【動画インタビュー】気になる!あの映画の“ウラ話” by.映画パーソナリティ 伊藤さとり
Vol.45『若武者』坂東龍汰&二ノ宮隆太郎監督 「どこで狂気を出して、垣間見せるかを考えました(坂東)」
(左から)伊藤さとり、二ノ宮隆太郎監督、坂東龍汰
映画パーソナリティの伊藤さとりが注目する最新映画のキャスト、監督、スタッフ等にインタビューする、東映チャンネルのオリジナル番組「伊藤さとりのシネマの世界」。
6月のゲストは、現在公開中の映画『若武者』から、坂東龍汰さんと二ノ宮隆太郎監督が登場!
撮影ウラ話満載のインタビュー映像をお届けします。
3人の若者を主人公に描く青春群像劇
第76回カンヌ国際映画祭に正式出品された『逃げきれた夢』の二ノ宮隆太郎監督が監督・脚本を手掛けた最新映画。性格の異なる3人の若者たちが、世直しと称して世間に横行する小さな差別や違反を正すも、やがて暴力へ発展する様を描く。
義父に対する深い憎しみを秘める渉を坂東龍汰、他人の負の感情に愉悦を覚える英治を高橋里恩、介護職員として真面目に働きながらも周囲を鈍い視線で見つめている光則を清水尚弥が演じるほか、彼らを取り巻く大人たちには、木野花、豊原功補、岩松了ら実力派俳優らが名を連ねる。
寡黙な渉、血気盛んな英治、温厚な光則はひとりの幼なじみを数年前に事故で亡くした。幼なじみが眠る墓前に集まった3人は、抱えた負の感情を楽しみに変える方法を考える。彼らは世直しと称し、街の人々の違反や差別に牙を剥くが、徐々にエスカレートして……。
「この三人の中で一番危ないヤツなんじゃないかな(坂東)」
── おふたりは今回の作品で初めてご一緒になったんですか?
坂東龍汰(以下、坂東) そうですね。初めてです。
二ノ宮隆太郎監督(以下、二ノ宮) はい! そうです。
── 坂東さんをキャスティングした理由から教えて頂いてもいいですか?
二ノ宮 私は龍汰君と同じ事務所に所属していまして、もう初めて見た時から、「この映画の先頭は龍汰君で!」と思って、脚本を書き始めました。
── 初めて脚本を読んだときはどうでしたか?
坂東 いやー、セリフ少ないなーと。
── 確かに(笑) 。
坂東 最初読んだ時は衝撃でした。でも、英治役を里恩がやるのは聞いていたのでピッタリだなというか、まんまじゃん!ていう。
二ノ宮 いや、(ポスターを指差しながら)こんなに悪くはないんですよ。あとは、このふたりのバランスがものすごく好きで、絶対合うなというか、すっごく想像がついていました。
── だから、やっぱり最初にこのキャスティングに引き寄せられちゃうんですよ。ずっとほぼ最初、喋らないじゃないですか。でも、長回しっていう。
坂東 今までやった事のない役だったので、ずっと監督に「これでいいんですか? これでいいんですか?」って聞いていたような。
二ノ宮 そうね。だからほんとにこの終盤まではずっとこのふたりを受けてお芝居をしていただいたんですけど、前半部分はもう他のふたりに付きっきりみたいな。
坂東 そうなんですよ、里恩と清水尚弥君と。
二ノ宮 だけど、ほんとに長回しの多い中、龍汰君はここで相手を見てほしいとか、ここで振り返ってほしいとかのタイミングを、自分が声をかけずとも、ここだっていう時に全てやってくれて、ほんとすごいっすね。
だから、こうやっていろんな方から愛されているんだなって。「あっ、こういうことか!」と思いました。
── 渉ってどういうキャラクターなんだろうってずっと思っていたんですよ。
二ノ宮 あっ、そうですよね。
坂東 僕もずっと考えています(笑)。今もなお。
二ノ宮 僕もです(笑)。
── でも、ガーンってくるじゃないですか。
坂東 あぁ、はい。途中で……。
── ね! 途中でうぉ~‼ってなって、一番怖いキャラかもしれない(笑)。
坂東 そうなんですよ。この三人の中で一番危ないヤツなんじゃないかなっていうのは思ってはいて。
二ノ宮 ね(笑)。
坂東 逆にそこまでどう演じていくかっていうのは難しいなっていうか、どこでその狂気を出して、垣間見せるかを考えました。英治とのやり取りのところのテンションとか……でも、渉もずっとそこにいくまでも絶対何かあるじゃないですか。多分、英治との、友達との時間ってあって……みたいな。そこを映画の始まりでどれくらい出すかっていうのを結構話し合ってはいました。あとは基本的には放置で(笑)。
── 清水尚弥さんの役もですけど、優しそうに思いきや……の“!”じゃないですか。
坂東 絶妙~な気持ち悪さですよね。気持ち悪いとか言っちゃあれか(笑)。
── いや、でもそうなんです! どんなキャラクターをいつも思い浮かべながら、どれだけ闇を二ノ宮監督は抱えているんだろうって勝手に思っていましたけど。
二ノ宮 まさにもう普段出さない性格の悪さというか、自分の闇を三分割にしたみたいな映画になっております。
── しかも、カメラ固定にしているじゃないですか。あれはなぜ固定にしているんですか?
坂東 独特なカメラの画角ですよね。まずスクエア型で普通の映像よりは監督の作品って全部キュッとしている。
── それで、今回固定にしていて、みんな行ったり来たりするじゃないですか。
坂東 撮られている時は基本カメラって目の前じゃないですか。でも、斜めから撮られていて、映ってないんじゃないかなーって(笑)。頭の一部しか映ってないんじゃないかなっていう感覚になるんですけど。あれは何か理由があるんですか?
二ノ宮 人物を切り取るというよりも、この映画のこの脚本であれば、空間が主役といいますか、だけど人物も際立たせないと、というそこのバランスを考えた映画ではありました。
── さすがです。でも、こういう作品って手持ちでいくかって考えるじゃないですか。でも、そうすると近すぎるじゃないですか。固定だから、なんかずっと覗き見しているみたいな感覚になってくるんですよ。ちょっと距離があるけど、見てるみたいな。よく道で人が喧嘩しているのを見てるっていう感覚に近いですよね。それよりかは近いんですけど、それがまたいい感じに気持ち悪いんですよね(笑)
坂東 そうなんですよねー。全部がいい感じで気持ち悪かったなー。
── 誉め言葉なんですけどね(笑)。
二ノ宮 そうですね。この気持ち悪い推しでね。この映画のジャンルは何なんだっていう、「あ、気持ち悪い映画なんだ」って思いました(笑)。
また、おふたりのお気に入りの東映作品についても語って頂きました。ぜひあわせてご覧ください。
『若武者』
公開中
(C)Copyright 2023 “若武者” New Counter Films LLC. ALL RIGHTS RESERVED
坂東龍汰&二ノ宮隆太郎監督
データ
「伊藤さとりのシネマの世界 Vol.68」『若武者』放送日時
2024年6月7日(金)14時50分~15時00分
2024年6月28日(金)12時50分~13時00分
https://www.toeich.jp/information
東映チャンネル公式サイト
https://www.toeich.jp/