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由薫/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

メジャーデビューシングルが映画主題歌に大抜擢! 注目のシンガーソングライター・由薫インタビュー

特集連載

第51回

櫻井海音が最新のリリース楽曲からライブイベントまで、“いま聴くべき音楽” を厳選して紹介する『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』から、番組連動インタビューを掲載。

6月17日放送回に登場するのは、デビューシングル「lullaby」が映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』の主題歌に大抜擢された、注目のシンガーソングライター・由薫。
2022年6月にメジャーデビューを果たした彼女に、同曲の事、さまざまな環境を経て音楽に出会うまでのパーソナルな部分について話を聞いた。

むしろ自分と一番遠いところにあったのが音楽だったんです

── 幼少期をアメリカとスイスで過ごされたということですが、その経験はご自身の中では大きいものでしたか?

スイスで物心がついたので、日本に戻ってきた時のカルチャーショックがものすごく大きくて。なので、すごく客観的に日本の環境というのを観察するクセがついてしまったんですよね。

── 違和感があったんですね。

大変でした。スイスでは本当に自由奔放に育っていたので。特に私が通っていた学校には様々な人種や言語的バックグラウンドを持つ人が多かったので、とにかく個性第一主義みたいな感じだったんですよ。そういう環境で最初の教育を受けたので、日本とのギャップをすごく感じてしまいました。

── 特にどういうところで違いを感じましたか?

もうすべてという感じです(笑)、やっぱり目立っちゃいけないんだっていうのはまるっきり逆だったので最初は驚きました。私が目立とうと思ってしたことじゃなくても、そう捉えられて怒られたりもしましたし。そういう経験が自分の内面形成に大きく関係しているなというのは、今になってわかりますね。

── 極端に違う環境を経験することで、言ってしまえば開放的なところから閉鎖的なところに身を置くことで、表現への欲求みたいなものが降り積もって行ったんでしょうか?

本当にその通りで、みんなもちろん優しく接してくれたんですけど、どことなく馴染めないっていう環境の中で、現実世界ではないところに自分の居場所を求めたりして、図書室にずっと籠っているような子でした。だから本の中、映画の中、音楽の中……そういった作品の中に自分の居場所を見つけて没頭していました。

── 様々な作品世界に没頭していく中で、音楽が一番フィットするものだったんですか?

実は小説を書いてみたりとか、妹とiPadで映像を撮ってみたりとか(笑)、絵を描いてみたりとか、創作の真似ごとみたいなことをいろいろやっていたんです。自分で何かをつくるというのが楽しくて。その根っこにある感覚は今でも変わらないんですけど、なぜ、音楽だったのかと言われると、そこに行き着く道のりがまっすぐじゃないというか。
と言うのも、特に自分の声が好きじゃなかったりして。人前で──というか家族の前でさえも──歌うっていう勇気がなかなか持てなかったんです。ピアノも習っていたんですけど、失敗するのが怖くて発表会でも全然弾けなくて……。だからむしろ自分と一番遠いところにあったのが音楽だったんです。でもそうだったからこそ、音楽に対する憧れが強くなっていったのかなと思います。

── ああ、なるほど。手の届かないところにあったからこそ、それを掴んでみたいと。

そうですね。自分でやる勇気はなかなか持てなかったんですけど、学校の行き帰り、家にいる時、ずっと聴いていたので、自分が接する作品の割合としては音楽が最も多かったというのはありますね。

── その、自分でやってみるというハードルを超えるきっかけになったのが、アコースティックギターとの出会いになるんですか?

それがものすごく大きかったですね。楽器を演奏するというのはピアノを習わせてもらったりしていたので経験としてはあったんですけど、しっくりこなかったんですよね。どこか勉強っぽいというか、ずっと座って同じ場所に居続けるのが苦手で(笑)。
でもギターは自分のペースで自由にできたんですよ。家族のみんなは、どうせ続かないだろうって思ってたみたいなんですけど、YouTubeのギターレッスン動画を見ながらやって。完全に独学でできたので、誰にも否定されなかったのが良かったのかもしれません。

── 音楽を自分でプレイして、次の段階はいよいよ人前でのパフォーマンスということになるんですが、そこはいつだったんですか?

ギターを始めてから結構早くて。だからもう、ずっとやりたいっていう気持ちが募っていたんでしょうね。きっかけを探していたんだと思います。ギターを買ってもらってすぐに親友の女の子を誘って、ふたりで放課後にパソコン室に行ってテイラー・スウィフトとかのカバーをやっていました。
その延長で、せっかくだから文化祭で発表しようよって言って、ピアノが弾ける友達を誘ったり、なんとなくドラムができそうだなっていう友達を引っ張り込んだり(笑)、無理やりバンドみたいなものを作ってやったりしました。

目指しているのは、たくさんの聴き方ができる音楽

── お話しして思ったのは、音楽の──もちろん音楽だけに限ったことではないのですが──特殊なところは、人前で再現するという表現形態があって、しかもそれに対しての反応がダイレクトに返ってくるというところですよね。

確かにそうですね。今でも覚えているのは、音楽をやりたい気持ちはあるのにそれを誰にも言えなくて、小学校の卒業文集の夢を書くところにも「世界一周したい」って書いたことです(笑)。

── 本格的な音楽活動へはどのように向かって行ったのでしょうか?

自分がどこまで本気で音楽をやっていきたいのだろうっていうことを最初はわかっていなくて。だからそういう自分のことを知るという意味でオーディションを受けたり、とにかく時間は膨大にあったので、曲を作れるだけ作ろうと思ってやっているうちにだんだん自分の気持ちというか、音楽に対する向き合い方みたいなものがわかってきたという感じです。
あと、2020年から都内のライブハウスに出演させていただくようになったんですけど、そこでの経験がすごく大きかったです。先ほどおっしゃったみたいに、ライブはやっぱりダイレクトに反応をいただけるので、作った曲をやってみて、また曲を作ってっていう循環みたいなものが確立されていったように思います。そういうふうにひとつずつ段階を経ていくうちに、ちょっとずつちょっとずつ自分のやりたいことがわかってきたという感じですね。

── 2021年11月に初めてリリースしたシングル「Fish」を聴いた時はびっくりしました。

え!

── いや、すごい曲だと思いました。

いい意味で、ですか?

── もちろん、いい意味で(笑)。特に言葉ですね、歌詞の持つイマジネーションの豊かさに驚かされました。これは僕の感じ方ですけど、言葉の奥に部屋がある感じというか、そこにしばらく留まれるような深さと奥行きがあるんですよね。全体的にはたゆたうような浮遊感があるんですけど、痛烈なラブソングとして心に食い込んできました。

今、すっごい満たされました(笑)。

── 音楽における言葉って、手紙でもないし、もしかしたら文章でもない独特のものだと思うんですよね。そこの感覚をきちんと持っているというふうに感じました。

作詞も含めて曲を作っている時って、自分でも別のモードに入っている感じがしていて、それは現実と空想の境目だったりするんですよね。
最近音楽とは関係のない詩を書き始めたんですけど、友達に「作詞と詩を書くことって同じじゃないの?」って言われてハッとしたんですよ。全然違うなって。歌詞ってやっぱり特別で、まずメロディがあるし、何より耳触りというか言葉の音感が一番大切なんですよね。
でもそれを計算してできるかと言ったらできなくて、それよりも自分の中からナチュラルに出てくる言葉の方が、あとで曲として聴き返しても素直にいいなって思うんですよね。

── そこってものすごく難しい部分だとは思うんですけど、でもそれを意識できているというのが何よりすごいと思います。今年の2月にリリースしたEP『Reveal』の最後に収録されている「ヒヤシンス」という曲は、おそらく聴く人によって感じ方、捉え方が全然違ってくる曲だと思うんです。
それはやはり由薫さんの言葉に対する意識が曲としての間口の広さや深さを可能にしていて、きっとその根っこにはスイスで過ごした時に芽生えた自由な感覚、そして日本で感じたギャップ、その狭間にいる目線があるのだと感じます。

私が目指しているものっていうのはまさにたくさんの聴き方ができるものなんです。だからそう言ってもらえてすごくうれしいです。

誰かとやり取りすることで音楽は深まっていく

── 今回メジャーデビューシングルとしてリリースする「lullaby」はToru(ONE OK ROCK)さんがプロデュースということで、自分で作曲から向き合うのとはまた違う集中力や感覚が必要だったと思いますが、そのあたりはいかがでしたか?

