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【現地レポート】BABYMETALが米・LAアリーナ単独公演を完遂! キャリアハイを更新する今を象徴する記念碑的ライブに。

PMC編集部

第239回

「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SPECIAL ARENA SHOW IN US INTUIT DOME」より (Photo:Sarai Kelly)

BABYMETALが11月1日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスのIntuit Domeにて単独公演としてスペシャルアリーナショー「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SPECIAL ARENA SHOW IN US INTUIT DOME」を開催した。同公演は、2019年にロサンゼルス・THE FORUMにて、日本人グループとして史上初のアリーナ単独公演を行って以来のアリーナ単独公演となるが、8月にリリースした最新アルバム『METAL FORTH』が、ビルボード・全米アルバム総合チャートで9位を獲得し、日本人グループとしては史上初となるTOP10入りを果たすなど、キャリアハイを更新する中での開催となる。見事、ソールドアウトした会場の熱狂はいかに!? 『PMC』のBABYMETAL記事を担当する阿刀大志による現地レポートを届ける。

とんでもないメタルエンターテイメントを観た。これまでずっと、BABYMETALを正当に評価してきたという自負があったが、現在の日本国外での活躍を耳にするのと、実際に自分の目で確認するのとでは、かなり大きな違いがあった。BABYMETALの海外公演を目撃するのは2019年の「METAL GALAXY WORLD TOUR」以来約5年半ぶりだが、パフォーマンスも観客の熱狂も、ポジティブな意味で大きく変わり、海外でのBABYMETALの評価への認識が追いついていなかったことを痛感した。今、BABYMETALがやっていることは、「日本の音楽が世界でがんばっている」というレベルではない。その特異なサウンドとパフォーマンスをもって、自分たちが掲げた旗を世界中で振り続け、世界のメタルシーンに変革を起こし、ヘビーメタルという巨大な山の頂点到達へ向かっている。しかも、それが、かなり現実的な段階にきていたのだ。

BABYMETALは、2010年代のメタルシーンの中で明らかに異端な存在で、その15年の歩みは決して容易なものはなく、長きにわたって道なき道を突き進んできた。激闘を繰り広げる中で多くのレジェンドたちの背中を追っていたが、今や自分たちがレジェンド、BABYMETALにしかなし得ない表現をさらに進化させている。今や、3人の目の前に広がっているのはかつてのような茨の道ではない。8月にリリースし、初の全米TOP10入りを果たしたヒットアルバム『METAL FORTH』では、各国の次世代メタルシーンを担うアーティストたちとのコラボを通し、新たな栄光の道を切り開いた。BABYMETALというメタルダンスユニットはもはや異端でもなんでもない。名実ともに世界の次世代メタルシーンの一角を担うバンドとなった。それを決定づけたのが今回のINTUIT DOMEという大会場で行われたアリーナ公演だ。ここでは、『METAL FORTH』を中心とした楽曲、パフォーマンス、演出、細部のこだわりに至るまで、すべてが過去最高レベルでがっちり絡み合ったことで、世界のトップに君臨するエンターテイメント大国の住人を大熱狂させる記念碑的ライブとなったのだ。

18,000人を収容する巨大な会場のフロア中央には菱形のメインステージが設置され、それを取り囲むように外周ステージがあった。神バンドの面々はメインと外周の間でメンバーの姿がほぼ見えない状態でパフォーマンスする。これらは過去の日本武道館公演のステージを思い浮かべてもらうとわかりやすい。

客電が落ち、いつものようにストーリームービーがはじまり、オープニングナンバー「BABYMETAL DEATH」が鳴らされると、花道からSU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALの3人が大歓声を浴びながら登場。ここからの90分間、彼女たちの一挙手一投足に絶えず声援が送られ続けた。

このあと、「from me to u (feat. Poppy)」「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」と続いていくのだが、パイロ、CO2、レーザーとド派手な特効が惜しみなく注ぎ込まれていく。しかし、なんといっても本公演の演出面で大きな役割を果たしたのはHalo Boardだ。これは、この会場を本拠地としているNBAのチーム・クリッパーズの試合を観やすくするために設置されているリング状、かつ両面仕様のディスプレイで、それ以外にも全席の肘掛けにはLEDライトも備え付けられている。これらを通常のコンサートでイチから設置するとなると莫大な費用がかかるだろうが、2024年にオープンしたばかりのこの会場では常設されている。BABYMETALは、これらすべてを自分たちの表現としてフル活用したのである。客席の頭上にまで及ぶ巨大なHalo Boardは、3人のパフォーマンスを映し出すスクリーンとしてだけでなく、きらびやかなライトとしても機能していたため、ステージの照明は上からではなくて下から照らす場面が多く、これが非常に新鮮だった。通常のコンサート照明とは異なるアプローチが、本公演をさらに特別なものしたのだ。

音響も素晴らしかった。かなりラウドでありながら、ギリギリのところで耳が痛くならないサウンドは座席から振動が伝わってくるくらいの迫力で、非の打ちどころがない。
何より、メンバーが楽しそうにパフォーマンスしているのが印象的だった。特に「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」は、かつてシリアスな面が強調されていたように見えていたが、シンガロングする観客の力も加わり、非常にファン(FUN /楽しい)で、エンタメ度の高いものになった。ストーリームービーに合わせて「イチ! ニ! サン!」と声が上がった「Song 3(BABYMETAL X Slaughter to Prevail)」もそう。最新作『METAL FORTH』で最もブルータルなサウンドが、ここでは不思議とファンなものとして響く。これらの楽しさは、細かい説明や理屈をまったく必要としない。目の前で繰り広げられているものにただ身を委ねていればいいという、スペースマウンテン的な魅力に満ちあふれていた。

実際、急勾配な客席の作りのせいもあってか、着席している観客が多かったが、曲が終わるたびに大声援が起こり、場内のテンションはピークを突きっぱなし。そんな彼らの反応からも、「日本人アーティストが海外でどこまでやれるのか」なんていうフェーズはもう、とっくに過ぎていることを実感した。コロナ禍を経て、新体制として全力疾走を続けている彼女たちは今や、正真正銘、「世界のBABYMETAL」になったのである。

MOAMETALとMOMOMETALは笑顔が多く、この大舞台でも常にリラックスしているように見えたし、SU-METALは余裕を感じさせる中でも時折ピリッとした緊張感を見せ、ショー全体を引き締める。それでも全体から漂うのは、「どう見せようか」ということ以上に、「どう楽しませようか」という前のめりな姿勢で、それがとても頼もしかった。

初披露からまだ日が浅い「KxAxWxAxIxI」はこの日はブリッジ的な役割を果たしていたが、今後どんなふうに化けていくのか楽しみだし、続く「My Queen (feat. Spiritbox)」では、ついにSpiritboxのボーカリスト・Courtney LaPlanteが降臨。激情から垣間見えるBABYMETALへのリスペクトに温かい気持ちになった。

現在、BABYMETALの楽曲で最も勢いがあるのは「RATATATA(BABYMETAL X Electric Callboy)」だと思っていたが、それ以上の熱狂で迎えられたのが「ギミチョコ!!」。リリースから10年以上の時を経ても、この曲がもつパワーは凄まじい。

驚いたのは、いったんステージを去った3人が再登場して披露した「THE ONE (English ver.)」。海外でのパフォーマンスは「METAL GALAXY WORLD TOUR」以来となるだけに、このタイミングでの歌唱にはグッとくるものがあった。曲のラストでは座席常設のLEDがゆっくりと明滅し、その光がステージを取り囲み、3人はメタルの銀河にまばゆく光る星となった。

BABYMETALのINTUIT DOME公演は非常にスペシャルな体験だった。あの場所でしか味わえないショーだったし、現時点におけるBABYMETALのベストライブだと断言できる。軽い放心状態で会場をあとにしようとしたとき、自分の後ろにいた女性がこう呟いていた。“It was more than fun…!” 「楽しいなんてもんじゃなかった」――まさにそのとおり。BABYMETALは、我々がいまだかつて経験したことのない新たな世界を表現し続けようとしている。『METAL FORTH』(メタルのその先へ)という言葉が意味しているのはそういうことではないだろうか。

Text:阿刀大志 Photo:Sarai Kelly

<公演情報>
「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SPECIAL ARENA SHOW IN US INTUIT DOME」

11.1 アメリカ・ロサンゼルス Intuit Dome

SETLIST

1. BABYMETAL DEATH
2. from me to u (feat. Poppy)
3. Distortion (feat. Alissa White-Gluz)
4. PA PA YA!! (feat. F.HERO)
5. メタり!! (feat. Tom Morello)
6. Kon! Kon! (feat. Bloodywood)
7. Sunset Kiss (feat. Polyphia)
8. Song 3(BABYMETAL X Slaughter to Prevail)
9. KxAxWxAxIxI
10. My Queen (feat.Spritbox)
11. RATATATA(BABYMETAL X Electric Callboy)
12.Gimme chocolate!!
13. THE ONE (English ver.)
14.Headbangeeeeerrrrr!!!!!!!
15. Road of Resistance

LIVE info.

「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SPECIAL ARENA SHOW IN JAPAN LEGEND – METAL FORTH」

2026年1月10日(土)OPEN 16:00/START 17:30
2026年1月11日(日)OPEN 14:00/START 15:30
会場:さいたまスーパーアリーナ

「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SPECIAL ARENA SHOW IN JAPAN LEGEND – METAL FORTH」特設サイト
https://babymetal.com/legend-metalforth

Blu-ray & DVD info.

『BABYMETAL - LIVE AT THE O2 ARENA』

発売日:12月19日(金)
主要販売サイト
https://bio.to/O2ARENA_BD_DVD

Blu-ray & DVD
①完全生産限定盤 Blu-ray アナログジャケット仕様
価格:9,900円(税込) 品番:BMWR-1001
②通常盤 Blu-ray
価格:7,700円(税込) 品番:BMWR-1002
③通常盤 DVD
価格:6,600円(税込) 品番:BMWR-1003

THE ONE 限定盤
スペシャルパッケージ Blu-ray+ライブ2CD+写真集64P予定
価格:22,000円(税込) 品番:ONEB-0045

CD info.

『METAL FORTH』

好評発売中

■METAL FORTH 【通常盤】UICC-10058
価格:3,000円+税
仕様:ジュエルケース

■METAL FORTH 【デラックス・エディション】UICC-90016
価格:4,000円+税

仕様:7インチ紙ジャケット / ジャケット・ステッカー3枚&フォトカード6枚封入 / ポスターブックレット(歌詞掲載)

試聴・購入はこちら:
https://umj.lnk.to/BABYMETAL_METALFORTH

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