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【動画インタビュー】気になる!あの映画の“ウラ話” by.映画パーソナリティ 伊藤さとり

Vol.28『バカ塗りの娘』堀田真由&小林薫 言葉では説明できない「“なんか”気持ちのいい作品」

第28回

(左から)堀田真由、伊藤さとり、小林薫

映画パーソナリティの伊藤さとりが注目する最新映画のキャスト、監督、スタッフ等にインタビューする、東映チャンネルのオリジナル番組「伊藤さとりのシネマの世界」。

9月のゲストは、現在公開中の映画『バカ塗りの娘』から、父娘を演じた小林薫さんと堀田真由さんが登場!

撮影ウラ話満載のインタビュー映像をお届けします。

日本の伝統工芸・津軽塗が繋ぐ父娘の絆

『バカ塗りの娘』

本作は、“バカ塗り”の名で呼ばれる津軽塗のひとつひとつの工程を丁寧に映し出し、津軽塗職人を目指す娘・美也子と寡黙な父・清史郎が、漆や家族と真摯に向き合う姿を描いた父娘の絆と家族の物語。

四季折々の風景や、土地に根付く食材と料理、人々の「魅力」を織り交ぜながら、つらい時、楽しい時を塗り重ねるように日々を生きる父娘が、津軽塗を通して家族の絆を繋いでいく。

『バカ塗りの娘』

堀田真由が主人公・美也子役で将来への不安やほのかな恋心に心揺れる等身大の女性を演じ、小林薫が寡黙な津軽塗職人の父・清史郎を演じる。

監督は、「PFFアワード2012」で2冠を獲得した初長編作『くじらのまち』でベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭などの映画祭で高い評価を得たのち、西加奈子の小説『まく子』の映画化も手掛けた鶴岡慧子が務める。

『バカ塗りの娘』

青木家は津軽塗職人の父・清史郎と、スーパーで働きながら父の仕事を手伝う娘・美也子の二人暮らし。家族より仕事を優先し続けた清史郎に母は愛想を尽かして出ていき、家業を継がないと決めた兄は自由に生きる道を選んだ。

美也子は津軽塗に興味を持ちながらも父に継ぎたいことを堂々と言えず、不器用な清史郎は津軽塗で生きていくことは簡単じゃないと美也子を突き放す。それでも周囲の反対を押し切る美也子。その挑戦が、バラバラになった家族の気持ちを動かしていく──。

「方言指導がもう本当にきつかったです」(小林薫)

『バカ塗りの娘』

── おふたりは初共演ですよね?

堀田真由(以下、堀田) いえ、『深夜食堂』で。でも、覚えていらっしゃらなかったんですよね?(笑)。

小林薫(以下、小林) そう、最初覚えてなくて……でも共演してたんですよね。

堀田 実は……。ゲストだったので、短い時間ではあったんですけど。

── 私も『深夜食堂』を見てるにもかかわらず、今言われてハッてなりました。でもこれだけガッツリっていうのは初めてですよね? 家族の役でもありましたが、父と娘で共演されてみてどうでしたか?

堀田 もちろん楽しかったです(笑)。『深夜食堂』でご一緒した時に、なんか薫さんが「かっこ悪いのがかっこいい」っていう言葉をおっしゃってたんですよ。

小林 本当?

堀田 はい(笑)。それにすごく私は感銘を受けて、なんてかっこいい方なんだっていう印象があったので、その時は本当に短いシーンだったんですけど、今回は娘と父っていう親子関係で、師弟関係でもあるので、お芝居の面でもすごい濃密な時間を過ごさせて頂けるんだろうなと思いました。

『バカ塗りの娘』

── 小林さんはいかがでしたか?

小林 出来のいい娘だったなという印象ですけど。

堀田 (笑)本当ですか!?

小林 やっぱり芝居が堀田さんだけじゃなくて、今の人たちって上手なんですよ。我々の頃ってなんかちょっと芝居するぞ! っていうような感じで入っていく時代だったのかなと思いますけど。今の人って本当にナチュラルだし、やっぱり本当に自然にその世界にスーッと入っていくから、やっぱりその辺は頭のいい人だなという印象でした。

『バカ塗りの娘』

── しかも今回、津軽塗りもやられてたじゃないですか。私、ふたりが並んでるあそこのシーンがすごい好きなんですけど、やっぱり塗る作業だって、演技する部分でもすごい大変ですよね?

堀田 監督が塗っている工程を演技をしているっていう感じには見せたくないっておっしゃってたので、何ヶ月も前からすごいこの塗りを学んだとかではなく、結構本当に本番の前にですよね?

小林 うん。

堀田 本番の前に教えていただいて、やってみてっていう感じが、そのまま画に映し出されてる感じです。

『バカ塗りの娘』

小林 うん。

── しかも、津軽弁もやられているという。小林さんはどうでしたか?

小林 僕の方が大変ですよ。やっぱり若い子はだんだんだんだん方言が薄くなってくるじゃないですか。僕はどっぷり浸かった津軽の人の役だから方言指導がもう本当にきつかったですね。

堀田 すぐね、方言指導の方が(笑)。

小林 僕、自分でこうセリフを反芻するんですよ。そしたらそれを聞きに来るんですよ。この段階じゃなくて、僕がリズムというか、セリフをどうやって吐き出そうかってしてるだけだから、これは方言指導が欲しいところじゃないって言うんだけど、

堀田 先生が横にみっちりついて……(笑)。

小林 聞きつけて忍び寄ってくるのが見えるんですよ。あーっ、来た!と思って。必ず指導がくるんです。もうわからないんですよ。直されても。

堀田 分かります。

小林 で、僕が「美也子」って言うんですけど、その僕の「美也子」っていうのが「違います」って言われるんです。

堀田 その名前を呼ぶのですら「美也子」の発音が違うって。

小林 (「美也子」と言ってその時のことを再現しながら)僕は「美也子」って言ったつもりなのに「いや、違います」って(笑)。未だにその「美也子」っていうのができなかったな。

『バカ塗りの娘』

── 私はこの映画の中から受けとるものが多すぎて、自分が夢を追うことだったり、でも、いろんな弊害があるんだよっていうのを感じながらも、すごく前向きな気持ちになれたんですけど、作品は出来上がったものをご覧になられてどうでした?

堀田 薫さんが初号を観て、「いや、なんか良かったんだよね」っておっしゃられていて、“なんか”ってなんだろうって思いながら……(笑)。

小林 僕もよくわかんないんだよね。ここが良かったっていうんじゃなくて、気持ちがよかったんですよね。だからなんだろう、この気持ちはっていうか。津軽弁のところなんていうのは思い返せば、適度な緊張感があるじゃないですか。で、親子と言っても、なんかそういう緊張してる時間もあるんですよね。なんか張り詰めたというか、そこまでの緊張じゃない、職人の緊張感なんだけれども、そういう時間もあれば何でもない日常に戻る時間もあったりとかして。

それでちょっとぎくしゃくしている親子関係とかっていうのがずっとあったりするんですけど。最後ね、やっぱりほっこりするみたいなとこがあるんですよ。そこに「何これ? いいね、このこういう時間」って思えたんですよね。

堀田 それをお聞きしてたので私はその後、初号を観てみたら、すごいその意味が分かって。観終って、すっごい静かなんですけど、あ、なんか良かったなって。やっぱ私も“なんか”って言ってるなみたいな。うん、最上級の言葉だなっていうか。



また、動画ではおふたりのお気に入りの東映作品についても語って頂きました。ぜひあわせてご覧ください。


『バカ塗りの娘』
公開中
(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会

Vol.28『バカ塗りの娘』堀田真由&小林薫

データ

「伊藤さとりのシネマの世界 Vol.59」『バカ塗りの娘』放送日時
2023年9月13日(水)23時50分~24時00分
2023年9月26日(火)21時50分~22時00分
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