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グソクムズ/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

2ndアルバム『陽気な休日』はメンバーそれぞれ作詞作曲を手がけた、“ネオ街風”バンド・グソクムズインタビュー

特集連載

第68回

櫻井海音が最新のリリース楽曲からライブイベントまで、“いま聴くべき音楽”を厳選して紹介するJ-WAVE『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』から、番組連動インタビューを掲載。

今回登場するのは、吉祥寺を拠点に活動を続ける4人組バンド、グソクムズ。2020年にリリースした1stアルバム『グソクムズ』が第14回CDショップ大賞を受賞するなど、“ネオ街風”と称されるフォーキーでソウルフルなサウンドが大きな注目を集めることになった。12月14日にリリースした2ndアルバム『陽気な休日』は、メンバー4人それぞれが作詞作曲した曲をバンドサウンドに昇華し、グソクムズのネクストレベルを示した作品となった。今回のインタビューでは、結成の経緯から最新作までの話をボーカル&ギターのたなかえいぞをに聞いた。

好きなことを自分の音楽として消化してやっているということにすごく魅力を感じた

── バンドの成り立ちとしては、たなか(えいぞを/Vo&Gt)さんと加藤(祐樹/Gt)さんがフォークユニットを結成したところから始まるわけですが、まずここのきっかけはどういうものだったんですか?

10代の時ですけど、僕とギターの加藤が公園で焚火をして遊んでいたんです。そこでアコースティックギターを持ち込むようになり、その延長でだんだんとふたりで曲を作るようになったというのがきっかけでグソクムズが始まりました。

── フォークというのがおふたりの共通項としてあったのですか?

井上陽水さんが僕らの共通項としてはありましたね。あとは、こういうバンドにしたいっていうところで言えば、真島昌利さんの『夏のぬけがら』っていうアルバムがあるんですけど、ああいう温度感で音楽ができたらいいなっていうふうにイメージしていました。

── その感覚が合う人っていうのはあんまりいなかったんですか?

そうですね。僕の周りにはそういう音楽を聴いている人とか温度感の人はいなかったので、だから加藤とは友達からバンド仲間に、という感じになっていきましたね。

── 井上陽水さんは、フォークだけにとどまらないいろんな要素がありますよね。そこがもしかしたらグソクムズにとっては大きいのかなと思うのですが、いかがですか?

例えば「氷の世界」でもサイケデリックな曲があったりしますよね。好きなことを自分の音楽として消化してやっているということにすごく魅力を感じましたし、そういうバンドになりたいと思いました。

── そして、堀部(祐介/Ba)さん、中島(雄士/Ds)さんが段階的に加わっていって2018年に現メンバーとなるわけですが、最初の頃はライブをあまりされていませんでしたよね。それはどうしてですか?

ライブは、あまり好きではありませんでしたね。

── そうなんですか(笑)。今はどうなんでしょう?

今は好きになったんですけど(笑)。歌詞間違えちゃいけないとかギターのコードを間違えちゃいけないっていうのが嫌で、ま、あんまり当時は練習してなかったというのもあるんですけど、だから最近はちゃんと練習するようになってライブが楽しいですね。
あとはやっぱりお客さんが来てくれるようになったというのが大きいですかね。どうせ今ライブをやっても友達くらいしか観に来てくれないし、そのためにスタジオ代を払って練習するのもどうなのかな?って思っている時期がありました。

── 拠点が吉祥寺というのは今も変わらずですか?

そうですね。加藤と遊んでいた公園というのも井の頭公園の奥の方だったり、最初のころはよく曼荼羅でライブをやっていたり、今も練習スタジオは吉祥寺ですね。

── たなかさんにとって吉祥寺ってどんな街ですか?

僕の生まれは三鷹なんですけど、遊びに行ったり買い物に行ったり飲みに行ったり、何かしに行くと言えば吉祥寺で、本当に地元っていう感じですね。

── 最初に加藤さんとの共通項であったフォークっていうのも吉祥寺が関係していたりするんですかね。

そうかもしれないですね。高田渡さんが毎日のように飲みに行っていた「いせや」で僕もよく飲むし(笑)、シンパシー的なものは勝手に感じていますね。

面白いことが起きるんじゃないかっていう好奇心が強かった

── 12月14日(水)に2ndアルバム『陽気な休日』がリリースされました。こちらはどのようなイメージで制作されたのでしょうか?

1stアルバム『グソクムズ』(2020年)の時とは違って、バンドメンバーみんながそれぞれに好きな曲を書いてこようっていうことで持ち寄った曲が収録されています。1stの時はシングルカットする曲が決まっていて、そこから足りない曲数を埋めるような感じで、いわゆるアルバムっぽいアルバムを意識して作ったんですけど、今回の2ndアルバムは、あまりそういった条件やルールを決めずに思うままに曲を作って、シンプルにいいものを作ろうという思いで制作しました。

── リードシングルとして、「冬のささやき」と「夢にならないように」がすでに発表されていましたが、これはじゃあアルバムの形が見えてから決めていったという感じだったんですか?

「冬のささやき」は最初からシングルにというのが決まっていました。でも「夢にならないように」は持ち寄った楽曲の中から決めたんですけど、本当にいい曲が多くてその中からどれをリードにするかっていうのは結構悩みましたね。でも「夢にならないように」は今までのグソクムズとはちょっとタイプの違う曲というのもあったので、この曲でいこうということになりました。

── バンドメンバー4人ともソングライティングをされて、曲を作るというのはあると思うんですけど、歌詞までそれぞれが書けるというのはなかなか珍しいですよね。

そうですね。あまりないかもしれませんね。

── これは最初からそうだったんですか?

最初は僕とギターの加藤だけでやっていました。一昨年くらい前からベースの堀部に曲を書かせてみようとか、ドラムの中島に書かせてみようっていうふうになっていったんですよ。ちょっと実験的というか、そうすることによってみんなのバンドに対するグルーヴみたいなものが合ってきて、今回のアルバムのようにそれぞれが曲を持ち寄って1枚を作るというところまでできるようになりました。

── そもそもどうしてそうしようと思ったんですか?

面白そうだったから、じゃないですかね。

── 単純にメンバーのこの人がどういう曲を書くのかを知りたかった?

そうですね。あと、この人が書いた曲をバンド4人で消化したらどうなるんだろう?っていうのも興味としてはありましたね。別に僕と加藤2人の曲に飽きていたわけではないんですけど、なんか面白いことが起きるんじゃないかっていう好奇心が強かったですね。

── バンドとしての曲へのアプローチは曲を作った人が主導権を握ってアレンジしていくことになるんですか?

基本的にはそうですね。アレンジが固まりきらない曲の場合はみんなで考えてまとめていくっていう感じですね。

── そうした時のジャッジで、グソクムズらしさというものが大きなポイントとしてあると思うのですが、グソクムズらしさというのを今はどのように捉えていますか?

メンバーがそれをどう捉えているかっていうのは正直ちょっとわからないんですけど、僕的に思うグソクムズらしい音っていうのは、僕が歌っていて、ギターの加藤がギターを弾いていて、堀部のベースと中島のドラムがあって、サビが伸びやかでコーラスがあるっていうのがグソクムズの曲だなって思っています。

── 歌詞の世界観にあまりバラつきがないですよね。それこそ温度感が一致しているとういか。どこか、同じ街の風景をそれぞれで描いているような感じがします。共通して意識していることはあるのでしょうか。

もともと曲を作っていた僕と加藤に他のメンバーが寄せているのかはわからないですけど、基本的にはグソクムズで歌う歌詞という大枠なイメージはあって、そこは特に確認しあったというわけではないんですけど、今のところうまくやっていけていますね。

今はお客さんとのつながりが大きなモチベーションになっていますね

── ちょっとここで、たなかさんの感じる他の3人の曲の特徴というのをお聞きしたいと思います。まずは堀部さんから。僕が今回のアルバムに収録された堀部さん楽曲(「風を待って」「ステンドの夜」)から感じたのは、一番ロックなイメージだったんですけど、たなかさんから見た堀部さん楽曲はどんなイメージですか?

堀部の曲は、実は一番ロックではないんですよね。アレンジでめちゃくちゃ変わってこうなっているんですよ。というのも、さっきお話したんですけど、みんなで考えるアレンジの曲と、デモの段階で各パートのイメージが決まっているものがあるんです。堀部はだいたい、ベースとアコースティックギターと歌だけという感じのデモを送ってくるので、メンバーの意見が入ってアレンジが結構変わるんですよね。

── なるほど。続いて加藤さん楽曲(「冬のささやき」「冷たい惑星」「ハイライト」)からはすごくJ-POPらしさみたいなものを感じました。

加藤は書き分けられるタイプだと思うんですけど、リード曲になっている「冬のささやき」なんかは特に彼のJ-POP魂みたいなものを全開に出しているものになっている曲ですね。一方であとの2曲は、こういうコード進行を使ってみたらどうなんだろうとか、誰もが思いつかないようなメロディを考えたり、そういう実験というか面白味を持って作った曲になっていると思います。

── 「冷たい惑星」のサビのメロを歌うのは難しそうですね。

めちゃくちゃ難しかったです。正直デモの段階からレコーディングやりたくないなって思いましたから。サビの8小節に息継ぎがないんですよ。それを作ってくるのが加藤っていうか(笑)。しょうがないからやろうってなったんですけど。でも結局やってみたら、新鮮なグソクムズサウンドっていうのが出来上がりました。

── 絶妙に半音ずつ下がっていく感じってサビであんまりないですよね(笑)。

そうなんですよ。

── そして中島さん楽曲(「夢にならないように」「シェリー」)からは、独特のセンチメンタリズムみたいなものを感じました。

中島に対して僕が思っているのは、彼は根っからのクリエイターだなっていう感じですかね。作曲する時も作詞する時も、試行錯誤を感じられるタイプの曲だと思います。

── 先ほども「夢にならないように」は今までのグソクムズとはちょっとタイプの違う楽曲というふうにおっしゃっていましたが、デモを聴いた段階でどのように感じましたか?

単純にめちゃくちゃいい曲だなって思ったし、これ歌いたいなって思いました。ドラムの中島も、これをたなかに歌わせたいなって思って作った曲らしくて。結構エモーショナルな感じでやってそうなんですけど、実は考えながらやっているタイプだと思いますね、彼は。

── アレンジはどのように?

基本的にベースとギターは自由にやってもらって、コーラスワークと歌は中島の指定でやりました。

── じゃあわりと中島さんが主導してアレンジが決まっていった曲なんですね。

そうですね。

── 最後はもちろん、たなかさん楽曲(「バスが揺れて」「もうすぐだなぁ」「ゆうらん船」)に触れたいのですが、すごく土臭さと言いますか、フォークでブルージーな感じが滲み出ていますよね。これはもう、たなかさんの好きな感じということなんですかね。

わりと僕がやりたかったことをやったっていう感じはありますね。1stアルバムの頃はシングルカットする曲が決まっていたというのもあって、そこからの逆算というか、バランスをとる感じで曲を作っていったんですけど、今回は自分の好きな曲を作ってこようぜってことだったので、そうするとこうなりました。

── これは全員の楽曲からももちろん感じることなんですが、特にたなかさん楽曲から、生々しいバンド感みたいなものを感じるんですよね。そこはやはりライブを積極的にやるようになったということが関係しているんでしょうか?

レコーディングをすればするほど増えるグルーヴとライブをすればするほど増えるグルーヴって、やっぱりちょっと違うものがあって。最近はそのバランスがすごくうまく取れていて、そこでいいようにバンドのグルーヴが出てきているのかなと思います。

── このアルバムを作って見えたもの、これからやってみたいことというのは何かありますか?

今ちょっと僕がやりたいなと思っているのは、原点に戻ってもう少しアコースティックな曲があったりしてもいいかなと思いますし、あとはE.L.O.みたいな感じでシンセサイザーとかボーカルエフェクトを駆使したような曲をやってみても面白いことになるかもしれないなと感じています。

── 2023年2月4日(土)にShibuya WWWでワンマンライブがあります。どんなライブになりそうですか?

アルバムの曲は全部やりつつ、その他人気のある曲やメンバーのやりたい曲など盛り沢山で、タイトル通り『みんなと陽気な休日』を送れるような楽しいライブにしたいと思います。

── 最後に、今バンドの最大のモチベーションになっていることは何ですか?

ライブですね。ライブの場で実際にお客さんに会えるっていうのが結構大きくて。僕と加藤のふたりでやっている時は、お客さんひとりとか普通にあったんですよ。僕らふたりでやってるのにそれよりお客さんが少ないっていう状況が普通、みたいな感じで。そこから考えると、ワンマンライブができるようになったり、東京のライブにわざわざ地方から来てくれたり、そういう人たちに支えられているなっていうのがわかるようになったので、今はお客さんとのつながりが大きなモチベーションになっていますね。
そう言えば、まだコロナ前の2019年に一度だけ30人くらいしか入れないような喫茶店みたいなところでライブをやったことがあったんですけど、そこに山梨から来ましたとか長野から来ましたっていう人がいて。その時の僕たちの知名度で、こんな遠くからわざわざ来てくれるんだって思った時に、もしかしたらバンドとしてこれからやっていけるかもって自信になったんですよね。

── 早く全国ツアーをやりたいですね。

いろいろなお話もいただいているので、そうですね、できればいいなと思います。

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

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リリース情報

2ndアルバム『陽気な休日』
発売中 2,640円

収録曲
01. 風を待って
02. バスが揺れて
03. 冬のささやき
04. もうすぐだなぁ
05. 夢にならないように
06. シェリー
07. ステンドの夜
08. 冷たい惑星
09. ハイライト
10. ゆうらん船

ライブ情報

『みんなと陽気な休日』
2023年2月4日(日)渋谷WWW
料金:一般4,000円、学割3,500円
※入場時ドリンク代が必要

ライブ情報はこちら

プロフィール

グソクムズ
東京・吉祥寺を中心に活動し、“ネオ風街”と称される4人組バンド。はっぴいえんどを始め、高田渡やシュガーベイブなどから色濃く影響を受けている。2014年にたなかえいぞを(Vo/Gt)と加藤祐樹(Gt)のフォークユニットとして結成。2016年に堀部祐介(Ba)、2018年に中島雄士(Ds)が加入し、現在の体制となる。2021年12月15日に1stアルバム『グソクムズ』をリリースするとデビュー作にして第14回CDショップ大賞2022に入賞。2022年には20th CenturyやKaede(Negicco)への楽曲提供でも注目を集める中、新曲「夏が薫る」を含む初期音源集『グソクムズカン』を、12月14日には待望の2ndアルバム『陽気な休日』をリリースした。

関連リンク

Twitter:https://twitter.com/gusokumuzu
Instagram:https://www.instagram.com/gusokumuzu/
HP:https://www.gusokumuzu.com/

番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW