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Tani Yuuki/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

10代から圧倒的な支持を集める注目のシンガーソングライター・Tani Yuuki 「挫折があったから今の環境がある」

特集連載

第42回

櫻井海音が最新のリリース楽曲からライブイベントまで、“いま聴くべき音楽” を厳選して紹介する『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』から、番組連動インタビューを掲載。
今回は、デビュー曲「Myra」がTikTokやYouTubeを通じて10代から圧倒的な支持を集め、2021年5月にリリースしたシングル「W/X/Y」が現在もロングヒットを記録中の23歳シンガーソングライター・Tani Yuukiが登場。CDとして音源を出す意味や楽曲制作においての思い、難しさについて話を聞いた。

自分に嘘をつかずに本音で曲を書いてきた

── まさに取材日当日に2021年12月に配信リリースした1stアルバム『Memories』がCDパッケージとしてリリースされました。CDをリリースするというのはTaniさんの世代にとってはどういうものなのでしょうか?

正直、より多くの人に聴いてもらえる感覚というのはサブスクの方が感じられるし、そこがメインなんだな、とも思いますけど、一方で僕の親世代の人にとってはCDを出すっていうことがそのままプロのアーティストとして認められた証というか。だから自分の親に説明しやすくなりました(笑)。

── なるほど(笑)。ちゃんとアーティストとして活動していますよと。

そうです(笑)。今回『Memories』を正式にCDリリースをする前に受注生産の限定CDとして発売したんですけど、そこにはサプライズ特典としてサイン入りのポストカードを封入していたんです。そしたら僕の父が息子を応援するために大量発注してくれて。結果、自分の息子のサイン入りポストカードがたくさん届くという(笑)。なんだか父に向けてサインを書いたような気がして面白かったです。

── アルバム『Memories』についてお聞きします。14曲というボリューム感もそうなんですが、タイトルからも想像できるように、一旦ここまでの自分の歩みを1枚にまとめようという意識が強かったんでしょうか?

そうですね。おっしゃる通り、それまでの2年くらいの時間の中で書いてきた曲、お世話になった人々とのつながりをまとめるという意味で『Memories』なんですけど、いざアルバムを1枚制作するとなったら、さてどうしたらいいんだろう?って戸惑ってしまったんですよ。
というのも、アルバムというのは基本的には頭の1曲目から順に聴いていって楽しむもので、確かに僕の両親はそういうふうにして聴いていたなと。でも僕にはそういう習慣がないというか、アルバムというよりもプレイリストという感覚の方が強いので、普通に3曲目から聴いたりするんですよね。だからアルバムってテーマやコンセプトを設けないと、まとめる意味合いが見出せないなって思ったんです。ただ、じゃあそのテーマって何?って言われたらなかなか出てこなくて。1曲単位ではやりたいことがあってそこを表現していくわけですけど、アルバムという単位でやりたいことというのが、全然思い浮かばなかったんですよね。

それで迷った末に、僕自身はこれまで自分に嘘をつかずに本音で曲を書いてきたし、それがそのまま僕に関わってくれた人との思い出になっているよな……そうか、じゃあ今までの思い出というのが一番しっくりくるかもしれない、よし、『Memories』にしちゃえ!ということでこうなりました。

── 実際に14曲がまとまって見えたものというのはありましたか?

まったく意識はしていなかったんですけど、アルバムにまとめて俯瞰して見たら、僕が音楽を始めたそもそものきっかけというか、理由みたいなところに帰っていくものになっているな、というのを感じましたね。そこで一度、自分をテーマにした曲ばかりをまとめたことで、次はもう少し世界を広げるというか、自分から離れたところにあるものをテーマにした曲も書いてみたいなって思えるきっかけにもなりました。

「Myra」が大きな壁として立ちはだかった

── さらに少し時間を遡ってお聞きします。Taniさんにとって「Myra」という楽曲は重要な最初のきっかけになったものですが、それまでの音楽的歩みは順調だったんですか?

結果的には、僕の存在と歌を見つけてもらえるまでの時間は早い方だったと思います。だけど順調だったかと言われたら、そうでもなかったな、というのが正直な実感ですね。高校を卒業して音楽の専門学校に入ってオーディションを受けまくったんですよ。けど、いいところまでは行くけどダメでっていうのを繰り返して、卒業間近に受けたオーディションにようやく受かったんです。
それでメジャーデビュー目指してがんばろうっていう感じでやってたんですけど……鶴の一声というか大人の事情というか、すべてがなくなっちゃったんです。こういうことって本当にあるんだ!って思いました(笑)。学生という肩書きをなくして、ようやく掴んだチャンスだと思ったのに、それも一瞬でなくなって、急に社会の荒波に揉まれる感じで、明日からどうしようっていう状態で。それで、なけなしのお金でPCを買ってひとりでやるしかないって思ったんですよね。

── そこでDTMを始めたわけですか?

