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音楽専門誌『ぴあMUSIC COMPLEX』連動企画

約5万人と咲かせた桜の花! 早くも伝説となっているBiSH東京ドーム解散ライブとは?

PMC編集部

第104回

BiSH「Bye-Bye Show for Never」2023年6月29日東京ドーム Photo by cazrowAoki

6月29日、BiSHが東京・東京ドームにて解散ライブ「Bye-Bye Show for Never」を開催。デビュー当初からの夢だった東京ドーム公演を清掃員(BiSHファンの総称)とともにかなえ、代表曲「BiSH-星が瞬く夜に-」「プロミスザスター」「オーケストラ」など、28曲をやりきった。タブルアンコールでは、ラストシングルとなった「Bye-Bye Show」を披露し、「ばいばい」と約8年間の活動に幕を下ろした。

PMC編集部では、「Bye-Bye Show」の際、約5万人が集まったドーム会場全体がサイリウムのピンク色に染まり、桜が満開になったのを目の当たりにし、改めてBiSHが表紙を飾る『PMC Vol.28』(撮影:柏田テツヲ氏)の表紙・デザインをピンク基調にし、メンバーの表情をとらえられてよかったなと改めて思ったのだが、今回は、同号のBiSHメンバー・関係者取材のメインライターを務めた西澤裕郎(SW)、飯田仁一郎(OTOTOY)の2人に「Bye-Bye Show for Never」について寄せてもらった。

西澤裕郎(SW)

1/まずは解散ライブ「Bye-Bye Show for Never」の感想をうかがえますか。

掛け値なしにすばらしい解散ライブでした。
こんなにも笑顔で涙を流しながら終わる解散ライブというのはなかなかないんじゃないかと思います。しかも初めての東京ドーム、さらに超満員の清掃員たち。その光景を前に、浮き足立たず、これまで積み上げてきたBiSHらしさ全開でライブをしたBiSHメンバーは本当にすごいです。
セットリストは、新しくファンになった清掃員でも楽しむことができるようなオールタイムベストといった内容でしたが、初期から追いかけている清掃員たちもその時々を思い出して胸が熱くなるようなものだったんじゃないかと思います。

冒頭に現れたうさぎの着ぐるみの中身が、コントのシーンで(WACK代表の)渡辺淳之介さんだったことが明らかになったのも、最後までBiSHらしくてよかったです。
外林健太さんによる最後の衣装も、山田健人監督の映像も、ライブ制作のKMミュージック佐藤さんによる演出やバンドメンバーの演奏も、炎やトロッコ、桜の木などの演出も、レーザーを駆使した照明も、(レコード会社の)avexスタッフさんも、WACKスタッフさんも、会場を警備してくれたスタッフさんたちも、なにより楽曲ごとに大きな声援を送りペンライトで会場を彩った清掃員たちも、全員で同じ方向を向いて作り上げた一度しかない解散ライブだったと思います。こんなに大きな会場で、ここまで一体感のあるライブを初めて観た気がします。こんな光景は二度と観れないだろうなと思うすてきな解散ライブでした。

Photo by shotobayashi kenta

2/ご自身にとってのハイライトを教えてください。

1. 「stereo future」で、メインステージから花道を走ってセンターステージまで駆け抜けていったところ。
2018年12月22日に幕張メッセ9.10.11ホールで開催された「BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR FiNAL "THE NUDE"」でのシーンが蘇ってきてグッときた。個人的にBiSHの演出の中で一番好きなシーンで何度も見返していたので、東京ドームで最後に観られて本当に感激した。

2. メンバーが涙を我慢していたところ
ライブの途中にメンバーのアップがスクリーンに抜かれたとき、ハシヤスメ(・アツコ)さんが涙をこらえているような表情をしているのにもらい泣きしそうになった。どんな想いでこのステージに立っているのか、さまざまな感情が一緒くたになっているんだろうなと直接伝わってきた。メンバー1人ずつの挨拶のときに、モモコ(グミカンパニー)さんが涙を流しているのもすごく印象的でした。これまでどちらかというと飄々としていたモモコさんの想いがあふれる感じに心打たれました。6人とも自分の言葉で話していて、彼女たちの持つ言葉の強さを最後まで感じたライブでした。

3. 最後6人でステージに立ったところ。
ダブルアンコールの「Bye-Bye Show」で、メンバー6人だけでステージに立って歌をうたい、BiSHを完結させたことに美学を感じました。もちろん生バンドも素晴らしかったですが、最後は6人で東京ドームに集った清掃員たちを魅了して、そのまま潔くステージをあとにしたことに美しさを感じました。

Photo by Keiichiro Natsume

3/予想を超えてきたシーンはありましたか。

東京ドームが広く見えなかった。それが予想を超えてきた部分です。
これまで別のアーティストの東京ドーム公演には何度か行ったことがあるのですが、どのアーティストの際も「東京ドームって超でかいな!」と思った記憶しかありません。なのにBiSHのライブでは全く感じなかった。むしろ、もっと大きな会場でもできるんじゃないかとさえ思った。それは、メンバーたちがこれまで通りのライブを行ったからなんじゃないかと思います。東京ドームにあわせて背伸びをしたり、なにかを大きく変えたりすることなく、これまで積み上げてきたBiSHらしさをちゃんと出していた。逆に見ている僕のほうが緊張していたと思います(笑)。

4/BiSH「Bye-Bye Show for Never」はどんな伝説になったと思いますか。

終わったばかりなので、まだわからないというのが正直なところです。ライブを観た清掃員の数だけ視点があって、それだけ語り継いでいく人たちがいるので、数年後、この日がどんな伝説として語られているのか今は楽しみです。

Photo by Yukihide'JON...'Takimoto

5/BiSHが表紙を飾る『PMC Vol.28』の取材を通して、実際のライブで答え合わせできたところなどはありましたか。

(セントチヒロ・)チッチさんとハシヤスメさんの取材で、SMAPの東京ドーム公演での演出のことを話していました。「ダンサーさんかと思いきやそれがメンバーだったり、SMAPだと思っていたらそれが別の人だったり」と話していたのは、うさぎが淳之介さんだったってことにつながっているのかなと思ったり、SMAPがトロッコに乗っていた話も今回のBiSHのトロッコにつながっているのかなとか個人的に思ったりしながら笑顔で観ていました。

Photo by Keiichiro Natsume

アイナ(・ジ・エンド)さんの取材では、「「FREEZE DRY THE PASTS」は遺作にしようと思うぐらいノート1冊分ぐらい黒く潰して作った」ということを語っていて、その集大成が東京ドームのステージで演じられていてゾクゾクっとしました。

アユニ(・D)さんは、「東京ドームで今までの強さ全部見せてやるぜっていうより、その日まで自分の人間としての階段を登り続けながら迎えたい。まだまだ気づけることはきっとたくさんあると思うのでがんばりたいです」と言っていた通り、最後まで止まることなく成長を続ける姿が見えてそれもとてもあたたかい気持ちになりました。

6/メンバーにメッセージを。

8年間、本当におつかれさまでした。ものすごい景色を観せてくれて本当に感謝しています。
僕は最初OTOTOYで編集として関わらせてもらい、その後独立してSWを立ち上げてからは個別で一緒に本を作らせてもらったりと、どちらかというと少し客観的な立場からメンバーと関わらせてもらってきました。ライターとしては媒体のインタビュアーとして関わることが多く、いろんな角度から見させてもらうことが多かったと思います。

その中で感じたのは、6人ともが自分のあり方を常に考え続けていたこと、そして表現への意欲でした。この8年間で、やりたいことをそれぞれがちゃんとみつけて持っている。自分の考えていることと違うことは、はっきり違うと言える強さ。それを本当にリスペクトしています。一緒に何かを作るのは大変なこともあったけど、とても楽しかったです。それを本だったり、ZINEだったり形に残すことができたことは自分にとって、ものすごく宝物です。
この先、別々の道を進んでいくと思いますが、それぞれの作る表現や創作物を観るのを本当に楽しみにしています。

Photo by cazrowAoki

飯田仁一郎(OTOTOY)

1/まずは解散ライブ「Bye-Bye Show for Never」の感想をうかがえますか。

湿っぽさは全然ありませんでした。涙が押しつけられることもなく、メンバーも清掃員も、とっさにうるっときちゃう、でもそのタイミングはみんな違う、そんな解散ライブ。メンバー、清掃員、BiSHチームのありがとうが交錯してて、「あー本当に終わるんだなあ」って。でも、ツアーを回ってきたこともあって、グルーブが半端なくて、なんで解散するんだろう……渡辺さん、いつもみたいにみんなを裏切って復活してよ……って思ったり。

なによりセットリストが素晴らしかったですね。全てのアルバムからキーになる曲が演奏されていて、BiSHが持つ激しさ、やさしさ、面白さや、楽曲のバラエティ、彼女たちの成長などのさまざまな軌跡をちゃんとライブで伝えてくれていました。何よりメンバーや清掃員だけでなく、東京ドームまで支え続けたBiSHチームの顔がちゃんと見えたのもうれしかった。渡辺淳之介氏はもちろん、松隈ケンタ氏を筆頭に楽曲に関わったミュージシャン、外林健太氏の衣装、ツアーをずっと回ったKMミュージック佐藤氏の演出、山田健人監督の映像、ツアーで鍛え抜かれたオールスターのバンドメンバー、PA、照明、avex、 WACKの人たち。表に出ずともちゃんと存在を感じさせ、そのチーム全員の東京ドームを成功させたいという思いがちゃんと浮き出た、伝説に残るライブになったと思います。

Photo by shotobayashi kenta

2/ご自身にとってのハイライトを教えてください。

がんばって絞って3つ(笑)。

1. 「オーケストラ」のはじまりで、4万個はあっただろう(セントチヒロ・)チッチ色の青色のペンライトで会場が染まり、オチサビではアイナ(・ジ・エンド)色の赤色に染まったこと。東京ドームに集合した清掃員のこの曲にかける思いが、めちゃくちゃに伝わってきました。

2. 「ALL YOU NEED IS LOVE」で、いつも以上にメンバー同士が腰を掴んで離さないようにして踊っていたこと。ハシヤスメ・アツコが以前、この踊りは肉が引きちぎれるくらい掴まないと、メンバーが離れちゃうんですって言ってた言葉が、蘇りました。

3. アンコールの最後に2回目の「BiSH-星が瞬く夜に-」で壮大に締めたのに、ダブルアンコールで「Bye-Bye Show」をやったこと。メンバーはインタビューがあるたびに、「「Bye-Bye Show」でアイナが作ってくれた桜の花びらが舞う踊りとともに東京ドームに満開の桜を咲かせたい」と言っていた。それを受けて、お昼から炎天下の中でピンクのペンライトを清掃員がずっと来場者に配っていて期待値は最高に高まっていただけに、「BiSH-星が瞬く夜に-」で本当に終わったように感じられたので、「まじでやらないの?」ってめちゃくちゃ心配になって。だからこそダブルアンコールで飛び出してきたときは、本当にうれしかったなあ。

Photo by shotobayashi kenta

3/予想を超えてきたシーンはありましたか。

ハシヤスメ・コント・タイム。内容は、解散ライブなのに最初に出てきたうさぎが気に食わない、そしてその正体が事務所の社長渡辺淳之介であっても気にせずに不満をぶちまける。挙句には生まれ変わったらBiSHじゃなくてTVのレポーターになりたいと言い出す始末......今回のコント、何がすごかったって、オチがなかった!!! オチがうけずにスベるのがハシヤスメコントなのに、全清掃員を裏切り、まさかのオチがないコント。この東京ドーム公演にて、自分の型にはまらないものに挑戦するなんて、なんてハシヤスメはお笑いに熱心なんだとそのアティテュード含めて、今回は過去一に素晴らしかったと思います。

