【動画インタビュー】気になる!あの映画の“ウラ話” by.映画パーソナリティ 伊藤さとり
Vol.43『ミッシング』青木崇高「脚本がリアルすぎて、自分の心なのか、役柄の心なのか分からなくなりました」
第43回
(左から)伊藤さとり、青木崇高
映画パーソナリティの伊藤さとりが注目する最新映画のキャスト、監督、スタッフ等にインタビューする、東映チャンネルのオリジナル番組「伊藤さとりのシネマの世界」。
5月のゲストは、5月17日(金)公開の映画『ミッシング』から、青木崇高さんが登場!
撮影ウラ話満載のインタビュー映像をお届けします。
母となった石原さとみが新境地に挑む衝撃の感動作

2022年の出産後、1年9ヶ月ぶりの芝居に臨んだ石原さとみが主演を務め、『空白』『ヒメアノ〜ル』の吉田恵輔(※「吉」は、正式にはつちよし)がオリジナル脚本でメガホンをとった社会派エンターテインメント。
娘の失踪事件をきっかけに、夫との喧嘩が絶えず、SNSでの誹謗中傷に晒された母親が徐々に平常心を失い、絶望的な状況でもがき苦しみながら光を見つけていく姿を描く。
出口のない迷路を彷徨い続ける母親・沙織里を演じるのは、出産を経て母となった石原さとみ。これまでのイメージを一新させる新境地に体当たりで挑んだ。
さらに、沙織里の夫・豊を青木崇高、失踪事件の取材を唯一続けている地元テレビ局の記者・砂田を中村倫也が演じるほか、森優作、小野花梨、細川岳、美保純ら実力派キャスト陣が集結した。

ある日、街で少女失踪事件が発生する。母親の沙織里(石原さとみ)はあらゆる手段で娘を捜すが、有力な手がかりも見つからないまま3カ月が経つ。世間の関心も薄れ、夫・豊(青木崇高)との温度差に苛立つ沙織里だったが、失踪当日にアイドルのライブに行っていたことがSNSに投稿され、“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となり……。
「最後の方のシーンでは、ずっと涙が止まりませんでした」

── この映画は2024年に私が観た作品の中で、今、ダントツのナンバーワンなんです。
青木崇高(以下、青木) 本当ですか⁉ ありがとうございます!
── 最初、観終わってから腰が砕け、それぞれみんなに感情移入する具合と、私自身も娘の親だから……。
青木 ああ、お察しします。もうなんか、わかります。わかりますって言うのはなんですけど、そうなってしまうのは想像できます。
── 吉田恵輔監督との現場は初めてなんですよね?
青木 現場は初めてですね。釜山映画祭で何度かお会いしてお酒を一緒に飲んだことはありましたけど、今回初めてお話をいただいて。かなり大変なお話じゃないですか。それに、生半可な覚悟では撮れないじゃないですか。
でも、吉田監督の今までの作品も拝見させていただいて、やっぱり「日常に生きる人間の物語」を監督自身が脚本に書かれていることや、これまでの作品のように人物が特徴的でありながらとても愛情深く演出される監督だというイメージだったので、もうそれは出たいって思いましたね。
── 私も吉田恵輔監督と親しいので、いつも「わぁ、そうだよね!」って感じじゃないですか(笑)。
青木 そうなんですよ。でも現場はとてもリラックス出来てていい雰囲気の中撮影は進んでましたよ。
石原さんが今回こういう役で、しかも母親になって初めての作品で、いわゆる「幸せ」な話ではないじゃないですか。子育てなどの日常生活がありながら、子供がいなくなるっていうストーリーの母親を演じるって、相当大変だったと思うんですけど、監督としっかり向き合ってやられてる様子を見て、僕はあまり(台本を)読んで準備してきたものを現場でやるということではなくて、現場の様子であったり、そこから聞こえるもので沙織里のあり方を捉えて、そこで豊っていう役のポジション取りというか、どういう距離感でいるのがいいのかなっていうところを探ってたっていう感じですね。だからよく話してるところに近づいていって、こうやって耳を大きくして演出を聞いてました。
── 観てて絶対、私も沙織里キャラだと思いました。私も絶対ああなるよなと思って。
青木 いや、なってしまうと思いますよ。

── あと性格もあるじゃないですか。旦那に言うセリフもああいうこと言ってて、旦那がうろうろしてるのもすっごい想像できて、途中から(豊が)旦那に見えてきて(笑)。豊本人は本人なりに悩んでるんだろうけど、「温度差が違うんだよ!」っていうセリフが映画の中に出てくるじゃないですか。そのリアルさがすごいですよね。
青木 わかりますね。やっぱり母親としてそうなるのはやっぱり仕方ないというか、当然のことなので。旦那としてじゃあどうあるべきなのかは、とても難しいし、思ったことを伝えても解決にはなりにくいですよね。
男性って、解決に持っていきたがるっていう傾向があるじゃないですか。もしトゲトゲしたことを言われても、できるだけ感情的にならずに「いやいや、まぁまぁまぁまぁ、ちょっと落ち着こうよ」と。けどそれがまた「あなたはよく冷静でいられるね?」と夫との“温度差”に妻がイライラするということもすごいわかります。

とはいえ、やはり起きた事が事なだけに、豊はより慎重に気を遣っていたんじゃないかなと思いますよね。それに自分自身も辛くて悲しいから「待ってくれよ、俺だって苦しいんだよ」という気持ちも時おり出てくるのだと思います。
自分の感情が溢れ出てくるんですよ。脚本がもうリアルすぎて、自分の心の反応なのか、豊の心なのか分からなくなって。もうそれでいいんだって思ってましたけど、やっぱり溢れてくるんですよね。
リハ一サルを重ねると溢れ出してしまうので、そのシーンの直前に調節する感じですね。それを繰り返すことは結構大変でした。沙織里の言ってることはよく分かるし、理解はしてるんだけど、だからこそ、できるだけ感情的にはならず、同じトーンでいちゃいけないんだっていう、父親が家庭を守る、っていう、こちらもこちらの一種本能みたいなものを佇まいで見せれたらなというのはありました。

あるシーンではそんな感情がどこか浄化されるような、そういうシーンを監督は脚本に書いてあって、そのシーンではもうずっと涙が止まりませんでしたね。
また、青木崇高さんのお気に入りの東映作品についても語って頂きました。ぜひあわせてご覧ください。
『ミッシング』
5月17日(金)公開
(C)2024「missing」Film Partners
ヘアメイク:NANA
データ
「伊藤さとりのシネマの世界 Vol.67」『ミッシング』放送日時
2024年5月13日(月)21時20分~21時30分
2024年5月28日(火)12時50分~13時00分
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