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asobi/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

6人組ミクスチャーバンド・asobi バンドの存在と曲作りの根底には「アソビ」がある

特集連載

第37回

櫻井海音が最新のリリース楽曲からライブイベントまで、“いま聴くべき音楽” を厳選して紹介する『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』から、番組連動インタビューを掲載。今回は、2月2日に新曲「On Repeat」をリリースした6人組ミクスチャーバンド・asobiから、LaineyとIsami Shojiが登場。バンド結成から曲作りについて話を聞いた。

やっていくんだったらこの6人だなっていうのは最初に思いました(Lainey)

── 最初から6人だったんですか?

Lainey そうです。僕らは大学のサークルで知り合ったんですけど、そこで特に6人でバンドを組んだりっていうことはなかったんです。気の合う音楽仲間というか、友達というか。で、そのまま社会人になって、ある時から僕がDTMで音楽を作りはじめたんです。それで、そこにラップを乗せたりして気楽に遊びたいなっていうところから僕が声をかけて、一気に6人が集まってできたのがasobiです。

── その時点でメンバーのそれぞれは個別に活動をしていたんですか?

Shoji いや、ちゃんと音楽をやっていたのは後藤スパイシーだけでしたね。彼だけはひとりで弾き語りの音楽活動をしていましたけど、僕も含めてあとのメンバーは活動と言えるほどの活動はしていなかったんです。

Lainey 音楽を作ってそれをちゃんと外に出していくっていう活動をしていたのは、そうだね、後藤スパイシーだけだったね。

Shoji 俺とか、荒幡とかもかな? 個人的にちょっとだけ、SoundCloudで表に出したりっていうのはあったかな。

── Laineyさんはどうして他の5人に声をかけようと思ったんですか?

Lainey 単純に仲が良くて雑に扱っても良さそうだったからです(笑)。

Shoji もっと歌を評価してくれよ(笑)。

Lainey ははは。もちろん歌がうまいとか楽器がうまいっていうのはあったんですけど、それよりも一緒にバンドをやるんだったら、仲の良さって絶対に外せないなって思ったんですよね。しかも6人みんな個性的でクセが強いし。やっていくんだったらこの6人だなっていうのは最初に思いました。

Shoji 本当に素晴らしい6人だと思いますね。

Lainey うん。バランス感いいよね、すごく。

Shoji すごい仲良いけど、かと言って、大学の時にめちゃくちゃ一緒に遊んでたかと言ったらそういうわけでないしね。

── ベタベタしてる感じではなかったんだ。

Shoji そうそう。同じサークルにはいるけど──。

Lainey プライベートで遊ぶってことはほぼなかったかな。そういう距離感も良かったのかもしれないですね。こんなにうまくがっちりハマるとはっていう感じですね。

── Vo +2MCというのは最初の構想にあったんですか?

Lainey そこも結構適当というか。オールドスクール的なヒップホップが好きなので、複数人で同じヴァースをマイクリレーしていく感じっていいな、くらいの漠然としたイメージでしたね。

Shoji サークルの時もそんな感じでコピーバンドをやったり、夜中に変な曲をセッションしたりっていう感じだったし。それがみんな社会人になって、息抜きのために集まったっていうところからスタートしていますね。

── じゃあ本当にバンド名そのままの成り立ちなんですね。

Lainey まんまその通りですね。

── 何かのジャンルをやろうと思って始めたわけでもないですよね。

Shoji もう全然。俺はいまだにジャンルって何のことかわからない。

Lainey 僕がもともとR&Bとかが好きだったので、自ずと作るものがそっちに寄っていくっていうのはありますけどね。

Shoji でもその上にみんなが好き勝手に乗っけ出すと何がなんだかわからないものが出来上がるから。結局それぞれのルーツはバラバラなので。いったい何なんだろうね、俺たちのジャンルって。

Lainey 俺はJ-POPだと思ってるよ。

Shoji そうだね。

6人でずっと大喜利をやっている感覚(Lainey)

── 曲作りの基本形は、まずLaineyさんがトラックを作ることからですか?

