音楽専門誌『ぴあMUSIC COMPLEX』連動企画
アーティストが語る宇多田ヒカル『BADモード』【前編】 Awsome City Club、緑黄色社会の場合
PMC編集部
第12回

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1月19日に配信リリースされた、宇多田ヒカルのニューアルバム『BADモード』。同日開催した初の有料配信スタジオライブ「Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios」では、いち早くライブでアルバム楽曲を披露し話題に。『BADモード』は、国内配信ランキング1位のほか世界21ヵ国・地域で上位にランクインするなど大ヒット中だ。
2月23日(水・祝)、同作のCDリリースを前に、4組のアーティストからコメントが到着。
Awesome City ClubのPORIN、緑黄色社会の穴見真吾、ermhoi(millennium paradeほか)、Stray Kidsのバンチャンが、宇多田ヒカル『BADモード』を語ってくれた。今回は、前編。話題のバンド、Awesome City ClubのPORIN、緑黄色社会の穴見真吾のコメントを届ける!
●PORIN(Awesome City Club)

── 宇多田ヒカルさんの音楽との出会いは?
PORIN テレビ番組によく出演されていたり、幼いころから身近にあった宇多田ヒカルさんの存在ですが、その魅力にどっぷりハマったのは2006年。「COLORS」でした。まだ小学生だった私は、今まで聴いたことのないようなちょっとの不気味さとキラキラした切なさが共存する楽曲に、何とも形容しがたい感情が生まれた記憶があります。そこからは、いつも新しい世界へ連れて行ってくれる、新しい感情に出会わせてくれる、そんな特別な存在となりました。
── ニューアルバム『BADモード』について、どのように思われましたか。感想をお聞かせください。
PORIN まず「BADモード」を初めて聴いたとき、全部の楽器の音像、プレイが鮮明に耳に入ってきて、そのどれもがすばらしく興奮しました。切ないイントロから始まり、Aメロから入ってくるベースラインに心躍らせ、ホーンが入ったころには最高潮。情緒も感じられる構成で、気づけば何度もリピートしていました。歌詞も今の時代ならではの固有名詞がたくさん出てきて共感できました。アルバム全体を通して聴くと、よりミニマムでパーソナルな楽曲が多いイメージでした。なかでも「Find Love」はシンセの音使いが斬新で、癖になる大好きな楽曲です。英語と日本語の響きの違いも楽しめるのもうれしいです。
宇多田ヒカル「BADモード」Sam Shepherd(Floating Points)共同プロデュース
宇多田ヒカル「Find Love」小袋成彬共同プロデュース
── 配信の時代にアルバム作品の意義について、感じたことがあれば教えてください。
PORIN 今はアルバムを聴く体力がどんどんなくなって、アルバムの必要性を問われることはよくわかっているつもりではいますが、本当はアルバム全体を通して世界観を伝えたいのがアーティストの本心なのではないでしょうか。今伝えたい届けたいことはやっぱり5分だけじゃ伝わらないし、1時間、世界に浸ってもらってやっと伝わるものもたくさんあると思います。このアルバム(『BADモード』)に浸ってみて、改めて考えさせられました。

── ご自身が音楽作品を作る際、どのようなことを大事にしていますか。
PORIN 新しい世界に連れて行ってあげたいという思いはいつもあります。ちょっとはみ出してみる。そんな挑戦はしています。私にとって宇多田ヒカルさんは新しい世界を見せてくれる特別な存在なので、私も誰かにとってそんな存在になりたいと思っています。
── 宇多田ヒカルさんへメッセージをお願いします。
PORIN 宇多田ヒカルさんの楽曲は、音楽を楽しむ気持ちをいつも思い出させてくれます。これからもたくさんドキドキさせてください。
●Awesome City Club『Get Set』
https://acc.lnk.to/4th_Album
https://avex.lnk.to/awesomecityclub
●Awesome City Club「AWESOME TALKS ONE MAN SHOW 2022」
https://www.awesomecityclub.com/news/?id=685
●穴見真吾(緑黄色社会)

── 宇多田ヒカルさんの音楽との出会いは?
穴見 幼いころからダンスを習っていたのですが、コンテンポラリーダンスの曲目として「Flavor Of Life」を先輩方が踊っていて。それを拝見したのが宇多田ヒカルさんの音楽との出会いでした。オトナの恋愛、オトナの世界ってこんな感じなのかな?って幼心に感じていました(笑)。本格的にどハマりしたのは18歳のころで、BOOK OFFで中古CDを買うのにハマっていたのですが、そのとき、宇多田さんのアルバムを何枚か購入して聴いていました。その中でも『DEEP RIVER』が大好きで何度も何度も聴きました。このアルバムが10代のころに感じていた孤独感、焦燥感といったものを代弁してくれていたような気がします。
アルバム全体を通して一貫性があるため、聴く側が置いてきぼりにならずに楽曲の世界観にしっかり入り込めるのも宇多田さんのアルバムの大きな魅力だと感じています。
── ニューアルバム『BADモード』を聴いてどのように思いましたか。アルバムについての感想をお願いします。
穴見 宝石箱のようなアルバムだなと思いました。きらびやかで豪勢というニュアンスではなく、サウンドひとつひとつ、歌詞ひとつひとつがそれぞれの光り方で、はかなく輝いているような。そんな第一印象を抱きました。このアルバムを聴けば聴くほど、自分の身近にいる人の存在や、自分が日常の中で味わう感情ひとつひとつが尊いんだな……と感じていき、そして最後にはにこんな素敵で特別なアルバムをリリースしてくださりありがとうございます……という感謝の気持ちでいっぱいになりました。僭越ながらミュージシャン的目線で聴かせていただくと、これまでのアルバムよりもかなり挑戦的なサウンドアレンジをされているなという印象を受けます。たとえば「PINK BLOOD」。エレクトリックピアノ、シンセサイザー、シンセベース、リズムシーケンス、それぞれが特徴的な音の揺れ方をしていたり、複雑な拍で構成されていて。歌の支えになるようなコード音があえてほんのわずかしか組み込まれていない。なんとも形容しがたいのですが、ワクワクと不安が同時に押し寄せてくるようなアレンジになっていて、これが本当にクセになってしまいます。
「PINK BLOOD」以外の楽曲にもこういった要素をとても感じます。宇多田さんの歌の表現力やフロウのグルーブ感、フワリのセンスがないと絶対に成り立たない、オンリーワンなアレンジ。至難の技を成し遂げられていると僕は思います。僕みたいなのが安易に手を出せる領域でないので感服せざるを得ません……。
宇多田ヒカル「PINK BLOOD」

── 配信の時代にアルバム作品の意義について、感じたことがあれば教えてください。
穴見 共有や再生が瞬時に行える配信の時代だからこそ、アーティストの個性がより強く出たマニアックなアルバム曲がシングル曲より人気が出たりする。そういった現象が増えていると思います。それはアーティストにとってもおもしろい発見がありますし、音楽業界が盛り上がるための一つの大事なファクターになっていると思います。
自分が音楽を作る際には、どんな感情にも寄り添えるような楽曲作りを心がけていますが、宇多田さんはそれを成し遂げられていると思います。宇多田さんの楽曲は友だちとドライブするときも、ひとりでしんみり過ごしたいときでも、どんなときでも聴きたいと思います。
── 最後に、宇多田ヒカルさんにメッセージをお願いします。
穴見 このような形でコメントを寄せさせていただき非常にうれしく思います。ときに優しく、ときに刺激的な宇多田さんの音楽が大好きです。ファンとして、ミュージシャンとして今後のご活躍を楽しみにしております。
●緑黄色社会『Actor』
https://erj.lnk.to/66qIAn
●緑黄色社会「Actor tour 2022」
https://www.ryokushaka.com/live/
宇多田ヒカル『BADモード』

初回生産限定盤:CD+DVD+BD¥6,800(税込)
通常盤:CD¥3,300(税込)
配信はこちら
https://erj.lnk.to/U36YCj