ao/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー
現役高校生のシンガーソングライター・ao「音楽が自分の考えを世界に向けて発信する大切なツールになっていった」
特集連載
第54回
櫻井海音が最新のリリース楽曲からライブイベントまで、“いま聴くべき音楽”を厳選して紹介する『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』から、番組連動インタビューを掲載。
7月8日放送回に登場するのは、この春高校生になったばかりのシンガーソングライター・ao。オーディションを受けたきっかけや楽曲の制作方法、最新シングル「リップル」について話を聞いた。
DTMを覚えて、音楽を作る楽しさにどんどんのめり込んでいきました
── 4歳からピアノを習っていたということですが、音楽が身近にある環境だったんですか?
そうですね。お父さんが音楽に詳しくて、父方の祖母も楽器をやっていたので、自然と音楽をやりたいなって思える環境で育ちました。
── なるほど。それでご自身が音楽をやりたいと思える直接のきっかけになったのが、グレース・ヴァンダーウォールの動画を見たことだったんですよね。
はい。
── それはどういう衝撃だったんですか?
初めて自分から曲を探しに行ったというか。音楽をYouTubeで聴くようになって、検索して自分で見つけた感があったんです。それまでは曲単位で音楽を楽しむことが多かったんですけど、でも彼女の動画を見てからは、グレース・ヴァンダーウォールというひとりのアーティストに魅かれました。そういうことが初めてだったんです。
── グレース・ヴァンダーウォールとaoさんは2歳しか違わないですよね。それで同世代にこんなすごい人がいるのかって驚きもあったのかもしれないですね。
そうなんですよ。その時私が見たのは12歳のグレース・ヴァンダーウォールがオーディションでウクレレを弾きながら「I don't know my name」を歌う動画で、私も12歳だったので。
── そこからウクレレを始めるんですよね?
事務所が主催するスクールのオーディションを受ける2週間前のタイミングでした。その時にはもちろん用意している曲はあったんですけど、たまたまグレース・ヴァンダーウォールの動画を見て衝撃を受けたので、これやりたい!ってお母さんに言ったら、うちにウクレレがあったんです(笑)。それで大急ぎで練習を始めました。
── ウクレレってたまたまあるものなんだ(笑)。
あははは。ありましたね(笑)。
── オーディションまで2週間、間に合いましたか?
初心者用のウクレレの教則本もあったのでそれを見ながら、まずは「きらきら星」を練習しました(笑)。それで、どうしても「I don't know my name」をやりたかったのでCDを買ってきて、聴きながらウクレレのコードを押さえてなんとかできるようになりました。
── え! すごいですね!
すごく楽しかったです。コードを見つけていくのもそれまでやったことがなかったので。
── そのオーディションを受けたスクールというのは将来的なミュージシャンやシンガーを養成するためのスクールだったんですか?
そうです。
── じゃあそのスクールに行こうとしていた時点で、将来はミュージシャンになるんだって決めていた?
実はそうじゃなくて。そのオーディションを受けたのは小学校6年生の夏休みで、その年が平成最後の年だったので何か最後に思い出を作りたいなって思って、歌が好きだったしオーディションを受けてみようと思ったっていうだけだったんです。だから、まさか受かるとは思わなかったんですけど(笑)。
── はははは。
なんとか入ることができて(笑)。そのスクールで同年代の音楽が好きで将来は音楽をやっていくことを夢にしている人たちに出会って刺激をもらって、私も本格的に音楽に向き合うようになりました。
── まわりの人たちのレベルはやはり高かった?
そうですね。年齢も私が一番下で、それまで音楽を作ったこともなかったんですけど。でも周りの人たちはギターも弾けてDTMも普通にできて、すでにバンドを組んでいたり、オリジナル曲をいっぱい持っているっていう子もいたり、レベルが全然違いました。そこで気づいたんです。あ、音楽に対して本気の人たちの中に入ったんだって。そこから私も真剣に向き合うようになりました。
── 音楽が将来やりたいこととしてきちんと目標になったんですね。
はい。課題で初めて曲を作ったり、DTMを覚えたりして、音楽を作る楽しさにどんどんのめり込んでいきました。
── DTMはその時のaoさんに何をもたらしましたか?
自分のできない楽器でも打ち込めば形にできるので、表現の幅が一気に広がりました。頭の中で想像するイメージ通りに曲を作れるようになったっていうのが一番大きかったですね。
── ちなみに今も曲作りはDTMで行っているんですか?