Lainey それもひとつのパターンですね。もうひとつのパターンは、Shojiが弾き語りとかで自分のボーカルを録ったデモトラックを作ってきて。それを僕がトラックアレンジして、そこにみんながそれぞれのパートをパズルみたいに埋めていくっていうものですね。

Shoji そのふたつのパターンが半々って感じだよね、今のところ。だからベーシックの部分は、僕とLaineyさんで話し合ってっていう感じになりますね。例えば、ヴァースのここの16小節は、荒幡と後藤スパイシーに空けておいてっていうのを決めていったり。

── じゃあリリックとメロディは3MCそれぞれに任される?

Shoji 完全にそうですね。僕らの曲というのは最終的にそれぞれが作ったものをガッチャンコしただけなんです。

Lainey だから曲のテーマとかないことが多くて。

Shoji いや、あるんだけど、俺が作ったやつとかは特に。こういうイメージで作りましたって言って後のふたり(荒幡&後藤)にこんな感じでリリックを書いてって託すんだけど、無視されます(笑)。

Lainey 完全にね(笑)。

Shoji 後藤スパイシーは、少しは空気を読んで俺のイメージをなぞってくれるところはあるんですけど、荒幡は本当に無視しますね。俺は恋の歌を歌っているのに──。

Lainey 過密都市東京の批判をずっとしているっていう。Shojiは、君が笑うと君のことしか見えないよって甘いこと言ったりしてるんですけど、その裏で荒幡は、今日も満員電車に揺られて人生を消費してます、みたいなことを言ったりする(笑)。

── 「Empty Room for Two」だ(笑)。

Lainey & Shoji 〈真空パック詰めされた human運ぶexpress〉。

Shoji でも、確かに俺と言ってること全然違うんだけど、だからと言ってそれを「違う」って言わずに、そのままOKなのが俺らのいいところです(笑)。

── 曲を作った人としてそれはアリなんだ。

Shoji 全然アリですね。リリックの内容やメッセージよりも聴き心地を重視しているので、そのフレーズがいいなって思うものであればOKですね。

── 6人で共通している感覚はどういった部分ですか?

Lainey 一言で表現するのは難しいですけど、とにかく楽しんでやってるってことですかね。

Shoji 俺もそう思った(笑)。

Lainey バンドってやっぱり複数の人間が関わってひとつのものを作っていくので、衝突してしまうことってあるじゃないですか。でも僕らにそれはないんですよね。もう6人でずっと大喜利をやっている感覚というか。

Shoji はははは。

Lainey 酒飲んで大喜利しかやってないんじゃないかな(笑)。

Shoji でも本当に俺らの曲作りは大喜利なのかもね。俺の作ったこれおもろいやろ、みたいな。

Lainey そうそう。

── なるほど。何かを目指してやっているわけでもないから、そこに対して「これ違うじゃん」とはならないっていうことですよね。

Shoji まさにそうですね。

Lainey あるべき形というのを持たないのが、僕らの強みかなと思います。

Shoji さっきも言ったみたいに、それぞれ作ったものをガッチャンコしてるけど、通しで聞いた時にまとまった感じがするしね。ガチャガチャした感じがないって言われることも多いし。それは俺らが培ってきた関係性というのもあって、全然違うことをやっていても自ずとまとまるのかなっていう信頼みたいなものはありますね。

認められる場所ができたっていうのは生きる活力になっています(Shoji)

── SONAR TRAXにもなっている「On Repeat」ですが、いきなりド頭のサビから掴まれますね。

Lainey & Shoji うれしい。

Shoji 頭のラジオエフェクトのところは最初なかったんですよ。普通にイントロがあるだけだった。

Lainey ピアノにボイスサンプルだけでした。

Shoji なんかそれだとちょっと物足りない感じがして。イントロを全部カットしてサビからドカンと入っちゃおうかっていうのも話して作ったりしたんですけど、それもそれでなんか俺的には唐突感があるなと思って、それでプロデューサーとレコーディングエンジニアとも相談して、最後の最後にラジオエフェクトの部分を付け足したんですよ。そしたらすげーいい感じにハマりました。

Lainey うん。あれはすごい良かった。

── あれで曲の雰囲気が決定づけられますよね。匂ってくるというか。これは曲作りのパターンとしてどっちのタイプですか?