そうなんですよ。だからもし、あの時受けたオーディションのプロジェクトがなくなってなかったら、ひとりで音楽を最初から最後まで作るという今のスタイルはなかったと思います。あるいはもし、そのプロジェクトがそのまま進行していたら、この未来はなかったでしょうね。しかも今お世話になっているマネジメントの社長はその時のオーディションの審査員の中にいた人なんですよ。

── へー!

それで、「Myra」で一気に注目された時に、いろんなところから契約の話が舞い込んだんですけど、当然そんなの見てもわからないですから。それでいろいろと相談に乗っていただいたところから今のチームが始まったんです。他にもカメラマンさんや今関わっていただいている様々なスタッフの方の多くはダメになってしまったプロジェクトの時にお世話になった人たちで。だから自分で切り開いた現在から過去に行って、ひとつひとつ回収していくみたいな感じでしたね(笑)。頓挫した時には、なんて無駄な時間を過ごしたんだ、とも思いましたけど、やっぱり無駄なことってないんだなって改めて思いました。それもこれも出会う人たちに恵まれたからだと思います。

── 「Myra」がSNSを通じて一気に広まり一躍注目を集めました。ただ、このヒットというのは当然予測もつかないものだったわけですよね。

もちろんそうですね。だって「Myra」はマスタリングもしてないんですよ(笑)。狙ってバズるのならそれに越したことはないんですけどね。

── それで言うと、「W/X/Y」はどうなんでしょう? この曲はこちらのイメージとしては、「Myra」のスタイルをさらに突き詰めた楽曲だと思っていて、だから完全に狙いに行ったのかな、くらいに思っているのですが。

「Myra」がハネた時に、僕の他の曲を聴いてもらえるチャンスではあったんですけど、逆に「Myra」が大きな壁として立ちはだかったんですよ。どこに行っても「Myra」のTani Yuukiだったんですよね。自分の存在より楽曲が先に来るという。ヒットした曲の後にどんなものを作ったらいいんだろうっていう悩みがまずはあって、やっぱり作り手の意地としては似た曲は出したくないっていう思いがあったんですよね。
それでいろいろ作ったんですけど、なかなか超えられない。やっぱり世間が求めるのはそっちなのか?と。だけど作ってみて思ったのは、確実に「Myra」以上の楽曲ができたということです。「Myra」を超えて自分のスタイルというものを改めて提示する時に最も良い形でできたなという実感がありますね。でも、リリースしてからしばらく全然伸びなくて(笑)。

── ヒットするまでに6ヵ月かかったんですよね。

そうなんですよ。じわじわ聴かれる状況ができていったところで、TikTokでの踊ってみた動画で一気にハネたんですよね。

── 「Myra」や「W/X/Y」といった楽曲はTaniさんのスタイルの中では中心的なものですか? それともどちらかというと飛び道具に近いもの?

それで言ったら後者に近い感覚ですかね。と言うのも、DTMを始めてから作ったのが「Myra」だったんですよ。だからそれまでは楽器を使って曲を作る、いわゆるシンガーソングライターの王道的な作り方で、僕の根本はそっちなんですよね。もちろんどちらも僕が作っていることに変わりはないので僕の楽曲ではあるんですけど、同じ家だけど部屋が違うという感じですね。リスペクトしている野田洋次郎さんで言ったら、RADWIMPSとillionの違い、みたいな感じですかね。
少し話が逸れるかもしれませんが、高校生の時に野田さんみたいな楽曲を作りたいって、それしか考えていない時期があって、でも書けないんですよ。そりゃ当然なんですけど、でもその当時の僕は、どうして書けないんだって悩んで落ち込んでた時期があって。割とそこの葛藤が長く深く続いたんですけど、どこかで諦めたというか、気づいたんですよね。別に野田さんにならなくてもいいじゃないかって。だって野田さんはもういらっしゃるんだし(笑)。そこから自分を中心に見つめるようになっていきました。

不安を吹き飛ばすように羽ばたいて行ってほしい

── そうやってある種もがきながらたどり着いたスタイルである「Myra」「W/X/Y」のスタイルを突き詰めるのかと思いきや、3月9日から配信スタートしている新曲「自分自信」では、また違うスタイルに挑んでいますね。特に歌詞の面で驚かされたんですけど、より言葉が言葉として成立しているというか、これまでの歌詞とは成り立ちそのものが違うようにも感じました。

いつも自分ひとりで完結しているんですけど、今回はタイアップとして求められるテーマというものが最初にあったんですよね。で、隠さずに言うと、近しいテーマの曲をすでに作っていて、そこで出し切っちゃってたんですよね。だから、僕の友達に「高校3年生の時に何を思ってた?」って、インタビューして回ったんですよ。
そうすると、実はみんなよく似た不安みたいなものを抱えていたんだなっていうことがわかったんです。そこで、自然と主語が“僕”ではなく“僕ら”の歌詞にしようと思ったんですよね。「自分自信」というのは、それぞれに当てはまるものとしての自分自身。そこがメッセージとして伝わる部分だと思うし、これまでの僕の曲とはまた違うものになっているところだと思います。

── 印象的なのは、ついつい確かなものを求めがちだけど僕らを支えてくれるものってわりとふわっとしたもの、例えば歌詞に書いてある通り<くだらない笑い話とか 共に流した涙>だったり。それって真理だなって思いましたし、Taniさんにとっての音楽を表した言葉でもあるのかなと。

あー。確かに。正解のないものですもんね。

── そう考えると、先ほど主語は“僕ら”だとおっしゃったんですけど、当然その中にはTaniさん自身も含まれていて、きちんと「自分自信」だなと思いました。メロディと歌唱に関しては、エモーショナルに振り切っていますね。

そこもやっぱりテーマが卒業だったということが一番大きいですね。振り返ってみると、ちっぽけなものではあるんですけど、その渦中にいる時はとにかく不安なんですよね。社会ってどんなんだろう? 怖い……って。だからその不安を吹き飛ばすように羽ばたいて行ってほしいっていう気持ちがあったので、アレンジも使用する楽器も含めて派手な感じにはなっていきましたね。

── タイアップの書き下ろしは初めてだったと思いますが、経験としていかがでしたか?

あ、できるんだ!っていうのが一番の収穫でした。だからこれからも臆さずいろいろなことにチャレンジしていきたいなって改めて思えるようになりましたね。

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

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リリース情報

配信シングル「自分自信」
2022年3月9日配信リリース
https://linkco.re/Z87SUsC1

1stアルバム『Memories』
2021年12月8日(水)デジタルリリース / 2022年4月6日(水)CDパッケージリリース
価格:3,300円(税込)

収録曲
01決別の唄
02.W/X/Y
03.おかえり
04.Myra
05.非lie心
06.Unreachable love song
07.Night Butterfly
08.油性マジック
09.百鬼夜行
10.曖昧ミーマイン
11.愛言葉
12.記憶
13.We are free
14.Life is beautiful

ライブ情報

4カ月連続対バンイベント
Tani Yuuki Presents LIVE ”LOTUS’’

4月23日(土)17:00開場/18:00開演
会場:渋谷 Spotify O-WEST
料金:スタンディング4,500円(入場時ドリンク代が必要)
ゲスト:映秀。/おいしくるメロンパン

5月20日(金)18:00開場/19:00開演
会場:渋谷 Spotify O-WEST
料金:スタンディング4,500円(入場時ドリンク代が必要)
ゲスト:Anly/meiyo

6月24日(金)18:00開場/19:00開演
会場:代官山 UNIT
ゲスト:未定

7月29日(金)18:00開場/19:00開演
会場:渋谷 Spotify O-WEST
ゲスト:未定

※詳細は公式Twitterにて→https://twitter.com/yu___09___11

プロフィール

タニ・ユウキ/1998年11月9日生まれ、神奈川県・茅ヶ崎出身。中学生時代に祖父からアコースティックギターをもらったことをきっかけに音楽を始める。TikTokやYouTubeを中心に2015年8月から活動をスタート。作詞作曲、編曲、サウンドメイクを自身で行ない、ギターのみならずピアノも弾く。2020年5月、TikTokやYouTubeへ投稿した「Myra」がティーンから多くの支持を集め、自身初となった配信音源は、ストリーミング再生累計が1億を突破する大ヒットとなった。優しさと切なさを帯びた比類なき歌声で、日常に在る恋愛の思い悩みを独特の語感で紡ぎ出す、デジタルネイティブ世代が注目する23歳のシンガーソングライター。

関連サイト

Twitter:https://twitter.com/yu___09___11
Instagram:https://www.instagram.com/u_yuuki_u/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCkPhQEwdob-Dc539qnJASvg

番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW