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Grace Aimi/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

沖縄発Z世代のポップシンガー・Grace Aimiが1stアルバム『If』をリリース。「もし」だけで終わる世界があってもいい

特集連載

第25回

人を元気にできる力が音楽にはあるんだってわかったので、とことんやりたい

── 子供の頃から音楽には自然と接していたんですか?

Grace お母さんがギターを弾いていたり、ちっちゃい頃から週に4回くらい家族みんなでカラオケに行ったりしてたんですよ。アメリカのお家にはカラオケブースがあって、毎晩のようにみんなで歌っていましたね。だから、音楽スクールに通って、みたいな感じで音楽を学んだことは一度もなくて、気づいたらYouTubeにカバー動画を上げていて、そのままデビューしてるっていう感じです(笑)。

── 最初はカラオケだったんですね(笑)。バンドの経験もなく?

Grace ないです。でも、おじいちゃんとおばあちゃんのためにお兄ちゃんがギターを弾いたり、弟がウクレレを弾いたりするのに合わせて一緒に歌ったりはしていました。そんな感じで音楽は身近に普通にあるものだったので、仕事として音楽をやるっていうふうに意識し始めたのは本当に2年くらい前なんですよ。それまでは自分が何をやりたいのかわからなくて。何かはしたいけどその何かってなんだろう?って頭の中が?だらけで毎日生きてました。

── とりあえず毎日歌ってはいたんですね。

Grace ただ歌が好きだからっていう感覚ですね。高校生の頃から歌詞を書き始めるようになったんです。そのきっかけっていうのが、Type Beatを聴きながら日記をつけていたんですけど、その時にこれって言葉を入れ変えたりしてもっとビートに寄せていったら歌詞になるんじゃない?って気づいて。やってみたら結構自分でも気に入る感じのものができて、お母さんに聴いてもらったら、「いいねいいね!」って言ってくれたんです。でもそれはお母さんだから言ってくれてるのかなって思ってたんですけど、友達に見せても同じ反応で。よし、じゃあこれやろう!って決めて、気づいたら毎日歌詞を書くようになっていました。

── 内容は日記だったんですか?

Grace 最初はそうだったんですけど、だんだん家族にも話せない自分だけの気持ちを書くようになっていって。そうするとメロディがある方が浄化されていく感じがあるんですよね。それがセラピーみたいになって、やっているうちに自分と同じ気持ちの人もいるだろうな、もっといろんな人に届けたいなって思うようになりました。で、ある時、沖縄出身のラッパーのAwitch(エイウィッチ)が──もともと知り合いなんですけど──私の書いた歌詞とメロディを聴いてくれて、プロデューサーのChaki Zulu(チャキズールー)さんに送ってくれたんです。そしたらChakiさんから連絡が来て、一緒にやることになりました。だからすごくスムーズというか、自然な感じなんですよね。

── その自然な感じっていうのは小さい頃にカラオケで歌っていた感覚と、もしかしたらつながっているかもしれないけど、一方でプロのアーティストとしての自覚を感じることもあるんですよね。

Grace そうですね。楽しいっていう感覚は同じなんですけど、メジャーデビューしてから、世界中からメッセージが来るようになったんです。「Graceの音楽のおかげで暗い道を乗り越えることができた」とか「次に出す曲も楽しみ」とかっていう言葉を受け取ったら、ああこれが自分の使命だったんだなって一気に気持ちが変わりましたね。

いろんな人に「ひとりじゃないよ」って私の音楽で感じてもらいたいし、私自身も自分ひとりだけの夢を見ているんじゃないなって思います。人を元気にできる力が音楽にはあるんだってわかったので、だったらそれをとことんやりたい。

「好きなジャンルは?」って聞かれたら、「サンシャイン・ミュージックだよ」って

── そういうふうに真っ直ぐ思えるのは、素敵なご家族のおかげなのかなって思いました。

Grace それは絶対にそうですね。小さい頃からよく、勉強ができなくても人に対するマナーがよければ人生って素晴らしいものになるよって言われていたんですよ。今振り返っても、それってやっぱり一番大切なことだと思うし、ずっと愛情を注いでくれている家族には感謝していますね。だから家族には何でも話せるんです。

── 今も沖縄在住なんですよね?

Grace はい。ずっと沖縄です。

── YouTubeのカバー動画でもBEGINやKiroro、HYといった沖縄のアーティストの曲を歌っていますね。やはり沖縄出身というのはGrace Aimiというアーティストを語る上で外せない要素ですか?

Grace もちろんそうですね。小さい頃はエイサーをやっていましたし。あと、街を歩いているとBEGINの曲はよく流れてるし、沖縄アーティストの音楽は無意識のうちに聴いて育ちました。大きくなって、自分で音楽をやり始めてから、そういう人たちからの影響って確実にあるんだなって気づきました。

YouTubeでは小さい頃に歌っていた歌を歌おうって言って弟と始めたんですけど、沖縄のアーティストもそうですし、あとは『THE HOUSE OF RISING SUN』(邦題:「朝日のあたる家」アニマルズ)とかお父さんの影響でカバーしてましたね。

── そこは結構意外ですよね。

Grace 家族みんな好きな音楽が違うから、自然となんでも好きになっていったんですよ。おじいちゃんはオールディーズ、おばあちゃんは演歌、お母さんはレゲエとかコールドプレイとかマルーン5とかが好きで、兄妹でも全然違うし。それをみんなでシェアしていくうちに私もいろんなものを聴くようになりました。だから今でも好きなジャンルはこれって言えないんです。だから「好きなジャンルは?」って訊かれたら、「サンシャイン・ミュージックだよ」って返してるんです。答えになっていないけど(笑)。

── 明るい音楽っていうことですか?(笑)。

Grace そう。とにかく気持ちが明るくなれる曲だよって。

自分の音楽を聴いてくれた人のことをハグできたらそれでミッションクリア

── 1stアルバム『If』は、まさに家族とシェアしている感じが出ているというか、いろんなジャンルの曲がありますね。

Grace 最初はそこが不安でもあったんです。ちょっとバラけすぎていないかな?って。でも結局Graceっていう人間は、育った文化としても沖縄とアメリカでバラバラだし、これって言えるものがないんですよね。その感じを1stアルバムで出した方がGraceっていう人を表現できるんじゃないかなって思ったんです。とは言え、そのままのGraceだと“ウチナーンチュ”丸出しで、プロのアーティストって感じがあまりにもしないんじゃないかな?ってまた不安になったり(笑)。

でもやっぱり、自分を純粋に出すことの強さには勝てないし、後々ほかの人のインスピレーションになりやすいかなと思って。

── 確かにジャンルは違うんですけど、共通した感じというものがあって。それをうまく言えないんだけど、聴いた後にすごくホッとする感じなんですよね。ヒップホップでもファンクでもロックテイストの曲でも、Graceさんにしか出せない温かさがあって、さっき「好きなジャンルはサンシャイン・ミュージック」って言ってましたが、まさにそんな感じです。

Grace ありがとうございます。それを目指しているのでそう言っていただけてすごくうれしいです。自分が音楽をやる上で一番大きい夢は、世界から孤独をなくしていくことなんです。こんなにたくさんの人がいるのに孤独を感じてしまうっていうことがすごく嫌だなって思ってて。自分の音楽を聴いてくれた人のことをハグできたらそれでミッションクリアだなって思ってます。

── その、孤独をなくしたいっていう気持ちは音楽をやるようになってから芽生えたものですか?

Grace それは小さい頃からありました。老人ホームで働きたいって思っていた時期もありましたし。とにかく私はいろんなタイプの人が好きなんですよ。学校に通っているとクラスにグループってできるじゃないですか。でも私はどこのグループにも入っていけたんです。グループということではなくて、その人を見ていたから、彼のここが楽しいとか、彼女のここが最高っていう感じで。

── それはまさにタイトルトラックの「If」の歌詞にも通じますね。

Grace そうですね。最近は特に現実的な答えばかりが求められる世の中になったなって思うんですよね。黒か白かばかりで。でもその中間だってあるんじゃないのって思うし、むしろ答えが出ない方が幸せだったりするじゃないですか。だから「もし」だけで終わる世界があってもいいんじゃないかなって思ってアルバムタイトルにも「If」っていう言葉を持ってきました。

アルバムの中でもたくさん夢を語っているんですよ。2曲目の「Karaoke Queen」では、いつかみんなが自分の曲をカラオケで歌ってほしいっていう夢だったり、幸せな恋愛をしたいって言いまくってる曲だったり、結構キツイことがあっても、「もし」ってポジティブに変換できたら少しはカラフルになれると思うんですよね。

── 『If』という曲は、まずどういうことをイメージしたんですか?

Grace 高校生の時に書いた歌なんですけど、その頃は失恋から立ち直れてなくて、悲しい歌ばっかり書いている時期で。でも楽しい曲を書きたいって思っているのにどうして書けないんだろうってお母さんに相談したら、「だったら、もし恋に落ちたら何をするか書いてみたら?」って言われたんです。たしかに!と思って。そんな感じで書いたことなかった、オーケー、その感じを自分に引き寄せてみようって作ってみたんです。おもしろいのは、そうやって「もし、何々したら」って書いたことが全部叶っているんですよね。だからやっぱりポジティブに気持ちを引き寄せて出してあげるっていうことがすごく大切なんだなって思います。

── 「If」っていうのが魔法の言葉みたいですね。

Grace 本当にそうですね。人生って魔法だらけじゃないですか。生きてるだけで魔法だと思うんで。それをたまに忘れかけている時があって、夢を見るのは子供の特権みたいに思ってしまっている大人はたくさんいますけど、大人だっていくらでも夢見ていいと思うんですよね。「もう大人なんだから現実を見なさい」ってなんでなんだろう?って違和感がありますね。

── サウンドはドリーミーでポップな感じなんですけど、Chaki Zuluさんとはどういうお話をされたんですか?

Grace 最初はもっと違う感じだったんですよ。もうちょっとメロウっていうか、落ち着いた曲だったんです。それでふたりで「いいけど、なんか違うんだよね」ってなってその日は一旦終わって。次の日Chakiさんのスタジオに行ったら全然違うことになっていて、「全部変えた」って(笑)。それがすごい好きで、「もう完璧!」って思って、その時の自分の気持ちにもぴったり合ってたんですよね。この曲を書いた高校生の頃の自分に聴かせたいって思いました。

── 8曲目には、昨年8月にリリースした1stシングル「Eternal Sunshine」が収録されていますが、「サンシャイン・ミュージック」とはまさにこのことですよね。

Grace そうですね(笑)。リリースする2カ月くらい前に作った曲だったんですけど、歌詞を書き始めてすぐに、この曲は今まで自分が作ったものの中でもトップクラスにいい曲になる!っていう予感があったんです。それでChakiさんのギターリフを聴いた瞬間、これはヤバイ!って確信しました。

レコーディングしているところを動画に録って、すぐに家族に共有しました(笑)。すごいのができるよ!って。この曲で自分がアーティストなんだっていう自覚と自信が芽生えましたね。これからどういう曲を作りたいかっていう方向性が見えたんです。だから「Eternal Sunshine」には一生感謝すると思います。

── ライブは今までどれくらいやって来られたんですか?

Grace コロナでできなかったっていうのもあるんですけど、数回しかやったことなくて。ステージに上がる前はすごく緊張するんですけど、出ていって、パッと目の前のオーディエンスの人たちと目が合う瞬間がすごく好きなんです。きっとみんなそれぞれの人生でいろんなことがあって、そういう個人が一緒の場にいて、私の歌でひとつになれるんだって思うと、もうほかに何もいらないって感じになりますね。もしこのステージで声が出なくなったとしても、今があるんだったらいいやって。ライブにはそれくらい思えるエネルギーがあります。だから世界のあらゆる場所でシェアしていきたい。

── Graceさんなら叶いそうですね。

Grace 絶対叶えます。自信があるんです(笑)。自信がない時もあったりしたんですけど、でも自分が自分を信じないで誰が信じてくれるの?っていうふうに思えるようになりました。結局自分が夢を見ていないと、人も応援できないじゃないですか。だから自分で自分の背中を押さないと何も始まらないんだって思います。

── 改めて、この12曲入りのアルバム『If』、ご自身にとってどういう作品になりましたか?

Grace 自分の気持ちを12曲すべてでオープンにしているので、私自身が子供から大人に成長していった変化の記録でもあると思います。だからこそ、すべての幸せにつながっているアルバムだと思いますね。

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

リリース情報

デジタルシングル「If」
2021年11月5日(金)リリース
発売元:+81MUSIC
配信URL:https://umj.lnk.to/GraceAimi_If

1stアルバム『If』
2021年11月26日(水)発売
価格:3,300円(税込)
品番:UICE-1210
https://store.universal-music.co.jp/product/uice1210/

[収録曲]
01.If (Prod. Chaki Zulu)
02.Karaoke Queen (Prod. Chaki Zulu)
03.Friend Zone (Prod. Mixla & Chaki Zulu)
04.4 AM (Prod. Chaki Zulu)
05.What’s Perfect? (Prod. Chaki Zulu)
06.Rainbow (Prod. Chaki Zulu)
07.Waiting For You (Prod. Chaki Zulu)
08.Eternal Sunshine (Prod. Chaki Zulu)
09.OHAYO (Prod. Sinato & Chaki Zulu)
10.True Feelings (Prod. GC & Chaki Zulu)
11.Forgot With Time (Prod. Chaki Zulu)
12.Are You Okay? (Prod. Chaki Zulu)

プロフィール

Grace Aimi
人々の心を根源的に揺さぶるパワーをもった歌声が魅力のZ世代ポップシンガー。沖縄県出身、2000年生まれのバイレイシャル、バイリンガル。YouTubeにて実弟と共にGracie & Gabeとして活動をスタート。ウクレレに合わせて歌った数々のカバー楽曲動画がSNS上で話題となり、デビュー前にしてチャンネル登録者数は10万人超え、累計再生数は1000万回以上を記録している。2020年8月31日、AwichやkZmなどジャパーニーズヒップホップを牽引するラッパーたちのプロデュース・ワークで絶大な支持を得てきた Chaki Zuluをプロデューサーに迎え、本名のGrace Aimi 名義でデビュー曲「Eternal Sunshine」をリリース。2021年5月には、5thシングル「Rainbow」をリリースし、ロスに本社を置く大手レコードレーベル・US-Capitol Recordsとパートナーシップ締結する。これは坂本九に続き、日本人史上二人目となる快挙。2021年11月に1stアルバム『If』をリリースした。

関連リンク

公式サイト:http://graceaimi.com/
Twitter:https://twitter.com/graceaimi
Instagram:https://www.instagram.com/graceaimiofficial/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCNKoCfbVlLjDhNwrEMgzRrQ

番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW