【動画インタビュー】気になる!あの映画の“ウラ話” by.映画パーソナリティ 伊藤さとり
Vol.38『一月の声に歓びを刻め』前田敦子×三島有紀子監督「うちの現場みんな前田さんが大好きなんです」
第38回
(左から)三島有紀子監督、前田敦子、伊藤さとり
映画パーソナリティの伊藤さとりが注目する最新映画のキャスト、監督、スタッフ等にインタビューする、東映チャンネルのオリジナル番組「伊藤さとりのシネマの世界」。
2月のゲストは、2月9日(金)公開の映画『一月の声に歓びを刻め』から、前田敦子さんと三島有紀子監督が登場!
撮影ウラ話満載のインタビュー映像をお届けします。
三つの島を舞台に“ある事件”と“れいこ”を探す心の旅
本作は、三島有紀子監督⾃⾝が47年間向き合い続けた“ある事件”をモチーフに⾃主映画からスタートしたオリジナル企画。「性暴⼒と⼼の傷」という難しいテーマにあえて挑み、北海道・洞爺湖の中島、伊豆諸島の八丈島、大阪の堂島の三つの“島”を舞台に、ストーリーの重要な存在として登場する“れいこ”をめぐる心の葛藤を描く。
主演の前田敦子が愛する恋人とどうしてもセックスができない女性を演じるほか、約10年ぶりの映画出演となるカルーセル麻紀が洞爺湖近くにひとりで暮らすマキを、哀川翔が八丈島に暮らし、男手ひとつで育てた娘が妊娠して帰省し、突然の出来事に戸惑う父親を演じる。
北海道・洞爺湖で正月を迎えたマキは、おせち料理を家族と囲んでいたが、次女れいこを亡くした喪失感を拭えずにいる。一方、長女は女性として生き始めた“父”のマキに複雑な感情を抱いていた。家族たちが帰り静かになると、マキの胸に忘れられない記憶がよみがえり……。
かつて交通事故で妻を亡くし、東京・⼋丈島で暮らす⽜飼いの誠。妊娠した娘の海が、5年ぶりに帰省した。海の結婚さえ知らずにいた誠は、何も話そうとしない海に⼼中穏やかでない。海のいない部屋に⼊った誠は、そこで離婚届を発⾒してしまう。
⼤阪・堂島。れいこはほんの数⽇前まで電話で話していた元恋⼈の葬儀に駆け付けるため、故郷を訪れた。茫然⾃失のまま歩いていると、橋から⾶び降り⾃殺しようとする⼥性と出くわす。そのとき、「トト・モレッティ」というレンタル彼⽒をしている男がれいこに声をかけた。過去のトラウマから誰にも触れることができなかったれいこは、そんな⾃分を変えるため、その男と⼀晩過ごすことを決意し……。
前田さんは“映画愛”が本当にすごく伝わってくる人
── おふたりは、初めて一緒にお仕事をされたんですよね?
前田敦子(以下、前田) そうですね。監督の作品に出るのは初めてです。
── どういったところから前田敦子さんに是非っていう話になったんですか?
三島有紀子(以下、三島) 前田さんはインタビューを読ませてもらっても、メイキングを見ていても、映画を愛してるし、映画を作る人間を愛しているっていうのが本当にすごく伝わってくる人で。まずそういう人とこの作品を作りたいと思ったのが第一で、あとは今回やって頂いたれいこっていう人は、被害者意識が強いキャラクターにはしたくなかったんですよね。なので、逞しい人、生命存在として逞しくて美しい人にやってもらいたいなと思った時に、「前・田・敦・子」っていう人が浮かびました。
前田 監督は私からしたら本当に映画を愛する方っていう、今言ってくださったことを、すごく私は監督にそのまま感じます。みんなのお母さんみたいな。愛情がもうだだ漏れてるんですよ。素晴らしい方だなって思いました。
── しかも、今回インディペンデントなんですよね?
三島 そうなんですよ。何を考えたのかね(笑)。
── それでもこのキャストが集まるというのは、やっぱり三島監督の熱量がちゃんと伝わっているからかなって思ったんですよ。
三島 いやいやいや。
── だって、最初、そういう話もいっぱい聞いてるわけですよね? 今回の役に対してもその監督の思いっていうのも聞いたりしていたんですよね?
前田 そうですね。もちろん作品だからお芝居なんですけど、なんかそうありたくないなっていう、抗がってる感じはずっとありましたね。だからある意味すごく難しいことに挑戦させてもらっていた感じがします。
── 坂東(龍汰)君がまたちょっとファンタジックなキャラクターじゃないですか。でも、現実の世界のっていうところもね……。
前田 そうですね。でもあれは坂東君で本当に良かったですね。
三島 坂東君がまたあんまり性的な匂いを感じさせない人で。
前田 ちょっと妖精っぽいというか。
三島 妖精っぽいですね。とはいえ、繊細なお芝居をすごくしてくれたので。無表情の中にやっぱり戸惑いとかいろんなものが見えなきゃいけない役だったので、結構、坂東君とのシーンが一番段取り時間かかったよね?
前田 そうですね。すごい愛を坂東君に……。
三島 前田敦子にも愛はありますよ(笑)。
前田 ありがとうございます(笑)。
三島 何でなんか坂東さんだけみたいな言い方で(笑)。
前田 違います(笑)。でも、すごい熱のこもったシーンを撮ったイメージがありますね。
── おふたりが持ってる映画愛っていうのはどこから湧き上がっているんですか?
三島 どこからですか?
前田 私は本当にその映画の現場にいる皆さんが好きです。
三島 それはすごい伝わってきますね。だから、うちの現場みんな前田さんが大好きなんです。
前田 嬉しいです。
── 前田敦子狂になっているんですね。
三島 そうですね。みんななんかちょっと好きになっちゃったかもしれないってみんな言ってるんで(笑)。
前田 (笑)。嬉しいです。好きになっちゃたって(笑)。いる方たちのみんなのマインドがすごく好きです。
── 三島監督の映画愛はどこから湧き上がっているんですか?
三島 私は、今回のテーマというかモチーフにした、6歳の時に性被害にあってるっていう時に、もう自分の肉体を抹消したいという欲望に駆られていた時に、4歳の時観た映画を思い出して。あ、そうだ映画があったと思って、とりあえず映画を観に行こうって思って映画を観に行ったんですよね。
そしたら次これ観ようかなっていうので、だんだんこう延ばし延ばしになっていって。それで、やっぱり私は汚れたって思っていたんですけど、映画を観ていると生命存在の美しさっていうのは誰にも汚せないんだなっていうことを映画が教えてくれたので、いつか自分みたいな人のために映画が作れる日が来たらいいのになって思い始めたっていうのが最初ですね。
また、東映チャンネルではおふたりのお気に入りの東映作品についても語って頂きました。ぜひあわせてご覧ください。
『一月の声に歓びを刻め』
2月9日(金)公開
(C)bouquet garni films
データ
「伊藤さとりのシネマの世界 Vol.64」『一月の声に歓びを刻め』放送日時
2024年2月29日(木)14時50分~15時00分
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