音楽専門誌『ぴあMUSIC COMPLEX』連動企画

BABYMETAL、圧巻のワールドツアー日本凱旋公演。会場をどよめかせた結成15周年のサプライズ

PMC編集部

第248回

「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SPECIAL ARENA SHOW IN JAPAN LEGEND – METAL FORTH」1月10日(土) 埼玉・さいたまスーパーアリーナより

1月10・11日、BABYMETALがワールドツアー日本凱旋アリーナ公演となる「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SPECIAL ARENA SHOW IN JAPAN LEGEND – METAL FORTH」を埼玉・さいたまスーパーアリーナにて開催した。現在発売中の『ぴあMUSIC COMPLEX(PMC)Vol.39』では、メンバーのメールインタビューとともに「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SPECIAL ARENA SHOW IN US INTUIT DOME」の現地レポートを掲載中だが、ここでは1月10日のレポートを届ける。

1月10日、大改修工事による休館まであと3日に迫った会場に入ると、昨年5月に英・ロンドンのTHE O2で行われた「BABYMETAL UK & EUROPE ARENA TOUR 2025 SPECIAL ARENA SHOW IN UK "THE O2"」、11月に米・ロサンゼルスのINTUIT DOMEで行われた「BABYMETAL SPECIAL US ARENA SHOW IN Los Angeles」と同様の菱形センターステージが目に入った。筆者はINTUIT DOME公演を現地で観たが、よく見ると同公演に比べてステージサイズが大きく、デザインもブラッシュアップ。INTUIT DOMEではステージ外周の一辺につき一人が配置されていた神バンドは、ここではセンターステージよりも奥にあるバンド用のサブステージに立っていた。そして、INTUIT DOMEで印象的だった、ステージ上部に設置された円形スクリーンHALO BOARDの代わりに4つの長方形スクリーンが隙間なく吊るされていた。

ふと思った。これは、2019年11月にロサンゼルスのTHE FORUMにて開催された「METAL GALAXY WORLD TOUR - LIVE AT THE FORUM -」と、その翌月に埼玉・さいたまスーパーアリーナと大阪・大阪城ホールで行われた「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN」の関係に似ている。THE FORUMで初めて導入された超巨大LEDは日本公演でも即導入され、その後しばらく、BABYMETALのライブを象徴する演出となった。

ほぼ定刻どおりにスタートしたショーは、「WELCOME TO METAL FORTH」というオープニングムービーとともにはじまった。これまでにない意味深なスタートだと思ったが、いつもは終盤のピークタイムでプレイする「RATATATA (BABYMETAL x Electric Callboy)」がいきなり2曲目に登場したことに驚いたりしながら、ステージを見つめているうちに気がついた。これはアルバム『METAL FORTH』の完全再現だ。昨今、アルバム全曲披露ライブというのはジャンル問わずよくあるが、過去の名盤をピックアップするケースが多く、セットリストが曲順どおりでないことも珍しくない。なので、昨年リリースの最新作を曲順どおりに披露した今回のライブは、なかなかレア。一つ一つの楽曲や曲順まで含めた作品全体のクオリティに絶大な自信をもっていなければできないことだ。『METAL FORTH』はBABYMETALがはじめて米・ビルボードのアルバムチャートにてトップ10入りという大きな結果を残した作品だし、完全再現だと気づいた瞬間に鳥肌が立った。予想外の展開に翻弄されながらも、本作のクオリティの高さを改めて実感した。

演目ごとに演出の印象が変わっていく。菱形ステージの中央から現れた昇降ステージの壁面LEDにMV映像を映し出したり、BABYMETALのライブではかつて観た覚えがない青とオレンジという色の組み合わせでおびただしい数のレーザーが飛び交ったり、INTUIT DOMEでも感じたが、上からではなく下から照らす照明が印象的な効果を生み出したり、これまでの15年間で熟成させてきた技術の粋を極めた見事なライティングを堪能した。

「Sunset Kiss (feat. Polyphia)」では3人を直接照らすライトはなく、センターステージの床面に映し出される映像の光が彼女たちの姿を幻想的に浮かび上がらせた。まるでメンバーすら楽曲の風景の一部になっているような感覚に陥らせる。かつて、BABYMETALのライブは大仕掛けを用いたシアトリカルな演出が売りの一つになっていたが、徐々に、より楽曲にフォーカスするようになったことで表現は緻密、かつ繊細になっていった。結果として、1曲1曲の作品性がグッと増し、これまで以上の没入感を生み出すようになった。今やBABYMETALは、大胆なギミック(それはそれで非常に楽しいので大歓迎なのだが)に頼らずとも、十分な説得力を持つビッグバンドになったのだ。

あと、あまりに自然に受け入れていたので、改めて驚いたのがMOMOMETALの成長。感覚的に言うと、彼女は1人でメキメキと頭角を現したというよりも、BABYMETALというチームに対して水が染み込むようにスッと溶け込んでいき、その一方で、SU-METALとMOAMETALも彼女のグルーヴに自然と寄り添っていったように思う。これは、一昨年は約50本、昨年も約60本ものライブを世界中で行ってきた成果だろう。正式加入から約3年、彼女はデスボイスを開拓中で、「メタり!! (feat. Tom Morello)」の間奏で繰り出す極悪ボイスも今やすっかりおなじみとなった。MOMOMETALが手に入れた新たな武器は、今も小悪魔的な魅力を振りまきながらSU-METALの脇をしっかり支えるMOAMETALとのコントラストを生み、BABYMETALのショーを進化させている。

BABYMETALのライブを彩ってきたフロアの狂騒は、15年のときを経てもなお変わらずに、3人のパフォーマンスに対する喜びを表現している。この日も<1!2!3!>と叫び声を上げた「Song 3 (feat. Slaughter to Prevail)」や、この日初披露となった「White Flame -白炎-」などでフロアのあちこちに高速のサークルピットを作り上げていた。

「White Flame -白炎-」は圧巻だった。これは、『METAL FORTH』のラストを飾るメロディックスピードメタルの名曲。ここに至るまでに、『METAL FORTH』の完全再現に気づいていた観客は、イントロが鳴った瞬間に大歓声を上げた。真っ白な照明のみで彩られたこの曲では、SU-METALの歌唱が一段と映えた。特に、ラストのロングトーンは拍手喝采もの。「メタり!! (feat. Tom Morello)」でも繊細な表現で<わっしょい!>を歌い分けたり、彼女は随所で匠の技を見せた。

さて、これにて『METAL FORTH』完全再現ライブは終了。ステージも暗転し、一瞬、これで終わりかと思われた。正直、それでもよかった気もしていた。それぐらいのインパクトがあった。しかし、この日はまだまだ驚くような続きがあったのだ。

「新たなLEGENDへお連れしよう」という言葉ではじまったストーリームービーでは、BABYMETALの歴史を数々のライブ映像とともに振り返った。そこには元メンバーYUIMETALの姿もあったり、懐かしい映像が多く、日本で生まれたメタルダンスユニットの輝かしい足跡に何度も歓声が上がった。ほんの数秒の映像でも、どんなライブだったか思い出せるのがすごい。それだけスペシャルなショーをBABYMETALは15年間繰り広げてきたのだ。

映像は「BEYOND HEAVY METAL」という新たなテーマを予感させる言葉で締められた。そして、鳴り響いたのは「BABYMETAL DEATH」の激重イントロ。サブステージの奥から登場した3人のメンバーは、両サイドで炎が揺らめく花道を渡って再びメインステージへ。そこから、「BABYMETAL DEATH」~「ド・キ・ド・キ☆モーニング」~「メギツネ」という初期の名曲を乱れ打つ。それはさながらBABYMETALの歴史を辿る旅。過去、ありそうで一度もなかった3曲の並びに新鮮な興奮を覚えた。「ド・キ・ド・キ☆モーニング」では過去一番のヘビーグルーヴで聴衆を圧倒し、SU-METALはリリース当時のフレッシュさを巧みなボーカルコントロールで表現。“懐かしのアノ曲”ではなく、常に「今」の曲として響かせることができるのは、今なおたゆまぬ研鑽を続けているからだ。「さーいたまー! みんな、後半戦もいけるよねー!?」とSU-METALがあおった「メギツネ」では、<なめたらいかんぜよ>でスタンドを揺らすほどの大歓声が起こった。そういえば、以前に比べて女性ファンが増えたのか、いつも以上に女性の歓声が目立っていたのが印象的だった。

思わずのけぞったのはそのあと。遠い記憶を呼び起こすような印象的なギターリフとビートが聴こえてきた。なんと、「Catch me if you can」である。調べてみたところ、2017年8月に大阪・Zepp Osaka Baysideで行われた「5大キツネ祭り in JAPAN -白キツネ祭り-」以来の披露となる。古くからのファンにとっても、新規ファンにとっても感涙ものだ。ステージ床には同曲が収録されている1stアルバム『BABYMETAL』のジャケット写真が映し出され、それがまた感動をあおった。さらに驚いたのは、このあとに「あわだまフィーバー」~「Elevator Girl」と、かつて幾度となくライブで披露してきた『METAL RESISTANCE』と『METAL GALAXY』の代表曲をメドレーでプレイしたこと。しかも、「Elevator Girl」ではこの日初めてセンターステージが大きく昇降。ステージの可動域をまだ残していたことにニヤリとさせられた。

そのあとに披露された「KARATE」にはいつもと違う感動があった。無数のスマホライトが生み出した星に照らされ、即席のメタルギャラクシーに浮かび上がった3人の姿を感動とともに眺めながら、改めて思った、いいライブだ。周年ライブとしては「10 BABYMETAL BUDOKAN」を上回るものだと断言できる。彼女たちの歴史と技術の蓄積がそう感じさせたのだろう。

「ギミチョコ!!」後に一旦、暗転したあとは、「ヘドバンギャー!! 15th Night Ver.」。最近のBABYMETALのライブには珍しく複数のダンサーが登場した。バトルロングジャケットに身を包んだ彼女たちとともに、リレコーディングされた初期の名曲を3人は歌い届け、観客はそんな彼女たちに向けて熱心にヘドバンの祈りを捧げるのだった。

最後はやはり「Road of Resistance」。2014年11月にロンドンで初披露したあの日から、どんなことがあってもBABYMETALはこの曲とともにあった。3人の血と汗と涙と歓喜が染み込んだBABYMETALを代表するアンセムによって、ライブは終わりを告げたのだった。

「LEGEND – METAL FORTH」は、15周年を記念したライブだったが、総決算という感覚は不思議となかった。今や、BABYMETALは常に全力疾走で世界中を駆け回っているバンドで、いい意味で活動の節目が見えづらいし、もしかしたら本人たちもそこまで周年というものを意識していないのかもしれないとも思う。今回のライブは、長年応援を続けてきたファンへ向けてのギフトと感謝のようなものなのだろう。さて今後、BABYMETALはどこへ向かうのか。個人的には、これからも世界中を揺らし続け、海外の有名メタルフェスのラインナップのトップにあのロゴが堂々とはためく日を楽しみに待ちたい。15年前に同じことを口にしたなら、きっと誰もが笑っただろう。しかし、2026年の今、彼女たちの活動と意志を笑う者はもはや1人もいない。3人はこれまでと変わらずに、一歩一歩着実にそこへ近づいている。すでに彼女たちは、その頂を視界に捉えているに違いない。

阿刀大志=文

「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SPECIAL ARENA SHOW IN JAPAN LEGEND - METAL FORTH」

1月10・11日 埼玉・さいたまスーパーアリーナ

セットリスト

01. from me to u (feat. Poppy)
02. RATATATA (BABYMETAL x Electric Callboy)
03. Song 3 (feat. Slaughter to Prevail)
04. KON! KON! (feat.Bloodywood)
05. KxAxWxAxIxI
06. Sunset Kiss (feat. Polyphia)
07. My Queen(feat. Spiritbox)
08. Algorism
09. メタり!!(feat. Tom Morello)
10. White Flame ー白炎ー
11. BABYMETAL DEATH
12. ド・キ・ド・キ☆モーニング
13. メギツネ
14. Catch me if you can 〜 あわだまフィーバー 〜 Elevator Girl
15. KARATE
16. ギミチョコ!!
17. ヘドバンギャー!! 15th Night Ver.
18. Road of Resistance

「ヘドバンギャー!! 15th Night Ver.」ミュージックビデオ

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2026.3.29 東京・東京ガーデンシアター
出演:BABYMETAL、マキシマム ザ ホルモン、新しい学校のリーダーズ

ぴあMUSIC COMPLEX(PMC)Vol.39

BABYMETALメールインタビュー&「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SPECIAL ARENA SHOW IN US INTUIT DOME」現地レポート掲載中