音楽専門誌『ぴあMUSIC COMPLEX』連動企画
「King Gnu Dome Tour THE GREATEST UNKNOWN at TOKYO DOME」リリース記念! PMC Vol.32よりKing Gnu 井口理(Vo&Key)のインタビューを限定公開!
PMC編集部
第190回
井口理(Vo&Key) Photo:小杉 歩
King Gnu 4th ALBUM『THE GREATEST UNKNOWN』Teaser Movie
2023年11月29日にリリースされた、King Gnuのアルバム『THE GREATEST UNKNOWN』。前作『CEREMONY』に続き、30万枚以上を売り上げ、今年1月から3月にかけて、自身最大規模の全国5大ドームツアーKing Gnu Dome Tour「THE GREATEST UNKNOWN」を開催。全国5都市9公演を通じて計38万人を動員し、メジャーデビューから約5年でのドームツアー開催はバンドとしては史上最速を記録した。9月25日には、同ツアーの東京ドーム公演が映像作品化!全国の映画館にて開催された特別上映イベント“King Gnu Dome Tour 「THE GREATEST UNKNOWN」 at TOKYO DOME ―Theater Viewing―”は、約5万人を動員した。さらに、11月27日にはアルバムのアナログ盤のリリースも決定し、『THE GREATEST UNKNOWN』の2024年を終えようとしてる。
「ぴあMUSIC COMPLEX Vol.32」ではKing Gnuが表紙を飾り、同ツアーを大特集。メンバーはもちろん、総合演出を務めたOSRINらが登場し、ツアー後のインタビュー、ライブレポートほか を掲載している。今回、ライブ映像作品「King Gnu Dome Tour THE GREATEST UNKNOWN at TOKYO DOME」『THE GREATEST UNKNOWN』アナログ盤のリリースを記念し、メンバーおよびOSRINのインタビューを限定公開する!
第3回はKing Gnu井口理(Vo&Key)のインタビューをどうぞ!
(完全版インタビューは『PMC Vol.32』本誌を!)
――ツアーを完走した今どう感じているのかというところからうかがえますか。
井口 とりあえず無事に終われてよかったですね。俺もメンバーもそうですけど、主に体調管理の面で危ういツアーではあって。みんなスケジュール的にも結構きつかったんで、ツアー全日程飛ばさずにできたっていうのは、まずよかった。でも本当、各都市各地域に、ライブの参加の仕方とか、お客さんの反応が全然違うんですよね。それも面白かったし、日本ではドームのような空間になるけど、アジアで5000人ぐらいのキャパを体感できたっていうのも、めっちゃ新鮮でしたね。久しぶりな感覚がしたかな。
――King Gnuって、Zeppの次にもう日本武道館やアリーナに行っちゃったんで、ホールの数千〜5000キャパみたいなものは、わりとすっ飛ばしていますからね。
井口 本当そうですよね。馬鹿みたいなスピードで。自分たちもそうだし、お客さんもたぶんそうで、コロナ禍もあったし、何かその現実に食らいつくのに必死で、慣れないうちにここまで来ちゃったみたいな。
――井口さん自身は、ドームツアーを意識したのはどのあたりでしたか。
井口 いやあ、正直、最初の東京ドーム公演からも、大阪・東京の2公演ずつのスタジアムツアーからも、そんなに間があいてないし。スタジアムツアーが終わって、約半年後にはアルバム『THE GREATEST UNKNOWN』のリリースと5大ドームツアーのリハが入っていたみたいな。だから正直、心の準備は全くできていなかったんですよ。
――日々に追われてというか。
井口 そうですね。正直、会場がお客さんで埋まるかどうかっていうのも、直前までわからなかったし。賭けではありました。
――King Gnuでも「埋まるのか」などと思うんですね。
井口 ソニー・ミュージック側もバンド側も賭けに出た感じはありましたよ。最初は「3大ドームで、ほかはアリーナでやったらいいんじゃない?」っていう意見も出ていたし。でもまあ、ノリですよね。「いけるんじゃないか」っていう。もちろん、スタジアムツアーに応募してくれた人数とか、目算もしっかりあったとは思うんですけど、「ちょっと危ないんじゃないか」っていう空気も確かにあった。でも、蓋を開けてみたらね、札幌も実は2日間できたしみたいな。今回の『THE GREATEST UNKNOWN』というアルバムの普及していく力というか、そういうものもすごくあったんだろうなって。
――単発の東京ドーム公演や東京・大阪のスタジアムツアーっていうのももちろんすごいですけど、5大ドームツアーというのはまたすごくハードルが高いですしね。
井口 そうですね。誰もわかんないじゃないですか。前人未到とまでは言わないけど、周りに経験者もすごく少ないから、ロールモデルはいなかったし、結構、漢気で臨んだ感じですね。
――いいですね。そこに賭けていく中で、プレッシャーみたいなのはなかったですか。
井口 ありました、ありました。そこでつまずいたら、たぶん今後のKing Gnuにとってもよくないし。チケットが即完できなかったらっていう……それは、バンドにとって深い傷になると思って。そういう不安があったことで、がんばれたこともたくさんありました。プロモーションもかなりやったしね。僕、もう30越えましたけど、いまだにがんばらなきゃいけないんだなっていう。
――まだまだ、これからですよ(笑)。井口さんはドームツアーについてはどんなライブにしようと思っていましたか。
井口 そうですね。前回のライブは、「King Gnu Stadium Live Tour 2023 CLOSING CEREMONY」として、東京・大阪のスタジアムで行われたツアーなんですね。それで、『CEREMONY』というアルバム自体は、スタジアムツアーのもっと前に出されたアルバムだから。
――2020年のリリースですもんね。コロナ禍もあって、クロージングまで3年半くらいかかっているという。
井口 そうですね。だから俺らも、『CEREMONY』のときとは感覚が違ってきているというか。アルバムを出した当時とは乖離しているから、気持ちの面もそうだし、同じ曲を演奏するにしても、ちょっと違ってるっていうか。スタジアムの場合、ライブ自体も環境に左右されたりしたしね。
――スタジアムツアーはドームのように屋根がないですからね。天候という不安もあったでしょうし。
井口 そうそう。演出的に日が落ちるまで待ったりとか、風が強く吹いて音が流されしまうだとか、そういう部分もあったんで、ちょっと後悔の念があったというか。「もっとできたな」っていう。
――アルバムのコンセプト的にも、スタジアムという場所でやる意味があったと思いますし、とても素晴らしいスタジアムツアーでしたけどね。
井口 そうですね。あれはあれで、すごくいいツアーだったんですけど。演出面もそうだし、演奏面も安藤康平くんっていうバンマスを立てて、俺ら4人だけじゃなくて、ストリングス、ホーンセクションがいたりして。ただ、なんかもっと4人でできることあるよねっていう。4人それぞれの魅力とか、プレイヤーシップにのっとったライブをやろうって。それは、逃げ道がないっていう言い方もできると思うんですけど。俺に関していうと、もっとちゃんと歌を届けなきゃいけないなという課題があって。それはアルバムの曲に準じてるところもあるんですけど、『THE GREATEST UNKNOWN』の曲が持つ力とともに僕自身は歌唱面でもすごくステップアップできたなと思います。そういう成長した歌をちゃんとライブで届けなきゃいけないっていう気持ちはすごくありました。
――『THE GREATEST UNKNOWN』のアルバム制作は、常田さんのスタジオができたことで、時間を気にせず、井口さんは歌録りにも向き合えたとおっしゃっていましたよね。
井口 めちゃくちゃ突き詰められたなと思っているんですよ。もちろん、今となっては、もっとできることはあったなって思うんですけど、それでも、『CEREMONY』とは明らかに向き合い方が違ったし、アルバム自体の色も違うし、ライブは変わってくるなって思いますね。
――経験値も増えて、メンバーそれぞれゾーンに入る、その精度が上がってきてる感じがするというか。
井口 そうですね。今回のツアーは、音楽への集中度がすさまじかったんだろうなって。それは思うな。「まだいけるな」っていうのももちろんあるし、やっぱり、演出も曲順もつなぎも、すごくスムーズにきれいにつながっているし。エンタテインメントのショーとして、完成度が高かったと思う。
――今回の『THE GREATEST UNKNOWN』のアルバム制作への取り組み方を含めて、今のバンドの強さに影響してる部分があるのでは?
井口 『CEREMONY』は、あのころの作品としてすごくよかったんですけど、今回のアルバム制作から、「いいものができた」って実感があったからこそ、ライブにも活きているというか。このアルバムをライブでやることに対して、わくわくする気持ちがもちろんあったし、アルバム制作の段階から、まっすぐにここまでつながってきてるなって。そういうのはあるかも。
――ツアーのリハーサルはいかがでしたか。
井口 今回、珍しく、めちゃくちゃリハやったんですよね。King Gnuは、たぶん、ほかのアーティストに比べて、リハーサルが少なかったほうだと思うんですけど。よく悪くも、個々の能力が高いバンドだとは思うので、それでもできていたとは思うんですけど。それって、個々の強さだけでもっていってたようなもので。そうじゃなく、ちゃんとバンドとして突き詰めて、ライブアレンジを作っていったんですよ。4人でちゃんとリハをやったことで、この4人でしか成し得ない、また違うものを生み出せたというか。やっぱりリハ大事ですね(笑)。
――「リハ大事」って、普通のことを言ってるかもしれない(笑)。
井口 あ、普通のこと(笑)。まあ、原点に立ち返ったのかもしれないですね。
――そういった意味でも、2度目の東京ドームは前回と比べて全然違うって感じですかね。
井口 やっぱり最初の単発東京ドーム公演の映像を観てると勢いはあったなと思うんですよ。僕たちって慣れてくるとダメになるところもあるから、あのときの「雨燦々」よかったなーとか。初期衝動的なエモーションには勝てないよなみたいなものも感じるんですけど。今回のドームツアーは経験によって、どっしりしてたとは思うんです。でも、正直、単発東京ドーム公演のときは、まだコロナも明けきってないというか。まだお客さんも感覚が戻ってきてない感覚があって。「ライブってどういうものだったっけ?」「どうやってノってたっけ?」とか、「声出していいんだっけ?」みたいな状態だったから。今回のドームツアーは、お客さんもすごくて。俺らもコロナ禍からずっと、ライブの本来の楽しみ方みたいなものは発信してきたところであるんですけど。King Gnuのお客さんって、だいぶ盛り上げてくれているんだなって思いました。
――「歌ってほしい」と意識的にライブでもそうですが、事前に言い続けていましたよね。
井口 そうですね。ライブの前説でも、(井口が)カオティックマンに扮して。
――<彼らにとっても君たちにとっても、このツアーは特別だったんだ。行儀よくなんかなくていい、このステージでぶちかまして、全部おいていってほしい>と。
井口 あれ、前日にセリフ考えてやったんですけど、でも、そういうことが大事というか。聴きに来てもらうだけじゃなくて、あなたたちもがんばってねっていう。それで僕たちの演奏もよくなるから、結果いい演奏になることがお客さんにとってもやっぱりいいことだし、お互いにとって正義というか。そこは、ちょっと偉そうに言わせてもらいますが、長くバンド活動を続けていくにあたっても、やっぱり大切だし。「ライブをしたい」っていう、ちゃんとそういう気持ちになっていかないと、活動が続かないと思うんですよね。
――リリースからしばらく経つんですけど、ドームツアーを経て、『THE GREATEST UNKNOWN』という作品について今思うことってありますか。
井口 このアルバムを作るにあたって、常田が『THE GREATEST UNKNOWN』というタイトルにしたいって言ってきたとき、『THE GREATEST UNKNOWN』とはお客さんのことなんだよって言っていて。それが、今回のドームツアーとアジアツアーを通して、より、お客さんの顔が鮮明に見えたというか。このアルバムはライブでやることによって真の意味で完成されたと思うし、『CEREMONY』というアルバムでドーンとお客さんが増えたと思うんですけど、そもそもKing Gnuのバンドの成り立ちもそうで、たくさんの群れを作ることが目標ではあったし、俺らもやっぱり間口を広げて、年齢層も全然違う、いろんなお客さんがいるんです。いろんな人を受け入れて、認め合って、でかくなったバンドだから、そういう懐の大きさも、たぶん4人それぞれにもあると思うし、すごく今の状態を体現しているアルバムだなと思います。まさにKing Gnuが目指すものがちゃんと提示されているなって。アンコール最後に演奏した「飛行艇」にも<清濁を併せ呑んで>ってありますけど、それってたぶん、いろんな人を受け入れよう、排他的では駄目だろってことだと思うんです。いろんな人がいて、仲よくやろうぜっていう。そういう精神的なものがこの5大ドームツアーにつながっていると思います。
――なるほどね。King Gnuというバンド自体、そういう多様性を受け入れてきたからこそ、ドームツアーやアジアツアーはハマるという。
井口 ね! いろんな人を受け入れて、お互い別に干渉しなくてよくて、それでも、同じ場に集まって楽しんだらそれでいいじゃんっていう。それは、理想的な形ですよね。「人と比べず楽しみ方は自分自身で見つけような」って。
――みんなそれぞれ自立して、ギュッと集まると、すごいパワーを発してるみたいな。
井口 そうですね。俺らもどこまでも個だし、どこまでも仲間意識があるっていうか。そういうのは心地いい。でも現代社会って、お互いのことを干渉しすぎて、なんか全然多様性じゃなくない? みたいなこともあるから。
――いい距離感だし、今のこの4人は最強っていう。
井口 また修行してライブしようぜ、みたいな。
――修行なんですね(笑)。
井口 修行ですよ。いや、本当に。毎回ね、ツアーとかって「もうやりきった。これ以上ないわ」って思うんですけど、ちゃんと課題も見えて、「次またこうしたいな」って思えるバンドなので。まだまだ底なしなんじゃないでしょうか。
――毎回超えてくるから、ポテンシャルは計りしれないというか。ソウル公演を観ても思いました。すごく未来を見せてくれるバンドだなって。
井口 たぶん、お客さんもこのツアーを経て、進化していくと思うんですよね。もっと熱狂的なものが生み出せるんじゃないかっていう予感がしています。
――日本のライブもインバウンドのお客さんも増えたりして、海外のお客さんが混ざっていくと、さらに面白くなりそうですよね。
井口 混ぜるな危険じゃなくてね、どんどん混ぜていけって感じですね。また、次のKing Gnuに期待ということで!
取材・文:PMC編集部
★『PMC Vol.32』にてインタビュー掲載中!
★常田大希(G&Vo)のインタビューはこちら
★新井和輝(B)のインタビューはこちら
★勢喜遊(Dr)のインタビューはこちら
★総合演出・OSRINのインタビューはこちら
<リリース情報>
『King Gnu Dome Tour THE GREATEST UNKNOWN at TOKYO DOME』
2024年9月25日(水) リリース
●完全生産限定盤:12,000円(税込)
【完全生産限定盤スペシャルBOX仕様】Blu-ray1枚+CD1枚+148ページ PHOTO BOOK+マスカラ歌詞入り特製BOX
●通常盤:7,700円(税込)
Blu-ray1枚+CD1枚
【Disc1 / Blu-ray】
・SPECIALZ
・一途
・千両役者
・STARDOM
・MIRROR
・CHAMELEON
・DARE??
・Vivid Red
・白日
・硝子窓
・泡
・2 Μ Ο Я Ο
・Vinyl
・W●RKAHOLIC
・W●RK
・):阿修羅:(
・δ
・逆夢
・IKAROS
・Slumberland
・Sorrows
・Flash!!!
・BOY
・SUNNY SIDE UP
・雨燦々
・仝
・三文小説
・ЯOЯЯIM
・Teenager Forever
・飛行艇
・DOCUMENTARY MOVIE
【Disc2 / CD】
・マスカラ
購入リンク:
https://kinggnu.lnk.to/THEGREATESTUNKNOWNTOUR
King Gnu Dome Tour THE GREATEST UNKNOWN at TOKYO DOME LIVE音源
2024年10月4日(金) 配信リリース
配信リンク:
https://kinggnu.lnk.to/THEGREATESTUNKNOWNATTOKYODOME
「MASCARA」
2024年10月4日(金) 配信リリース
配信リンク:
https://kinggnu.lnk.to/MASCARA
「ねっこ」
2024年10月21日(月) 配信リリース
※TBS系日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』主題歌
『THE GREATEST UNKNOWN』アナログ盤
2024年11月27日(水) リリース
12inch 2枚組:6,600円(税込)
【収録曲】
■Disc 1
1. MIRROR -メルセデス・ベンツ 新型EクラスCMソング-
2. CHAMELEON -フジテレビ月9ドラマ『ミステリと言う勿れ』主題歌-
3. DARE??
4. SPECIALZ -TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」オープニングテーマ-
5. 一途(ALBUM ver.) -『劇場版 呪術廻戦 0』主題歌-
6. δ
7. 逆夢 -『劇場版 呪術廻戦 0』エンディングテーマ-
8. IKAROS
9. W●RKAHOLIC
10. ):阿修羅:(
11. 千両役者(ALBUM ver.) -NTTドコモ 5G「希望を加速しよう2nd篇」CMソング-
■Disc 2
12. 硝子窓 -映画『ミステリと言う勿れ』主題歌-
13. 泡(ALBUM ver.) -映画『太陽は動かない』主題歌-
14. 2 Μ Ο Я Ο- MARO CMソング-
15. STARDOM(ALBUM ver.) -2022 NHKサッカーテーマ-
16. SUNNY SIDE UP
17. 雨燦々 -TBS系日曜劇場『オールドルーキー』主題歌-
18. BOY -TVアニメ『王様ランキング』第1クール オープニング・テーマ-
19. 仝
20. 三文小説(ALBUM ver.) -日本テレビ系 土曜ドラマ『35歳の少女』主題歌-
21. ЯOЯЯIM
予約リンク:
https://kinggnu.lnk.to/THEGREATESTUNKNOWNANALOGRECORD
オフィシャルサイト:
http://kinggnu.jp/