音楽専門誌『ぴあMUSIC COMPLEX』連動企画

WEST.初主催フェス「WESSION FESTIVAL」、アイナ・ジ・エンド、Saucy Dog、サンボマスター、Lucky Kilimanjaro、横山裕と沸かせた熱狂のDAY1をレポート

PMC編集部

第237回

WEST. (Photo:ハヤシマコ)

WEST.が初めて主催した音楽フェスティバル「WESSION FESTIVAL 2025」が、10月12・13日、大阪・万博記念公園 東の広場で開催された。

「WESSION FESTIVAL 2025」には、6月よりWOWOWで放送・配信がスタートしたWEST.のレギュラー音楽番組『WOWOW×WEST. “WESSION”』(以下『WESSION』)でセッションしたアーティストも駆けつけ、両日出演のWEST.をはじめ、初日の12日には、アイナ・ジ・エンド、Saucy Dog、サンボマスター、Lucky Kilimanjaroに加え、オープニングゲストとして横山裕と石原慎也 (Saucy Dog)が、2日目の13日には、ウルフルズ、eill、MONGOL800、Little Glee Monster、wacciが登場。WEST.にとって初にして待望の主催フェスとなった2日間を見届けるべく、約6万人が集結した。

●WEST.
初日のDAY1は、メンバーカラーのスポーティなユニフォームを身にまとったWEST.の7人が現れ、重岡大毅が「俺たちWEST.超元気だぜ! みなさん、喉のチューニングはよろしいでしょうか?」と問い掛けたかと思えば、ド迫力の特効とともに「ええじゃないか」をお届け。広大な万博記念公園 東の広場が、あっという間にお祭り騒ぎに。

再び重岡が、「僕たち私たちは、「WESSION FESTIVAL 2025」をみんなで楽しむことを誓います! お集まりいただいたみなさんを幸せにしたいから、己の限界に挑戦することを誓います! たくさんのアーティスト、ファンのみなさんと一緒になって、この会場に来たときよりもきれいにして帰ることを誓います! (突然の牧師口調で)病めるときも健やかなるときも、みんなで助け合って手を取り合って、一つの笑顔を大きくすることを誓いますか?」と徐々に脱線しながら(笑)、最終的にはWEST.全員で、「第一回「WESSION FESTIVAL 2025」スタート!」と宣誓。ついに宴が幕を開けた。

●横山裕
オープニングゲストの1組目は、今年5月の自身の誕生日より“武者修行”と銘打った1年間限定のソロプロジェクト『ROCK TO YOU』を始動させた、SUPER EIGHTの横山裕だ。「WEST.ありがとう! 今日楽しまな、いつ楽しむって話や。あなたと俺たちで音楽の渦を作りましょう!」と、1曲目「ロックスター」から情熱的にエレキギターをかき鳴らし、重量感のあるロックンロールを聴かせていく。

横山裕(Photo:髙橋定敬)

舞台袖から「最高!」「兄さーん!」と駆け寄るWEST.に、「こんな景色を見せてもらって、WEST.の先輩で良かったなと思ってます。みんな大きくなって、フェスを開いて、すてきなアーティストを呼んで……WEST.が歩んできた人生がこれだけカッコいいものになって、ホンマにうれしい」と横山も感慨深げだ。

「ど真ん中」ではWEST.とともに熱きミドルバラードを歌い上げ、中間淳太が「せっかくなんで僕たちの曲も一緒に。横山くんとやるならこの曲でしょ!」と促し「ズンドコ パラダイス」へ。親密な先輩・後輩関係がにじみ出たセッションで、フェスのしょっぱなから見せ場を作ってくれた横山が、「この曲が一番ズンズン緊張した(笑)。今日はみなさん楽しんで、最高のアーティストが出てくるから!」と、愛すべき後輩のハレの日に太鼓判を押した。

WEST.×横山裕(Photo:髙橋定敬)

●石原慎也(Saucy Dog)
2組目のオープニングゲストは、藤井流星が「友だちが来ました(笑)。先々週も2人でご飯に行って、ちょっと遅れた誕生日プレゼントをもらいました。同い年で仲良いんですよ」と語った石原慎也(Saucy Dog)。何かと緊張気味の石原だったが、「7人と一緒にタイトルも考えさせてもらいました」と、『WESSION』のために書き下ろした「虹をかける僕ら」を歌い出すと、キュッと空気が引き締まる。石原に寄り添うWEST.の7色のボーカルも多幸感いっぱいで、肩を組み揺れる彼らの笑顔に温かな気持ちが湧き上がる。中間が「慎ちゃんはこの後もSaucy Dogで出てくれるので!」と送り出し、お楽しみを後へつないだ。

WEST.×石原慎也(Photo:堀 卓朗(ELENORE))

●Lucky Kilimanjaro
ラッキリことLucky Kilimanjaroは、「ダンスは自由です、自由に踊りましょう」と熊木幸丸(Vo)が導いた「エモめの夏」から、心地良いダンスビートを連発。その後も「350ml Galaxy」「HOUSE」「ひとりの夜を抜け」と脳汁がとめどなくあふれ出すノンストップクルージングなグルーブで、見渡す限りがハンズアップする絶景を作り出してしまう。曲間も常に客席へと呼びかけ熱量を絶やさないアジテーターぶりで、ニューウェイブでドリームポップな「はるか吠える」、祝祭のサンバ調の「踊りの合図」、アガるしかない「Dancers Friendly」と、観る者の身も心も容赦なく解放していく。

Lucky Kilimanjaro(Photo:ハヤシマコ)

「楽しい美味しいとりすぎてもいい」で踊るころには、「もうわかったでしょ? ダンスに音楽を知ってるとか知らないとか関係ないの」(熊木、以下同)というラッキリの真意を思い知る。ダンスミュージックで何もかも飛び越えていくライブには、WEST.が彼らを「WESSION FESTIVAL」でみんなに見せたかった理由がしかと刻まれていた。

「体も温まってきたところで、踊れるヤツらを呼んじゃいますか!」との一声からは、ラッキリとWEST.の総力戦で、熊木が『WESSION』に向けて作った楽曲「踊るしかないじゃん!」から鉄板の「Burning Friday Night」で跳ねまくる! 「ヤバい、超楽しい!」と口々に話したWEST.が、その場にいた人の心情を代弁していた。

WEST.×Lucky Kilimanjaro(Photo:河上良)

●アイナ・ジ・エンド
冒頭の「Poppin' Run」から黒い衣装でコケティッシュに魅せたアイナ・ジ・エンドは、東の広場を埋め尽くす大観衆を見渡し「すごい……こんなに女の子ばっかりのフェスは初めて! めっちゃうれしい~!」と興奮気味。ダンサーを従えたサビの振り付けもキュートな「ZOKINGDOG」をお見舞いされたときには、もう彼女のしもべ、いや、とりこに(笑)。続く「Love Sick」でも、全身全霊で絶唱するシンガーとしての求心力がハンパない。

アイナ・ジ・エンド(Photo:髙橋定敬)

「こんなすてきで愛のあるフェスを初開催、おめでとうございます! WEST.さんとはまだ(番組『WESSION』で)1回しか共演してないのに、人に対する思いやりとかステージに立つ覚悟を学ばせていただいて……しかも晴れた~! 今日はみんなでいい日にしたいです」

メロウな「Entropy」を寝そべって歌う姿を見ていると、彼女にとって舞台こそが生きる場所だと思わされる華があり、「サボテンガール」の軽やかな疾走感に胸躍る中、「スペシャルなゲストを呼んでいいですか?」とWEST.をジョイン。オーディエンスの印象について聞かれ「めっちゃ最高!」と答えたアイナに、WEST.も何だか誇らしげだ。WEST.の名バラード「星の雨」では、アイナを含む8人8様の声が、はかないメロディに溶けていく美しさにうっとり。ラストはアイナが「みんなで革命を起こそうぜ!」と叫び、WEST.とのダンスフォーメーションも決まった「革命道中 – On The Way」で締めくくった。

WEST.×アイナ・ジ・エンド(Photo:髙橋定敬)

●Saucy Dog
Saucy Dogは、オープニングゲストとしても場を沸かせた石原慎也(Vo&G)、そして秋澤和貴(B)、せとゆいか(Dr&Cho)が、ドラムセットの周りに集まり拳を突き合わせ、代表曲の「シンデレラボーイ」からスリーピースバンドのミニマルなサウンドをみずみずしく響かせる。MCでは、「出演できて本当にうれしいです。普段からWEST.とは仲良くさせていただいて、お酒を飲んで迷惑をかけちゃうこともあるんですけど(笑)、今日はライブでお返しできるようにがんばります!」と照れ笑いする石原。イントロからおのずと手拍子が並走した「優しさに溢れた世界で」や、秋澤のベースソロから突入したライブの定番曲「雷に打たれて」でも、エッジの効いた演奏とコーラスワークでライブバンドの本領を発揮していく。

Saucy Dog(Photo:森好弘)

「アイドルとバンドって絶対つながると思っているんです。その橋渡しができるヤツがまだいないだけ。それがWEST.とSaucy Dogです!」(石原、以下同)

Saucy Dog(Photo:森好弘)

同世代の盟友が掲げた願いが共鳴する「現在を生きるのだ。」に、会場の賛同の歌声がさらなる力を与えてくれる。WEST.との縁を感じさせるラインナップは第1回目にふさわしく、「またどこかで会えたら」と放った「いつか」まで、きっちり己の音楽を鳴らし切ったSaucy Dogだった。

Saucy Dog(Photo:森好弘)

●サンボマスター
すっかり日が落ち、鮮やかなオレンジ色が大空に広がった万博記念公園 東の広場で、サンボマスターは山口隆(Vo&G)の「伝説作れる人ー!」の一言で観客を一つにし、ド頭の「青春狂騒曲」からフルスロットル! 「それではみなさん、毎朝流れるこの曲で踊りまくっていただきましょうか!」(山口、以下同)とはじまった「ヒューマニティ!」も大盛り上がりで、「ロックンロールはできるんだ、できるんだ、できるんだ……!」という名文句の時点で鳥肌が立ちまくったのは、「できっこないを やらなくちゃ」。その歌で言葉で魂を鼓舞する、さすがのパフォーマンスが続く。

「生意気ばっか言いました(笑)、ワンマンライブみたく盛り上がってくれてうれしいです。俺たちがここに何しに来たかって? お前の呪いを光に変えに来たんだよ。悲しいとか寂しいとか苦しいとか、それを全部光に変えてお前たちを照らすから!」

サンボマスター(Photo:髙橋定敬)

「とまどうほどに照らしてくれ」では、そのリフレインに文字通り心を照らされる思いで、「俺たちはここにいる全員優勝させに来たんだコノヤロー!」とたきつけた「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」では、途中で合流したWEST.もろとも大合唱! 山口がWEST.に楽曲提供した「週刊うまくいく曜日」も和気あいあいの雰囲気で、「花束」では急きょWEST.の神山智洋にギターソロを託したものの、見事に弾き切ったハイライトも誕生。終始見どころ満載のライブとなった。

WEST.×サンボマスター(Photo:堀 卓朗(ELENORE))

●WEST.
「みんなでつないできたバトン、しっかり受け取りました」(小瀧望)
「あとはみんなで一緒に楽しむだけだよ!」(濵田崇裕)
「『WESSION』のこと愛してますか? 俺たちも愛してるぞ!」(藤井)
「お待たせしましたー! ぶちかますぜよろしく!」(神山)
「本日ラスト、お前ら全部出してけよ!」(中間)
「伝説のライブ、俺たち全員で締めくくろうぜ!」(重岡)
「準備はいいか? WEST.の音楽やっちゃいます。手を挙げちゃえ!」(桐山照史)

そろいのセットアップに着替え気合い十分の7人は、6時間に及んだ「WESSION FESTIVAL」のアンカーとして、まずはサンボマスター山口が手がけた「しあわせの花」を歌い、「ずっと裏で見てたけど、みんなカッコいいやろ? 今日のWEST.はめちゃめちゃ幸せや!」と重岡が絶叫。重岡が作詞作曲した「超きっと大丈夫」では、WEST.のスタンスを投影したような頼もしい歌詞を熱唱し、「ずっとあっち向いてる太陽の塔、幸せそうな空間を作って振り向かせてやろうぜ!」とちゃめっけたっぷりに笑う。

DAY2に出演するMONGOL800キヨサク(B&Vo)の作詞作曲による「SOUTH WEST BEACH!!」では、東の広場をひとときの夏へとカムバック! 続いても、巧みなマイクリレーで魅了した梅田サイファーの提供曲「WESTraight」、ド迫力の炎の特効とEDMテイストがスーパークールな「YSSB」と、曲ごとにガラリとジャンルが変わっても軽々それを乗りこなす、WEST.の底知れぬポテンシャルを証明していく。

ここで、それぞれがアコースティックギター、サックス、カホン、ピアノ、シェイカーなどを手に取り、「しらんけど」を大人の色気漂うジャジーなアレンジで披露。ミスマッチな遊び心と小瀧の過剰なフェイクも大ウケ(笑)。重岡が曲名を告げるやどよめきが上がった「バニラかチョコ」では、何ともハッピーなバイブスが場内を包み込む。

WEST.(Photo:森好弘)

「WEST.が好きかー! みんながそう思ってくれるだけで俺らはいつまでも輝けます。これからもついて来てください!」(神山)、「今から歌う曲は俺と神ちゃんで作った曲です」(藤井)と、神山&藤井作詞、神山作曲の「ANS」を……と思いきや神山が、「ごめんなさい、僕のギターの音が全く出てません!(笑)」と中断。機材トラブル中もやんややんやとじゃれ合い、桐山が「ギターが鳴らんかったら口でやってな」と無茶を言い出し、エアギターならぬ口ギターの腕を「ウィーン、ウィーン♪」と競い合う謎の展開に(笑)。こんなハプニングもライブならではで、かえってシンガロングの一体感を増していた。

クライマックスは極彩色の照明を浴びたアンセム「証拠」を皮切りに、SUPER BEAVER柳沢亮太(G)提供の「僕らの理由」、重岡が詞曲を担当した「ムーンライト」と全速力で駆け抜ける! さらに濵田が、「こんなペーペーの俺たちのフェスに来てくれたアーティストのみなさん、お客さんのみなさん、ありがとうございました! これからもたくさん楽しい時間を作っていきたいと思います」とあいさつし、「アンジョーヤリーナ」を。<号泣するくらいの感動を 一生一度の冒険を 味わいたいんだ>。そんなフレーズさながらの感動と冒険が、この一日には確かにあった。サービス精神山盛りのWEST.が送るラストナンバーは「ええじゃないか」。本日の出演者が軒並みステージに集合し、夜空にはすさまじい数の打ち上げ花火が! 地元大阪でグループ初の主催フェス。WEST.の夢がまた一つかなった、最高のDAY1となった。

WEST.(Photo:岸田哲平)
WEST.(Photo:髙橋定敬)

なお、WOWOWでは音楽番組『WOWOW×WEST. “WESSION”』の未公開集を11月に、「WESSION FESTIVAL 2025」のDAY1の模様を12月に、DAY2を1月に、WEST.や出演アーティストのインタビューをはじめ、リハーサルやバックヤードに密着した特番を2月に独占放送&配信。さらに番組開始からWEST.初の主催野外フェスまでおよそ半年間にわたる活動や、WEST.特別座談会などを収めたアフターパンフレットの発売も決定している。また、WEST.の単独ドーム公演「WEST. SPECIAL LIVE「WESTA!」2025-2026」が12月31日(水)、1月1日(木・祝)に大阪・京セラドームで開催される。

Text:奥“ボウイ”昌史

LIVE info.

「WESSION FESTIVAL 2025」

DAY1:10月12日 大阪・万博記念公園 東の広場

セットリスト

▼オープニング
ええじゃないか(WEST.)
ロックスター(横山裕)
ど真ん中(横山裕)
ズンドコパラダイス(WEST. with 横山裕)
虹をかける僕ら(WEST. with 石原慎也)

▼Lucky Kilimanjaro
エモめの夏
350ml Galaxy
HOUSE
ひとりの夜を抜け
はるか吠える
踊りの合図
Dancers Friendly
楽しい美味しいとりすぎてもいい
踊るしかないじゃん!(with WEST.)
Burning Friday Night(with WEST.)

▼アイナ・ジ・エンド
Poppin' Run
ZOKINGDOG
Love Sick
Entropy
サボテンガール
星の雨 (with WEST.)
革命道中 – On The Way(with WEST.)

▼Saucy Dog
シンデレラボーイ
優しさに溢れた世界で
雷に打たれて
現在を生きるのだ。
いつか

▼サンボマスター
青春狂騒曲
ヒューマニティ!
できっこないを やらなくちゃ
とまどうほどに照らしてくれ
世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
週刊うまくいく曜日(with WEST.)
花束(with WEST.)

▼WEST.
しあわせの花
超きっと大丈夫
SOUTH WEST BEACH!!
WESTraight
YSSB
しらんけど
バニラかチョコ
ANS
証拠
僕らの理由
ムーンライト
アンジョーヤリーナ

▼ALL LINE UP
ええじゃないか

PROGRAM info.

WESSION FESTIVAL 2025 DAY1

WOWOWで12月放送・配信予定

WESSION FESTIVAL 2025 DAY2

WOWOWで2025年1月放送・配信予定