そうですね。でも、スクールに通っている頃はまだ全然ちゃんとできなくて、ウクレレに逃げることが多かったんです。それで卒業してから自分でLogicを買ってやり始めたんですけど、そこで初めて出来た曲が「no THANKYOU」っていうインディーズのデビュー曲(EP『LOOK』収録)だったんです。
歌詞が悲しみや痛みを表現している分、音色は人の優しさに触れられるものがいい
── 曲の完成度が高まっていくにつれて、人に聴いてもらいたいという欲求も高まっていきましたか?
最初は自分の身の回りの出来事とか感情とかをただ曲にしていただけだったんですけど、誰かに何かを伝えたいっていうその“何か”の部分がどんどん自分の中で強くなっていって。音楽が自分の考えを世界に向けて発信する大切なツールになっていったっていう感覚はありますね。
── 言葉だけだとうまく伝わらないけど、音楽にすれば伝えられるっていう感覚はある?
ありますね。自分の中のモヤモヤしたことも音楽にして歌詞にすれば、すんなり出すことができたりします。
── aoさんが音楽を作るにあたって大切にしているものって何ですか?
私の中では、あたたかい音色というのがすごく好きで。音を作る時とかイメージで音源を作る時とかも、なるべくふんわりした優しさのあるような音色を選んでトラックを作っています。
── それは歌詞とも関係していますか?
そうだと思います。私の歌詞は、悲しみとか痛みとか、そういうことがテーマになっている曲が多いんですけど、たぶん音色をあたたかいものにするっていうのは、歌詞が悲しみや痛みを表現している分、音色は人の優しさに触れられるものがいいなと思っているからだと思います。
── aoさんの楽曲に感じる深みはそうしたところから生まれているんでしょうね。歌詞における悲しみや痛みというのは、実際に自分が感じたり、あるいは身近な人に共感したりすることから言葉にするのでしょうか?
全部自分の実体験から感じたことを書いています。友達と自分が喧嘩した話とか、友達から聞いた失恋の話とか、いろいろあります(笑)。
── 歌詞を書く上で大切にしていることは何ですか?
特に最近で言うと、結論まで書く、ということは大切にしています。ただただ自分の感情だけをスケッチしていっても聴いている人は結局何が伝えたかったんだろう?ってなるんじゃないかなって思うんです。
例えば悲しい出来事があったとして、それをメモするんです。歌詞としてではなくて日記みたいな感じでその時見たものや感情も含めて細かくメモをして、その2カ月後くらいに自分の中で整理ができたタイミングで結論を出して曲にするようにしています。
── きっとその一時保存した期間が事実から作品に変わる上で大切な時間なんでしょうね。あともう一つ大事な要素として、aoさんの声があると思います。周りからも独特の魅力がある、というふうに言われますよね?
よく言われるのが、ビブラートが独特だねっていうのはあります。私は洋楽に影響を受けて育ったので、英語っぽい発音で日本語を歌っていたらそうなったっていう感じだと思います。
── なるほど。と言うことは、英語が話せるわけではない?
全然、日本語オンリーです(笑)。
── そうなんだ! てっきりバリバリのバイリンガルなのかと。
英語は好きなので、これからがんばります(笑)。
アーティスト・aoとして核となる部分をこれからの音楽活動を通して掴んでいきたい
── 今年3月にリリースしたEP『LOOK』は、これまでのaoさんの足跡を1枚にギュッとまとめたものですが、改めて振り返ってみて感じたことは何ですか?
『LOOK』には私が小学6年生で書いた曲から中学3年生で書いた曲までが収録されていて、歌詞の作り方とか曲の感じも全然違うというか、そうした音楽の作り方もそうですし、あとは自分の考え方もすごく変化していった時期だったので、自分で聴いていても面白い作品だなって思います。それこそ日記みたいな感じというか、私自身の成長過程がそのまま作品になっている感じです。
── 新曲の「リップル」について伺います。今まさに『LOOK』でもおっしゃっていたとおり、音楽的にも人間的にもどんどん成長していっている中で、この「リップル」という曲は、ドラスティックとも言えるほど大きな変化が感じられる曲になりましたね。
今までは自分の体験談を書くことがほとんどだったんですけど、今回はある映画のポスターを見て、そのグラフィックから着想を広げていって作った曲なんです。なので自分としては結構チャレンジをしたという感覚があります。
タイミングとしては、中学を卒業してから作った曲で、高校への期待が膨らんで充実している時期だったんです。そうすると、それまでは悲しみや痛みをテーマに書くことが多かったので、曲がなかなか書けなくなったんですよね(笑)。それで、今までと同じやり方をしていたらダメだと思って、たまたまある映画のグラフィックに出会って、絵を見て、色を見て、曲のイメージを膨らませて作りました。
── それは世界が広がるような感覚だったのではないですか?
そうですね。今までの曲の作り方だと、まだまだ自分の感情が整理できていない部分があったなと思っていて、伝えたいことが明確になっていなかったっていう感覚があったんです。でも、「リップル」はストーリーも自分で考えながら、ひとつひとつ順序を踏んで伝えたいことを明確にしていったので、よりクリアに伝わる曲になったのではないかなと思います。
── 歌詞に関して言えば、物語の運び方と言いますか、紡ぎ方が圧倒的に進化していますよね。
ありがとうございます。全編日本語の歌詞というのが初めてのチャレンジだったんです。言葉の微妙なニュアンスも含めて細かい部分まで工夫しながら歌詞を作ることができたんじゃないかなと思います。
── 全編日本語の歌詞で、というのは意識的なチャレンジだったんですか?
はい。もともと日本語を大切にしたいと考えていて、ちょうどEP『LOOK』を出した時に、ちょっと変わりたいと思ったんです。これまでと違う、次の自分を見せるためにはどうしたらいいんだろう?って。音楽のお仕事を始めてからドメスティックな音楽もたくさん聴くようになって、やっぱり聴いてすぐに歌詞が理解できる、伝わることってすごく大切だなって認識するようになったんです。
── 英語と日本語は音に乗せる時にまったく違うから苦労すると思うんですけど、そこはいかがでしたか?
意外と大丈夫でした。まずは自分の中でストーリーをしっかり作れていたことと、そのストーリーが求める言葉をチョイスできていたので、そこに合わせてメロディを作れたので、あまり言語の壁みたいなものは音楽的には感じなかったです。
── 歌詞の中でポイントになったのはどこですか?
サビの最初に出てくる〈「探していたよ。」と手をひいて〉というフレーズがあるんですけど、そこが自分の作ったストーリーに出てくる主人公の想いが一番強く表れている部分じゃないかなと思っています。
── 先ほど中学から高校へ上がるタイミングでこの曲を作ったとおっしゃっていたんですけど、やはり人生のステージが変わるというところが曲に与えている影響は大きいですか?
大きいですね。何かどんどん自分の世界が広がって行っているような感覚がありますね。
── そうやって音楽的にやりたいこともこれから増えていくんでしょうね。
もうやりたいこといっぱいあるんですよ(笑)。今回初めて全編日本語で作ってみて、もっとこういうことを言いたいとか、今回の「リップル」は歌詞も曲もアレンジも映像も含めて全部自分がもともとイメージしていたものにかなり近くて自分の中での完成度に満足しているので、これからももっと自分がトータルに関わっていけるようにがんばっていきたいと思っています。
まだまだ自分には足りないところだらけで、アーティスト・aoとして一貫性を持って伝えたいことの核となる部分をこれからの音楽活動を通して掴んでいきたいと思います。
Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子
リリース情報
ao 『リップル』
2022年6月8日(水)リリース

https://jvcmusic.lnk.to/ripple
プロフィール
2022年春に高校生になったばかりのao。ただ歌うことが好きで、小学6年生の時に初めてオーディションを受ける。そこでその才能を見出され、2021年9月に「Tag」でメジャーデビューを果たすと、Spotifyが選ぶ2022年に活躍を期待する次世代アーティスト「RADAR:Early Noise 2022」に選出される。2022年3月に小学6年生から4年間で制作した楽曲を収録した1st EP「LOOK」をリリース。5月にはTOKIO TOKYOで初ライブを開催。6月はに4thデジタルシングル「リップル」をリリースした。
aoの紡ぐ音楽は、流行に捉われることなく、言語や世代を超え、これからの音楽シーンに新たな希望を見出している。
関連サイト
公式サイト:https://ao-music.net/
Twitter:https://twitter.com/ao_official2006
Instagram:https://www.instagram.com/ao_official2006/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC_a-Cct1F--58PP9uOUOKIw
番組概要
放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW