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音楽専門誌『ぴあMUSIC COMPLEX』連動企画

初ライブから見えてきた確信! BiTE A SHOCKが受け継ぐべきBiSHの魂とは?

PMC編集部

第108回

撮影:cazrowAoki

6月29日に解散したBiSHが最後のぴあ表紙を飾った『PMC Vol.28』。同号の取材中は、東京ドームで行われる解散ライブの準備とともに、第2のBiSHを創出するためのオーディション企画『BiSH THE NEXT』が進んでいた。そこで誕生したのが、MAHiTO、SAORi、RiNA、HARUTO、RYUUSEi、HANANOからなる6人組男女混成ダンス&ボーカルグループBiTE A SHOCK(バイト・ア・ショック)だ。7月1日にメンバーが決定し、メジャーデビューを果たしたばかりだが、7月17日には東京国際フォーラム ホールCにて、お披露目ライブ「Why don't you BiTE??」を開催。『PMC Vol.28』のBiSH取材も担当した西澤裕郎(SW)による本稿、異例のBiSH解散プロジェクトから、BiTE A SHOCKのここまでの歩みをまとめるとともに、彼らの初ライブのレポートをお届けする!

人気絶頂の中、東京ドーム公演「Bye-Bye Show for Never」をもって解散した“楽器を持たないパンクバンド”BiSH。2023年6月29日、約5万人の清掃員(BiSHファンの総称)たちの前で、8年間の活動を華やかに終える解散ライブを行い伝説となった。解散直後、6人のメンバーたちは、音楽活動やタレント活動、芸術活動など、6人全員が新しい進路を発表。解散ライブの翌朝にはハシヤスメアツコがテレビ番組に生出演するなど、間髪おかずに新しい道を歩き出し、彼女たちらしいスピード感で新しい一歩を踏み出した。

解散2日後の7月1日。6人のメンバーたちは、「元BiSH」として集結、WACK代表の渡辺淳之介とともに生放送のテレビ番組に出演していた。その番組こそ、第2のBiSH BiTE A SHOCKを創出するためのオーディション企画『BiSH THE NEXT』の最終審査だった。

このオーディションは、BiSHメンバーたちが私財を投じて立ち上げた株式会社BiSHの元で開催。応募条件は「日本語がしゃべれること以外は全て不問」。男女合わせて約3000人の応募者が参加し、全国5都市でオーディションが実施され、4月8日より毎週土曜日に日本テレビにて30分番組としてオーディションの様子が放送された。BiSHメンバーたちも選考にも携わり応募者の選考を行っていった。

同オーディションが異例だったのは、BiSH解散発表後のツアーや活動と並行して開催されていたことだ。現役メンバーが活動中に、新グループのメンバーオーディションを務めるのは前代未聞のことだろう。日本テレビ・プロデューサーの植野浩之は、『PMC Vol.28』の取材で「BiSH THE NEXT」についてこう語っている。

「最初は解散にフォーカスしようかと思ったんです。ただ、渡辺さんが未来志向というか、解散していくBiSHと掛け合わせることで新しいグループを作っていきたいという思いが強かったんです。僕も人がやらないことをやりたい反骨精神が強いほうなので、それは面白いなと思ってオーディションという形にしました」

とはいえ、既存ファンたちからの反発は少なくなかった。BiSHの解散に向け、気持ちの整理をつけている最中、新しいBiSHを作ると言われて複雑な気持ちになることは当然だろう。実際、BiSHメンバーも最初は不安だったと語っている。しかし、メンバーたちの気持ちはオーディションが進むにつれて変化していった。アイナ・ジ・エンドはこう語っている。

「正直、2期BiSHを作るって言われたときはびっくりして。良くないことですけど、渡辺さんにBiSHのことだけ考えてほしいですとか言っちゃって。本音だったんですよ。後輩のことを考える時間があるんだったら、うちらのことで手一杯にしてほしいって。でも、いざ始まってみると、本当に人生かけた子たちが来ていて。自分の気持ちはひとまず置いておいて、この子たちと一生懸命やらなきゃってやっているうちに、正直、気がついたらすごくのめり込んでました」

アイナだけでなく他メンバーも、オーディションを重ねるごとに熱が入っていった。最初は、スタッフの名前ビーチフラッグ(スタッフの名前を覚えているかが試された)、恋愛ハニートラップ(候補生同士、恋に落ちてしまわないかが試された)といったバラエティ要素も組み込まれていたが、番組後半になるにつれ、パフォーマンスに集中したものになっていった。そして、(sic)boyが手がけた課題曲「Patient!!」が候補生たちに与えられ、グループ名が「BiTE A SHOCK」に決定したことも発表。候補生が12人に絞られてからは、審査はより熾烈を極めていった。候補生たちの間には、いつしか仲間としての連帯や友情も生まれていった。

しかし、WACKらしさが現れたのはここからだった。最後の対決は、マッチアップ審査。友情やライバル関係にある2人が直接戦い、どちらか一人だけが合格できるという試練だ。「Bi」「SH」の2チームに分かれ、生放送で課題曲「Patient!!」をパフォーマンス、BiSH票、渡辺淳之介票、視聴者票によって合格者が選ばれることが伝えられた。番組プロデューサーの植野は、この番組の本質をこう語っている。

「この番組は、BiSHっていうものの人生をこの先も見ていくための発射台になると思っていて。解散後もBiSHを見ていくための、ある意味ドキュメンタリーというか。もともとBiSHってアナーキーな存在だったし、だからこそ絶頂で解散をして、また次に向かっていく。そういう意味で、もしかしたら男性メンバーが入るかもしれないことも含めて、すべて面白がって、BiSHの本質みたいなものを見てもらえたらうれしいです」

