Vol.7『アイ・アム まきもと』阿部サダヲ×水田伸生監督　明石家さんまからも学んだ“笑い”とは？

主人公は“ちょっと迷惑な男”。ユーモラスなヒューマンストーリー

『舞妓Haaaan!!!』『なくもんか』『謝罪の王様』に続き、今回4度目のタッグとなる阿部サダヲ×水田伸生監督コンビが送る“迷惑系”ヒューマンストーリー『アイ・アム まきもと』。

本作は、第70回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門で監督賞を含む4賞を受賞したウベルト・パゾリーニ監督・脚本の『おみおくりの作法』をベースに、オリジナルの新たな主人公像を造形し、生まれ変わらせた作品だ。

阿部扮する主人公は、市役所で「おみおくり係」を務める牧本壮。彼は空気が読めない、人の話を聞かない、誰にも心を開かないという“ちょっと迷惑な男”。

そんな牧本が孤独に亡くなった人を独自のルールに従いおみおくりしていく中で、出会う人々の心に変化をもたらし、そして牧本自身の無味な人生も、徐々に彩られていくさまをユーモラスに描く。

監督は、『舞妓Haaaan!!!』など阿部とタッグを組んだ話題作をはじめ、TVドラマ『ゆとりですがなにか』（日本テレビ系）、『獣になれない私たち』（日本テレビ系）なども手がけてきた水田伸生。“孤独死”という社会問題を根底に、笑って泣けるエンタテインメントへと昇華させた。

共演には、牧本が出会う孤独な女・津森塔子役に満島ひかり。多くを語らず感情を内に秘める繊細な役どころで、圧倒的な存在感を発揮している。

そのほか、牧本に迷惑をかけられ、翻弄される登場人物たちに國村隼、宮沢りえ、松下洸平、でんでん、松尾スズキ、坪倉由幸（我が家）ら演技派・個性派が大集結！　本作に厚みとユーモアを持ち込み、豊潤な感動を与えている。

えこひいき!?　水田伸生監督が阿部サダヲに惹かれる理由【インタビュー】

── おふたりは今作で、4作目の主演作でご一緒しているということですが、水田監督、阿部さんを主演で起用したいと思う、惹かれているポイントってどんなところですか？

水田伸生監督（以下：水田監督）　4作も続くっていうことは……“えこひいき”ですよね。

一同　(笑)。

水田監督　簡単に言えば、俳優としても尊敬する存在だし、人柄が好きなんでしょうね。

── 阿部さんは水田監督と回を重ねるごとに、何か新しいものを出さなきゃ、というようなことはあるんですか？

阿部サダヲ（以下：阿部）　ほんと変わらないですよね、居方というか。「この映画はこういうものだから」とかっていう話し合いもしたことないですし、「次はこういうのでやろう」とか、そういうのもないので。

水田監督がすべて持ってきてくれて、決まったものをやるだけなんで。一番僕、苦労しないというか、辛いことがないというか(笑)。

── 作品を観ると、当て書きかなって思うくらい魅力を放ってますよね。

阿部　それを作ってくださるのも監督なんで。すごくわかりやすいし、やりやすいです。

── このおふたりがコンビになると、こんなに“笑い”って人の心を豊かにして、ヒットするんだなって思うんです。映画で笑いを作るって、日本だと難しいって言われるじゃないですか。おふたりはどうですか？　笑いのプロじゃないですか。

水田監督　笑いのプロ(笑)。

阿部　僕は好きで、笑いのあるもののほうが。でもその真逆も（水田監督は）できる方っていうのは知っているから、信頼できる気がします。

── 阿部さんもそうじゃないですか！

阿部　嬉しいですね。

── 水田監督は笑いを作るうえで心がけていることってあるんですか？

水田監督　おかげさまで、25年くらい明石家さんまさんと縁があって、TVドラマもそうですけど、2、3年に1本ずつ舞台をやらせていただいているんですが、そういう意味では“笑いとはなんぞや”というものは、25年かけて教わってる気がします。

ロジカルなんですよ、笑いって。つまり何か偶発的に生まれるものではなくて、“笑わせる”っていうのは、とても計算高く組み立てていくものなんです。

インタビューではこのほかにも、阿部さんと松尾スズキさんとの思い出深いシーンや、水田監督が驚いた阿部さんのリアリティある演技など、撮影秘話をお話いただきました。

さらに、東映チャンネル本編では、ふたりの好きな東映作品についても語っています。ぜひあわせてご覧ください！

『アイ・アム まきもと』
公開中

データ

「伊藤さとりのシネマの世界 Vol.49」『アイ・アム まきもと』放送日時
2022年10月12日（水）21:50～22:00
2022年10月31日（月）13:20～13:30
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