音楽専門誌『ぴあMUSIC COMPLEX』連動企画

WEST.初主催フェス「WESSION FESTIVAL」、ウルフルズ、eill、MONGOL800、Little Glee Monster、wacciと築いた至福のDAY2をレポート

PMC編集部

第238回

WEST. (Photo:森好弘)

WEST.が初めて主催した音楽フェスティバル「WESSION FESTIVAL 2025」が、10月12・13日、大阪・万博記念公園 東の広場で開催された。

「WESSION FESTIVAL 2025」には、6月よりWOWOWで放送・配信がスタートしたWEST.のレギュラー音楽番組『WOWOW×WEST. “WESSION”』(以下『WESSION』)でセッションしたアーティストも駆けつけ、両日出演のWEST.をはじめ、初日の12日には、アイナ・ジ・エンド、Saucy Dog、サンボマスター、Lucky Kilimanjaroに加え、オープニングゲストとして横山裕と石原慎也(Saucy Dog)が、2日目の13日には、ウルフルズ、eill、MONGOL800、Little Glee Monster、wacciが登場。WEST.にとって初にして待望の主催フェスとなった2日間を見届けるべく、約6万人が全国から集まった。

●MONGOL800
DAY2もWEST.の宣誓をもって幕開け。『WESSION』でも記念すべき第1回目の番組ゲストであったMONGOL800は、キヨサク(B&Vo)が「ほないこか! 「WESSION FESTIVAL」、遊びましょう~」と呼び掛け、WEST.とともに「SOUTH WEST BEACH!!」で常夏気分へ急上昇! 「最高のはじまりをありがとう!」とWEST.を送り出したあとも、ホーンも華やかなオールディーズ風味の「PARTY」や、髙里悟(Dr&Vo)のドラミングが躍動感を演出する「OKINAWA CALLING」を聴かせていく。

MONGOL800(Photo:岸田哲平)

安室奈美恵の「TRY ME ~私を信じて~」のMONGOL800流カバーでも楽しませ、自称「MONGOL800シフト制バイトダンサー、レキシネーム首里嬢」こと粒マスタード安次嶺も踊りまくる! 「みなさん、粒さんに優しすぎます。初見であんなのが出てきたらダメなフェスですよ(笑)。楽しんでますか、WESSION!」と流れ込んだ「小さな恋のうた」では、見渡す限りの手が挙がる絶景を軽々と生み出してしまう。井上陽水の「少年時代」もそうだが、どんな曲でもMONGOL800の歌になるのはカバー曲こそ顕著で、世代をまたいで愛される代えの効かない個性を存分に発揮する。

WEST.×MONGOL800(Photo:髙橋定敬)

再度WEST.を招き入れ、桐山照史の曲紹介から「あなたに」「DONʼT WORRY BE HAPPY」の2連発! 赤タンクトップの粒マスタードならぬ桐マスタード(笑)がサプライズ乱入したのには場内大爆笑で、もはや邦ロックのスタンダードとも言える名曲群で、MONGOL800がDAY2のトップバッターを飾った。

●eill
リリースされたばかりの新曲「ACTION」から妖艶に歌い上げたeillは、ソウルフルでファンキーな「FAKE LOVE/」、アーバンでグルービーな「罠」と立て続けに魅了していく。ここで早速、「私はWEST.さんに楽曲提供させていただいたご縁で今日ここにいるんですけど、その曲を歌ってもいいですか?」とWEST.を呼び込み、「ブルームーン」を2組で歌い継ぐ何ともロマンチックなセッションが実現。「緊張しました! ご本人と歌う日が来るとは思いもしなかった」と、歌唱時のアーティスティックなたたずまいとは裏腹のMCのフレンドリーさもほほ笑ましい限りだ。

eill(Photo:ハヤシマコ)

「革命前夜」はドラマ主題歌としてゴールデンタイムにeillの存在を知らしめた1曲。ブラックミュージックをベースとしながらお茶の間をもにぎわせるポップネスで、季節外れの暑さとなった万博記念公園 東の広場に涼やかな歌声を響かせていく。「WE ARE」の曲間では、「生きてるとつらいこともたくさんあるじゃないですか。でも、音楽はそんな痛みを力に変えるパワーを持ってると私は思います」と伝え、それを体現したような力強いパフォーマンスに満たされる。

「本当に温かく迎えてくれてうれしいです、ありがとうございました!」と、会場中が手を振った「フィナーレ。」、再びWEST.と送ったクールな「ここで息をして」でも大いに沸かせた、次世代のシンガーeillだった。

WEST.×eill(Photo:森好弘)

●wacci
万博記念公園に広がる切ないエレキギターの音色が導いた「別の人の彼女になったよ」から、真剣に聴き入るオーディエンスのまなざしが、wacciの音楽の力をいきなり証明。派手な展開も演出もない。いい声、いい歌、いいメロディ。それだけで人の心は動かせる。WEST.がなぜ彼らをこの場に呼んだのかがわかる、そんな感動的な光景に盛大な拍手が巻き起こる。

wacci(Photo:髙橋定敬)

「今日は非常に楽しみにしてまいりました。このコラボができることを幸せに思うんですけど、お呼びしてもよろしいでしょうか。WEST.!」と橋口洋平(Vo&G)が声をかけるものの、「見ての通りうちの濵田(崇裕)が異常なまでに緊張しております!」と桐山からまさかの報告(笑)。wacciがWEST.に楽曲提供した「涙腺」、続いて番組『WESSION』でも演奏したwacciの「恋だろ」を丁寧に誠実に歌い届ける両者の姿には、もうそれだけで胸がいっぱいになる。加えて、「wacciは実はもう1曲WEST.に楽曲提供させていただいてまして……」(橋口、以下同)と、リリース時にラジオ番組で歌ってくれたというWEST.の濵田と小瀧(望)を特別に召喚。その「あじわい」を2人と一緒に披露したレアなシーンは、「WESSION FESTIVAL」だからこそ観られたお楽しみだと言えるだろう。

WEST.×wacci(Photo:堀 卓朗(ELENORE))

「いろんな曲をコラボしてきたので、ライブ感はこの1曲入魂で!」と、体が自ずと動き出すリズミカルな「最上級」を経由し、「最後は僕らにとってもすごく大事な曲を、明日からのみなさんの日々に送ります」と「大丈夫」を。晴天の「WESSION FESTIVAL」にまごうことなきグッドミュージックが鳴り響いた。

●Little Glee Monster
1曲目の「Join Us!」から、ド迫力のボーカル6声が絡み合う圧巻のオープニングとなったLittle Glee Monster(以下、リトグリ)。「今日は私たちのハーモニーでみなさんの心を癒やしに、明日から元気な気持ちで進めるように歌を届けに来ました!」とmiyouが告げた後も、徐々にエモーションを増していく「For Decades」、恋の切なさをはらんだメロウな「ギュッと」と縦横無尽に魅せていく。

Little Glee Monster(Photo:河上良)

その後も、パフォーマーとしての圧倒的な説得力を随所に感じさせながら、「夢じゃないならなんなのさ」「WONDER LOVER」「だから、ひとりじゃない」と、思わず見ほれてしまうステージングで畳みかけ、駆け寄るWEST.からも「耳が至福とはこのこと」「めっちゃカッコ良かったよ」と絶賛の声が。WEST.の楽曲「パロディ」では、リトグリ+WEST.の計13声で歌い踊るぜいたくな共演に。これには「めっちゃ気持ちいいね!」「鳥肌がすごい」と各々が口にし、WEST.の重岡大毅もつられて「歌がうまくなった気がする(笑)」と笑う。

WEST.×Little Glee Monster(Photo:岸田哲平)

今度は「うちらの曲でもコラボしてくれますか?」とかれんが提案した、「世界はあなたに笑いかけている」もゴージャス極まりなく、バンドだけじゃない多彩なラインナップが「WESSION FESTIVAL」の面白さだと思わせる、リトグリの親和性の高さだった。

●ウルフルズ
サンコンJr.(Dr)のビートから感じるこの予感……! ド頭からキラーチューン「ガッツだぜ!!」を持ってきたウルフルズは、お隣の万博記念公園 もみじ川芝生広場で野外ワンマンライブ「ヤッサ!」を20回も行ってきた大先輩だ。続く「バカサバイバー」でも「WESSION FESTIVAL」に来ていたことを一瞬忘れるほど、あっという間にウルフルズの世界に。

ウルフルズ(Photo:髙橋定敬)
ウルフルズ(Photo:堀 卓朗(ELENORE))

新曲の痛快ダンスナンバー「おっさんのダンスが変だっていいじゃないか!」でも不動のファンクネスを感じさせ、トータス松本(Vo)が「今日は呼んでくれてうれしかったです。もうしばらく楽しんでください!」といざない「笑えれば」へ。この曲が世に出たのはもう23年前。今にも通じる、今だからこそ刺さるメッセージが、観る者の胸にじんわり広がっていく。メンバー紹介では、ライブ中にジョン・B・チョッパー(B)が椅子に腰かけベースを弾いているのはイキッてるのではなく骨折のためと弁明しつつ、「バンザイ~好きでよかった~」でグッと引き込む緩急自在ぶりで、トークもライブも回しがさすがの真骨頂!

「ヤバい!」「カッケー!」「幸せや」と口々につぶやきながらWEST.がジョインし、トータス松本が作詞作曲、ウルフルズがサウンドプロデュースを行った「ウェッサイソウル!」へ。ウルフルズ×WEST.×野外フェスで化学反応が起きないわけがない。とことんハッピーな空間を作り出し、「最高の曲をありがとうございます!」⇔「みんながこれだけ育ててくれて曲もめっちゃ喜んでると思う」という相思相愛の関係のまま、シメは「ええねん」で文句なしの大盛り上がり! ウルフルズが地元大阪でWEST.に大きな背中という愛を見せてくれた。

WEST.×ウルフルズ(Photo:髙橋定敬)

●WEST.
「お待たせしました、あなたと最高のセッションをしに来ましたWEST.です!」(小瀧)
「奥の方のみんな大丈夫かー? 手前のみんなも大丈夫かー?」(濵田)
「ぶち上がる準備はできてるか? WEST.を愛してるか?」(藤井流星)
「アイドルがめっちゃカッコいいってところを見せつけるんでよろしく!」(神山智洋)
「ウルフルズさんも“最後に笑えれば”と言ってました。最後はみんなで笑って終わろうぜ!」(中間淳太)
「これだけは言わせて、祭りじゃ~!」(桐山)
「「WESSION FESTIVAL 2025」、ラスト~!」(重岡)
「幸せなりたいヤツは、この指止~まれ!」(桐山)

いよいよ「WESSION FESTIVAL」を締めくくるWEST.は、7人それぞれが思いをかみ締めるように「しあわせの花」を夜空へと放っていく。そして重岡が、「これからもWEST.として意地張って胸張ってステージに立ちたい!」と「超きっと大丈夫」へ。彼らにとっても「WESSION FESTIVAL」以前以後で、きっと心境の変化があることだろう。主催として背負う覚悟、もてなす優しさ、楽しさ……「ステージでしか言えない本音もあるから。いつもありがとうな」と重岡。そんな一言を投げかけられたらアガるしかない!

