【動画インタビュー】気になる!あの映画の“ウラ話” by.映画パーソナリティ 伊藤さとり

Vol.44『霧の淵』三宅朱莉&水川あさみ 母と娘を演じたふたりはまさに阿吽の呼吸! 撮影秘話を語る

第44回

伊藤さとり、三宅朱莉、水川あさみ

映画パーソナリティ・伊藤さとりのYouTube番組「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」。

新作映画の紹介や、完成イベントの模様を交えながら、仲良しの映画人とゆる~い雰囲気の中でトークを繰り広げます。他ではなかなか聞き出せない、俳優・監督たちの本音とは?

今回は現在公開中の映画『霧の淵』から三宅朱莉さんと水川あさみさんが登場。印象に残っているシーンや撮影秘話など、たっぷりとお話いただきました。

映画人たちの貴重な素顔をご堪能ください。

寂れた山村の老舗旅館を営む家族に訪れた変化の時

『霧の淵』

第72回サン・セバスチャン国際映画祭で新人監督部門に最年少でノミネートされた、村瀬大智監督による人間ドラマ。過疎化が進む奈良県川上村を舞台に、旅館を営むある家族の姿を描く。

奈良県南東部の山々に囲まれたある静かな集落。かつては商店や旅館が軒を並べ、登山客などで賑わったこの集落で、代々旅館を営む家に生まれた12歳のイヒカ。数年前から父は別居をしているが、母の咲は、父との結婚を機に嫁いだこの旅館を義理の父・シゲと切り盛りしている。

そんなある日、シゲが姿を消してしまう。旅館存続の危機が迫る中、イヒカの家族に変化の時がやってくる――。

『霧の淵』

主演を務めるのは、オーディションで抜擢された奈良県出身の新人俳優・三宅朱莉。 イヒカの母・咲を水川あさみ、イヒカの父・良治を三浦誠己、イヒカの祖父・シゲを堀田眞三が演じる。

「撮影はすごい自然体で望めたと思います」(三宅)

『霧の淵』

── 三宅さんにとっては映画デビュー作ですもんね。おめでとうございます!

三宅朱莉(以下、三宅) ありがとうございます。

── 初めての舞台挨拶もね。

水川あさみ(以下、水川) でも、緊張してるとは思えない堂々っぷりでしたよ。ちゃんと話してて、素晴らしかったです。

── どうでした? 知り合いの人も舞台挨拶の会場で見つけちゃいましたね。

三宅 中学校の先生が来てくださっていて嬉しかったです。

水川 うちわを作ってきてくれてたね。

三宅 「朱莉LOVE」みたいな(笑)。

水川 可愛かったー。

三宅 本当にありがたいです。

── この映画はオーディションで決まって、ちらっとさっき話を聞いたら、今までなかなか役が決まらなくて諦めようと思っていた時に……。

三宅 受かっていて(笑)。本当にびっくりでした。

── しかも、お母ちゃんが……。

三宅 水川あさみさんです。

水川 よろしくお願いします。

三宅 とんでもねぇです。

── しかも見てくださいよ、この素敵なお着物の姿を。

水川 はい、そうなんです。これは撮影させていただいた朝日館っていうところの本当の女将のお着物を頂いて、それを今日着てきました。

── 映画を観てても「あれ?この方は役者さんじゃないぞ」って思いながらすごいナチュラルにみんな喋ってるじゃないですか。

水川 普通に会話してるのを撮ってたって感じですね。

── なかなかそんな撮影ね。

水川 そんな撮影の仕方はなかなかないですから。だから監督と目で合図して、「あっ、今、回ったんだな」っていうことを感じながらそのまま話してるのを続行させていくっていう。それで、途中でセリフに変わっていくっていう感じでしたね。

── すごっ!

水川 スタッフと私と三浦誠己さんとかが、そういうのを企んで撮影していったって感じです。

── ベテランチームがね。

水川 うんうん。そうそう(笑)。役者陣がね。

『霧の淵』

── 朱莉ちゃんはどうだったんですか?

三宅 私も結構台本にないところでカメラが回っていたりとか、気づいたらカメラが回ってる状態で。だから、本当に何も考えてない時とかに撮られているのが映画で使われていたりとか。緊張ですよね。

── でも、本当に自然体だったじゃないですか。

三宅 自然体でしたね。結構何にも考えてないっていうところもあったんですけど、撮影前の一週間ぐらいずっと川上村で過ごしていて。そこで結構イヒカの気持ちに私が近づいていった感じで。なので、撮影はすごい自然体で望めたと思います。

── 撮影時は12~3歳ですよね。

三宅 13歳です。

水川 中1か。

三宅 中2になる手前です。

水川 今、高校一年生になったの?

三宅 なりました。

水川 だからその時と顔つきがやっぱりちょっとお姉さんになってて、びっくりしちゃって。今日は久々に会ったもんね。

── 私も確認しちゃいました。「あれ?」って。

水川 ポスターの時と顔が違うから。

三宅 めちゃめちゃそれは言われます。

── その頃、水川さんも芸能界入りし、仕事を始めていますもんね? 

水川 はい。そうですね。私も仕事し始めたぐらいかな。中学3年生で。

── 『金田一耕助』が初の映画出演であの時にもね。

水川 『金一少年の事件簿』ね。

── 耕助じゃないわ! すみません!

水川 惜しい~。

── 初めての映画って、やっぱり印象残っているものですか?

水川 忘れないですよね。全てがやっぱり新鮮だし、学校に行ってる日常とは全く違う世界観で、大人の人と接するし。私は何でも刺激的で、すごく楽しい思い出しか私はないです。

『霧の淵』

── 三宅さんはどうだったんですか?

三宅 最初に川上村に行った日は、すごい大人がたくさんいるじゃないですか。

水川 そうだよね、びっくりするよね。

三宅 オーディションで私は結構自分の中でも演技は上手にできていたって思っていなくて。それで、最初、いつか切られるんじゃないかってすごい不安だったんですけど。

水川 へ~、行ったのに?

三宅 すごい緊張していたんですけど、川上村とかで過ごしてる時間、監督とかいろんな人としゃべっていくうちにやっぱり私もすごい楽しかった思い出しかないです。

水川 良かった。

── 良かった。これで現場嫌いになられたら悲しいですもんね。

三宅 すごい皆さん、あったかい人たちが多くて撮影の現場の印象もすごく良くて。

── お母ちゃんが水川あさみさんだったじゃないですか。きっとテレビとか映画で見てる人ですよね。どうだったんですか?

三宅 水川あさみだって! いる―と思って(笑)。本当にめっちゃ緊張もしました。一目見た時に「うわぁ、めっちゃ可愛い!」って思って。本当にファンみたいな心情だったんですけど、やっぱカメラが回ったらちゃんと……ちゃんとっていうかイヒカのお母さんでしかなくて、本当にすんごい人だなって思います。

── すんごい人ですって。

水川 そんなことないです。ありがとうございます。

── ふたりが歩いてる時にふたりでポケットに手突っ込んで歩いてるじゃないですか。私、あそこ見た時に「うわぁ、もうこれが親子!」って思ったんです。あれって脚本に書いてないんですか?

水川 書いてないです。多分ナチュラルにそうなったんだと思います。

三宅 私も見て「あっ、いいな」って思って。

── アイディアじゃなくて?

水川 アイディアじゃないです。私は元からポケットに手を入れてたんですけど、多分途中から(イヒカが手を)入れた。あそこ、何回か撮ったね。何回も往復して撮ってた時に、きっと無意識だと思う。多分無意識にそういう形になったんでしょうね。

三宅 イヒカの癖がそのポケットに手を突っ込むみたいな癖があって。ま、それを自然と……。

水川 一緒にやってたんだね。

── 阿吽の呼吸。でもそれだけやっぱり空気が読めるっていうね。

三宅 読んでたんですかね。

『霧の淵』

── じゃあ水川さんに聞いてみましょう。役者さんで何が一番必要なんですか?

水川 なんでしょうかね(笑)。私もそれは分かりません。ずっと模索してます。必要なことっていうことはないと思いますけど、楽しくいられることが大事だと思いますけどね。

── 日々現場で?

水川 現場でも日々も。

── 確かに色んな共演する役者さんが水川あさみさんのことをいつもゲラゲラ笑って楽しい人だって言うんですけど、それは自然体なのか、それとも意識してるんですか?

水川 どうなんでしょうね。もうちょっと自分じゃわかんないけど、でも私は普段からこんな感じですから(笑)。どうなんだろうな……。でも、楽しもうという気持ちは常にあるかな。

── 大事みたいですよ。

三宅 楽しみます。

── 今回、現場で水川さんの背中を見てて、どんなところが勉強になるなと思いましたか?

三宅 本当に現場に水川さんがひとりいるだけでも空気が全然違うんですよ。明るいというか、楽しいというか、本当に太陽みたいな欠かせない人です。

水川 そんなことないよ。

── 映画の中ですごく素敵な画がいっぱいあるじゃないですか。ふたりがダムかなんかに行くところがありますよね。あそこの広い画も大好きなんです。

水川 すごい綺麗ですよね。本当によく切り取ってるなと思う。自然の中に。さっき舞台挨拶で三浦さんが言ってたけど、「自然の中に人間が共存してるような世界観だ」って言ってましたけど、ああいうの見るとまさに本当にそうだなって思いますよね。

『霧の淵』

── おふたりは好きなシーンというか、好きなショットはどこでしょう?

水川 えー、美しいショットいっぱいあるもんね。朱莉ちゃんどこが好きやった?

三宅 お祭りのシーンあるじゃないですか。ずっと人がいない川上村の通りとかを見てきたので、そういうところに人がたくさんいて、昔の川上村、賑やかだった頃のショットっていうのを、自分がそこにいられるっていうことがすごく嬉しくて、あそこのシーンはすごく好きなシーンです。

── 川上村の道にお祭りを本当に作ったんですか?

三宅 そうです。そうです。

── しかも、だからそこの人たちみんな川上村の人?

三宅 そうです。

── おおーすごっ!

水川 総出ですよ。大ごとでしたよね。

三宅 本当に。

── 堀田眞三さん演じるおじいちゃんがずっとテクテクくっついて行っててね(笑)。ちょっと夢みたいな、過去にタイムスリップしたのかっていうね。

水川 そんな感じもある。

── あそこはよかったですよね。私も好きです。

水川 この作品の中で、一番明るい華やかなシーンですよね。

── 水川あさみさんはどうですか?

動画では水川あさみさんのお気に入りシーンのほか、おふたりのおススメ映画やプライベートで行きたい場所についてなども教えていただきました。続きはぜひ動画全編でごご覧下さい!

『霧の淵』
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三宅朱莉&水川あさみインタビュー『霧の淵』

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