4/BiSH「Bye-Bye Show for Never」はどんな伝説になったと思いますか。

東京ドームで、5万人で<おっぱい舐めてろ チンコシコってろ>の大合唱をしたことじゃないですかね。東京ドームさん的に絶対NGでしょう(笑)。武道館なら、即中止ですよ、中止! 「NON TiE-UP」には、すべてのBiSHがあって、前述のNGでしょって歌詞はBiSHの普通じゃない感を感じさせるし、ハシヤスメ・アツコのメガネタイムこと神ハシヤスメタイムは、意味を考える前に行動しろっていうBiSHのアティテュードにもつながるし、激しい部分もメロウな部分も優しい部分も1曲に詰め込まれていて、さらにライブを観ると異様な説得力を持つというBiSHをそのまま体現している曲なんだなって、改めて思わされました。

Photo by shotobayashi kenta

5/BiSHが表紙を飾る『PMC Vol.28』の取材を通して、実際のライブで答え合わせできたところなどはありましたか。

渡辺さんの、「いつまでも心に残るようなライブにできたらなとは思っています。ちゃんと全うした、感動のフィナーレをやりたい」っていう言葉を、まさに体現したと思います。僕はもちろん一生忘れることができないだろうし、それは運良くチケットを手に入れられた清掃員全て。そしてまたその目撃者がいろんな場所でこの日を伝えていって、またBiSHの曲とともにその記憶が再生されていく。そんな特別な3時間をBiSHチームみんなで作り上げたのはすごい功績だと思います。

6/メンバーにメッセージを。

東京ドームお疲れさまでした。8年間、みなさんの成長をずっと追わせてもらって、どんどん成長していくさま、必ず壁をぶち破ってくれるさまは本当にすごいと思っていました。一方、常に悩み苦しみ、がむしゃらに進む姿には、勇気さえもらっていました。多くの運が重なった東京ドーム到達ですが、やっぱり運だけじゃないような気がします。チッチの引っ張る力、アイナのダンスと歌の力、モモコ(モモコグミカンパニー)の言葉の力、リンリンの芸術の力、ハシヤスメの強さと面白さ、そしてアユニ(・D)の成長力などなど……。そんな個性が見事に混ざり合った、でもちょっと転ぶと戻れなくなるようなバランスを渡辺さん率いるBiSHチームが支え、個性が化学反応し最大の力を発揮し続けることができたグループが、BiSHなんだと思います。本当にお疲れさまでした。まずはゆっくり休んで、次は個々の力で、それぞれの人生を歩んでいってください。僕もここまできたからには、ずっとその道程を追わせてもらえればと思います! ありがとうございました。

Photo by cazrowAoki

なお、BiSHが表紙を飾り、大好評発売中の『PMC Vol.28』では、同公演へと向かうメンバーに、合計2.5万字にも及ぶロングインタビューを掲載。ぴあ名物100Q(100問100答)では、読者アンケートに寄せられたメンバーへの質問を加え、6人それぞれ30問ずつの100問180答、2.7万字超えで届けるほか、プロデューサー渡辺淳之介氏、所属レコード会社avexのA&R、『BiSH THE NEXT』企画プロデューサーら関係者の証言とともに、その類例のない歩みをたどり、大特集を展開している。

<公演情報>
BiSH「Bye-Bye Show for Never」

2023年6月29日東京ドーム

セットリスト

1. BiSH -星が瞬く夜に-
2. ZENSHiN ZENREi
3. SMACK baby SMACK
4. HiDE the BLUE
5. FOR HiM
6. JAM
7. デパーチャーズ
8. 遂に死
9. stereo future
10. My landscape
11. サヨナラサラバ
12. NON TiE-UP
13. スパーク
14. Life is beautiful
15. FREEZE DRY THE PASTS
16. ぴょ
17. ぴらぴろ
18. DA DANCE!!
19. プロミスザスター
20. LETTERS
21. GiANT KiLLERS
22. MONSTERS
23. サラバかな
24. ALL YOU NEED IS LOVE
ENCORE
25. オーケストラ
26. beautifulさ
27. BiSH -星が瞬く夜に-
W.ENCORE
28. Bye-Bye Show

※7月23日(土) 19:00〜 BiSH「Bye-Bye Show for Never」Huluにて独占配信決定!
http://bit.ly/3PxxwOK

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