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とた/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

“2000年代生まれのベッドルームアーティスト”とたインタビュー「『紡ぐ』という曲は、私だけじゃ作れなかった」

特集連載

第71回

櫻井海音が最新のリリース楽曲からライブイベントまで、“いま聴くべき音楽”を厳選して紹介するJ-WAVE『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』から、番組連動インタビューを掲載。

今回登場するのは、“2000年代生まれのベッドルームアーティスト”として注目を集める、とた。DAWを用いた楽曲制作をはじめ、アートワークや映像までセルフプロデュースを行うマルチな才能が話題に。
様々な音楽的エッセンスを感じさせるサウンドとメロディセンス、そして、わかりやすい入り口からとてつもなく広く深い世界に誘われる歌詞世界が圧倒的な魅力を放つ。2月1日にリリースされた最新シングル「紡ぐ」を軸に、とたの音楽に対する想いや歌詞へのこだわりなどを語ってもらった。

自分の部屋にいながら世界を旅してるような感じがします

── 音楽にはどんなふうに興味を持つようになっていったんですか?

元々家族がすごく音楽が好きということもあって、自然と音楽には接する環境でした。それで、小さい頃にピアノを始めたいなと思って習わせてもらってから、だんだん興味を持ち始めたっていう感じです。

── ピアノは、いわゆるクラシックをやるような教室で?

そうですね。個人の先生について習っていました。最初はクラシックをやっていたんですけど、だんだんJ-POPとかをやらせてもらえるようになったり、楽譜を見ないで練習するようになったり、形にはまらない感じでやっていました。

── 結構フリースタイルだったんですね(笑)。

そうですね(笑)。すごい優しい先生でした。

── でもその方が、もしかしたら音楽の楽しい部分って一番わかるかもしれませんね。

何回か辞めたいなって思った時もあったんですけど、それでも続けられた理由は、たぶん先生がやりたいことをやらせてくれたからっていうのもあるかもしれないです。

── 自分で好んで聴いていた音楽は、J-POPが中心でしたか?

そうですね。最初はクラシックとかしか聴いてなかったんですけど、だんだんメジャーなJ-POPとかを聴き始めて、そこから色々聴くようになってっていう感じです。

── それで自分の好きな曲をピアノで弾いて、楽しい!となったわけですね。

最初はピアノを弾くだけだったんですけど、歌うのも好きになって、弾きながら歌うっていうのがメインになっていきました。

── ピアノの弾き語りから、ギターにもチャレンジして、という広がり方だったんですか?

そうですね。ギターは自分の意思でやってみたいなと思って始めました。音楽をちゃんと自分から調べて聴くようになったのは、ラジオの影響が大きいんですよ。

── え、そうなんですか?

ラジオで聴いて、いいなと思ったアーティストや曲を調べて、自分から聴くようになって、そこからピアノだけじゃなく、ギターもやってみようかなって思い始めたって感じなんです。

── ラジオは意識的に聴いていたんですか?

はい。ラジオ聴き始めるようになってからようやく、自分で好きなジャンルとかを探して聴くようになりましたね。

── へー。入り口がYouTubeとかそういうことじゃなかったんですね。ちょっと意外です。

ラジオで聴いたものを調べて、そこからYouTubeとかでも調べて、みたいな感じでした。本当にだから、ラジオにはすごくいいきっかけをもらったなって思います。

── ゃあ、自分の音楽がラジオで流れるっていうのはどんな気分ですか?

まだ実感が湧かないというか、すごく不思議な気持ちですね(笑)。

── 具体的にはどんなアーティストや音楽から影響を受けたんですか?

SUPER BEAVERさんの曲がラジオから流れてきた時にすごくいいなと思って、自分から調べて好きになったり、邦楽のロックが多かったですね。

── バンドをやってみた経験は?

友達と一時期、ほんとに1、2カ月だけやってたんですけど、なんかひとりでやるのが楽しくなっちゃって。自分でやってて満足できてるから、いいかなって思っちゃんたんですよね。私は結構自由なんで(笑)、分担するといろいろと難しいじゃないですか。

── 人間関係が出てきちゃいますからね。

ですよね。だから自分がやりたいことが一番できる形が今のスタイルかなって思ってます。

── DAWソフトで打ち込んで作っていくということも、自分でやってて楽しいなっていう流れから導入したという感じなんですか?