心地良い焦燥感と高揚感を手に駆け抜ける「Mixed Juice」、めくるめく高速ラップで主役が次々と変わっていく「WESTraight」、炎の特効で度肝を抜いた色気ダダ漏れダンスミュージック「YSSB」……ライブを楽しみ・楽しませることにチューンナップされた多様な楽曲のバリエーションと、それをモノにするエンターテイナーとしての努力と実力。WEST.が積み上げてきた時間と情熱が形となった音楽群には、観るたびに感心させられる。

WEST.(Photo:森好弘)

「今日の夜、ベッドで失神しますわ(笑)」と重岡も語るほどの全力ライブに充実感をのぞかせる7人は、「今日は後輩も観に来てくれてる」とうれしそうな表情。しっとりアダルトなアコースティックアレンジの「しらんけど」に続く、「今日もまだ暑いから、この曲で涼しい気持ちになってくれたら」という重岡の気遣い=「バニラかチョコ」もたまらない。7人で歌っているのを観ると何だか優しい気持ちになる不思議な引力のある曲だ。「あなたへ」では詞曲を手がけた神山が、「俺たちWEST.の歌や存在、エンターテインメントでみんなの進む道を照らせるように、ここに来たあなた一人一人に向けて歌います!」と宣言。バンドセットもろともWEST.が一丸となって突き進む!

後半戦は魂のアンセム「証拠」を皮切りに、壮大なシンガロングが胸を打つ「ハート」、とりわけピュアでまっすぐな目線が、斜に構えて見られがちな現代社会を生きる勇気をくれる「ムーンライト」で、ついにクライマックスへ。幕引きはやっぱりこれしかないという「アンジョーヤリーナ」、そして「ええじゃないか」! 最後はDAY2の出演者も舞台に勢ぞろいで、頭上にはフェスのレベルを超えた大量の打ち上げ花火が舞い上がる。中間が「また必ず次もやります! そのときは僕たちと遊びましょう」と約束し、夢のような「WESSION FESTIVAL 2025」が大盛況のうちに幕を閉じた。

WEST.(Photo:ハヤシマコ)
WEST.(Photo:髙橋定敬)

なお、WOWOWでは音楽番組『WOWOW×WEST. “WESSION”』の未公開集を11月に、「WESSION FESTIVAL 2025」のDAY1の模様を12月に、DAY2を1月に、WEST.や出演アーティストのインタビューをはじめ、リハーサルやバックヤードに密着した特番を2月に独占放送&配信。さらに番組開始からWEST.初の主催野外フェスまでおよそ半年間にわたる活動や、WEST.特別座談会などを収めたアフターパンフレットの発売も決定している。また、WEST.の単独ドーム公演「WEST. SPECIAL LIVE「WESTA!」2025-2026」が12月31日(水)、1月1日(木・祝)に大阪・京セラドームで開催される。

Text:奥“ボウイ”昌史

LIVE info

「WESSION FESTIVAL 2025」

DAY2:10月13日 大阪・万博記念公園 東の広場

セットリスト

▼MONGOL800
SOUTH WEST BEACH!!(with WEST.)
PARTY
OKINAWA CALLING
TRY ME ~私を信じて~
小さな恋のうた
少年時代
あなたに(with WEST.)
DON'T WORRY BE HAPPY(with WEST.)

▼eill
ACTION
FAKE LOVE/

ブルームーン(with WEST.)
革命前夜
WE ARE
フィナーレ。
ここで息をして(with WEST.)

▼wacci
別の人の彼女になったよ
涙腺(with WEST.)
恋だろ(with WEST.)
あじわい
最上級
大丈夫

▼Little Glee Monster
Join Us!
For Decades
ギュッと
夢じゃないならなんなのさ
WONDER LOVER
だから、ひとりじゃない
パロディ(with WEST.)
世界はあなたに笑いかけている(with WEST.)

▼ウルフルズ
ガッツだぜ!!
バカサバイバー
おっさんのダンスが変だっていいじゃないか!
笑えれば
バンザイ~好きでよかった~
ウェッサイソウル!(with WEST.)
ええねん(with WEST.)

▼WEST.
しあわせの花
超きっと大丈夫
Mixed Juice
WESTraight
YSSB
しらんけど
バニラかチョコ
あなたへ
証拠
ハート
ムーンライト
アンジョーヤリーナ

▼ALL LINE UP
ええじゃないか

PROGRAM info.

WESSION FESTIVAL 2025 DAY1

WOWOWで12月放送・配信予定

WESSION FESTIVAL 2025 DAY2

WOWOWで2025年1月放送・配信予定