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マルシィ/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

SNSで話題のマルシィとは何者か?メンバー3人に話を聞く

特集連載

第27回

マルシィ

結成当初から、いい楽曲をいいクオリティで作って発信したいという思いで試行錯誤をしていた

── どんなバンドなのかというのを皆さんに知っていただけたらと思うのですが。まずバンドのはじまりはどんな感じだったのですか?

フジイタクミ ボーカルのうきょうと僕の出会いが最初にあって。当時は、友達の友達という関係だったんですけど、急に「バンドやりたいんだけど」ってすごく無邪気な感じで連絡がきたんです(笑)。そのときにデモも一緒に送られてきたんですけど、それを聴いて一緒にやりたいなと思って、そこからがバンドのはじまりで。初代のギターとドラムとの4人でバンドをスタートしました。

うきょう バンドをしたいなと思っていたんですけど、なかなか一緒にやる人が見つからないし、何のツテもなくて。友達とカラオケに行ったときに、誰かいい人いないかなって言ったら、タクミを紹介してくれて、そこから繋がっていった話なんです。

── うきょうさんのデモの曲を聴いたときの印象は?

フジイタクミ とくにバンドもやったことがないっていうことだったので、最初はナメてました(笑)。

うきょう (笑)。

フジイタクミ でも聴いた瞬間、まず声がいいし歌詞もいいし、メロディもよくて。これはやるしかないだろうって思いました。それが最初にMVを出した「Drama」という曲だったんです。

── そうだったんですね。うきょうさんはいつ頃から曲作りをはじめたんですか?

うきょう(Vo&Gt)

うきょう このバンドをはじめる3カ月前ですかね、ギターもそのときにはじめ、最初はバンドをやる構想はなかったんですけど、自分でも曲を作ってみたいと思っていて。ちょうどいいタイミングでタクミと出会えて、バンドサウンドにしようって思ったんです。

── 曲を作ろうってなったのは、誰かの影響もありますか?

うきょう これという影響は、まだ自分でもわかっていないんですけど、小さい頃から歌が好きで、歌う人になりたいな、とはなんとなくありました。ただカバーをするのは、自分が思い描く理想像とは違ったので、オリジナル曲を作ってみようとなりました。

── おさみぃさんはマルシィとどんなふうに出会うんですか。

おさみぃ 僕はうきょうとバイト先が一緒で、ただシフトが一緒になったことはなかったんです。あるとき初めてうきょうとシフトが一緒になり、ギターをやってるという話になって。うきょうが、「ちょうどバンドでギターが抜けたので、よかったら僕らの曲なんですけど」って、それこそタクミと同じような感じでデモをもらったんです。
聴いてみたら、いい声だな、メロディもいいし歌詞もいいしって思って。このバンドであればっていうので、一回スタジオに入ってみようとなったんです。そのときはまだサポート的な位置だったんですけど、2019年の1月に正式に加入しました。

── バンドがスタートして、どんな活動をしていたんですか?

フジイタクミ オーソドックスなバンドらしい活動でした。自分たちのバイト代をつぎ込んでライブするというか。ごくごく普通に活動をしていた感じで。

── その中で、何かマルシィというバンドの方向性が見えてきた瞬間はありましたか?

うきょう 僕らは結成当初から、いい楽曲をいいクオリティで作って発信したいという思いで試行錯誤をしていました。レコーディングとかも、さっき話に出た「Drama」も最初のメンバーともデモを録ったりしていたんですが、僕自身知識がなかったし、感覚だけでやっていたのでどこか自分が思うイメージとは違っていて。その後おさみぃが入って、これだっていうギターの音色とメロディができて、自分が思うサウンドを作りやすくなっていきました。そこからより加速していったのはありましたね。これをどうやって世の中に発信していくかというところで、MVの作り方をみんなで一緒に考えながら世に届けていったという感じでした。

── そのくらい、この曲を大事に届けなきゃという思いが強くあったんですね。

フジイタクミ(Ba)

フジイタクミ 最初のうきょうのデモの時点からそうですけど、いい曲だなっていうのがあったし。毎回、うきょうの書いてくる曲が本当に良くて(笑)。僕らはそれを形にするというかね。

おさみぃ うんうん。

フジイタクミ その曲をよりよい形でいろんな人に届けていくというのはありました。

もっとどんどんいいものを届けていきたいなという気持ちにならせてもらっている

── 現在リリースされている曲はすべてラブソングで、マルシィと言えば切ないラブソングというリスナーも増えてきました。ふたりへのデモの話も出ましたけど、うきょうさんは最初からラブソングを書いていたということですね。

