川島　表紙の写真はどうやって決めたんですか？

チッチ　一緒に考えさせてもらったんですけど、何パターンかご提案いただいて、これだ！って思って。わたしは小鳥さんの写真集も好きで自分で持ってるんですけど、四角い判型のものがあるじゃないですか、ハクと坊の書籍もそういうふうな感じにしたいって伝えたら、まさかふたりの顔がボンボンってくるなんて！ってわたしも想像していなかったので、これしかない！って思いました。

川島　チッチさんが一緒に写っているパターンもあったんですか？

チッチ　ありました。けど、わたしはハクと坊の写真を見てもらいたかったので。こっち（表1）側にふたりがいるっていうのも考えたんですけど、表裏にふたりの顔があると2冊並んだときにかわいいなと思ったんです。

川島　あー、確かに。

チッチ　なので表紙にハクだけがいるからハクがメインっていうわけでは決してなくて、開いてふたりがいる状態で見てもらえるとうれしいです。

── この写真（P4-5）はまだ最初の頃の1枚ですか？

川島　その距離感はそうですね。

チッチ　ハクが遠くの方にいてこっち見てる写真ですよね。それめっちゃ気に入ってます。

川島　興味はあるけど……みたいな。

チッチ　のぞいている感じが。

川島　やっぱりふたり平等にっていう感じで選んだんですか？

チッチ　そうですね。ハクがメインって思っている人もいるかもしれないんですけど、ハクがメインじゃありませんって表立って言ったら逆に坊ちゃんに失礼だなって思ったんで、あんまり言わなかったんです。

川島　それは、BiSHの時も。

チッチ　え？

川島　誰がメインとかではない。みんながメイン。

── 急に鋭い質問で焦りました（笑）。

川島　インタビューっぽいこと聞いちゃった。

チッチ　尖ってるインタビュアーさん（笑）。

川島　はははは。

チッチ　あ、そうだ、それで表紙の話に戻ると、だから帯の写真は坊ちゃんと一緒に写っているものにしようと思いました。

── この写真（P98-99）の坊ちゃんもいい顔してますね（笑）。

チッチ　これは鼻をスピスピしている写真ですね。よくやってます。

川島　おうちに帰ってきた時迎えにきてくれたりするんですか？

チッチ　はい。出てきて足にすりすりしてくれます。

川島　ふたりとも？

チッチ　そうですね。坊ちゃんはトトトトって走って寄って来るのがかわいくて、ハクは寄ってきて足にスリスリします。ちょっと小走りで来るんですよ。

── それにしてもふたりともいい顔しますよね。

チッチ　ハクはファニーフェイスのかわいさなんですけど、猫界で言ったら坊ちゃんが美人顔なんですってブリーダーさんが言ってました。

川島　ふーん、そうなんだー。

── 前回から話題になっていた魔性のおもちゃ、シャカシャカブンブンも大活躍していますね。

川島　それ、すごく助けられました。

── やっぱりそうですか（笑）。

チッチ　わたしはシャカシャカブンブンをずっと応援していますので。

── この連載のスポンサーになってほしいくらいです（笑）。

チッチ　（笑）。

── 撮影で特に苦労したことなんかはなかったですか？

川島　ない。

── 動物の写真って苦労するって聞くんですけど、このふたりはそんなこともなかったんですね。

川島　うん。全然ない。チッチさんがいろいろやってくれたし。

チッチ　いつも通りに過ごしてくれたらって小鳥さんが言ってくれたんで、いつもやってることをやってみました。小鳥さん以外にもスタッフの方が何人か来ていたんですけど、それでちょっと隠れた瞬間があったので、ちょっと部屋から出てもらったりしました。

川島　エキゾチックショートヘア界での反応はどうでしたか？

チッチ　ブリーダーさんも喜んでくださってて、そのご家族も含めてわたしが知っている方たちは、見たよーとか、かわいかった！ってすごい言ってくださいました。ブリーダーさんもなかなかこうやって我が子たちがメディアに出ることがあまりなかったから、喜んでくれました。

川島　ブリーダーさんのところには何匹くらいいるんですか？

チッチ　めっちゃいます。この書籍の撮影で伺った時でも20匹はいました。みんな家族なんですけど、それぞれ顔が違ってて、めっちゃかわいいんですよ。ハク坊のお父さんとお母さんに会えてうれしかったです。ずっと会いたかったので。やっぱ似てました、体型とかが。お母さんのほうは顔が大きめのまんまるい感じで、お父さんはシュッとした小柄だったんで、ハク坊も坊ちゃんの方がシュッとして小柄で、ハクは頭が大きくてまんまるなんで、似るんだなって思いました。

BiSHのメンバーはハク坊の良き理解者

川島　悩み相談とかしたりするんですか？

チッチ　ハク坊にですか？

川島　そう。

チッチ　けっこう喋りかけますね。でも答えはあんまり返ってこないんですけど、突然ゴロンてしてお腹出したりするので（笑）。「まあ気にすんなよ」って感じなんだと思います。映画を観て泣いたりしていても急に寄ってきてちょこんと横に座ったりしてくれるから、優しいな〜って思います。

川島　そう言えば、数日間だけ猫が家に来たことがある。

チッチ　え!?

川島　佐渡島に住んでいる友達の猫が子供を産んで、うちの両親が飼いたいって言ったから1日だけうちに預かって次の日に実家に持っていったんです。ヤバかったです。かわいくて。

チッチ　仔猫ですか？

川島　そう。

チッチ　でも大変ですよね、仔猫は。

── 2時間おきとかにミルクあげなきゃいけなかったりしますから。

川島　あれ？　あげたかな？　でもよちよち歩きとかではなかった。3カ月くらいだったのかな。

チッチ　じゃあハク坊が来たのと同じくらいですね。

川島　実家で育ったら僕のことはすぐに忘れられちゃいました。

── じゃあ今もその猫ちゃんはご実家にいるんですか？

川島　いますいます。あと一週間だけ友達の猫を預かったことがあって、それも良かった。

── それは大人の猫ちゃんですか？

川島　はい。もともと保護猫だった子で。

── すぐに慣れました？

川島　空間にはすぐに慣れましたね。

── 川島さん、すごく猫に好かれそうですもんね。

川島　そんなことないんです。追いかけちゃうから。

チッチ　あはは。そっか（笑）。

川島　ハク坊も撮影の後とかだったらすごい追いかけてたかも（笑）。

チッチ　わたしがびっくりしてたと思います（笑）。いい趣味ですね。そういう小鳥さんを街で見かけたいです。

川島　猫って、抱っこされてちょっと我慢するとすぐに限界がきて逃げるじゃないですか。

チッチ　はいはい。

川島　それも好き。

── ハクちゃん坊ちゃんは抱っこ好きですか？

チッチ　好きです。でも1時間はいられないんで。

川島　1時間近くは抱っこできるんだ。

チッチ　テレビ見ている間とかそのまま膝の上で抱っこしていられるんで。おしっこ行きたくなったり、お腹がすいたとかって邪念が入るとすぐにいなくなっちゃいますけど。うちのハク坊は仰向けが大丈夫なタイプなので平気です。抱っこしたまま寝ちゃったりするので。

── 赤ちゃんですね（笑）。

川島　何考えてるかわかるって書いてありましたね。

チッチ　すごいわかりやすくなったんですけど、坊ちゃんは確実に何かを知らせる時に鳴くんですよ。「おしっこしたい／おしっこします」か、「ウンチしたい／ウンチします」のどっちかは完全にわかります。

川島　宣言するんだ。

チッチ　そうなんですよ。絶対に、そのタイミングで鳴きます。「するぜー」みたいな感じ（笑）。あと極限お腹空いた時は「飯くれー」って鳴きます。それ以外は鳴かない。

川島　へー。

チッチ　ハクは表情で全てを伝えられるタイプですね。すっごい怖い時とかは聞いたことのない声で鳴きますね。知らない空間でわたしが見えなくなったりしたら。イヤーーー、イヤーーーって。

── 悲鳴ですね（笑）。

チッチ　そう、悲鳴です（笑）。たまにかわいいなって思うのはジャンプする時に漏れる短い声。「ニャッ」っていう（笑）。

川島　（笑）。ハクちゃんと坊ちゃんと生活するようになって、メンバーの方からなんか変わったって言われますか？

チッチ　わたしが変わったとかは特に感じてないと思いますけど、ハク坊に会いたいって言ってよく来てくれるようになりました。お仕事が終わったらすぐ帰ったり、地方に来ていても帰りたがるんで、そうすると「そっかハクちゃん坊ちゃん待ってるもんね」って、みんなの思考の中にあのふたりが入っているっていうのは、わたしたちのことをすごく理解してくれているなって思いますし、助かりますね。理解者です。

── ということで、2回目のゲストは写真家の川島小鳥さんでした。ありがとうございました。

チッチ　ありがとうございました。

川島　こちらこそありがとうございました。本当に素敵な1冊です。あ、1冊ですね。

チッチ　（笑）。素敵な写真ばかりです。

川島　監修の方の愛を感じます（笑）。

Text：谷岡正浩　Photo：山本佳代子、川島小鳥（ハクと坊）

※アプリ版には限定カットも6点掲載しています。

フォトエッセイ『チッチと猫のハクと坊』発売中！

https://book.pia.co.jp/book/b606874.html

プロフィール

セントチヒロ・チッチ
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバー。音楽はもちろん、ファッション、アート、カメラ、カレーと多趣味。ファッションブランドとのコラボレーションアパレルの発売、フジテレビNEXTにて『スパイストラベラー』の番組MCを務めるなど、多方面で活躍している。

BiSHライブ情報

BiSHライブハウスツアー「FOR LiVE TOUR」
2022年9月1日(木) 大阪Shangri-La／umedaTRAD
2022年9月4日(日) 新潟NEXS
2022年9月6日(火) 埼玉HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2022年9月7日(水) 高知X-pt.
2022年9月10日(土) 東京Spotify O-WEST
2022年9月12日(月) 北海道BESSIE HALL／PENNY LANE24
2022年9月16日(金) 宮城SENDAI CLUB JUNK BOX／チームスマイル・仙台PIT
2022年9月22日(木) 大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
2022年11月7日(月) 沖縄output(振替公演)

出演イベント

WILD BUNCH FEST. 2022
2022年9月17日(月・祝) 山口きらら博記念公園
出演：打首獄門同好会 / ego apartment / THE ORAL CIGARETTES / King Gnu / go!go!vanillas / SHISHAMO / SiM / 10-FEET / にしな / ハルカミライ / BiSH / Fear, and Loathing in Las Vegas / フジファブリック / MAN WITH A MISSION / ヤバイTシャツ屋さん / YOASOBI

TOKYO ISLAND
2022年9月24日(土) 東京都 海の森公園
出演：木村カエラ / Saucy Dog / にしな / BiSH / THE　BAWDIES / マカロニえんぴつ / Ryu Matsuyama

REDLINE ALL THE REVENGE Supported by M
2022年11月23日(水・祝) 神奈川県 ぴあアリーナMM
出演：HEY-SMITH / Dragon Ash / The BONEZ / Fear, and Loathing in Las Vegas / BiSH / 我儘ラキア

リリース情報

2022年連続リリース第10弾まで決定
https://www.bish.tokyo/news/detail.php?id=1101881

BiSH公式サイト
セントチヒロ・チッチTwitter
セントチヒロ・チッチInstagram

プロフィール

川島小鳥
写真家。1980年東京生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科卒業後、沼田元氣氏に師事。第42回講談社出版文化賞写真賞、第40回木村伊兵衛賞を受賞。主な作品集は『BABY BABY』『未来ちゃん』『明星』『おやすみ神たち』（詩人・谷川俊太郎との共著）『おはようもしもしあいしてる』など。2021年、俳優の仲野太賀との共作写真集『（世界）²』を出版。2022年6月にはセントチヒロ・チッチ（BiSH）による愛猫エッセイ『チッチと猫のハクと坊』で撮影を担当。2匹の愛猫と彼女が実際に暮らす部屋で自然体な姿を切り取った。。

川島小鳥 公式サイト