【動画インタビュー】気になる!あの映画の“ウラ話” by.映画パーソナリティ 伊藤さとり

Vol.70 『第28回ウディネ・ファーイースト映画祭』役所広司が生涯功労賞受賞の思いを語る

第70回

(左から)伊藤さとり、役所広司

映画パーソナリティ・伊藤さとりのYouTube番組「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」。

新作映画の紹介や、完成イベントの模様を交えながら、仲良しの映画人とゆる~い雰囲気の中でトークを繰り広げます。他ではなかなか聞き出せない、俳優・監督たちの本音とは?

今回は、ヨーロッパ各国からアジア映画ファンが集まるイタリアの国際映画祭『第28回ウディネ・ファーイースト映画祭』にて生涯功労賞(ゴールデン・マルベリー賞)を受賞した役所広司が登場!

映画人たちの貴重な素顔をご堪能ください。

「海外の人が日本映画を好きでいてくれるっていうのはとても嬉しいです」

── イタリアのウディネ映画祭の生涯功労賞(ゴールデン・マルベリー賞)受賞おめでとうございます。初めて受賞を聞いた時はどう思ったんですか?

役所広司(以下、役所) 倍賞(千恵子 )さんが受賞された賞だなと思って、倍賞さんの時にショートメールで「おめでとうございます」ってすぐに打ちましたけど。倍賞さんと同じ賞をいただけて光栄です。

──しかも、実際こちらのウディネ映画祭って本当にアジア映画の祭典で。

役所 本当にヨーロッパいちのアジア映画祭なんですってね。

── そうなんですよ。本当にいたるところからアジア映画好きの方が集まって、上映後のファングリーティングの時なんかもみくちゃ状態だったじゃないですか。

役所 映画祭が仕込んだやつですかね(笑)? すごかったです!

── 私は見守ってたんですけど、後ろにワンちゃんまでいましたからね。

役所 そうですか(笑)。でも、温かい拍手で本当に嬉しかったですね。

── 海外のジャーナリストの方にもたくさんインタビューされてましたけど、印象に残った質問はありましたか?

役所 結構難しい質問が多いですよね。ユーモアを交えながら頑張りましたけど、こういう海外の人が日本映画を好きでいてくれるっていうのはとても嬉しいです。

── 『失楽園』や『Shall we ダンス?』や『うなぎ』の話だったりたくさん出てましたよね。英語でインタビューもされていました。役所さんは今までに合作映画に出て英語にも挑戦されたりもしてるじゃないですか。英語のセリフってやっぱり難しいんですか?

役所 自分の日常的に使ってる言葉としてやるのはなかなか難しいしハードル高いですよね。

── ヴィム・ヴェンダース監督と『PERFECT DAYS』でご一緒された時も、ヴェンダース監督は英語で話しかけるわけじゃないですか。 そこでやり取りしてるっていうのも特殊な環境だったんじゃないですか。

役所 監督と撮影中に会話するっていうか、挨拶ぐらいですけど。監督はどんどんどんどん進んでいくんです。カメラマンと一緒にコミュニケーションを取りながら、本番中もコミュニケーションを取りながら「こっちもああして」「もうちょっとサイズ詰めよう」とかなんか言いながらの撮影だったんで。すごいテンポでしたよ。

── 日本の監督と撮り方も違う感じなんですか?

役所 そうですね。普通、録音部さんが現場の音を録らなきゃいけないじゃないですか。まず第一声が「現場の音を録りたいんですけど、音待ちは基本的にしません」って。「サイレンが鳴ろうが、ノイズが入ってこようがとにかく映像を遂行してやります」っていう風なことを言ってましたね。そうじゃなかったら本当に16日間では撮れなかったんじゃないでしょうかね。

── 今回の映画祭で『うなぎ』が上映されるっていうのはちょっと嬉しくて。

役所 今村昌平さんはやっぱりヨーロッパで本当に絶大な人気がありますよね。

── カンヌ映画祭でご一緒して、受賞されてすごくやっぱり役所さんにとっても今村昌平監督って強い思い出がありますか?

役所 初めて『うなぎ』であんな華やかな映画祭に呼んでもらって、“経験”って言うんですかね。日本映画というのは世界でも認められてるんだっていうのを初めて僕も知りましたね。日本映画がこんなに愛されてるってことは、誇らしい気持ちになりました。

── 私は役所さんがずっとこうやって役者を続けているっていうことがすごいことだと思っています。当たり前のようにいつもやっていらっしゃいますけど、すごいことだなと思うんです。しかも、海外の監督ともご一緒するっていう。何か役者をやる上でご自分の中の糧になっているものなどあるんですか?

役所 昔やった映画も映画祭で特集上映してもらったりする時に、上映期間が終わってしまうともう2度とスクリーンにかからない映画もあるわけじゃないですか。それなのに取り上げてくれる映画に参加できたことがとても嬉しいことだし、そういう映画にこれからも1本でもたくさん出たいなという気持ちというか、モチベーションですかね。

改めてまたスクリーンで観ようという映画っていうのはそうたくさんはないと思うんですよ。それがこうやって特集してもらって、監督も喜んでくれるし、その時一緒に作った仲間も喜んでくれるし。これが本当に50年、100年後に残っていくのは、どんどんどんどん削られていくんだけども、そこに1本でも残れば嬉しいなっていうか、俳優やっててよかったなって思えることですよね。

── 今回イタリアですからご挨拶の時にイタリア語も喋ってたじゃないですか。

役所 「Buonasera」。

── 準備してたんですか?

役所 そうです。

── 私「Buongiorno」しか言えないです。

役所 「Buonasera a tutti」とかね。これは「皆さんこんばんは」。

──さて、あともうひとつ聞こうと思うんですけど、カンヌ国際映画祭で今回、黒沢清監督が特別上映ということになりましたけれども、黒沢清監督って海外の方からも非常に愛されているじゃないですか。ずっとご一緒している役所さんからご覧になって、魅力ってどんなところだと思いますか?

役所 先ほど出た今村昌平さんもそうですけど、やっぱり独特な個性を持ってますよね。映画が始まってから5分ぐらいでその世界に入れる個性を持ってると思うんですよ。だから黒沢さんの映画は根強い映画ファン、特に海外の方が多いのかな。

この前『PERFECT DAYS』の旅でロサンゼルスで『CURE/キュア』の上映会があったんで呼ばれたんですよ。すごい熱狂的なファンがいて、“CUREファン”っていうんですかね。なんかそのカラーはあるんですよ。だからこうやって世界中で未だに上映されてるっていうことは嬉しくて、その映画について語り合う楽しみを残してますよね。だからそういう映画はやっぱりずっと繰り返し上映されていくんだろうなと思います。それは黒沢さんもそういう計算をしながら作ってるんじゃないでしょうかね。

── ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』もそうですけど、役所さんがいつも出演されている映画は分かりやすくないじゃないですか。登場人物を見つめていきながら観客が読み込んでいく感じですよね。

役所 そうですよね。やっぱり一方向だけに導くんじゃなくて、いろんな方向に観客が自分なりに解釈をしたり感じ取ったりするような作りの映画はいいですよね。何度観ても。何度も観てると違う感覚も味わえるし、年取って観ると「あっ、こういう映画だったのか」っていうこともあるし。ただ全てを説明してくれて全てを与えてくれる映画だと1度観るとなんとなく満足してしまう感じがしますよね。

Vol.70 『第28回ウディネ・ファーイースト映画祭』役所広司

データ

YouTubeチャンネル「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」
https://www.youtube.com/channel/UCVYlon8lP0rOJoFamEjsklA