映画(『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』)のタイアップ楽曲ということで、正直どうなるんだろうってドキドキしていたんです。それでスタジオに行ってToruさんからデモを聴かせていただいた時に、うわ! 歌詞書きたい!ってすぐに思えるくらいのインパクトで、その場で紙とペンを借りてバーっと30分くらいでラフなものですけど歌詞を書いたんです。少し不安だったのが嘘みたいに、「あ、これは私が歌うんだ」ってわかったというか、感じたことのない特別な感覚がありました。

── 何より人の心を瞬時に掴むグリップ力が強い曲ですよね。展開も含めて映像的ですし。シンガーソングライターとして学ぶことも多くあったのではないでしょうか?

この楽曲で私自身がたくさん成長できたと思っています。ありがたいことにこれまで何かの枠にはめられることもなく、本当に自由に曲を作らせていただいていたんです。でもそれはあくまでひとりの作業というか。自分で作ったものをライブハウスで披露してまた持って帰ってっていう。
今回はそうじゃなくて、最初からひとつの音楽を作るために誰かとやり取りができるという環境があって、そこが初めてだったんですよね。「こうした方がいいんじゃない?」っていろんな人の感覚を入れていくことっていうのは、すごく作品を深めていけるステップなんだなというのが一番学んだことでした。

── なるほど。セルフジャッジの限界というか。

やり取りをしていけばいくほど曲が深まっていくというのは、本当に素晴らしい体験でしたね。さっきも言ったんですけど、もともと自分の声に自信がなくて、それで曲を作って披露しながらだんだん自分自身を見つけていくような感じでやってきたので、Toruさんが「ここの声の成分いいね」とか「こういう雰囲気が実は合っているんじゃない?」とかって言ってくださることで、私が気づかなかったドアをたくさん開いてくださったんです。

この楽曲制作を経験したことで、すごく視野が広がったというか、自分で設けていた境界線がグッと広がったように感じました。だから2月にEPを出したあとにこの「lullaby」を出せるというのは、タイミングも含めて自分に必要なことだったんだなって思います。
結局音楽って誰かに聴いてもらって成立するものじゃないですか。確かに私がライブハウスでやるようになったのもそういう思いが強かったからなんですけど、さらに深い部分で誰かの視点を欲していたタイミングだったんですよね。そこに飢えていたというか。だから制作中には「そういうことか!」っていう発見がたくさんありました。

── このタイミングで一回自分以外の視点を入れた制作を体験して、また自分ひとりで曲に向き合うことで、これまでとは違ったものが生まれてきそうですね。

そうですね。制作の仕方とかもちょっとずつ変わってきていて。でもそれは自分が常に発展途上だと思っているので、「lullaby」で得た経験を生かして、また新たな曲に向き合いたいと思います。

── つまずくこともあった?

誰かに聴いてもらうっていうことを意識しすぎて、どうしたらいいんだろうってわからなくなったこともあったんですけど、今はそこも乗り越えて、最初の純粋な気持ちが溢れている状態です。

── そう考えると音楽って1曲が完成するタイミングが永遠にないようにも思えますね。例えば1stシングルの「Fish」も歌詞は同じかもしれないけど、絶えず変化や進化していくものかもしれないですよね。

そうですね、それが音楽なのかもしれませんね。映画とか小説だったらそういうわけにはいかないですもんね。

── きっと1曲の中にその時々の自分を発見し続けていくものなんでしょうね。

いいですね。「自分を発見し続けていく」って。心のメモに書き留めました(笑)。

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

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リリース情報

シングルCD「lullaby」6月15日リリース
通常盤 品番:UPCH-5988
価格:1,100円(税込)
レーベル:ユニバーサル J

01. lullaby
02. lullaby -movie ver.-
03. lullaby -inst-
04. my friend
05. my friend -inst-

https://lnk.to/yu_ka-lullaby

プロフィール

沖縄出身。2000年生まれ、次世代のシンガーソングライター。
幼少期をアメリカ、スイスで過ごす。15歳の頃、テイラー・スウィフトを始めとするシンガーソングライターに興味を持ったことからアコースティックギターを手にする。それをきっかけにカバーユニットやバンドを始め、17歳頃にはオリジナル楽曲の制作を開始。海外生活の経験から日本語と英語のバイリンガルであり、かつグローバルなセンスを備えている。
2021年11月には、自身初となる3カ月連続デジタルシングルリリースを掲げ、その第1弾として「Fish」、第2弾「Yesterday」、第3弾「風」、そしてインディーズとして、1st EP『Reveal』を2月にリリース。2022年6月には新人としては異例の、映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」の主題歌に大抜擢され、メジャー第1弾シングルが6月に先行配信、6月15日にシングルCDをリリースした。

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番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
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