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ATEEZ、Brave Girls、Kep1er、NiziUら 注目の7組が登場。「KCON 2022 JAPAN」day3レポート【写真65点】

PMC編集部

第43回

ATEEZ「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

10月14日(金)から16日(日)の3日間、東京・有明アリーナおよび近隣野外公園にて「KCON 2022 JAPAN」が開催された。現地のショーを訪れた観客約4万1千人のほか、デジタル生中継はのべ220ヶ国・約870万人が視聴したその熱狂を、PMCでは3回に分けてレポート。今回は、最終日となる10月16日の模様をお届けする。

「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

ATEEZ、Brave Girls、DKB、JO YURI(チョ・ユリ)、Kep1er(ケプラー)、NiziU、TEMPESTと、バラエティに富んだ7組が勢ぞろいした3日目。結論から言えば、この日は韓国のドラマとサバイバル/オーディション番組のファンにとってご褒美のような夜だったと言えるだろう。

本編前のプレショーでは、屋外のトークショー「STAR SQUARE」とレッドカーペットでもMCを務めた古家正亨より、「みなさんDREAM SWEETというガールズグループはご存じですか?」と問いかけが。なんと、今からこの「KCON」でスタジオドラゴン制作のNetflixドラマ『The Girl Downstairs』のパフォーマンスを収録することが伝えられると、会場がドッとどよめく。人気ウェブ漫画『イ・ドゥナ!』を原作とする本ドラマは、JYPで活躍したmiss A出身のスジが主演を務めており、コ・アソン、LACHICAのリアとシミズ、ジャネット・スーという実際のキャストと共にステージへ。撮影中のとあるシーンでは有明アリーナが水を打ったように静まりかえり、古家が「みなさんいい演技でしたよ!」と観客をねぎらうと、緊張がほぐれた場内からは拍手喝采。フィクションと現実が入り乱れる忘れがたい瞬間だった。

ATEEZ「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved
ATEEZ「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

最終日のオープニングアクトにはATEEZが登場。トロピカルで爽やかなトラックと《Hakuna Matata》のフレーズが耳に残る「WAVE」でファンを総立ちにさせ、紙吹雪が舞う中で横一列に並んだメンバーがギャルピースを披露するおどけた姿もほほえましい。

すっかりMCが板についた歌手/俳優のファン・ミニョンだが、「僕からのスペシャルプレゼントもありますので、楽しみにしていてください」との公約どおり、中盤では自らが出演したtvNドラマ『還魂』よりチョン・セウンの楽曲「Just Watching You」をカバー。幻想的な空間に響き渡るその美声でKCON-ers(KCONファンの呼称)を魅了した。

ファン・ミニョン「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

本編のトップバッターには、YUE HUAエンタテインメントの新人TEMPESTが登場。ENHYPENを生み出したサバイバル番組『I-LAND』で人気を集めたベトナム人、ハンビンが所属するボーイズグループとあって個人的にも注目していたが、「Can't Stop Shining」で幕を開けたステージのみずみずしさたるや。続く「Bad News」は《思い切って進め / 早く動け新世界 / a better news》というポジティブな歌詞とメロディがクセになる楽曲で、ビタミンカラーの衣装で弾けるように歌い踊るパフォーマンスには否応なしにこちらも笑顔になってしまう。

TEMPEST「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

二番手のDKB(ダークビー)は日本人メンバーのユクも在籍する9人組ボーイズグループで、センチメンタルなアコギの音色が象徴的な「24/7」と、お酒の力を借りないと恋する相手に思いを伝える勇気さえ出ない……という心情を込めた「Sober」の2曲を披露。トラップビートに載せた等身大な楽曲と息の合った群舞がすばらしく、ポテンシャルしか感じないステージだった。

DKB「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

ここでKep1erの日本人メンバー、マシロとヒカルがMCとして登場。コラボレーションステージと題して、日本でも空前のブームを巻き起こした人気ドラマ『愛の不時着』について触れ、チョ・ユリとATEEZのジョンホを呼び込む。ドラマの名場面がスクリーンに映される中、テーマソング「Here I am Again」(原曲:ペク・イェリン)をデュエット形式でカバーしたのだが、2人の伸びやかで清涼感ある歌声にオーディエンスがうっとりと聴き入っていたのが印象的だ。

ジョンホ(ATEEZ)&チョ・ユリ「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved
NiziU「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved
NiziU「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

続くNiziU→Kep1erというガールズグループのバトンも胸熱だった。ご存じのとおり前者は『Nizi Project』(以下、虹プロ)、後者は『Girls Planet 999』(以下、ガルプラ)という人気サバイバル番組から生まれたわけで、NiziUのリーダーであるマコがもともとKep1erのマシロに憧れて、JYPのオーディションを受けたエピソードは有名だ(※デビューはNiziUのほうが先)。そんな会場の期待感に応えるように、NiziUはデビュー曲「Step and Step」を韓国語バージョンで歌いファンを驚かせ、箸ダンスでお馴染みの「Chopstick」、グループ史上最高難度と言われる「CLAP CLAP」の3曲を全身全霊で駆け抜ける。いっぽうKep1erは、『ガルプラ』のエモすぎるハイライト映像に続いて花道からダヨン、ヒカル、シャオティンの3人が現れ、ダンスブレイクを披露。これが『ガルプラ』の“日韓中1位”を再現したものなんだと気づいた瞬間は、思わず鳥肌が立った。「KCON」直前にリリースされた3rdミニアルバム『TROUBLESHOOTER』収録の「We Fresh」初お披露目をはじめ、「WA DA DA」「Up!」とアップリフティングな楽曲で会場を一つにまとめるハイレベルなパフォーマンスは、まさに世界水準である。

Kep1er「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved
Kep1er「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

そして、両グループはKCONスペシャル企画でも大活躍。K-POPの名曲に新世代が新たな解釈を加える「Z世代POPスペシャル」に抜擢されたNiziUは、事務所の先輩でもあるナヨン(TWICE)のソロデビュー曲「POP!」を、一糸乱れぬダンスでハイエナジーに披露してみせた。「歴代KCONのうち、もう一度見たいステージ」を再現する「Relay Performance Challenge」に登場したKep1erは、今年のKCONにも多くの関連アーティストが出演した“プデュ”こと『PRODUCE 101』の初代デビュー組I.O.Iの代表曲である「Very Very Very」をカバー。ピンクで統一した衣装と、《ノムノム》のサビで繰り出すキュートな振り付けの完コピ具合に会場が沸き立った。『虹プロ』のチームミッションでアヤカ、リマ、ミイヒが同楽曲を披露したステージは今でも語り草だが、これもまた「KCON」ならではの粋な計らいと言えるのかもしれない。

NiziU「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved
NiziU「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved
Kep1er「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved
Kep1er「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

ガールズグループといえば、初日のLE SSERAFIM(サクラ、キム・チェウォン)、2日目のIVE(アン・ユジン、チャン・ウォニョン)に続く5人目のIZ*ONE出身アーティストとなったチョ・ユリも忘れてはならない。『PRODUCE 48』放送当時やグループ在籍時からも歌唱力には定評のあった彼女だが、清濁を併せ持ったハスキーかつ超パワフルなボーカルは、有明アリーナのような大箱のどこにいても真っすぐに胸に響いてくる。「日本のみなさんの前に立つのは久しぶりなので、ドキドキ、ワクワクしています!」と日本語MCでファンに感謝の言葉を告げていた彼女は、「L.O.V.E.」のアルファベットを両手で再現する振り付けが特徴のアップテンポ曲「Love Shhh!」と、幾層にも重ねられたチョ・ユリの美声に包まれる「GLASSY」の2曲を歌い上げてステージを後にした。

チョ・ユリ「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

終盤に登場したBrave Girlsは、同じく「KCON」に出演したVIVIZやKep1erと共にサバイバル番組『QUEENDOM 2』で火花を散らしたガールズグループ。前日のIVEに続いてアーティストとKCON-ers(KCONファンの呼称)がステージ上でコラボする夢の企画「Dream Stage」に指名された彼女たちは、K-POPファンなら誰もが聴いたことのある代表曲「Rollin'」を50名以上の“Dreamer”とパフォーマンスし、有明アリーナを祝祭空間へと変えてみせる。椅子を使った独創的な振り付けや、リゾート気分漂う「Chi Mat Ba Ram」などで多彩な魅力を振りまき、ベテランとしての実力を大いに見せつけていたのが印象的だ。

Brave Girls「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

大トリを飾ったのは、8月の米・ロサンゼルス、9月のサウジアラビア・リヤドに続いて今年3ヶ国目の「KCON」出演となったATEEZである。

ATEEZ「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

熱気が充満する有明アリーナに「What's up Japan!」のシャウトと共に現れると、のっけから「Guerrilla」でフルスロットルの熱演。X型に伸びた花道から8人のメンバーとダンサーが中央に集結し、ステージを所狭しと動き回る群舞はあまりにも圧倒的で、場内を埋め尽くしたATINY(ATEEZファンの愛称)も全力でペンライトを振って応える。事前にファンから募集したリクエストをかなえる「Make a Wish」のコーナーでは、ヨサンがマイクをとおさずに「ATINYサランへ!!」と叫ぶ一幕もあり、続いて披露した「Better」「Dreamers」といった日本語曲がチョイスされたセットリストもまた、日本のファンへの感謝があふれていたように思う。ラストは彼らも出演したサバイバル番組『KINGDOM〜Legendary War〜』で一躍話題を呼んだ「The Real(흥:興 Ver.)」。獰猛なエレクトロニックサウンドとトラップビートの上に、オリエンタル風の旋律をまぶした楽曲のパワーでフロアは総立ちのまま、3日間にわたるショーを締めくくった。

ATEEZ「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

フィナーレでは再び、MCのミニョンほか全出演アーティストがステージに再登場。別れを惜しむように観客たちとコミュニケーションを取りながら、恒例となった「Let's KCON!」の掛け声で「KCON 2022 JAPAN」は幕を閉じた。次回のKCONでは、一体どんなスペシャルなステージが見られるのか……今から楽しみでしょうがない。

取材・文=Kohei UENO

「KCON 2022 JAPAN」。(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

2022年10月16日
「KCON 2022 JAPAN」

セットリスト
▼Opening Performance
ATEEZ「WAVE」

▼TEMPEST
「Can't Stop Shining」
「Bad News」

▼DKB
「24/7」
「Sober」

▼Collaboration Stage
ジョンホ(ATEEZ)&チョ・ユリ「Here I Am Again 」(原曲:パク・イェリン、愛の不時着OST)

▼NiziU
「Step and a step -KOR ver.-」
「Chopstick」
「CLAP CLAP」

▼Kep1er
「We Fresh」
「WA DA DA」
「Up! 」

▼スペシャルステージ
ファン・ミニョン「Just Watching You 」(原曲:チョン・セウン、還魂OST)

▼チョ・ユリ
「Love Shhh!」
「GLASSY」

▼Z世代 POP スペシャル
NiziU「POP! 」(原曲:ナヨン(TWICE))

▼Brave Girls
「Rollin'」
「Whistle」
「Chi Mat Ba Ram」

▼Z世代 POP スペシャル
Kep1er「Very Very Very 」(原曲:I.O.I)

▼ATEEZ
「Guerrilla」
「Better -JP ver.-」
「Dreamers -JP ver.-」
「The Real -興 ver.-」

▼エンディング
「Signature Song」