Hana Hope/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー
新世代のフィメール・シンガーHana Hopeインタビュー「1stアルバム『HUES』は、葛藤も含めてきちんと自分に向き合えた作品になった」
特集連載
第74回
櫻井海音が最新のリリース楽曲からライブイベントまで、“いま聴くべき音楽”を厳選して紹介するJ-WAVE『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』から、番組連動インタビューを掲載。
今回登場するのは、昨年2月のデビュー時にも話を聞いたHana Hope(ハナ ホープ)。デビューシングル「Sentiment/Your Song」が国内外の数多くのプレイリストやチャートに入り一躍話題のニューカマーとなると、錚々たるアーティスト/クリエイターとのコラボを次々と実現させていく。3月1日にリリースされた最新シングル「We’ve Come So Far」では、なんとロンドンのエレクトロ・ポップ・デュオHONNEの全面プロデュースのもとで制作。さらに3月15日(水)にリリースされた1stアルバム『HUES』でいよいよその全貌を明らかにする、17歳とは思えない表現力を持った新世代のフィメール・シンガーHana Hopeに話を聞いた。
いろいろなジャンルの方々とご一緒できて、音楽をいろんな角度から見られたというのが本当にスペシャルな経験でした
── 昨年2月にリリースしたデビューシングル「Sentiment/Your Song」から約1年が経過しました。この1年はHanaさんにとってどのような期間でしたか?
新しい経験をたくさん重ねることができた1年でした。ほかのアーティストとの方々との関係性を深めていくことができましたね。もちろん緊張する場面もあったんですけど(笑)、すごく楽しかったです。
── より自らが積極的に音楽と向き合えたという実感はありますか?
そうですね。今回のアルバム『HUES』のレコーディングでは、より自分らしさを出すことを意識して、ありのままを音楽にできたらいいなと考えました。
── 11月に初のワンマンライブをやりましたよね。どうでしたか?
コロナ禍でのデビューだったので、あまりファンの方と会うことができなかったんです。やっとステージに立って、皆さんの前で歌うことができたので、そこは達成感がありました。ライブが終わって2日間くらいずっとハッピーでした(笑)。
── 2日間くらい(笑)。バンドと一緒に演奏されたのも経験としては大きかったんじゃないですか?
はい。網守将平さん(Key)、ermhoiさん(Syn)、永井聖一さん(Gt)といったメンバーで、皆さん才能にあふれる人たちばかりなので、最初のライブでそういう方たちに囲まれて一緒にできたのがすごい光栄だなと思いました。あんまり余計なことを考えなくてもよかったというか。とにかく歌に集中できました。
── ああ、なるほど。
支えがある感じというか。
── レコーディングと比べてライブでの歌唱はまた全然違うものでしたか?
表現できるものが違うかもしれません。だから、レコーディングで歌っていた時の私とはまた違う私を見せるチャンスだと思いました。
── どれくらいの時間やったんですか?
まだレパートリーがそんなになかったので40分くらいだったと思います。それでも結構練習を重ねないといけなかったので、次にやる時はもうちょっとがんばらないと、と思いました。自分でやってみて初めて、ほかのアーティストやバンドの方たちが2時間とかそれ以上ライブをやれるっていうのがどれほどすごいことなのかがわかりました。本当にリスペクトです。
── 新しい目標ができましたね。
はい。ライブの経験をもっともっと重ねていきたいです。
── この1年、リリースも順調にしてきて、2ndシングル「きみはもうひとりじゃない」のカップリング「16 - sixteen 」ではご自身で作詞作曲をされました。この曲はどのように作っていったのですか?
最初に私が40秒くらいの曲のスニペット(断片)を作って、そこからROTH BART BARONの三船さんとキャッチボールして断片をだんだん広げていって、私がメロディを作ったり歌詞を書いたりしていきました。
── 1年前にお話を伺った時は、ウクレレを弾きながらメロディを作ることがあるっておっしゃっていたんですけど、「16 - sixteen 」は何でメロディを作ったんですか?
この時はピアノでした。で、三船さんはギターを弾いて、一緒にやり取りしながらだったんですけど、あまり何も考えずに出てきた感じで、だからすごくナチュラルで新鮮なメロディになったなと思います。
── じゃあ歌詞が英語詞なのもより自然に出てきたのが英語だったということですか?
はい、そうですね。今一番すらっと出るのが英語なので、メロディや曲の雰囲気からも私にとってナチュラルな言葉の方がいいなと思ったので英語になりました。でも次は日本語の曲にも挑戦したいなと思います。
── 曲作りで何かチャレンジしたことはありますか?
ギターを始めました。そこから曲作りの可能性も広げていきたいなと思っています。
── アコギですか?
そうです。まだ指が痛いんですけど(笑)。でもすごく楽しいです。ウクレレみたいな親しみやすさもあるし、でももうちょっと深い感じがするというか。あと、コードもバリエーションがたくさんあるので、ギターでどんな曲ができるのか楽しみです。
── 歌詞の内容に関してですけど、これは16才の記録としてきちんと表現にしておこうという意識があったんですか?
いえ、そこまで意識はしていなくて、もっとナチュラルですね。曲と歌詞の断片自体は13歳の頃に書いたものがベースとしてあって、そこから自分がどれくらい成長したのかなっていう部分を見せたいなって思いました。
── 13歳の自分に会いに行く、みたいな感覚で?
ああ、少しそういう感じはありましたね。
── 13歳の自分に久しぶりに会ってみていかがでしたか?
