【動画インタビュー】気になる!あの映画の“ウラ話” by.映画パーソナリティ 伊藤さとり

Vol.29『スイート・マイホーム』窪田正孝×齊藤工監督「窪田さんがお受けしてくれなかったら、多分僕も監督役を受けてなかったなと思う(齊藤)」

第29回

窪田正孝、伊藤さとり、齊藤工監督

映画パーソナリティ・伊藤さとりのYouTube番組「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」。

新作映画の紹介や、完成イベントの模様を交えながら、仲良しの映画人とゆる~い雰囲気の中でトークを繰り広げます。他ではなかなか聞き出せない、俳優・監督たちの本音とは?

今回は現在公開中の映画『スイート・マイホーム』から主演を務めた窪田正孝さんと齊藤工監督が登場! 本作の魅力や撮影エピソード、これまで観た作品で一番怖かった映画についてなど、たっぷりとお話いただきました。

映画人たちの貴重な素顔をご堪能ください。

齊藤工監督×窪田正孝主演の本格ホラー・ミステリー

『スイート・マイホーム』

本作は、「第13回小説現代新人賞」を受賞した神津凛子のデビュー作「スイート・マイホーム」を、映画やドラマで俳優として活躍する一方、監督、プロデュース業でも多彩な才能を発揮している齊藤工が監督を務め映画化。

極寒の地で地下暖房設備の整った一軒家を手に入れた一家が、身の毛もよだつ恐怖に襲われる様子を描く。“家”を中心に様々な思惑と怪異がスリリングに折り重なる、これまでの常識を覆すホラー・ミステリーだ。

齊藤監督とタッグを組み主演を務めるのは、連続ドラマ『臨床犯罪学者 火村英生の推理』(16)でバディ役として共演した窪田正孝。そのほか蓮佛美沙子、奈緒、窪塚洋介ら実力派俳優陣が出演する。

『スイート・マイホーム』

極寒の長野に住むスポーツインストラクターの清沢賢二は、妻子のために一軒家を購入する。“まほうの家”と謳われたその住宅の地下には、巨大な暖房設備があり、家全体を温めてくれるという。

理想の家で充実した新生活を始める清沢一家。しかし、差出人不明の脅迫メールや、地下に興味を抱く娘、周囲で起きる関係者たちの変死事件など不可解な出来事が一家を襲い始める。

齊藤工監督がホラーを撮ろうと思ったきっかけとは?

『スイート・マイホーム』

── 窪田さんはホラーはどうですか?

窪田正孝(以下、窪田) あんまり得意じゃないです。

── 今回かなり怖さが際立つようなカメラアングルだったり色合いとか表情とかでしたよね。私はそれが好きで素晴らしいと思って観てました。

窪田 嬉しいです。でも、制作してる分にはいいんですよ。そこに携わるのは。でもなんかインスタとかでよくいろんなのが出てくるじゃないですか。たまにシャってやったら、昔の怖いのとか写っちゃったやつとか出てくるじゃないですか。ああいうのはちょっといきなり出てくるなよ!ってなりますね。

── 本物は嫌ですからね。だからなんでこのジャンルを撮ろうと思ったのか教えてください。

齊藤 これはコロナ禍の前だったんですけど、原作をプロデューサーの中村さんと赤城さんが僕の事務所に来て渡してくださって拝読したんですけど、これは描いじゃだめだろうというものだなと思ったんですよ。活字だからこそ描ける、キーワードの子供とかね、目玉とかね。「えっ!」ていうことが活字だから許せる範囲に実写っていうジャンルでどこまで迫れるんだろうっていう。映倫的な部分でも。これは責められなかったら、ただただマイルドなものになってしまうから、ちょっと難しいんじゃないかなっていうのは正直思って。

最初の方は、「ちょっと自分ではこの重責は背負えません」という風な返答はしていたんですけど、それでも何度かお話を粘り強くしてくださった中で、「あっ、でもこれ、例えば主人公が窪田正孝さんならば」(と思って)。でも、その段階で僕の中でこのキャスティングで、撮影は芦澤明子さんにやってもらえるんであれば、映画ファンとしてこの座組だったらば、監督はさておき、成立するんじゃないかっていう風にだんだんなって。