うきょう そうですね。「Drama」とかを書いていた時期に、曲に繋がるようなことがありまして(笑)、そういう歌を書いたんです。今後はラブソング以外の曲ももちろん書いていこう、書きたいなと思っているんですけど、より共感してもらいたいというか。自分もいろんな経験があったので、わかりあえたら嬉しいなって思って曲にしていった感じでした。

── これまでの曲はYouTubeにMVが上がっていますが、本当に共感コメントがたくさん寄せられていますね。

うきょう すごく救いですね。

── “何で自分の気持ちをこうも言葉にしてくれるのか”とか、“大好きだけど知られたくないバンド”など自分の歌にしてくれているんだなというリスナーの方が多い。こうした反響は、次に作る上での糧になるんですか?

うきょう 伝わったなということが、なにか自分が認められたじゃないですけど、その人には届いたんだなっていうか。コメントだけで、まだ対面で実感することはないんですけど、もっとどんどんいいものを届けていきたいなという気持ちにならせてもらっている感じです。

── 曲作りで、サウンド面については全員で作り上げていく感じですか?

おさみぃ 曲にもよるんですけど、うきょうが弾き語りで曲をフルで作ってきて、こんな曲できたんやけど、ってスタジオで合わせていくというのが多いですね。

── その時点では、メロディに歌詞ものっている状態ですか?

うきょう 歌詞は一応のっているんですけど、最近は後から変えることも多いですね。サウンドもそうですけど、みんながいろんなことがわかってくると、その分こだわりも強くなっていくというか。自分が追い求めているサウンドや歌詞の世界観への要求がどんどん高くなってきて。それを一生懸命、メンバー含めて追求していっているという感じです。

── 歌詞があることで広がるイメージというのはありますか?

おさみぃ(Gt)

おさみぃ デモで送られてくる段階では仮の歌詞の場合が多いので、歌詞ということよりも、曲の世界観というか、メロディの旋律からイメージを膨らませながらギターを考えたりもします。大まかなテーマが例えば恋愛であったら、失恋の悲しいサウンドなのかなとかを自分で模索しながら、スタジオに入ってみんなで合わせていくという形ですね。

フジイタクミ ベースの場合は、あまり曲の世界観とかとは関係ないところにもなってくるので、語るのは難しいですね(笑)。

── (笑)。ちなみに音楽性やルーツっていうのは3人、近しいんですか?

うきょう 全然違うと思いますね、ふたりは近いのかなと思うんですけど。

フジイタクミ 僕ら(フジイ、おさみぃ)はX-JAPANが大好きで。あのライブ映像とかを観てバーン!と雷が落ちてという感じで。楽器をはじめるきっかけになりました。

おさみぃ まったく一緒ですね。僕もX-JAPANの映像を観て、ギターをはじめました。

── 意外なバンド名が(笑)。X-JAPANを聴いてビビッときた少年が、うきょうさんの曲に惹かれて一緒にバンドをやっているというのは面白いし。何かグッとくる琴線みたいなものがあったんでしょうね。

おさみぃ 面白いですよね。僕自身、X-JAPANの楽曲をコピーしてきて、それがマルシィの楽曲に100パーセント活かされているわけではないですけど、ガツッとくるサビ感やパワーといった面は結構反映されている部分ではあります。シューゲイザー的な要素であったり、飛び道具的な空間系の音とかは活かされているのかなっていう印象はあります。

── うきょうさんはどういったものが好きだったんですか?

うきょう 僕は、これというアーティストがあまりないんです。小さい頃から親が聴いていたDA PUMPやカーラジオで流れている音楽だったり、学校で流行っているポップス──例えばGReeeeNや清水翔太とか、みんなが聴いていたような音楽を一緒に聴いて育ってきて。そういうのが統合されて、今の感覚がある感じです。

── J-POPというのが身についている。

うきょう そうですね。でも最近は洋楽ばかり聴きあさっています(笑)。ショーン・メンデスとか……あとはビートルズを全曲聴いて吸収しているというか。サウンド的にも学ぶことが多いですね。

── ビートルズの話が出ましたが、今回のシングル「花びら」の編曲をしている島田昌典さんとは話があうのでは。

うきょう 島田さんの影響はありました(笑)。ビートルズも聴いたほうがいいよって言われて。これを聴いたら島田さんみたいになれるんだなって思ったら、聴くしかないだろうと。

自分の感情を大事にして、それぞれの楽曲に込めていきたい

── 島田さんとのいい出会いがあったんですね。では改めて今回のシングル「花びら」について、聞いていこうと思います。この曲で、うきょうさんがテーマとしたものはありましたか?

うきょう 感情的な楽曲にしたいなとは思っていました。いつも曲を作るときに、サビのメロディの強さを意識して大事にしています。歌詞の世界観としては、別れや自分の思いとは裏腹にことが進んでいってしまう……例えば学生生活なら、最終学年で3月がきたらどうやっても終わってしまう、そういう抗いようのない別れというものに対して、楽曲を描きたいなと思っていたんです。

── その心が追いついていない感じが、サビに出てくる《まだまだまだまだまだ嫌だ》というとても印象的なフレーズになるんですね。

うきょう そうですね。気持ちと、進んでいる現実というのがリンクできていないというか。それでああいう歌詞になりました。

── これはマルシィのどの曲にも言えることですが、頭の1行目で、まずグッとリスナーを引き寄せる感じ、どういう曲なのかシチュエーションがわかるような感じがありますね。「花びら」だったら《窓に映る景色が 瞬く間に離れていく》《愛しい顔も声も匂いも さよならなんだね》という、別れの直後なのか、電車でどんどんと距離が離れて行くシーンが描かれていく。

うきょう 1行目はフックというかつかみになると思っていて、なので慎重にというか、どうやったらその続きを聴いてもらえるかを考えながら作ります。

── サウンド面では、今回どのようなところを重視しましたか?

フジイタクミ この曲はロックバラードというか、サウンド自体はエモーショナルな感じになっているので。レコーディングでも、熱く弾かせていただきましたね(笑)。

おさみぃ ギターのサウンドとかも後ろの方は歪んでいるので、結構ロックなサウンドになっていても、ストリングスとうまくそれが絡み合っていて。それこそ、エモーショナルな感じになりました。間奏のギターはオクターブという奏法を使っているんですけど、それがMVともうまいこと絡んで、すごくいい作品になったなという印象ですね。

── フレーズを考えているときは、具体的にシーンも浮かんでいることも?

おさみぃ そうですね、フレーズ自体を考えるときは、自分の中での仮のMVじゃないですけど、いろんなMVを頭の中で想像したり、妄想することが多いですね。その方が感情的なフレーズを作りやすいので。

── うきょうさんが曲作りをする際は、どういうところから曲の種みたいなものが生まれるんでしょう。

うきょう 曲を作ることが日常茶飯事で、録りためているものもたくさんあって。その時々によるんですけど、実際の感情を原体験としてバーッと書くことや、映画とかに影響を受けて書くこともあったり。パターンとしてはいろいろな作り方をしているかもしれないですね。ただ今までリリースされている楽曲となると着想はリアルなことが多いかも。リアルな感情にフォーカスして、そこから広げていくパターンが多いですね。

── それは恋愛に限らず心が動いた瞬間が、曲のもととなっていく。

うきょう そうですね。それが恋愛のときももちろんありましたし、恋愛じゃないこともありました。

── 恋愛の曲というのは、書きやすさみたいなものはありますか?

うきょう 確かに書きやすさはあるのかもしれないですけど、リリースしている曲では全部が恋愛の曲なので。次はこういうふうにしてみようとか、見えてくるものがあるというか。自分の中ではどんどん成長をしていきたいなと思っているんですけど、そうなれていたらいいなと思ってます(笑)。

── 前作「プラネタリウム」と、今回の「花びら」だけでもだいぶ違う恋愛のテンションが描かれますね。そこがマルシィの面白いところで。失恋ソングというのは世の中にたくさんありますが、「プラネタリウム」のようなはじまりの高揚感、盛り上がってる気持ちを鮮やかに描いているのも、またいいなと思います。

うきょう いろいろ書いていきたいというのがありますね。恋愛でもいろんな場面があって、どこを切り取るかとか、どちらの視点に立つかとかもあるじゃないですか。第三者がいることもあると思うし、いろんな楽曲が書けると思うんです。自分の感情はこれからも大事にして、それぞれの楽曲に込めていきたいなと思っています。

一歩一歩進んでいって、より多くの人に届けられたら

── 12月17日には地元福岡で初のワンマンライブでは、たくさんの応募があり、チケットが争奪戦となりました。この反響、状況は自分たちではどう感じていますか?

フジイタクミ 僕がいちばん喜んでたかもです。何度もライブをしようという話をしていたし、久しぶりのライブだったので、やったーっていう感じで。最初は、これだけたくさんの人がライブを観たいと応募してくれるとは想像もしてなかったので。

おさみぃ この3人はとくにですけど、過去にお客さん0人ライブも経験してるので──。

うきょう あのとき、ひとりお客さんがいたんだよ(笑)。

おさみぃ そうだったんだ、僕は0人のつもりでやってた(笑)。そういうライブも経験していたので、たくさんの人が応募してくれたことはうれしいし、ありがたいなって思いました。

うきょう ワンマンライブというものが初めてだったので、どのくらいの人が来てくれるのかもまったく予想がつかない状況でのスタートだったんです。だから、たくさんの人が応募してくれて、ホッとした気持ちもありました。来てくれる人たちの上がっている期待値に応えないといけないなとは思うので、その分練習も頑張っていかないといけないなって思いました。

── バンドが活動をはじめてからは、コロナ禍でライブができない時期も多かったと思います。でもその間にMVやストリーミングの再生回数がものすごい桁で伸びていきましたね。自分たちの曲が広がっているなという実感はあるんですか?

フジイタクミ ライブをしていないというのがあったので、お客さんを目の前にしていないじゃないですか。数字は伸びているけど、その実感というのはとくになかったんです。これから、楽しみだなあって。

── これまでも大きなプロモーションがあったわけでなく、口コミで曲が広がっていった事実は強みになると思います。今回は「花びら」がJ-WAVEのSONAR TRAXに選出されてたくさんオンエアされることで、マルシィを知ってくれる人も増えると思います。ここからもまた楽しみですね。

うきょう 本当にどうやって広がっていったのか、自分たちでもあまり把握できていないところもあるんですけど。いい感じで聴いてもらえているのは嬉しいなって思っています。本当に、一歩一歩進んでいって、より多くの人に届けられたらいいなと思っています。

── ワンマンライブ後、また2022年で目標にしていることはありますか。

うきょう 楽曲の面でいうと、新しいサウンドを取り入れたいというのが自分の中であって。今までの楽曲も少しずつ違いはあるんですけど、大幅にサウンドが違うものや雰囲気の違う楽曲に挑戦したいなとは個人的に思っていて、メンバーにも話しているんです。いつ頃皆さんに聴いてもらえるようになるのかはわからないですけど、そういうこともやっていきたいなと思います。あとはバンド活動でいうと、今まであまりライブができなかった分、できるだけいろんなところに行ったりとか、本数もたくさんやりたいなと思っているので、2022年は楽しみにしていてほしいです。

フジイタクミ SNSとか見ていると、ライブに来てほしいという声も見かけるので。

うきょう 確かにそういう声があるのはわかるんですけど。いざ行って、全然来てなかったらどうしようっていう心配もあるんです(笑)。でもみんなが、絶対大丈夫やって言ってるので。怖いですけど、いろんなところに行きたいなと……。

フジイタクミ うきょうくんが一番心配性なんですよ(笑)。

うきょう だって、わからないじゃないですか。

── そういう心配性なところって、自分の曲でも出てるなって思いますか?

うきょう 結構出てると思います。「プラネタリウム」とかはわかりやすいかもしれないですね。

フジイタクミ うん、「プラネタリウム」はとくに出てますね。付き合いたてのワクワクな頃を描いてるのに、その先のことまで心配しちゃうっていうのは、“らしい”よね(笑)。

Text:吉羽さおり Photo:吉田圭子

リリース情報

デジタルシングル「花びら」
12月1日(水)リリース
marcy.lnk.to/Petals

ライブ情報

●詳細は公式サイト、SNSでご確認ください。

プロフィール

マルシィ

Vo & Gt うきょう、Ba フジイタクミ、Gt おさみぃの3人組。
福岡発“マルシィ”。透明感溢れる歌声、恋の思い出が想起する切ない詩世界、ドラマチックでエモーショナルなサウンド“歯がゆさと苦しさ”が混じり合う等身大のラブソングを展開。SNSの口コミから広がった失恋ソングがZ世代の女性を中心に話題を集めている。2021年12月にデジタルシングル「花びら」をリリースした。

関連リンク

公式サイト:https://marcy.lnk.to/music

番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW