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音楽専門誌『ぴあMUSIC COMPLEX』連動企画

Mrs. GREEN APPLEが主催対バンライブを開催。キタニタツヤ、imaseが出演したDAY2をレポート!

PMC編集部

第168回

大森元貴(Vo/G) (撮影:田中聖太郎写真事務所)

Mrs. GREEN APPLEがゲストアーティストを迎えて開催する「Mrs. TAIBAN LIVE」が昨年に引き続き開催された。今年は舞台を神奈川・横浜アリーナに移し、1日目は乃木坂46との2マン、2日目はキタニタツヤ、imaseというラインナップでの対バンが実現。それぞれのスタイルでシーンを席巻するアーティストとの化学反応、そして横浜アリーナを埋め尽くしたオーディエンスとの相乗効果で、ミセスはとてもパワフルでスケールの大きなライブを見せつけてくれた。ここではそのうちDAY2、5月22日の模様を、Mrs. GREEN APPLEが表紙を飾った『ぴあMUSIC COMPLEX(PMC)新聞』MTV VMAJ 2023号外のメインライター小川智宏氏によるレポートを届ける。

「『Mrs. TAIBAN LIVE 2024』へようこそ! 踊ろうぜ、横浜アリーナ!」。そんな言葉と共にテンション高くライブをスタートさせたのが、この日の1番手を務めたimase。1曲目「Nagisa」から、会場じゅうで手拍子が巻き起こる。アタックの強いドラムを軸にシンプルなバンドサウンドで鳴らされるそのサウンドは、音源で聴く以上に生々しくてパワフルだ。その真ん中にいるimaseも、率先して手を挙げ、ジャンプし、どんどん観客をのせていく。

imase(撮影:田中聖太郎写真事務所)

最初のMCで学生のときから周囲も含めてみんな聴いていた、とミセス世代であることを告げ、「優しい兄貴」であるキタニとともにこうして対バンできることの喜びを素直に言葉にすると、アグレッシブなビートとEDM的な高揚感がアリーナを覆った「Shine Out」、一転、ピアノの軽やかな音色とコシのあるグルーブが心地よい「Have a nice day」、曲ごとにさまざまな表情を見せながら、どの曲でも観客を巻き込んで気持ちのいい一体感を生み出していく。そうやって生み出されていく光景はimase自身にとってもうれしいものだったようで、会場を見渡して「いつかワンマンでやりたいな」と口にするその顔には楽しげな笑顔が浮かんでいた。

そしてimaseの代表曲となった「NIGHT DANCER」を投下。「いけるか!」というimaseの声にこの日のライブで一番の手拍子が送られる。青とピンクのライトが客席を照らし出し、ライブはクライマックスへ。最後の曲「Happy Order?」まで全身を動かしながら歌を届けたimase。「めちゃめちゃ楽しかったぜ!」という最後の言葉には実感がこもっていた。

imase(撮影:田中聖太郎写真事務所)

続いてステージに登場したキタニタツヤは、「スカー」のロックモードでキックオフ。ギターをかき鳴らしながら歌うキタニの立ち姿は文字通りロックスターのそれだ。もちろんそのサウンドに呼応して客席のあちこちで腕が上がる。先ほどのimaseのダンサブルでポップなムードにも、このアグレッシブなロックのムードにも自然とアジャストしてリアクションできるというのも、幅広い音楽性を体現し続けているミセスのファンだからこそなのかもな、と思う。とはいえもちろん、キタニタツヤというアーティストもさまざまな顔をもった人である。「悪魔の踊り方」「聖者の行進」と彼のライブに欠かせない楽曲を次々と繰り出してその強烈な世界観を見せつけていく。

キタニタツヤ(撮影:田中聖太郎写真事務所)

彼にとって大森元貴は「勝手に打ちのめされてきた」存在だそうで、今日もファンやチームを含めたその存在の「デカさに新たに打ちのめされています」とリスペクトを表明。振り返れば19歳のときに「ナニヲナニヲ」を聴いたときから“ハイパージェラシー”を感じていたという。「ジェラシーを感じたバンドやアーティストをたくさん追い抜いてここまで来たけど、ミセスはずっと上にいるね。それを今日みたいな日に見せつけられているのはある種の気持ちよさがある」。そんな感覚を燃料に変えて、キタニのライブは進んでいく。「次回予告」では女性や子どもの声がインパクト大。超攻めた1曲だが、サビになった途端一気に開けていく感じがなんとも快感だ。

キタニタツヤ(撮影:田中聖太郎写真事務所)

そんな「次回予告」とは対照的な「Rapport」をソリッドに演奏すると、切実なメッセージが胸を打つ「私が明日死ぬなら」へ。ラストの〈約束だよ〉というフレーズとともに立てた小指を掲げ、「また会える日を楽しみにしています」とこの日のオーディエンスと約束を交わすと、最後はキタニの名を世に知らしめた名曲「青のすみか」。1曲目と同様にギターを弾きながら歌うキタニのボーカルがどんどん熱を帯び、そのステージは最後に最大のハイライトを描き出した。

さて、二つの個性がぶつかり合った余熱が漂う横浜アリーナに、いよいよこの日の「主役」が登場だ。ヘビーなSEとともに登場した大森元貴、若井滉斗、藤澤涼架の3人とサポートメンバー。そして「CHEERS」のイントロに、会場中からワッと歓声が起こる。「最高の日にしましょう!」という大森の一言から一面のジャンプが広がり、サビではみんなで「乾杯!」の声を合わせる。いきなりトップギアで走り出すようなパフォーマンスだ。この持っていき方はさすがである。

大森元貴(Vo/G)(撮影:田中聖太郎写真事務所)

さらに「アボイドノート」に「インフェルノ」とアグレッシブな楽曲を畳みかけ、会場の温度は天井知らずに上がっていく。「横アリ!」と観客をあおりながら激しく頭を振りプレイする藤澤、淡々とテクニカルなリフを次々に決めていく若井、そして会場の空気全てを掌握するようにしてライブを作り上げていく大森。今やアリーナで彼らのライブを観るというのも普通になったが、こうやって大きな会場で観ると改めて彼ら3人のパフォーマーとしての超進化ぶりがはっきりと伝わってくる。ましてや今日は「対バン」。ワンマンでは丁寧に自分たちのストーリーを紡いでいく彼らだが、そうした手続きなしにいちばん熱い部分をストレートに投げつけてくる感じがとても気持ちいい。

藤澤涼架(Key)(撮影:田中聖太郎写真事務所)

……と言いつつ、そこに投下されるのがアルバム『ANTENNA』の中でもひときわ内省的なムードをもつ「Blizzard」である。ステージの真ん中に座り込んで歌う大森が、あぐらをかいてリズムに身を委ねながらハイトーンを響かせる。なぜあの姿勢であの声が出せるのか、本当に不思議だ。そしてノイズの中に走る足音や切れ切れの呼吸音が混じるSEを挟んで「Loneliness」が披露される。静と動のコントラストも鮮やかなサウンドがダイナミックに横浜アリーナを席巻する。サビで爆発するバンドサウンド。ステージの前方からは炎が上がり、一大スペクタクルが展開していく。大森の歌も一気に感情をあふれさせたような鋭さと強さで、思わず息を呑む。そんななか空気を切り裂くように鳴り響いたのは若井によるエモーショナルなギターソロだ。

若井滉斗(G)(撮影:田中聖太郎写真事務所)

そしてリズムトラックにピアノとギターのリフが重なり、大森が〈枯れては散ってゆく花が在る〉と歌いはじめる。即座に反応したオーディエンスからどよめきが起きる。「ProPose」だ。複雑なリズムに合わせてステップを踏んだりターンしたり、大森が軽やかに楽曲を乗りこなしていく。その構築的なサウンドを呼び水にキーボードとドラムの短いジャムセッションにつなげると、そこから「ライラック」に入っていく。まさに今のミセスのロックバンドとしてのタフさを証明するようなナンバー。強烈に耳に残る若井のリフ、かき鳴らされるコード、そして「青春」という永遠のテーマをアップデートする歌詞。「いけるか、横アリ!」という大森の言葉を待つまでもなく、会場のテンションはさらに上昇していく。しかも、そこに重ねて披露するのがその「ライラック」とリンクした「青と夏」というのも憎い。分厚いサウンド、確信に満ちたボーカル。「ライラック」を作り上げた今だからこそ「青と夏」に描かれる青春の光景もまた新鮮に響いてくる。客席ではシンガロングが巻き起こり、最高の景色が広がった。

そうやってアリーナ〜スタジアム級のロックバンドとしてのスケール感を発揮する一方で、「Soranji」では曲がはじまった瞬間会場が静まりかえるほどの圧倒的な迫力を見せつけるミセス。アッパーな曲でもバラードでも、とにかく楽曲一つ一つ、鳴らす音の一つ一つがこれまでとは違う大きさや強さをたたえている。MCを挟んで披露された新曲「Dear」も、ビッグな音像の中心にシンプルなバンドサウンドがあって、さらなるスケールアップに臨む今のミセスの芯の強さをはっきりと伝えている。

Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所)

そして「Magic」のアンセミックなムードで横浜アリーナを再び一つにすると、「最後の曲です」と大森。そして歌い出したのは……imaseの「NIGHT DANCER」だ。ファンキーにアレンジされたこの曲を一節披露すると「間違えちゃった」と言って今度は(案の定)キタニの「青のすみか」を鳴らしはじめる。「あれ、間違えちゃった」と大森。当たり前だがどちらも間違えちゃったレベルの完成度ではない。そんな彼ららしい形で共演者への感謝を伝えると、ついに「ケセラセラ」が今度こそ本当に最後の曲として披露された。あらゆることを肯定し、受け止め、〈ケセラセラ〉というマジックワードとともに解き放つこの曲が、横浜アリーナを明るく照らし出す。とても美しいフィナーレだった。

Mrs. GREEN APPLE(撮影:田中聖太郎写真事務所)

ライブ中にも触れられていたが、ミセスは今後、7月のスタジアムツアー「ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~」(7月6日・7日_兵庫・ノエビアスタジアム神戸、7月20日・21日神奈川・横浜スタジアム)へと向かっていく。早々にソールドアウトとなったこのツアーに対する期待は否応にも増すばかりだが、この日横浜アリーナで披露されたパフォーマンスを見ていると、彼らがステージで鳴らす音は確実にスタジアムを呑み込むほどのスケール感を身につけている。その先、10月に決定した神奈川・Kアリーナ横浜での8日間にわたる定期公演「Mrs. GREEN APPLE on “Harmony”」も含めて、今年はミセスにとってさらなる進化と飛躍の1年となりそうだ。彼らが見せてくれる新たな風景が、今から楽しみでならない。

文:小川智宏 撮影:田中聖太郎写真事務所 / MASA、山内洋枝

「Mrs. GREEN APPLE ≪Mrs. TAIBAN LIVE 2024≫」

5月22日(水) 神奈川・横浜アリーナ
ゲスト:キタニタツヤ / imase

SETLIST

▼imase
01. Nagisa
02. ユートピア
03. Shine Out
04. Have a nice day
05. NIGHT DANCER
06. Happy Order?

▼キタニタツヤ
01. スカー
02. 悪魔の踊り方
03. 聖者の行進
04. Moonthief
05. 化け猫
06. 次回予告
07. Rapport
08. 私が明日死ぬなら
09. 青のすみか

▼Mrs. GREEN APPLE
01. CHEERS
02. アボイドノート
03. インフェルノ
04. Blizzard
05. Loneliness
06. ProPose
07. ライラック
08. 青と夏
09. Soranji
10. Dear
11. Magic
12. ケセラセラ

▼LIVE info.

「ゼンジン未到とヴェルトラウム~銘銘編~」

7月6日(土) 兵庫・ノエビアスタジアム神戸
7月7日(日) 兵庫・ノエビアスタジアム神戸
7月20日(土) 神奈川・横浜スタジアム
7月21日(日) 神奈川・横浜スタジアム

「Mrs. GREEN APPLE on “Harmony”」

10月5日(土) 神奈川・Kアリーナ横浜
10月6日(日) 神奈川・Kアリーナ横浜
10月9日(水) 神奈川・Kアリーナ横浜
10月10日(木) 神奈川・Kアリーナ横浜
10月15日(火) 神奈川・Kアリーナ横浜
10月16日(水) 神奈川・Kアリーナ横浜
10月30日(水) 神奈川・Kアリーナ横浜
10月31日(木) 神奈川・Kアリーナ横浜

▼EVENT info.

「Mrs. GREEN APPLE 18祭(フェス)」

2024年11月開催予定
場所:都内某所予定
対象:18歳世代(17~20歳)
出演者:Mrs. GREEN APPLE /(事前選考を通過した)1,000人の18歳世代
番組HP:
https://www.nhk.or.jp/18fes/

▼MOVIE info.

『ディア・ファミリー』

6月14日(金) 公開
監督:月川翔 脚本:林民夫 音楽:兼松衆
主題歌:Mrs. GREEN APPLE「Dear」
出演:大泉洋 / 菅野美穂 / 福本莉子 / 新井美羽 / 上杉柊平 / 徳永えり / 満島真之介 / 戸田菜穂 / 川栄李奈 / 有村架純 / 松村北斗 / 光石研
公式サイト:
https://dear-family.toho.co.jp/

(C)2024「ディア・ファミリー」製作委員会

▼PROGRAM info.

TVアニメ「忘却バッテリー」

テレ東系列にて放送中
放送直後よりPrime Videoにて最速配信
キャスト:増田俊樹 / 宮野真守 / 阿座上洋平 / 島﨑信長 / 梶裕貴 / 山谷祥生 / 大塚剛央 / 石井マーク / 河西健吾
原作:みかわ絵子(集英社「少年ジャンプ+」連載)
監督:中園真登 副監督:飯田剛士 制作:MAPPA
オープニング・テーマ:Mrs. GREEN APPLE「ライラック」
公式サイト:
https://boukyaku-battery.com/

(C)みかわ絵子/集英社・KADOKAWA・MAPPA