そんな中、コロナ禍になって、ステイホームとか家にひとりでいる時間に、またこの物語と向き合って「あ、もしかしたら今向き合うべき、一枚剥がされた人間たちの本性っていう部分は、自分としても別に監督としてっていうだけじゃなくて、時代が向き合うべき、もしかしたら題材なのかな」って思うようになっていったっていう流れで。だから窪田さんがお受けしてくれなかったら、多分僕も監督役を受けていなかったなと思ってます。

『スイート・マイホーム』

── 窪田さんは今回は本当に軸となる役で面白かったです。だから窪田さんのおかげでサイコサスペンスにもなっているっていう。

齊藤 確かにそうですね。

── 完成した作品観た時はどうでしたか?

窪田 撮ってる画とかっていうのは、画を通しては現場では見てなかったので、出来上がった時の仕掛けとかは、すごく「あっなるほど!」っていう風に思ってたんですけど。ちゃんと見る人を置き去りにしないようにもちゃんと作られているなっていうか。

怖さはもちろんあるんだけど、でもやっぱり一番怖いのって人間なんだなっていう。それが本当にまざまざと感じられたので。人間の“闇”というか、人間ってやっぱり善悪どちらにでもなれるんだなっていうのは、なんかそういう破壊衝動みたいなのって駆り立てられると何かで発散したくなったりすると思うんだけど、そういう部分がちょっと他人事じゃない感じがしました。

── 私も引っ越したばっかりなんですよ。だからこの映画がそのせいでさらに面白かったんですよ。不動産屋さん巡ったりとか物件見たりしてたから嫌だと思いながら。家族構成も一緒だからうわあと思って。すごいそれもあって……。

家って一緒に一生に一度、二度の買い物になるわけじゃないですか。だからこそ慎重じゃなきゃいけないけど、その家って土地に何かあったのかとかって色々ありますもんね。「あら、怖い」って思いました。

窪田 家って買う方がいいんですか? 賃貸の方がいいんですか? どっち派ですか? 全然話関係ないですけど。

齊藤 どうなんですかね。とどのつまり……。

── いや、だけど私はちょっと“見える人”なので言いますけど、よくチェックしなきゃ怖いですよね。

窪田 そうですよね。だから買っちゃうとでももう抜け出せないじゃないですか。ま、売ればいいのか。でも、賃貸の方がやっぱ足取りは軽いですよね。

── そう、軽い。

窪田 もうすぐ次に行けるじゃないですか。

齊藤 そうですね。

── いや、でもあの物件だったら買うよねって思いました。この映画の中で描かれてる内容を読んでたら。だって結構お手軽だし、いい感じのデザインになってて……って思っちゃうじゃないですか。

でもどうでした? この齊藤工監督とご一緒してみて「あ、ここがすごい独特だな」と思ったところは?

窪田 現場でちょっとこういう音楽を音として入れようと思ってるっていう、共通認識で音を出してたんですよね。うすーく、でも別にそれが強調されるわけでもなく、ただ流しておくんでっていう一言だけで。で、最初はちょっと聞いてたんですね。人と話したりとかするとやっぱ遠くなるじゃないですか。でも、一瞬、無言というか、テスト前とかちょっと静かになる瞬間に消すんですけど、でもそういう時にすごいですね。無音の時に、ボリューム上げてないのに、すごい聞こえてきたりして、なんか不思議な感じはあったんですけど。でも、その音でスタッフさんとかと向かうべき先の共通認識をするっていう手法は初めてだったんですごい新鮮でした。

齊藤 ありがとうございます。

『スイート・マイホーム』

── それはなんでそういう風にしようと思いついたんですか?

齊藤 舞台を拝見する時に、役者さんって結構音に感情をのせたりされてるのが羨ましいなと思って。これは役者さんだけじゃなくて、スタッフの方たちも、音をひとつのトリガーというか、きっかけとして表現されてるなっていう。そのことが共通の何かであるっていうことの方が非常に確証的な自分のすべきことに繋がる気がしていまして、極力自分の現場では、実際使うかはさておきですけど、こういう感じの音楽をかけたい、ないし全体はちょっとこういう世界観にしたいと思ってますっていうことを言葉じゃなく伝える手段として、現場で音を流すっていうのは、許される環境である限りやっています。

── ホラー映画を色々観ている中ですごい今回気付かされたのが、音もそうですけど、カメラアングル。位置でこんなに変わる? それがこの映画は特徴的でしたよね。

齊藤 そうかもしれないですね。スマートホーム(カメラ)じゃないですけど、定点カメラも含めて、あれって目玉っていうか、目の位置というか、家に感情があるとしたら、目があるとしたらっていう、ちょっと意図的な思いはありました。

『スイート・マイホーム』

── 撮影する時も結構表情の演技とかも多かったわけですもんね。カメラの近くとか。

窪田 そうですね。だから実際、家に地下があるじゃないですか。海外だと地下があるのは普通なんですよね?

齊藤 倉庫になってたりね。

窪田 ワインとか置いてたりとか。でも地下苦手なんですよ。

── そうなんですね。

窪田 ここも地下じゃないですか。

── そうですね。

窪田 そうなんですよ! ちょっと地下、閉鎖的なんですよ。

── じゃあ閉所恐怖症もある?

窪田 なんかそれに近いのはあります。だから顔の型取れないんですよ。あの押し付けられるのも僕無理で。一回何とか頑張ったんですけど、パニックってもう剥がしましたね。で、写真をいっぱい撮って。

齊藤 今もそうなりましたね。今、進化して型取りしなくても取れるようになりましたね。

窪田 助かりました。一生懸命張って一生懸命冷たいのをやってくれてたんですけど、ダメでした。パニックになっちゃって。

── 確かにあれ、なんかもう見てるだけで辛い……。

齊藤 (さとりさんも)取ったのかと思いました(笑)。

── いや、でも見てるだけで辛いじゃないですか。

齊藤 さとりさんもちょっとそういう“見えるタイプ”だと?

── 怪しい言い方をしましたけどね(笑)。

齊藤 この六本スタジオはどうですか?

── ここでそんなこと言っちゃダメじゃないですか(笑)。

齊藤 大丈夫っていう即答はなかったので。大丈夫?

── でも大丈夫です。私、でもね、映画のイベントやっててやっぱり。

齊藤 あるでしょ?

── ありますよ。韓国のあるホラー映画やってる時に、急にこの目の前にいたカメラマンさんのシャッターがみんな切れなくなったの。

齊藤 えっ!? 実際に?

── 実際に。齊藤監督は全く見えないんですか?

齊藤 全く見えないです。

窪田 感じそうですけどね。

齊藤 ただ、周りにやっぱそういう方が多いだけですね。

── でもホラー映画監督は見えない方がいいって言いますよね。だって敏感になっちゃうと大変だから。本物が映っちゃっても困りますしね。

齊藤 準備期間にもうあらゆるホラー映画をリサーチしようと思って家で色々観ている時間は本当につ辛かったですね。なんかやっぱりなんていうんですかね。その空間がちょっとこう淀むというか、そういう装置なんだなって思いました。なんか呼び込んでしまうような、見えないけれど、ちょっとその作品の持つエネルギーなのか分かんないですけど、ムードが変わるというか。

── それでちょっと聞いてみたいと思います。おふたりが今まで観た作品の中で、これはちょっとホラーだよとか怖いよと思った作品は何ですか?



果たしておふたりにとって怖かった映画とは?  このほかにも、おふたりにとって“これがないと生きていけないもの”についてなども語っていただきました。続きはぜひ動画全編でごご覧下さい!


『スイート・マイホ ーム』
公開中

Vol.29 窪田正孝&齊藤工監督インタビュー『スイート・マイホ ーム』(番組制作:チャンネル700)

データ

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