まるで二次元からそのまま飛び出してきたかのような美貌を持つ若手実力派俳優・板垣李光人さん。
2歳の頃からモデルとして芸能界へ入り、小学5年生で俳優の道へ。映画『約束のネバーランド』や大河ドラマ『青天を衝け』への出演など数々の話題作へ出演しています。
4月1日から放送開始したドラマ『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。』(読売テレビ・日本テレビ系)では連続ドラマ初主演。ファッションやメイクを自由に楽しむ“ジェンダーレス男子”・相馬周(めぐる)を見事に演じています。ドラマ放送直後には「めぐるくん」がTwitter日本トレンドに入るほど、板垣さん演じる周に「かわいい!」「綺麗!」と絶賛の嵐でした。
そんな今注目を集める板垣さんから『カラフラブル』の話しとともに、俳優を志した原点や今の芝居をつくり上げたキッカケを聞きました。内面からにじみ出る板垣さんの凛とした美しさをご堪能ください。
核となるのは「自分を自由に表現すること」
── 4月1日から放送開始した『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~』で、板垣さんは連続テレビドラマ初主演となります。主役を演じると決まったときの心境はいかがでしたか?
お話をいただいたとき、もちろん嬉しさはありましたけど、作品の代表に自分がなるということにも繋がってくるのですごく不安もありました。
だけど、撮影に入ってからは「自分がこの作品を引っ張って行くんだ!」という感じかというと、それは作品のテイスト的に違うかなとも思って。このドラマに関わる人全員で楽しく作っていくことが、作品をいい方向へ進めていく大事な部分の一つになるんじゃないかと考えました。なので、あまり肩肘張らずに楽しみながら演じようと思いましたね。
── 板垣さんご自身、普段からジェンダーにとらわれないファッションを楽しんだり、メイクをされていたりと周(めぐる)との共通点が多くありますよね。
自由に自分を表現するところはすごく共通しています。ファッションもメイクもジェンダーにとらわれないことは、周にとっても僕にとっても大切なことで。だからこそ自由に表現するからこそ感じることもあると理解しているので、核の部分が共通しているのは演じる上でも大きいと思います。
── 今回のように共通点が多い役を演じるときに意識されていることはありますか?
余計なものは極力つけないように演じています。今回は実際に自分が思っていることがそのまま周のセリフとして出てきたりして。作り込んで余計なものを付け足すよりも、自分の素直な気持ちで言った方が伝わるんじゃないかなと。
とはいえ、周にしかない和子ちゃん(町田和子)への気持ちは一つ大切なものとして持つようにしています。
── 役と共通点が多いと演じやすさを感じることも?
演じやすいかというとそんなことはないですね。自分として素直に演じられるときと和子ちゃんへの気持ちを持った周を演じるとき、シーンごとに変化していくので。その調整みたいなものは大変でしたね。
逆に自分を切り離して役に成り切る方が楽かもしれません。役の中で自分らしさを出すことの大変さを感じました。
「“カワイイ”と言われると謙遜してしまいます」
── 周はカワイイ見た目なので草食系かと思いきや、和子に対してはかなり積極的にアプローチをしていきます。周のアプローチを見て板垣さん的にどう思いますか?
あ~、周は結構グイグイいくじゃないですか。僕は絶対にあそこまでいかない……。だから、周はすごいなって思います(笑)。
あと、周は「カワイイ」と褒められたときに「よく言われる」と返せるのも本当にすごい! 僕は言えないので……。
── 板垣さんも普段からいろんな人に「カワイイ」と言われるだろうに……!
あはは(笑)。僕は謙遜してしまうタイプなので、周のそういうところはすごいなと思います。
共通しているところは多いですけど、自分とは少し違うなと思うところももちろんありますね。
── 和子については「オタクな部分(推しを前にしたときの反応)に共感する部分があった」とのこと。板垣さんご自身、アニメやゲームなどのオタク趣味をお持ちだそうで。
はい(笑)。特定のジャンルが好きというより、雑多にいろいろ好きです。
── 今、板垣さんの中の推しをお伺いしたいなと……。
なるほど(笑)。最近は韓国のアイドルグループ「SEVENTEEN」を推していますね。
── やっぱり推しを前にするとテンションが上がりますか?
上がりますね。SNSを見てはニヤニヤしています(笑)。
ただ、和子ちゃんみたいにあそこまで家の中で独り言は喋らないですけどね。「和子、独り言めっちゃ喋る!」と思っちゃいます(笑)。でも推しへの気持ちはすごく分かりますよ!
小学生のときに見た再放送のドラマが俳優の原点
── ここからは板垣さんの俳優やお芝居の原点についてお話を聞いていきます。板垣さんは2歳からモデルのお仕事をされていて、小学5年生から俳優としてお仕事をされています。なぜモデルから俳優の道へ進んだのでしょうか。
2歳から芸能の仕事をしていたので、ちっちゃいときから人前に立つことや写真を撮られることが自然な環境でした。
年齢が上がっていくにつれて、今の自分が身を置いている芸能という括り(環境)の中にある「お芝居」にとても興味を持っていきました。
── お芝居に興味を持ったのには何かキッカケが?
小学生に上がるくらいになって、ドラマを見るようになったのが大きいです。小学校からちょうど帰宅した夕方の時間に『ごくせん』や『ROOKIES』とかの再放送を見て、そこから自分もお芝居に興味を持ったのだと思います。
── 再放送……! 板垣さんは現在19歳なので、『ごくせん』の第1シリーズが放送された2002年が生まれた年ですよね。衝撃です……。
あははは(笑)。
再放送で色々なドラマを見て、その中で楽しくないのに笑い、悲しくないのに泣いている俳優さんたちの姿が当時はすごく不思議だったんでしょうね。同時に「カッコいいな」と思いました。
「口ではなく心で」芝居をする
── 俳優の道へ進まれてからは、ドラマ・映画・舞台など様々な場所でお芝居をされています。ご自身の中で転換期になったと感じる作品はありますか?
そうですね……もちろん全ての作品で別の人間を演じているので、毎回毎回新しい発見や学びはあります。
ただ、その中でも特に転換期になったと感じるのは、一つに2017年の櫻井翔さんが主演をされていたドラマ『先に生まれただけの僕』です。僕は生徒役の一人(奥寺涼太)で出演させていただきました。
生徒の人数がとても多かったのでそこまで長いセリフやシーンはなかったのですが、英語教師役の瀬戸康史さんに「なんで英語を勉強するんですか?」とセリフを言うシーンで演出の水田(伸生)さんから言われた言葉がずっと忘れられずにいます。
── どのような言葉だったのでしょう。
「ここ(口)で喋るんじゃなくてここ(心)で喋るんだよ」と。当時は何となく理解できていましたけど、じゃあどういうことなのか言葉で説明することは正直できなくて。それでも、自分の芝居の意識としてずっと持っていました。
それで去年(2020年)公開した『約束のネバーランド(約ネバ)』でノーマンを演じさせていただいたとき、水田さんに言われた言葉がちゃんと分かったような気がしました。
── 言語化できるくらい落とし込めるようになったと。
『約ネバ』で芝居をしてみて、改めて人間という生き物の感情はすごく複雑につくり上げられているなと感じたんです。地球のマントルのように何層にもいろんなものが重なっていると気がつきました。
だから、口で表面的なセリフを言うのではなく、心の中の内側の複雑な感情を乗せてセリフを言わなければと。
『先に生まれただけの僕』と『約ネバ』が僕の今の芝居が確立された転換期だと思います。
── そんな板垣さんが憧れる俳優さんはどなたでしょうか。
お芝居をしたいと思ったキッカケのドラマ『ROOKIES』に出ていた事務所の先輩である市原(隼人)さんはやっぱりカッコいいです。
また、堺雅人さんや香川照之さんなど素晴らしい芝居でいろんな役柄を演じられている俳優の方たちにはすごく憧れます。
── 今のお話とも通ずる部分がありますが、現時点で板垣さんが目指す俳優像を教えてください。
今挙げさせていただいたみなさんのように、画面に映っただけで空気を操れるような役者になりたいと思っています。
それは取って付けて完成されるものではなく自分がどう生きていくかから繋がってくると感じているので、それを目指すためにも経験を積んでいきたいです。
Q.最近キュンとした出来事は?
『カラフラブル』の台本を読んでいるとキュンとします。
大勢の人がいる前で周が和子に対して「僕のずっと好きな人です!」と言うシーンに「すごいな……」と思いつつ、キュンとしました(笑)。
Q.理想のデートプランは?
人によりますね……。でも、山と海は行かないです(笑)。
Q.今日も1日頑張ろうと思える曲は?
日によって変わりますけど、今日の朝初めに聴いて頑張ろうと思ったのは東京事変さんの『緑酒』。ワールドビジネスサテライトのテーマ曲です。
Q.ここだけは外せないと毎日気合いを入れているファッションのポイントは?
靴のヒールです! 気合いが入ります。
Q.いつか会ってみたい憧れの人は?
前々から言っているのですが、椎名林檎さん。ずっとブレません(笑)。
Q.最近触れたエンタメでおすすめのコンテンツは?
『シンエヴァ(シン・エヴァンゲリオン劇場版:||)』!
昨日(取材日は4月1日)やっと見てきたんですよ。めっちゃ良かった……!
レイのロングヘアがとてもキレイで。そう来るか……長くするのか……!と思いました(笑)。
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撮影/友野雄、取材・文/阿部裕華、企画・構成/藤坂美樹