Shoji Laineyさんのトラックがあって、そこにそれぞれが乗っけていくパターンですね。

── ということはあのキャッチーなサビはそこを歌っているShojiさんが作ったものだ。

Shoji そうです。

Lainey Shojiはキャッチーマシンなんで(笑)。

── そしてそのキャッチーマシンShojiから、シニカルラッパー荒幡へバトンが渡されます(笑)。

Shoji はははは。

Lainey 今回、彼は資本主義に対する批判をしています。

Shoji 俺はまた失恋の心情なんかを、切なく歌っているんですけどね(笑)。

── 荒幡さんにしても後藤スパイシーさんにしても、ゴリゴリにラップをやっていたというわけではないですよね?

Shoji そもそも誰もラッパーと名乗ってないですからね。後藤スパイシーはもともと弾き語りでフォークをベースにやっていた人だし、荒幡はめちゃくちゃラップうまいんですけど、出自がラッパーというわけではないですね。

── そのへんのシリアスではない感じというか、何かを背負ってない感じというか。ラップというものを音楽的なマテリアルのひとつとして捉えて、全体の音楽を作っている感じがasobiっぽいと思いました。

Lainey だからあくまで僕らにとってのラップっていうのは、今のヒップホップに求められるようなリアルさとかっていうことではなくて、おっしゃったように音楽の一要素でしかないという感じはありますね。

── 2サビ以降の展開がまた神がかってますね。R&Bからスッとシティポップに移行していく感じが。

Shoji まさにシティポップにするって言ってたもんね。

Lainey 僕はR&Bが大好きなんですけど、そう言えばasobiでちゃんとR&Bをやったことなかったなっていうのもあって。メインのトラックは重めのビートの中に、サックスなんかも入れたR&Bになっているんですよね。でもそれだけじゃasobiの音楽にならないんですよ。どこまで展開して振っていけるかっていうのを、これまでも大事にして作っていたので。じゃあR&Bから振るならシティポップだろ!って思って。DJがまさに曲をつないでいくように、リバーブを深めにかけて曲の背景をフワッとさせて、次にバツッと違うジャンルの曲が入っていくっていうイメージで展開していきました。

── 確かに。DJがスピンしている感じですね。そこからまた、後藤スパイシーさんのボイスチェンジャーのかかったボーカルで切ないメロがきて、荒幡さんのオールドスクール然としたラップが入って、最後、アウトロのメロがまた気持ちいい。ここがあるのとないのとでは曲の雰囲気は全然違うものになりますよね。

Shoji 俺もあのアウトロのメロディはすごく気に入ってます。その前に出した「Second Guesses」の時もアウトロに全然違うメロディを入れたんですけど、好きなんですよね、サビで終わった後に違うメロディをねじ込むっていうのが。なんでかわからないんだけど、アウトロのメロってパッと思いつくことが多いんですよね。

Lainey いつもナイスなメロを持ってくるよね。

Shoji ありがとう。

── 全部ができてからアウトロのメロを加えるんですか?

Shoji そうですね。俺が作ってない曲だとサビしか歌えないっていう場合もあるから、サビ以外も歌いたいなって思って最後に入れます(笑)。

── 「On Repeat」というタイトルは最初からあったものですか?

Shoji だいたい俺がタイトルをつけるんですけど、サビの歌詞の一部から抜き取ってタイトルにすることが多いですね。

── この言葉を抜き出したのはどうしてですか?

Shoji 失恋してBARに行って、そこのマスターに「今かかっている悲しい曲を繰り返しで流してよ。失恋の悲しい気分に浸りたいから」っていうのが歌詞の内容なんです。曲を繰り返して流すっていう意味と、またこの先も同じ失恋を繰り返すんだろうなっていうふたつの意味を込めて「On Repeat」にしました。

Lainey 結果的に、最初ラジオボイスから始まって、アウトロの後にまたラジオボイスに戻るっていう感じが「On Repeat」っていうタイトルが全体を表しているなと思いますね。

