりが?
なるべく頑張るようにしています。今はTHREEを使っていて。僕はわりと乾燥肌で、特に冬は1日サボるだけで粉がパーッと出ちゃうんですね。それで、知り合いのメイクさんに勧められて使ってみたらすごく良くて。正直、ちょっと高いんですけど、頑張って買いました!(笑)
── お風呂は長湯ですか?
だいたいトータルで20〜30分くらいですけど、絶対に湯船に浸かるようにしています。入浴剤もわりとこだわっていて。ラベンダーが好きなので、毎回ラベンダーの匂いの入浴剤を入れて、ちゃんと15分は肩まで浸かるようにしています。
── おしゃれ。きき湯を使っている自分とはえらい違いです……。
きき湯も全然使いますよ! いいですよね、あったかくなるし、体の硬さもなくなるからいいと思います。忙しくても、ちゃんと湯船に浸からないと疲れがとれないんですよね。
── わかります。睡眠時間を削ってでも、ちゃんとお風呂に浸かった方がいいって言いますよね。
そうなんですよ。確かに時間がもったいないという気持ちもわかるんですけど、その時間を睡眠にあてても意外とダメで。特に僕は寝る前にすっごいいろいろ考えてしまうので。お風呂は何もないから情報も入ってこないし無になれる。心をリラックスさせるためにもお風呂の時間は大切にしています。
お気に入りアイテムは、健康グッズです(笑)
── では、朝起きてから家を出るまでは何分くらいかかりますか。
めっちゃ早くて、20分くらいです。わりと朝型なので、さっと起きられるんですよ。起きたらまず顔洗って歯磨きをガーッてやって、服とカバンは昨日のうちに用意してあるので、着替えてカバンを持ったらパパッと出ます。
── 昨日のうちから出かける支度をしているなんて几帳面なんですね。
几帳面じゃないですよ。大雑把なんです。小学生だったら、ランドセルに全教科の教科書を入れているタイプです(笑)。
── 雑だ!(笑)
そうなんです。本当に几帳面だったら、出かける1時間前とかに起きて、ちゃんと優雅な朝を過ごすんですけど、そんなことはできないですね……(笑)。
── 性格について友達からは何と言われることが多いですか?
マイペースの大雑把って言われることが多いです。基本気分で生きているみたいなところがあって。お腹が空いたらお腹空いたって言うし、遊びに行っても疲れたら疲れたって座っちゃいますし。そういうところは自己中というか。
── じゃあ人と一緒に買い物に行くときは?
自分の行きたいところに連れて行きます。
── 相手の行きたいところには?
一応付き合います。けど、まったく興味がない感じが前面に出てる(笑)。会話に感情がこもらなくなっちゃうので、そういう意味ではマイペースですね。
── 時間に対しても大雑把ですか?
時間だけは几帳面で。時間ってお金に換えられないじゃないですか。遅刻するということは、人様の時間を奪うことになるので、待ち合わせには遅くとも5分前には着きます。でも、僕の周りは遅刻するヤツだらけなんですよね。そこだけちょっとイライラします(笑)。
── わかります。
待ち合わせの時間の直前に「今向かってる〜」って連絡が来たり。「向かってる〜」って言ってるのに実はまだ向かっていなかったりとか。
── あります! あのフェイク、何なんですかね。
何なんですかね(笑)。約束の5分前ぐらいに「今、トイレに行ってるから遅れる〜」って連絡が来たり。だったらもっと早く言ってくれればいいのになって嫌な気持ちになるんですけど、逆に自分が時間を守りすぎているから人に対して厳しくなりすぎているのかなと反省するところもあって。時間に関してはもうちょっとゆるくなりたいです。
── お部屋は綺麗ですか?
物が多いから汚く見えるって、よく友達には言われます。クローゼットが小さいから、ハンガーラックを2つ置いて。部屋が8畳なのにIKEAで無駄に大きいソファを買ってしまったので、もう床がない(笑)。そろそろ引っ越したいな〜と考え中です。
── お部屋の中のお気に入りアイテムは?
健康グッズですね。電動の頭皮マッサージ機とか、首からかけて肩をほぐすやつとか、あとは足裏マッサージ機とか、そういう健康グッズがいっぱいあるんですよ。たぶん癒しを求めてるんだと思います(笑)。
── 仕事が終わって家に帰ったら何をしていますか?
基本グータラしています。僕、仕事終わったら本当に何もやる気が起きなくて、ケータイも見たくないくらい。いろんな情報が入ってくるのがしんどくて。本を読んだり、あとはマッサージで無になっている時間が多いです。
── いろんなポップカルチャーがありますが、赤楚さんの中でウェイトが大きいのは?
順番でいうと、小説→映画→ドラマ→漫画ですね。小説は自分の世界に入れるし、自分のペースで読めるので好きです。
── 読書はいつ頃から好きなんですか?
小学生の頃からずっと好きで。当時は『ダレン・シャン』という児童小説にハマッていました。親友を助けるために半バンパイアになった主人公が旅をしていく中でその親友と戦うことになるというお話で、きっと今読んでも面白いんじゃないかなと。あとは『かいけつゾロリ』とか『怪談レストラン』もよく読んでました。
── 今はどんなジャンルの小説が好きですか?
ここ最近は純文学です。読んでいて情景がわかるものが好きで。謎解きも楽しいですけど、今は小説の世界に浸りたいっていう気持ちが強くて、自然と純文学に手が伸びるようになりました。
── 特に好きな作品は?
森見登美彦さんの『太陽の塔』です。彼女にふられた京大生が、元カノの生態を論文に書こうとしてしつこく追いかけるという話なんですけど、めちゃくちゃ面白くて。俺はストーカーじゃないと言ってるんですけど、やっていることはただのストーカーなんです。心から面白いと思った1冊なので、興味がある人はぜひ読んでみてください。
── 忙しいと思いますが、最近本を読む時間はありますか?
ドラマの撮影中は読めなかったんですけど、最近は少し落ち着いたのでまた読みはじめています。今はエッセイが多いですね。最近だとハライチの岩井(勇気)さんの『僕の人生には事件が起きない』を読みました。何かのタイミングで岩井さんが同窓会について語っているインタンビュー記事を読んだんですよ。その内容に感銘を受けて、エッセイにも手を出してみました。やっぱり話が面白い人って考えていることも面白いんだなって、岩井さんのエッセイを読んでいても感じますね。
たとえ悪役でも、自分がクズだと思って演じたくない
── では、ここからは最近の仕事のことを。『連続ドラマW コールドケース3 ~真実の扉~』の放送が控えていますが、どうやら安達とは正反対の役のようで。
25年前に何者かによって殺害されたレイプ犯の男を演じます。僕の演じた平山は、スポーツ万能で頭も良くて親も金持ちという、何でもできるヤツ。だけど、その裏側で周りの女性たちを食い散らかしているという役で。相当エグく演じさせていただいたので、嫌われるんじゃないかなってゾワゾワしています。
── 悪役って演じる方としては楽しいという話も聞きますが、いかがでしたか?
役としてはすごい楽しいんですけど、僕自身は苦しくて……という葛藤がありました。女性を襲うシーンを撮っているときも、平山としては高揚感でいっぱいなんです。でも、あとあとになって何をやっているんだろう俺みたいな嫌悪感が沸いてきて。
── それは、カットがかかったあとということですか?
カットがかかった直後はまだ高揚感が残っているんです。しんどいのは、メイクを落として完全に自分に戻ったあとですね。泣いている女の子の顔がよぎって、すごい罪悪感に襲われました。
── 役を引きずるタイプなんですか?
どちらかと言うとそうですね。本当はもっとフラットでいたいんですけど、あまりフラットでいすぎると、自分の口から出た台詞が浮いてるような感覚になるというか。だから、撮影期間中は日常から役のことを考えて、役のことを自分だと思い込むぐらいの気持ちでいないと、なかなかちゃんと入り込めないんです。
── 平山はとても卑劣な男ですが、どうアプローチをしていったのでしょうか?
本当に悪いヤツなんですけど、自分が役になりきるには、悪いヤツであっても寄り添っていかなくちゃいけない。なので、どうやったら彼を理解できるだろうという視点から台本を読んで。
自分なりに納得できたことがふたつ。まずひとつめが、彼は女性を非常に軽視していたということ。なぜそうなったのか背景は台本には描かれていないけど、彼の中に女の人のことを軽視している部分があったのだろうと。あともうひとつは、純粋にムードづくりがすごく下手。そうやって、ただのクズじゃなくて、ちゃんとした人間として捉えられるようになってからは、すごくやりやすかったです。
──たとえ悪役であってもクズとして演じたくない、という気持ちがあるのでしょうか?
他の人から見てクズに見えるのはいいんですけど、自分自身がクズだと思いたくないんです。僕はちゃんと理解できないと演じられないタイプで、自分の中でしっくり来ていないと、どこか言葉が浮いちゃうんですね。だから、どの役も絶対に理解してやるというつもりで挑んでいます。
── 役者さんって大変ですよね。繊細でいなければならない反面、繊細すぎるとバランスが狂ってしまう。どこかでバリアを張っておかないと。
そうなんですよね。たまにバランスが崩れたりはするので難しいんですけど。比較的、ガラス製のハートみたいなところがある反面、一晩寝たら忘れるみたいな鈍感性もあるので、そこらへんは親に感謝、環境に感謝だなと(笑)。
── 寝たら忘れるの最高ですね(笑)。
寝る前までは泣くほど落ち込んだりすることもありますけど、寝たらだいたい忘れられるので。V字回復は早い方なので良かったです。
── では、今後の俳優としてのキャリアを聞かせてください。
僕は今26歳なんですけど、26歳なりに物事を捉えて、いろんなことを考えて、そういう中で表現したいものが少しずつ芽生えてきた時期ではあります。きっと歳を重ねていくたびに僕のできる表現の範囲ももっと広くならなきゃいけないし、もっと深くならないといけない。
作品選びなんて役者としておこがましいと思っているので、基本的にはどんな作品も受けさせてくださいという気持ちですが、その中でその作品が世に出る意味だったり、自分がその役を通して表現することの意味をしっかり考えていきたいし、そうやって物事をもっともっと深くまで捉えられる俳優を目指したいなと思っています。
── 幅を広げたり、より深めるのって、何かレッスンに通ってどうこうできることじゃないじゃないですか。だから、本当に役者さんは大変だなと思います。
そうなんですよね。僕もまだそこはよくわかっていなくて。でも、今わかっているのは、きっといちばん大切なことは気づきなんだろうなって。何事も考え方は気づき次第。気づくセンサーを持っているかどうかが重要で。気づいた瞬間、世界が一気にガラッと変わる。
町田くんと話しているとすごいなって思います。ちゃんと世界情勢のことまで勉強されているんです。そんなふうに世界のことについて知っていると、物の見方や俯瞰の仕方も変わってくる。人と会うのもそうだし、作品を観るのもそうだし、ちゃんと日常からアンテナを張って、自分のセンサーを磨いていきたいです。
── 応援しています。では最後に、最終回を迎える『チェリまほ』についてひと言お願いします!
『チェリまほ』に出会えて良かったというのが、今の僕の正直な気持ち。だから、最終回というのが本当に寂しいです。離れ離れになった安達と黒沢がそれぞれどう生きていくのか。安達は魔法使いから卒業できるのか。そして、安達と黒沢を取り囲む周りのみんなの結末は? すべてが詰め込まれた最終回になっているので、ぜひ見届けてほしいです。
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撮影/高橋那月、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹、ヘアメイク/廣瀬瑠美、スタイリング/壽村太一