そうですね。最初は、本格的に音を組み立ててとかはあまり考えられてなくて、スマートフォンのアプリがあるんですけど、それでただ楽しいから曲を作っていたんです。そこからどんどん曲作りにのめり込むようになって、パソコンでDAWソフトを使ってやるっていう感じに進化していきました。

── 完全に独学ですか?

そうですね。わからないところはYouTubeとかで調べて、いろいろな知識的なものは蓄えていったっていう感じです。もしこの現代に生まれてなかったら、自分が知りたいことをこんなに素早く取り入れることってできなかったと思うので、そこは本当に恵まれてるなって思います。

── なるほど。

全然触ったことのない楽器でも、画面上だったら扱えちゃうっていう利点がありますし、世界のどの音楽でも聴こうと思ったらすぐ聴けるし、なんか自分の部屋にいながら世界を旅してるような感じがします。

軸がぶれない歌詞を書きたいと思っているんです

── 最初にできた曲のことって覚えていたりしますか?

や、どうですかね(笑)。本当に最初は短いサビだけみたいなのとか、Aメロだけみたいな短い曲ばっかり作ってた記憶があります。最近になって、これまで作ってたすごい短い曲を肉付けしてフルにしたりっていうことをしています。

── すごく楽しそうなのが伝わってきます(笑)。

自分がやりたいようにスマホの中とかパソコンの中だとできちゃうんで、すごい自由でいいなって思います。最近リリースした曲とかも、家でやったりしてるんですよ。

── そうなんですね。音楽を作るようになってから、自分の理想像みたいなのってあったんですか? こういうふうになりたいというような。

理想像というよりも、自分がその時に作りたいサウンドというのがあって、それを曲ごとにイメージに近づけるように考えながら作ってるっていう感じです。

── 曲を作る上で、あるいは歌詞を書く上でもそうですけれど、ここは譲れないとか、大事にしてるところって何でしょうか。

軸がぶれない歌詞を書きたいと思っているんです。曲の中でのテーマもそうですし、まとまりを気にしながらいつも書いています。まとまりがないと、途中でつまんなくなっちゃったりして、そういう曲はボツにして、一度バラしてから、もう1回作り直したりとかしてますね。

── ちなみに、曲と歌詞だったらどっちが先なんですか?

大体歌詞なんですけど、歌詞を書きながらメロディーを考えたりとかもしてるので、同時って言った方が近いかもしれないですね。

── アレンジのイメージは曲作りと並行してやりながらという感じですか?

逆に、こういうアレンジがしたいって、元々決まっている状態から歌詞を考えたりする場合もあります。

── なるほど。ギターロック系でいきたいから、歌詞のテーマはこれだな、みたいな。

そうですそうです。だから、歌詞の中に使われてる言葉とか口調とかもそのサウンドに合わせたりとか、逆にサウンドを歌詞の言葉に合わせたりとかして作ってます。今は曲ごとに主人公がいて、みたいな感じで歌詞を作ることが多いんですけど、それはまた変わっていくんだろうなって思います。今後やりたいことが出てくるにつれて、いろんな歌詞の書き方になってくのかなって思ってます。

── その中でも、変わらない根っこというか、軸みたいなのがあると思うんですよね。とたさんにとってそれは何だと思いますか?

そうですね、うーん、結構言葉遣いとかは、その曲の主人公になりきって書くっていうのを一番大切にしていて。喋り方、口調もだし、あと語順なんかもこの主人公だったらどうやって話すかなって考えながら作ってるので、そこはぶれないようにしています。

── やっぱり一番驚かされたのは、曲における言葉の使い方なんですよね。歌詞の世界に入るためのドアのようなものがきちんと用意されている感じがするんです。いきなり広い世界にポーンと放り込まれるんじゃなくて。

すごくうれしいです。最近自分の歌詞ってどんなのかなって考えた時に、身近にあって想像しやすいもので連想しながら作っていくので、それは聴く人にとってもわかりやすい入り口になるのかなと思ったんですよね。

── 1stデジタルシングルの「君ニ詠ム。」では小説というものから、2ndデジタルシングルの「ブルーハワイ」では、かき氷のトリビアから世界観がグッと広がっていきますよね。何かに例えて表現していくっていう手法は、自分の中ですごく大切にしているものとしてあって、それは今ご自身の中ではどのような感覚としてあるんですか?