Shoji 後付けだけどね(笑)。でも結果いいタイトルだったね。

── 「On Repeat」っていう言葉に切なさが凝縮されているような気がしていて、asobiの曲も、ただ単に楽しいとか気持ちいいってことではないじゃないですか。どこか醒めた感じがあるというか。

Shoji 特に俺の歌詞は切ないものが多いですね。

Lainey 切なエロ歌詞ね(笑)。

Shoji そうそう(笑)。あんまりハッピーな恋とかなくて、基本フラれたりする切ない恋を描くことが多いですね。そういう僕のイメージとか感覚をLaineyさんはきちんと汲み取ってトラックを作ってくれますね。

Lainey 僕もバキバキのヒップホップとかよりも、どちらかというとm-floが好きだったり、ストリングスとか生楽器の表情を大事にしたトラックが好きなので、そういう感覚はすごくわかるというか、シンクロする部分なんですよね。

── どのあたりからasobiというバンドに確信を持てるようになりましたか?

Shoji 最初は全然なかったよね。

Lainey でも俺は最初っからあったんだよね。「Self Pleasure」という曲を初めてasobiで作った時に、「俺ら絶対STUDIO COASTでライブできるから!」って言いましたもん(笑)。

── 実際、曲を発表するごとに注目されて評価も高まっていきましたよね。

Shoji そうですね。例えばSpotifyで今どれくらいの人が聴いてくれているかっていうのを見たりすると、受け入れられているんだなっていう実感を持てたりはしますね。

Lainey あと僕が個人的に思っているのが、asobiを聴いていますっていう人のプロフィールに書いてある、他にこんな音楽を聴いていますっていうアーティストが、僕が最初に狙っていたところに刺さっているなっていうのは感じています。もしくは、単純に僕が好きで聴いていた音楽を同じように聴いている人たちにasobiも受け入れられたりとか、そういうところでの広まりというのはすごくうれしいですし、自信になりますね。

Shoji 人間性が変わるくらいうれしいですね、そういうのは。認められる場所ができたっていうのは生きる活力になっています。

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

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リリース情報

ニューシングル「On Repeat」
2022年2月2日(水) 配信リリース
Streaming/Download:https://big-up.style/DHtFZd98JP

ライブ

FAM
日程:2022年3月13日(日)17:30開場/18:00開演
会場:下北沢 近松
出演: asobi/NADEGATA&LOVING HEART LOS/KKIICHIII/Cardigan boy/國/Gretchen Grundler
料金:前売2,400円/当日2,900円(入場時ドリンク代が必要)
公演詳細・チケット⇒https://chikamatsu-nite.com/schedule/2022/03/13-id1829.php

PROP UP BOX
日程:2022年4月11日(月)18:00開場/18:30開演
会場:OSAKA MUSE
出演:asobi/ego apartment/the engy/YonYon
料金:前売2,500円/当日3,000円(入場時ドリンク代が必要)
公演詳細⇒https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/4454
チケット⇒https://w.pia.jp/t/propupbox/

プロフィール

2019年秋、東京にて結成された6人組バンド。メンバーは、荒幡勇樹(MC),三枝(Ba),後藤スパイシー(MC),Isami Shoji(Vo),Lainey(Trackmaker),Comassan(Gt)。2021年1月にリリースされたシングル「Empty Room for Two」が、Spotify公式プレイリスト『TOKYO RISING』に選出され、配信1カ月で100,000再生を達成。 続くシングル「Daisy」もSpotify各プレイリストに軒並み選出され、J-WAVEやFM802でもオンエアされ話題となる。“MINAMI WHEEL 2021”や、新イベント”OMUNIUBS The Circuit回遊”にも出演するなど、ライブにも定評があり、“生楽器と電子音楽が融合した、現代的かつメロウなサウンド”、“それぞれに完成されたスキルを持つ3MC” “R&B/HIPHOPをベースにした幅広い楽曲ジャンル”は、既に国内外を問わず幅広いリスナー層に支持されている。

関連リンク

公式サイト:https://asobi.online/
Twitter:https://twitter.com/official_asobi
Instagram:https://www.instagram.com/official_asobi/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCWHDwaM4tycne80Y8FP-Byg

番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW