音楽専門誌『ぴあMUSIC COMPLEX』連動企画

THE YELLOW MONKEY、自身初の有明アリーナで、再集結&ファンクラブ発足10周年記念FCツアーを完走!

PMC編集部

第273回

(Photo:横山マサト)

「2004年の七夕の日に解散を発表して。それまでのTHE YELLOW MONKEYのファンの人たちをすごく悲しませてしまったんですけども。2013年の7月7日、僕はロンドンにいたんだけど、ローリング・ストーンズが結成50周年のライブをハイドパークでやってて、『バンドって最高だな』って。『もしこの3人がOKなら、また一緒にバンドやってくれないかな』と思ってメールしました。それを受け入れてくれたから、2026年の七夕の日、みなさんと一緒にライブをやっております」

吉井和哉(Vo&G)が一言一言噛みしめるように語りかける言葉に応えて、有明アリーナ満場の客席から惜しみない拍手喝采が降り注ぐ──。2026年7月7日、東京・有明アリーナ。ツアータイトルに「FAN CLUB 10th Anniversary」と銘打たれている通り、オフィシャルファンクラブ「BELIEVER.」の開設10周年を記念して、10会場11公演にわたって行われてきたファンクラブ会員限定ツアー「THE YELLOW MONKEY TOUR 2026 THE COUNTDOWN 〜Are you a BELIEVER.?〜」。その追加公演として、自身初となる有明アリーナの舞台に立ったTHE YELLOW MONKEYは、年代を超えたレア曲に新たな息吹と熱量を与えながら、困難を超えて時代と/オーディエンスと向き合い続けるロックバンドの存在証明を改めて「今」に刻みつけてみせた。

開演SEのエディット・ピアフ「バラ色の人生」と満場の拍手喝采を受けながら、吉井和哉、菊地英昭(G/以下、EMMA)、廣瀬洋一(B/以下、HEESEY)、菊地英二(Dr/以下、ANNIE)、サポートメンバーの鶴谷崇(Key)がオンステージすると、HEESEY&ANNIEの繰り出すパワフルなビート&EMMAのハードエッジなリフとともに流れ込んだのは「サイキックN[SA1.1]o.9」だった。解散前ラストアルバムだった『8』(8thアルバム、2000年)の収録曲であり、久々に演奏されたソリッドなロックンロールナンバーが、この日のライブの特別感を冒頭から掻き立ててくる。

そして、吉井のボーカル。THE YELLOW MONKEY/ソロ含め、喉の病気の予後と向き合いながら活動を続けている吉井だが、モスグリーンのベルベットのスーツに身を包んだこの日の吉井の歌声は、アリーナを圧倒する躍動感と妖艶さに満ちていて、開演早々から会場一面のクラップを呼び起こしていく。さらにそのまま「LOVE IS ZOOPHILIA」(2ndアルバム『EXPERIENCE MOVIE』1993年)、「セックスレスデス」(7thアルバム『PUNCH DRUNKARD』1998年)……といった具合に、ライブで演奏される機会の少ない楽曲が次々に飛び出し、1曲また1曲と観客の驚きと歓喜の大歓声を呼び起こしていた。

「今回のツアーは、みなさんの知ってる曲、ほとんどやりません! 主に90年代の──本来みなさんが“飛ばす”曲なんですけど、その飛ばす曲にこそ、THE YELLOW MONKEYの真髄が隠れている。そういう曲たちを今日はお届けします!」という吉井のMCに場内がどっと沸き返り、インディーズアルバム『Bunched Birth』(1991年)からの「HANG ONTO YOURSELF」では、6拍子と8拍子が入り乱れるミステリアスな音楽世界を、吉井&EMMAのWギターが妖しく美しく浮き彫りにしていく。そのまま『smile』(4thアルバム、1995年)から『エデンの夜に』を響かせて、有明アリーナの熱気にメランコリックな色彩を塗り重ねてみせる。