一番しっくりくるやり方ですね。曲を作る時の感覚としてあるのは連想ゲームなんですよ。頭の中でこれとこれの特性って同じだなっていうふうに考えながら作ってるので、それがおっしゃっていただいたみたいに広がりとして感じていただけているのだと思いますし、1曲としてのまとまりにもなっているのだと思います。

── ちなみに他の作り方をした曲ってあるんですか?

「せーかいせかい」(4th Digitalシングル)と「こーかいのさき」(5th Digitalシングル)はちょっと違う感じがしたかな。

── 「せーかいせかい」の歌詞に出てくる〈線がひとつ多いだけで〉という一節がすごく気になっていて。これはどのようなイメージなんですか?

これは、そのタイトルもそうなんですけど、「せーかい」と「せかい」って線が1本多いだけで言葉が完全に変わるじゃないですか。この曲のテーマとして、何かを乗り越える時に目の前にあるのって線一本分だったりするんだよって思うんですよね。だから試練がある時とかに聴いてほしいなって思ってる曲なんです。

あと、選択を迫られた時に、自分が決めた道がたまに不安になる時ってあると思うんですけど、人生って“あみだくじ”だなって思うんですよね。その都度選択して進んで、後から違ったかなって思ったとしても、線一本分違っただけの話だからって思ったらいくらでもやり直すこともできるし、また違う方向に進むことだってできると思うんです。

一度した決断は消せなくてもそれに縛られることはないんだって思うんですよね。とか、この曲は3つぐらい意味を込めて作ってます。

── なるほど。そういう連想ゲームだ。3rdデジタルシングル「あしたてんき」では、〈天気〉〈元気〉〈延期〉〈転機〉と韻を踏みながら、言葉の変化だけで主人公の心情を表現してしまうというスキルに驚かされました。

ありがとうございます。

── この曲は、引きこもりというか、部屋にずっといる子が主人公なんですけれど、ちょっと自分に重ねる部分もあるんですか?

そうですね。自宅のスリッパを蹴ったタイミングで、「あ、これ、書こう」と思って書いた曲です。自分があまり普段外に出ないっていうのも書きやすいなと思ったし、普段自分が思ってること──ちっちゃな感情でも曲の中だったら大きく言えるので、そういうところで誰かの力になったらいいな、みたいな感じで書いてみました。

── スリッパで「明日天気になーれ」ってやるっていう行為は、ちょっと希望がありますもんね。この子外に出たいんだろうなっていう。

はい。

私と私以外の人たちをきちんとつなぐように言葉を紡げたかなって思います

── 2月1日にリリースした最新シングル「紡ぐ」についてお聞きします。これはまず、2021年にショートバージョンがTikTokで公開されて話題になりました。ちょっとざわつきましたよね。

なんか、急に通知が止まらなくなって(笑)。そういうことが初めてだったので、何が起きてるのか自分でもわからないみたいな状態で、とりあえず家族に「ちょっとやばいかもしれない」とだけ伝えたりしてました(笑)。

── ははは。

私やばいかも、通知がいっぱいきてるって言いながらスキップしてた覚えはあります(笑)。

── その時点ではもうフルで曲としてあったんですか?

その時は、そもそもフルを完成させるっていう気持ちがなくて、この曲はショートバージョンでいいやって思ってたんです。でもすごく反響をいただけたので、これは作るしかないなと思ってそこから作り始めました。

── あー、そこからだったんですね。

きっかけはそうですね。で、作って、ちょっと寝かして、自分が出したいタイミングで今出させてもらったという感じです。

── ということは、それほどとたさんにとっては大切な曲ということですよね。

この曲を作った時が、音楽をがんばりたいなって思ってたタイミングだったので、その時の気持ちとかも含めて自分的にすごく大きい曲だなと思います。元々(TikTokに)投稿した時につけていた文章があったんですけど、今もそれは変わってなくて、私結構飽き性で、やりたいこととかもコロコロ変わっちゃうんです。

でも音楽はずっと続けたいなって自分の中で思ってて、それと、聴いてくれる人の存在をこの曲で初めて知って、その人たちのことはずっと大事にできたらいいなって思えたんです。だからこの「紡ぐ」という曲は、私だけじゃ作れなかった歌詞になっているなと思います。

これまでの曲と同じように手法としてはダブルミーニングだったり連想だったりなんですけど、私と私以外の人たちをきちんとつなぐように言葉を紡げたかなって思います。

── アレンジも、それにつれてスケールが大きくなっていますよね。ストリングスも入っていますし。サウンドはどういうふうにイメージをしていったんでしょうか?

元々は結構穏やかな感じが強かったんですけど、フルバージョンを作る時はもうちょっと歌詞においても別の意味とかも追加したので、誰が聴いてもその人自身のこととして解釈できるようにしたかったんです。だから、サウンドの幅をもっと聴く人に寄り添えるようなものにした方がいいかな、と思ってショートバージョンからは結構作り替えました。

── 〈紡ぐ〉という言葉自体は、最初からあったものですか?

タイトルは、曲を作ってから後付けで考えました。音楽に対する決心っていう気持ちからつけたんですけど、今はそのなんていうんですかね、さっきも言ったんですけど、自分ひとりじゃ作れなかった曲っていうのが一番大きいですね。その感じが、この曲のタイトルとして似合ってきたんじゃないかなって思ってます。

── タイトルが後で出てくるっていうのは珍しいことなんですか?

でも私、タイトルつけるのが結構苦手で(笑)。曲は割とすぐにできるけど、タイトルは長いこと考えてつけるみたいなのが多いんですよ。もう歌詞もできているのに。これを一言で表すとなんだろう?って考えたらすごい迷っちゃうことが多いです。だからタイトルは最後に(曲を)旅立たせていく時に名前をつけるような感覚ですね。

── そして、2月22日(水)に1stアルバム『oidaki』がリリースされます。素敵なタイトルがはいついてますね。oidakiってあの追い焚きですか?

はい、そうです。oidakiは追い焚きなんですけど、もう1個意味としてはつけていて、追いかけるっていう字に抱きしめるで〈追い抱き〉っていう意味を込めていて、さっきお話したんですけど、私は飽き性なので、もし音楽に対する気持ちがどこかでちょっと冷めてしまったとしても、もう1回追い焚きして、聞き直したら追い抱きできるようなアルバムにしたいっていう気持ちを込めています。

もうひとつ、結構長風呂するタイプなんです、私(笑)。考え事しながら入っちゃうんですよ。もう2時間とか平気で入ってて、入りながら考え事をするんですけど、その考え事と追い焚きがいつもセットになってるので、私が作った曲の歌詞を考える時間とかを聴いてくれた人が思ってくれたらうれしいなと思ってつけました。

── 今まで作った曲がアルバムとしてまとまって、どう思われましたか?

1曲1曲すごく自由に作ったんですけど、やっぱりアルバムとしてのまとまりというのは大事だなと思って、インストを3曲作って入れたんです。このインストが、私の書いた詞を考える時間として使ってもらえたらいいなと思ってるので、曲順とかも含めてこだわれたかなって思っています。

── 最後に、これからやってみたいこととか、目指したいものみたいなものがあればお聞かせください。

歌詞を大事にするっていうことは、ずっと続けたいなと思っています。これから新たに挑戦したいなと思ってるのは、ライブをリアルでやったことがないので、早くやれるようになりたいです。

Text:谷岡正浩

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リリース情報

6thデジタルシングル「紡ぐ」
配信中:https://lnk.to/tsumugu

1st フルアルバム『oidaki』
2023年2月22日(水) 発売
価格:2,500円
配信リンク:https://lnk.to/oidaki

【CD収録楽曲】
01. 栞
02. 君ニ詠ム。
03. ブルーハワイ
04. 薔薇の花(in the bedroom)
05. あしたてんき
06. 通り雨
07. 一弦
08. せーかいせかい
09. こうかいのさき
10. 紡ぐ
11. ぬるくなったら
12. 薔薇の花(in the bathroom)

プロフィール

とた
2000年代⽣まれのベッドルームアーティスト。DAWを⽤いた楽曲制作に加え、アートワークや映像に⾄るまでセルフプロデュースを⾏い、等⾝⼤ながらも⽂学的な詞世界を表現する。2021年2⽉、インターネット上にて⾃⾝のオリジナル楽曲やカバーの投稿を始める。動画共有サイトやSNSのみでの活動にもかかわらず、同年6月に投稿した「紡ぐ Short Ver.」が1年足らずで合計270万回再生を記録、ユーザー投稿含むTikTokでの動画総再生数は1,400万回を超えるなど注⽬を集める。10代らしい等⾝⼤な恋愛の詩と⾔葉遊びをふんだんに盛り込んだ歌詞、⽿にスッと馴染む透明感のある歌声は早⽿のリスナーからも⾼い評価を得ている。

関連リンク

リンクリスト:https://instabio.cc/3061509TNL1nu

番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW