Sano ibuki/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー
「ここ1年くらいの僕自身が詰まったものになっているなっていう実感がありました」
特集連載
第2回

── 1st mini AL『EMBLEM』(2018年)、デビューAL『STORY TELLER』(2019年)、1st EP『SYMBOL』(2020年)という3部作でひとつの架空世界を描きました。まずは、そこを終えて感じたことは?
Sano 『EMBLEM』は原点的な作品という意味合いがより強いんですけど、『STORY TELLER』『SYMBOL』の2作品はすごく練りに練って作っていったので、ひとつ殻を破ったという感じがありましたね。なので、やり切った感というものをすごく感じました。
── 今作の構想というのはどの段階であったんですか?
Sano それまではファンタジー的な世界を描いていたので、もう少しリアリティーのあるものというか、現代的なものを描いてみたいなというのはあって。『STORY TELLER』ができた段階ですぐにそういう思いが芽生えていましたね。
── 先ほど「やり切った感」とおっしゃいましたが、その実感の中身をもう少し詳しく教えてもらえますか?
Sano ファンタジー色の強いものをやり切ったがゆえに、実はその中でもっとやりたいことも見えてきたんです。そういう部分をさらに表現していくためには、一度違うところへ行かなければと思ったんですよね。
── これまでは、まず物語を立ち上げて、そこから音楽にしていくという独特の手法をとっていました。そこにも変化はありましたか?
Sano そうですね。今回は、いかに「自分」というものを表現できるか? ということがテーマだったので、歌の中の主人公や登場人物を極力自分に近づけていくように人物造形をしたりしましたね。だからまったく物語を作らなかったというわけではなかったんですけど、物語という枠をギチギチに作ってしまうと、「あの時俺こう思ったよな?」っていう感情がその枠から外れなくなるので、そこがこれまでとは一番違ったかもしれませんね。