「5月21日に、THE YELLOW MONKEYはデビュー34周年を迎えました。最初の曲から知らない曲ばかりでしょうけど、次の曲なんかは一番知らないと思います」と語る吉井の言葉から、1stアルバム『THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE』(1992年)の最終曲「Walkin' in Sunshine」へ。音源では吉井のみのアコギと歌で収録されていたこの曲が、EMMAのアコギ、HEESEYのベース、ANNIEのドラム、鶴谷のピアノも含めた豊潤なバンドアンサンブルを得て、バンド黎明期から現在を見通すような神秘的な歌世界をアリーナに描き出していた。さらに、『SICKS』(6thアルバム、1997年)リリース時のツアー以来のライブ披露となるブルージーなバラード「淡い心だって言ってたよ」では、吉井の奏でる12弦ギターの音色とEMMAのソロプレイが絡み合い、ラストに<全開だもの 限界だもの>と突き上げる吉井のシャウトを麗しく彩っていた。

ファンクラブ開設10周年ということは、バンド再集結からも10周年の節目を迎えたことになる。「デビューしたときは、ご年配の方とか業界の方とか、結構抵抗感を持たれたりして……でも、単に面白おかしいからつけたわけではなくて、自分たちのサウンドとか考え方とかを踏まえて名づけました。このバンド名にして、本当によかったと思います」と、THE YELLOW MONKEYというバンド名について改めて語る吉井の言葉の一つ一つからも、さまざまな困難を経てメンバー4人そろって舞台に立っていることへの万感の思いがにじむ。その一方で、「第2次世界大戦で戦死した男が、恋人のマリーの魂を追って1994年の日本にタイムスリップして、なぜかロックをはじめてロックスターになる」という3rdアルバム『jaguar hard pain』(1994年)のコンセプトについて説明したあと、「じゃあ、その、戦死した男になりますね」とジャケットを脱ぎ、バンド一丸「RED LIGHT」炸裂──という場面に「えっ……戦争って、終わった?」というささやきを添える吉井の姿は、時代と対峙し時代に作用するロックアーティストの凄味を備えていた。

そのまま『jaguar hard pain』からもう1曲「セルリアの丘」で雄大な憂いの風景を繰り広げ、1人1人丹念にメンバー紹介をしたところで、「俺、この曲をマジでアリーナでやりたかった!」とモット・ザ・フープルのカバー「Honaloochie Boogie」ひときわダイナミックに響かせ、「私が勝手に日本語の歌詞をつけました! イアン・ハンターさんのOKをもらっております! ぜひとも一緒に歌っていただきたい! 有明!」という快活な吉井のコールに応えて、サビで熱いシンガロングが会場狭しと広がっていく。続けて「知ってますか? 俺、この曲大好き!」とイントロで吉井が叫んでいた「カナリヤ」(『8』収録)では、オーディエンスの<DID YOU SLEEP WELL?>シンガロングと吉井の歌が見事なコール&レスポンスを生み出し、アリーナのむせ返るような熱気を終盤へ向けてよりいっそう高めていった。

「2000年、最初の冬の時代に作った「プライマル。」──結果的に解散の曲になっちゃったんだけど、再集結のときにやったよね?」という吉井の言葉とともに高らかに響かせたのはシングル曲「プライマル。」──ではなく、そのカップリング曲だった「ネバーギブアップ」。ハードなサウンドをさらにあおるように激しく腰を回し、会場丸ごと高揚の頂へ導いた吉井は、そのロックンロールモードを次の「審美眼ブギ」(『EXPERIENCE MOVIE』収録)の躍動感へと直結して、客席一面の歌声を呼び起こしてみせる。

「同じメニューの追加公演だし、気楽にやろうかと思ったんだけど……この日にやるっていうのはやっぱり感慨深くて。いつもと違うエネルギーが湧いてくるなって。冗談っぽく、知らない曲ばっかりって言ってきたけど、旅を続けて帰ってきたら、本当にこのメニューが、楽曲たちが愛おしくて」。ひときわ感慨深げに観客に語りかけたあと、本編最後に吉井が歌いはじめたのは「エヴリデイ」(『PUNCH DRUNKARD』収録)だった。<エヴリデイ嵐の坂道を エヴリデイ僕らは転げながら>というフレーズすらも、日々をたくましく生きる糧にするだけのポジティビティを、今のTHE YELLOW MONKEYは確かに放っていた。

アンコールでは一転、「知ってる曲やりましょうか!」という吉井のコールから「LOVE LOVE SHOW」(『PUNCH DRUNKARD』収録)へ突入すると、アリーナを見渡す限りに歓喜が弾け、割れんばかりのシンガロングとコール&レスポンスが鳴り渡る! そして、「この曲も冬の時代に作った曲だけど……月日が流れて、こんなにすてきな夜を迎えられるとは、あのころは夢にも思いませんでした」という吉井の言葉とともに流れるピアノのイントロは「バラ色の日々」(『8』収録)。再始動以降、THE YELLOW MONKEY自身にとってもファンにとっても重要な楽曲として愛されてきたこの曲が、客席一面の大合唱とともに鳴り響く。「ありがとう! 愛してます!」の吉井の叫びが、熱演の最後を熱く彩って終了──かと思いきや、さらにもう1曲、1992年のデビューシングル「Romantist Taste」(『THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE』収録)へ! 吉井に合わせてアリーナ一丸のハンドサインが揺れ、シンガロングが吉井の歌&バンドサウンドと響き合う。この上なく濃密で幸福なツアーの最高のエンディングだった

THE YELLOW MONKEYは8月26日にライブ映像作品『TOUR 2024/25 Sparkleの惑星X』をリリース、9月6日からは全国Zepp会場や日本武道館など8会場を巡るツアー「THE YELLOW MONKEY TOUR 2026 THE COUNTDOWN 〜60分1本勝負〜」を開催することが決定している。加えて、吉井は「必ず、このBELIEVER.オンリーの、もっとめちゃくちゃ濃いツアーやります!」と今後への意欲をぶち上げてもいた。唯一無二のロックバンドは、なおも力強く「その先」へと進んでいるのだ。

高橋智樹=取材・文 横山マサト=Photo

「FAN CLUB 10th Anniversary THE YELLOW MONKEY TOUR 2026 THE COUNTDOWN 〜Are you a BELIEVER.?〜」

2026年7月7日 東京・有明アリーナ

SETLIST

01. サイキック No.9
02. LOVE IS ZOOPHILIA
03. セックスレスデス
04. HANG ONTO YOURSELF
05. エデンの夜に
06. Walkin' in Sunshine
07. 淡い心だって言ってたよ
08. RED LIGHT
09. セルリアの丘
10. Honaloochie Boogie
11. カナリヤ
12. ネバーギブアップ
13. 審美眼ブギ
14. エヴリデイ
En1. LOVE LOVE SHOW
En2. バラ色の日々
En3. Romantist Taste

Live info

「THE YELLOW MONKEY TOUR 2026 THE COUNTDOWN 〜60分1本勝負〜」

https://theyellowmonkeysuper.jp/feature/tour2026_60min

Blu-ray & DVD info.

ライブ映像作品『TOUR 2024/25 Sparkleの惑星X』

2026年8月26日(水)発売
https://lnk.to/TYM_SparkleX_ec

※「THE YELLOW MONKEY TOUR 2024/25 Sparkleの惑星X -Complete Box-」には、Blu-ray全6ディスクを収録。【BLOCK.1】【BLOCK.2】【BLOCK.3】【FINAL BLOCK】【ネ申】の公演に加え、名古屋ボトムラインで行われたレアなライブハウス公演を特別に収録。Complete Boxには各公演の写真を収めたブックレット、そして正方形の超豪華仕様。完全生産限定のため、上限数に達し次第、販売終了。
【BLOCK.1】【BLOCK.2】【BLOCK.3】【FINAL BLOCK】【ネ申】の単体DVDも同時発売。このDVDには各公演の未公開写真のブックレットを封入。各チェーンの特典をチェック。

特典画像一覧

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