場面は、再び7月1日へ。元BiSHの前には12人の最終候補生たちが並んでいた。彼ら彼女たちはBiSHの遺伝子を引き継ぐ可能性を持った者たち。その空気は、画面越しに見ていても重い。マッチアップ審査で、どちらか一方が必ず落ちる。日本テレビでの生放送に加え、Hulu・TVerでの生配信という環境の中、ライバル同士のマッチアップ審査が行われた。課題曲「Patient!!」を両グループ、気合の入ったパフォーマンスで魅せる。この4ヶ月のすべてを出したパフォーマンスだ。やりきった、という表情を見せるも、間髪おかずに視聴者投票へと進む。BiSH票、渡辺淳之介票、視聴者票を経て選ばれた「BiTE A SHOCK」のメンバーは、RYUUSEi 、HANANO、SAORi、RiNA、HARUTO、MAHiTOの男女混合6人。合格して涙を流すもの、合格ならず涙を流すもの。どちらの涙も精一杯やり尽くしたからこその涙だ。

喜びも束の間、デビューメンバーは幕張メッセイベントホールへ向かい、日テレ系音楽の祭典『THE MUSIC DAY 2023』に出演、デビュー曲「Patient!!」を生披露した。本人たちにとって怒涛の展開だったことに違いないが、この流れはWACKが2016年より行なってきた合宿オーディションのフォーマットを地上波にもってきたものでもある。2016年の第2期BiSオーディションでは、三泊四日の合宿でメンバーが決まった直後、そのままライブ会場に向かい、ワンマンライブを行った。その様子はすべてニコ生で中継された。WACKがこれまでインディペンデントで培ってきたフォーマットが地上波、しかも超メジャーな音楽番組で行われる、オーバーグラウンドと混ざった歴史的な邂逅でもあった。

そこからわずか16日間。BiTE A SHOCKは、お披露目ライブ「Why don't you BiTE??」で東京国際フォーラム ホールCのステージに立っていた。セントチヒロ・チッチがMCを務め、ライブとトークを交互に挟みながら行われた約1時間半のライブ。WACK代表の渡辺よりファンの名称がBiTER (バイター)であることが明かされ、「Patient!!」でライブがスタート。

1曲終え、「ようやく実感が湧いてきた」と語るメンバーたちが、2曲目以降に披露したのは、なんとBiSH楽曲をリアレンジした楽曲だった。オーディションの課題曲となった「in case…」だけでなく、「MONSTERS」「GiANT KiLLERS」とダンスミュージック調、打ち込みベースにテイストを変えたバージョンを披露した。トークと「Patient!!」のミュージックビデオのお披露目を挟み、「サヨナラサラバ」を原曲で歌うと、「オーケストラ」「リズム」のリアレンジverを披露。BiSHのライブと比較するのは酷ではあるが、男女混成グループということもあってボーカルバランスやキーが合わないところもあり、観ている側としては完全にノリ切ることはできなかった。しかし、BiSHのバトンを受け継ぐということが、こういうことでもあるんだということも初めて認識することができた。

そして、最後に披露されたのは、WACK代表の渡辺が作詞、元Shiggy Jr.の原田茂幸が作曲・サウンドプロデュースした「THE NEXT」。渡辺が候補生12名を思って書いた、オーディション内でも課題曲となっていた楽曲を、MAHiTO、SAORi、RiNA、HARUTO、RYUUSEi、HANANOは、この日1番堂々と生き生きとした表情で歌い上げた。その姿を、BiTE A SHOCKになることのできなかった6人たちも客席から見つめていた。

合格発表から、怒涛の勢いで物事が動き始めたBiTE A SHOCK。デビューライブはいきなり大きな会場でパフォーマンスすることへの緊張やとまどいといった部分のほうが見受けられたが、それは彼らがBiSHという重いバトンを受け取ったことを軽く考えていないからこそだろう。オーディションがはじまってからの4ヶ月間の努力や必死さは番組を通しても滲み出ていたし、なによりBiSHメンバーの「BiSH THE NEXT」への入れ込み方がそれを証明していた。この日のチッチはお母さんのように彼らのことを見守っていた。

BiSHという重いバトンを受け取った彼らへ向けられる目線は厳しいし、超えなければならないハードルは高い。しかし、思い返せば、BiSHもBiSというハードルを乗り越えて大きくなっていったグループだった。ハードルが高ければ高いほど、それを乗り越えた先には絶景が待っているに違いない。BiTE A SHOCKへの風当たりは、BiSHがスタートしたときより圧倒的に強い。それを乗り越えていく姿勢こそ、BiSHの魂を受け継ぐことでもあるはずだと、この日のライブを見て確信した。筆者はBiTE A SHOCKのことを支持する。この逆境をチャンスに変えて、思い切って突き進め!

取材・文:西澤裕郎 撮影:cazrowAoki

<公演情報>
BiTE A SHOCK「Why don't you BiTE??」

2023.7.17 東京国際フォーラム ホールC

セットリスト

M1. Patient!!
M2. in case...
M3. MONSTERS
M4. GiANT KiLLERS
M5. サヨナラサラバ
MC
M6. オーケストラ
M7. リズム
M8. THE NEXT

「Why don't you BiTE??」AFTER MOViE

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「Patient!!」(Music Video)
※7月18日_20時プレミア公開

RELEASE iNFO

Major Debut Digital Single「Patient!!」

2023.07.09 0:00 release.
https://biteashock.lnk.to/patient

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