【全力特集】みんながフラワーカンパニーズに惹かれる理由
SIX LOUNGEがフラカンに惹かれる理由。 「何回ライブを観ても、鳥肌立つし。言葉のパワーがすごい」
第2回

ニュー・アルバム『ネイキッド!』リリース&9月23日(金・祝)日比谷野外大音楽堂ワンマン&11月5日から30本以上の『ネイキッド!』リリース・ツアー、というわけでフラカン強化月間としてのぴあの特集=関係者や同業者がフラカン語るシリーズの三回目にして最終回は。2012年結成で2018年にメジャー・デビュー。大分在住のまま、全国を絨毯爆撃のごとくツアーし続け、着実に支持者を増やし続けているこの3ピース・バンドは、これまで対バンツアーに二度フラカンを呼び、共演を果たしている。その二度の対バンの時のことやそれ以前のことなど、3人に話してもらった。
最初に聴いたのは「消えぞこない」(ヤマグチユウモリ)
── 最初にフラワーカンパニーズを知ったのは?
ヤマグチユウモリ(Gt&Vo) 俺は、「消えぞこない」っていう曲のMVが出た時に、初めて聴いたのかな。たぶん7,8年前だと思うんですけど。
── 2015年12月19日の、初の日本武道館の前アオリで出たミニアルバム『夢のおかわり』の1曲目だったから、7年前ですね。

ヤマグチ フラカン、ちょこちょこ大分にはライブしに来てたんで、名前は知っていたんですけど、ちゃんと初めて聴いたのは、それくらいの時で。「消えぞこない」、ドンピシャで好きな音楽で、「いいなあ」と思って繰り返し聴くような、MVを繰り返し観るような感じで。「ライブ行きたいなあ」って思って。高校3年生ぐらいか……名前知ってて、聴いてみるとめちゃかっこいいって、うれしいじゃないですか。「あ、こんな感じのバンドやったんや!」っていう。わりと近かったんだと思います、それまで自分が好きで聴いていたものに。なんちゅうか、メロディあるけど、しっかりロックンロール、みたいな。

イワオリク(Ba/Cho) それで、後に……「消えぞこない」、日本武道館で1曲目だったじゃないですか。それのDVDが、ツアーを回ってたクルマで、ずーっとかかってて。クルマに乗ると絶対「消えぞこない」がかかる、みたいな感じで、あの曲を聴くと、当時の、ツアー回ってた時を思い出すというか。思い出の1曲でもありますね。
── ナガマツさんは?
ナガマツシンタロウ(Ds/Cho) 俺も、名前は知ってたけど、音は聴いてなくて。大分のライブハウスで観たのが最初。

── 大分TOPS?
ナガマツ TOPSで、ツアーで来た時に、ライブハウスの社長に「来てみなよ」って誘われて、初めてライブ観て。ライブめっちゃパワーあって、「ヤバいな、かっけえなあ」って思った記憶はあります。
イワオ 俺は、ライブ観る前に、いつか忘れちゃったんですけど、テレビで……NHKかBSかで、千原ジュニアとかが「人生の1曲」みたいな感じで紹介する番組があって。出てたタレントさんの誰かが、フラワーカンパニーズの「深夜高速」を選んでて。

── 南海キャンディーズ山里亮太か、オアシズ大久保佳代子かなあ。
イワオ 忘れちゃったんですけど、その番組で曲を聴いた時に「うわ、めっちゃいい」と思って。で、大分にライブに来た時に、観に行って、「深夜高速」を生で聴いて「うわ、本物や!」っていう感じで。ライブは、それまでイメージしてた、テレビで観るバンドっていうよりは……なんか、泥くさい、じゃないですけど……。
── いや、「泥くさい」でいいと思います(笑)。
イワオ ロックンロール・バンドっていうか。かっこいいなあ、っていう印象は憶えてます。
二回目の対バンでリベンジができた(ヤマグチユウモリ)
── 何年か経ってから、対バンのゲストにフラカンを呼びましたよね(2018年6月12日、名古屋E.L.L)。
ヤマグチ 呼びたいバンドをみんなで出していて、その中にフラカンもあって。まあ、絶対出てくれんやろなあと思いながら、オファーしたら、出てくれて。
── え、なぜ出てくれないだろうと思ったんですか?
ヤマグチ いや、だって大御所ですし、俺らからするとレジェンドの域のバンド、そういうふうに見てたんで。だから、オファーするだけしてみようか、みたいな感じで。そしたら「出ます」と言ってくれて。

── 正直、SIX LOUNGEのファンの前でフラカンがやる、というのは、すごいアウェイだったんじゃないかと思うんですが。
ヤマグチ いや、ライブ、めっちゃ良かったですけどねえ。巻き込んでた感じでしたけど、お客を。4年前だから、細かく憶えてるわけじゃないけど、そんなイメージはあって。それを観て、すごい力入っちゃって、俺らがあんまりいいライブできなかったっていう(笑)。
イワオ 最初やった時は、もうガチガチになっちゃって。フラカン、すさまじいライブだったんで、先にそれを観ちゃって、「このあとやりたくないなあ」っていう(笑)。それで、変に力が入っちゃった感はありました。
ナガマツ 今年のツアーで、大阪で出てもらった時(2022年6月23日、梅田クラブクアトロ)、ソデから観た感じも、やっぱりうちのお客さんが多いけど、ライブ進むごとに、どんどんみんな取り込んでいくっつうか。

── そう、今年もうやってますよね。またオファーしよう、ってなったのは?
ヤマグチ それも一緒でしたね、呼びたいバンドをみんなで出して……俺、最近また、普通によく聴いてたんですよ、フラカン。わりと遡って聴いていて、やっぱめちゃくちゃいいな、と思って。
── どのへんのアルバムを?
ヤマグチ 『フラカンのマイ・ブルー・ヘブン』と、『ヤングフラワーズ』。
── セカンドアルバムと、サードの後になぜか出たベストアルバム。
ヤマグチ フォークっぽい曲とかも入ったやつを聴いていて。めちゃくちゃうるさい音楽を、聴かなくなってた時だったんで、ちょうどよくはまって。で、ちょうど対バンツアーだったんで、またオファーを……俺的には、前回のリベンジをしたいなと思ってたんで。
── リベンジできました?
ヤマグチ 今回はけっこう、フラカンのメンバーとも、打ち上げでしゃべれて、「よかったねえ!」って言ってくれたんで。めっちゃうれしかったです。で、みんなベロベロでした(笑)。いい感じに、気合いが空回りせず、できたと思います。
イワオ 俺もいい方のギアでやれました、今回は。いい感じに、ケツ叩かれた感じがあって。

「深夜高速」は、心の奥の鍵を開けてくれる(ナガマツシンタロウ)
── さっきヤマグチさんが「消えぞこない」について話してくれましたけど、そんな感じで、強く残っているフラカンの曲ってあります?
ナガマツ 俺はやっぱり、「深夜高速」です。俺、作詞してるんですけど、歌詞に衝撃を受けたというか。あれを聴くと、心の奥の鍵を開けてくれるような。優しいけど強くて……繰り返しじゃないですか、サビとかも。言葉にあんまりできないですけど、なかなか書けないよなあ、っていうか。やっぱ毎回ライブで観ても、鳥肌立つし。言葉のパワーがすごい。
ヤマグチ あと、ボーカリストとして……歌ってるだけで涙出てくるような、あのまっすぐな歌い方は、圭介さんしかできないような気がしますけど。なんかどうしてもひねっちゃったりとか、うまく歌おうとか、そういう瞬間があると思うんですけど……圭介さんもあるかもしんないけど、それよりもまっすぐな情熱の方が前に来る感じが、真似できないというか、かっこいいなと思います。

── ニュー・アルバム『ネイキッド!』は──。
ナガマツ 聴きました。通して聴いて思ったのは、33年目で変わらないパワーっていうか。全然まだまだだぜ、っていう感じが、よかったっすね。いい意味でクソガキ感もあって、勢いがあっていいな、っていうイメージで。でなんか、レコーディングがバラバラなんですよね?
── 東京と鹿児島と高崎で録ったそうですね。
ナガマツ 鹿児島でも録ってる、それがうれしいなと思いました。あと、「私に流れる69」、歌詞がめっちゃよかったっすね。
── あ、そうですか? 世代が違うから知らない固有名詞、多くなかったですか?
ナガマツ そうでもないですね。遠藤賢司とか、友部正人、外道、村八分とか、「ベム、ベラ、ベロ!」のハマり具合とか(笑)。あと、つげ義春、戸川純とか。この曲を聴いたら、次に会った時にめちゃくちゃ話せるなあ、と思いました。
── ありがとうございました。またいつか共演する機会、ありますかね?
三人 やりたいです!

Text:兵庫慎司 Photo:CHIYORI(フラワーカンパニーズ)
プロフィール
SIX LOUNGE
大分県在住のロックバンド。メンバーはヤマグチユウモリ(Gt&Vo)ナガマツシンタロウ(Ds/cho)、イワオリク(Ba/cho)の3人。2016年に1stフル・アルバム『東雲』をリリースし、大型フェスやイベントなどに出演。2018年にミニ・アルバム『夢うつつ』でメジャーデビュー。
公式サイト:https://six-lounge.com/