【動画インタビュー】気になる!あの映画の“ウラ話” by.映画パーソナリティ 伊藤さとり
Vol.57『大きな家』竹林亮監督&齊藤工「児童養護施設のみんなも、被写体というだけじゃなくてちゃんと参加してもらってるなっていう感じがしました(齊藤)」
第57回
(左から)伊藤さとり、竹林亮監督、齊藤工プロデューサー
映画パーソナリティの伊藤さとりが注目する最新映画のキャスト、監督、スタッフ等にインタビューする、東映チャンネルのオリジナル番組「伊藤さとりのシネマの世界」。
12月のゲストは、12月6日(金)から先行公開の映画『大きな家』から、竹林亮監督と齊藤工プロデューサーが登場!
撮影ウラ話満載のインタビュー映像をお届けします。
児童養護施設に暮らす子どもたちに密着したドキュメンタリー
本作は、齊藤工が企画プロデュースを務め、青春リアリティ映画『14歳の栞』(2021)を手掛けた竹林亮監督と製作チームによるドキュメンタリー。
児童養護施設に暮らす子どもたちに密着し、家族ではないつながりの中で生活しながら、自分の運命と向き合い、葛藤し、未来に目を向けて成長していく子どもたちの等身大の姿を描く。
東京のとある児童養護施設には、さまざまな事情で親元を離れた子供たちが職員と暮らしている。家族とも他人とも言えない関係の中で、子供たちは、築くことが困難な人間関係や生きることへの不安を抱えながらも、大人になっていく。
児童養護施設の子どもたちの様子を撮りたいと思ったきっかけとは?
── 齊藤さんはどうして児童養護施設の子どもたちの様子を撮りたいなと思ったんですか?
齊藤工(以下、齊藤) 最初はどうしても彼らを映像に収めなきゃっていう思いはむしろなくて、とあるイベントで僕がいちスタッフとして訪れて彼らとご一緒したことがあって、その時に彼らの眼差しというのが、一時的に大人が慈善事業的なことをして去っていくっていう背中をたくさん見てきた目で僕を見ているんじゃないかと勝手に思って(笑)。
それでこの点だけは嫌だなと思って、ゴールがあるわけではないんですけど、せっかくご縁をいただいたのでそれを線にしたいなって思って時折通っていたんです。そしたら自ずと色んな話をしてくれるようになってきて、僕が見て見ぬふりをしていた物語がそこにたくさんあったということと、ちょうど『14歳の栞』の上映があったので、そこでまた点と点が線になって、このふたつのチームが重なるべき、そのブリッジ的な役割が自分の天命だなと思ってご相談したという流れでした。
── ドキュメンタリーってやっぱり見る私たちの視点から見てると、「どうしてこの子たちは児童養護施設に入ったんだろう?」って気になっちゃうんですよね。でも、そこではないんだよってことを今回のドキュメンタリー見ながら気付いてくるんですよ。
竹林亮監督(以下、竹林) 良かった。
── 彼女、彼らの感情、心と、彼女彼らのこれから先を見ている世界を私たちが想像するような作りになっていて。
竹林 過去に何があったかとか、そういう断片をどっかピックアップして説明したとしても、その人の全てを語ってるものではないなっていうのがやっぱりめちゃくちゃあるんですよね。感じてもらいたいのは、みんなが今を生きているというところで、だから見ている人にも、本人たちに会って話したような気分になってもらい、でもなんでこう思ってるのかなとか、すごく気になって、そこから想像を膨らませて欲しいなっていうのがあって。
それで、しばらく一緒に過ごして彼らと友達になったような気分になってもらい、主人公たちを応援する気持ちを映画を観た後の人に残したい。
「何か力になりたいな」とか、それぞれあると思うんですけど、そういった、入り口としての役割を一つ果たせればいいなと思って、ああいう作りにしています。
── 彼ら彼女たちもみんな観て喜んでくれたりしているって言ってましたね。
竹林 そうですね。編集をしてる段階である程度出来上がったらちょっと観てもらって、気になるとこを教えてもらって。それで、もう一回編集して……。施設の職員の方にも観てもらって。最終的には「これ、テレビで流してよ!」みたいな感じにもなったんですけど(笑)、でもそうすると、やっぱり影響はあるだろうし、説明をしながら「映画館だけだよ」という話をしてるんです。でも、すごく愛着を感じてくれたりとか気に入ってくれたのが、本当に一番良かったなと思います。
齊藤 リアクションで面白かったのが、最初は自分の見られ方とか「なんかあの角度、嫌だ」とかっていうのが、やっぱり年頃の子たちなんで、当然あるんですよ。僕にもあるので。そうなんですけど、やっぱり全体を通して観た感想としては、でも「これを伝えたい」、「この施設のリアルを伝えるものに参加できてよかった」っていう結論に感想が達していったんです。
最初は個人的な気になる部分から、「やっぱりそこは否めない」とは言いながらも、でもそれを「なくさなくていいよ」っていうような意見を見て、すごく僕らの想い、監督の想いがしっかり伝わってるなって思いますし、被写体というだけじゃなくてちゃんと参加してもらってるなっていう感じがしました。
── あの世代の独特の思春期だったりとか、共同生活をする上での人間関係の大変さっていうのを見てる気がして。それがまたすごいぶち当たってくるから、一緒になって感情が溢れ出ていましたけどね。
また、オリジナル番組の動画ではおふたりのお気に入りの東映作品についても語って頂きました。ぜひあわせてご覧ください。
『大きな家』12月6日(金)東京・大阪・名古屋先行公開、他12月20日(金)全国順次公開
(C)CHOCOLATE.
竹林亮監督&齊藤工
データ
「伊藤さとりのシネマの世界 Vol.74」『大きな家』放送日時
2024年12月24日(火)19時50分~20時00分
https://www.toeich.jp/information
東映チャンネル公式サイト
https://www.toeich.jp/