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音楽専門誌『ぴあMUSIC COMPLEX』連動企画

初のアリーナ単独公演に向かって! Kroi、貫禄の東京公演をレポート。

PMC編集部

第185回

「Kroi Live Tour 2024-2025 "Unspoil"」9月27日 Zepp DiverCity (TOKYO) 撮影:jacK

史上最大規模となる来年2月1日神奈川・ぴあアリーナMM単独公演に向かって、全国ツアー中のKroi。『ぴあMUSIC COMPLEX(PMC)Vol.33』では、9月27日、Zepp DiverCity (TOKYO)のレポートを掲載中だが、ここでは、その完全版レポートを誌面未掲載の写真を含めお届けします。

ニューアルバム『Unspoiled』をひっさげて8月23日の神奈川・Zepp KT YokohamaからスタートしたKroiの全国ツアー「Kroi Live Tour 2024-2025 “Unspoil”」。その13本目となる東京公演2日目が9月27日、Zepp DiverCity (TOKYO)で行われた。『Unspoiled』の楽曲はもちろん、過去の楽曲も含めて構成された充実のセットリストと、ツアーを通してさらに練り上げられた演奏。脂の乗りまくった状態でオーディエンスの前に現れたKroiは、ライブがはじまった瞬間から最後の一音まで、彼らにしか生み出せないグルーブの渦を巻き起こし続けた。

排気ダクトのようなパイプがあしらわれたステージに登場した内田怜央、関将典、長谷部悠生、益田英知、千葉大樹の5人。思い思いに鳴らしはじめた音が千葉の弾くキーボードのもと一つに合わさり、アルバムのオープニングトラックでもある「Stellar」がはじまっていく。メロウな曲調の中にもエネルギーが宿り、内田のボーカルは時折爆発的なエモーションを放つ。長谷部の泣きのギターソロが鳴り響くころには、会場はすっかりKroiの世界に引き込まれていた。

曲間を益田の叩くどっしりとしたリズムを軸にセッションでつなぎながら、内田の迫力のある歌声をきっかけにバンドはアッパーな「Pixie」へ。曲に突入した瞬間にフロアが一気に盛り上がり、ライブのテンションはぐんぐん上昇。続く「Noob」では関のベースが重厚な低音でフロアを揺らし、千葉の弾く鍵盤のオルガンの音が高揚をあおる。そしてここで投下されるのが「Fire Brain」。5つの、一見バラバラにも見える流れが合流して一つの大きな流れになっていくような展開はいつ聴いても圧巻だ。この曲では途中のブレイクで内田が話すのがお決まりとなっているが、この日は「みなさん、調子はどうですか? みんなで今日をヤバい日にしましょう!」と力強く宣言。内田のそんな言葉を合図に、5人の演奏は怒涛のクライマックスへと突入していった。そしてその勢いのまま「Signal」へ。内田が飛び跳ねながらキレキレのラップを放つ。荒涼とした砂漠から宇宙へ、頽廃した都市から光きらめくサイバースペースへ。まるで時空を超えるように変化していくアンサンブルが、ブラックホールのようにオーディエンスの耳と目を吸い込み、感情を揺らす。

内田怜央
益田英知

5曲を終えて内田は「もっと変な音楽がたくさんあってもいいと思ってます」とバンドの矜持を口にしていたが、おっしゃるとおり。Kroiの音源に触れ、ライブを観ると素直に「音楽ってヤベえ」と思えるのだ。MCといえば、この日のMCで彼らはすべての話を最終的に長谷部が来年2月1日に予定されている神奈川・ぴあアリーナMMでのアリーナワンマンの告知につなげる、という謎の縛りを作っていた。最初こそ「(Zepp DiverCity)2デイズってカッコいい」という内田の話を受けて「この調子でいけばアリーナとかできるんじゃねえかな」と自然に(?)タスクを完遂していた長谷部だが、2回目のMCで「益田が着たまんま放置していたTシャツの臭いが鍋で煮たら消えた」というくだりから「そのアイデア、アリーだー(アリーナ)」とダジャレで落としたあたりからどんどんグダグダになっていった。そのあたりもKroiっぽい。

さて、そんなMCで合間合間で場を和ませながらも、ライブそのものはハイテンションで続いていった。5人の呼吸がピッタリと合って濃密なグルーブを練り上げていく「Network」にラテンのノリのリズムとともにスケール大きく展開する「Amber」、そこから一転して、千葉の弾く鍵盤の爽やかな音色に内田も気持ちよさそうに歌を重ねてはじまった「風来」と、バラエティ豊かな楽曲が次々と繰り出されていく。オーディエンスの手拍子がさらに楽曲を盛り上げた「Balmy Life」では千葉のトークボックスが独特のムードを生み出し、関のベースソロも切れ味鋭く決まる。どの曲もステージ上からはものすごい熱量の音が放たれ、Zepp DiverCityのボルテージをどこまでも上げていった。

千葉大樹

内田がハンドマイクで歌う「risk」からはじまった後半では「Mr. Foundation」でのソロ回しでさらに熱狂を煽っていくKroi。軽快なステップを踏みながら歌った「correction」を終えると、内田は「カラオケ行く?」とオーディエンスに語りかけた。つまりそれぐらいメンバー自身もノッているということだ。そこから長谷部が無類のカラオケ好きで、打ち上げでもひとりだけ勇んで二次会に行こうとするところから「勇さん」というあだ名がついた、という話を経て『Unspoiled』のリードトラック「Green Flash」が力強く鳴り響き、いよいよライブはクライマックスへ。「Hyper」では内田の「Singin!」の声に〈ややこいややこい〜〉の大合唱が巻き起こる。「もっと変な音楽がたくさんあってもいいと思ってます」という内田の言葉を借りるなら、その「変な音楽」(褒め言葉です)がこれだけのユニティを生み出しているという状況に、今更ながら胸が熱くなった。

関将典

「Hyper」を終え、「最高の1日でした」と内田。そして本編ラスト「明滅」がはじまっていく。ステージの上も下もグルーブに委ね体を揺らす中、ミラーボールがきらびやかに回り、内田は渾身の力をこめて声を張り上げる。バラエティ豊かなアルバムの中でもひときわリアルな心情を吐露するように聴こえるこの曲。エンディングのセッションの中での「最後に『明滅』ができるのがめちゃくちゃうれしいです。音楽やってると、生かされてる感じがするんです」という内田の言葉が物語るとおり、Kroiにとっても特別な1曲だ。先ほどの「Hyper」での盛り上がりとはまったく違う意味合いにおいて、Kroiの音楽がファンの「心」にまっすぐに届いていることを証明するような光景は、彼ら自身にとっても大きな手応えとなったのではないだろうか。

長谷部悠生

その後アンコールでは「熱海」に続いて「Juden」を披露。ここでも大きなコール&レスポンスも巻き起こして、Kroiはステージを降りていった。ツアーはこの後各地のライブハウスを回る追加公演を経て、2月のぴあアリーナMMへと続いていく。ライブハウスでのKroiはきっとこの日はまた違う姿を見せてくれるだろうし、そのさきのアリーナワンマンは、Kroiの未来を描き出すものになるのではないかと思う。そこで彼らが見せてくれる景色が、今から楽しみでならない。

文:小川智宏 撮影:jacK

TV DRAMA info.

『オクラ~迷宮入り事件捜査~』

2024年10月8日(火) よりフジテレビ系にて毎週火曜21:00~
主題歌:Kroi「Jewel」

Kroi「Jewel」MV

BOOK info.

『ぴあMUSIC COMPLEX(PMC)SPECIAL EDITION 5 Kroi』

まるごと1冊Kroi、好評発売中!
https://book.pia.co.jp/book/b647781.html

ALBUM info.

『Unspoiled』

(CD+DVD)(CD+Blu-ray)¥6,050、(CD)¥3,300
https://kroi.net/unspoiled/

LIVE info.

「Kroi Live Tour 2024-2025 "Unspoil"」

※終了分は割愛

10.24 長野・NAGANO CLUB JUNK BOX
10.25 山梨・甲府Conviction
11.16 大分・DRUM Be-0
11.17 熊本・熊本B.9 V1
12.7 沖縄・桜坂セントラル
12.8 台湾・台北THE WALL
「Kroi Live Tour 2024-2024 "Unspoil" at PIA ARENA MM」
2025.2.1 神奈川・ぴあアリーナMM

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=JA280013