ちょっとナイーヴ(笑)。でも13歳のHanaちゃんを振り返って見ることができたというのは自分にとってもうれしかったです。
── 「きみはもうひとりじゃない」では作詞が加藤登紀子さん、作曲が江﨑文武さん、そして3rdシングルの「それでも明日は」では作詞が柴田聡子さん、作曲がUTAさんと、錚々たるアーティスト/クリエイターの方々とお仕事をされてきていますが、そこから得られたものは例えばどんなものがありましたか?
いろいろなジャンルの方々とご一緒できて、音楽をいろんな角度から見られたというのが本当にスペシャルな経験でした。これからの自分の音楽に確実に生かせるような具体的なアドバイスもいただけたし、ご一緒させてもらうことで私自身の成長が実感できました。
── 「それでも明日は」は、今年の1月に公開された映画『あつい胸さわぎ』の主題歌になりましたよね。それもいい経験だったんじゃないですか?
最初にオファーをいただいた時に、まだ経験の浅い私で大丈夫なのかなっていう不安もあったんですけど、逆にそこがうまくいったというか、映画の内容自体は割と重いテーマではあるんですけど、私の歌でその重さを少し軽くするような感じができて、いいハーモニーになったんじゃないかなと思っています。
HONNEのファンだったので、この曲が私の曲になるんだ!って
── 今回SONAR TRAXに選出されたのが、3月1日にリリースされたシングル「We've Come So Far」。本当にいい曲ですね。
ありがとうございます。
── ロンドン出身のエレクトロ・ポップ・デュオHONNEがプロデュースしたことでも話題となっていますが、彼らのことはもともと好きだったんですか?
前からファンで、私はどちらかというとアコースティックなタイプの音楽をよく聴くんですけど、彼らのエレクトロな音楽は不思議とすっと入ってくるんですよね。
── どういうふうにこのプロジェクトはスタートしたんですか?
私が彼らのファンだということで、アプローチしていただいて、HONNEのふたりが私の曲を聴いてくれたんです。そこから一気に話が進みました。
── ロンドンに行ったわけではなかったんですよね?
はい。Zoomでのコミュニケーションでした。だから実際に会うことができなかったのが残念だったんですけど、画面越しでも話すことができて、すごくうれしかったです。
── 彼らからはどのようなアドバイスがありましたか?
他の人にいろんなことを言われても、自分のありのままを見せて、自分にとってのリスペクトを保って音楽を作っていくことが大切だよって言ってもらいました。あとは、音楽のアイデアやレパートリーを常にいっぱいもっておくことが大事だよって。
── 最初に曲が上がって聴いた時にどう思いましたか?
ワクワクしました。HONNEのファンだったので、この曲が私の曲になるんだ!って。
── エレクトロポップではあるんですけど、すごくあたたかい手触りが感じられる曲ですよね。
そうですね。ハーモニーもすごくありますし。全体的にピュアな印象があって、すごく新鮮な感じです。
── タイトルの「We've Come So Far」(ここまで来た)という言葉も、Hanaさん自身の活動にも置き換えられますよね。
「16 - sixteen」のテーマともつながっていますし、コロナ禍がようやく明けてっていう世の中の状況にも当てはまりますし、何よりその期間で私自身が成長できたっていうリフレクションになる素敵な言葉ですね。
── 実際に歌ってみた感触はどうですか?
すごく気持ちいいんですよ。レコーディングもスムーズに進んで。自分が自信をもって歌えると1テイク1テイクを大切にできるので、あっという間に終わっちゃいました。
── え、もう終わっちゃうの……みたいな。
そう、そんな感じでした(笑)。
── 歌うにあたってのポイントはどんなところですか?
私が好きなのはコーラスに入る前のブリッジのところ。歌詞で言うと〈Any mistakes that we might have made〉のところですね。自分にそんなに厳しくしなくても、今の自分で大丈夫だよって言ってもらってる気がして、そこを歌っている時は本当に前向きな気持ちになれるんです。
── Hanaさんの歌を聴いたHONNEのふたりはどんな反応でした?
「Perfect!」って言ってくれました(笑)。レコーディングの時、彼らはちょうどツアー中だったんですけど、でも私のために時間を作ってくれて、なんかそういうところもHONNEだなって思いました。
これが私だって決めつけるより、今の自分はこれなんだなっていうくらいのニュアンスの方がいい
── 続いてリリースされた1stアルバム『HUES』。これはもうHanaさんのここまでの歩みが詰まった1枚ですよね。
そうですね。
── 達成感はありますか?
すごくあります。デビューして、あまり経験もなかったので、このアルバムを作るプロセスの中で失敗したりしたこともありましたし、そういう葛藤も含めてきちんと自分に向き合えた作品になったなと思います。
── タイトルの『HUES』は色合いといった意味ですが、そこにはどんな思いを込めましたか?
アルバムに収録されている曲のジャンルが幅広くて、いろんな音色の曲があるので、その感じを言葉にして表現したくて『HUES』というタイトルにしました。
── そこにはHanaさんの成長、つまり色合いの変化ということも含まれていますよね。
はい。未来の私にも向けている言葉ですね。
── 様々なアーティストの皆さんと一緒にやっていく中で自分の色をどう出すか、ということの大切さもこのタイトルからは感じます。
やっぱり、どの曲もそうなんですけど、どうやって自分のオリジナリティを出していくか、そこのバランスというのは結構意識していましたね。
── 自分のオリジナリティはこういう部分だなっていうのは認識されていますか?
いえ、まだまだ発展途上なんですけど、どこまで行ってもずっと変化していくものだと思うので、これが私だって決めつけるより、今の自分はこれなんだなっていうくらいのニュアンスの方がいいのかなと思っています。
── やりたいことっていうのは、はっきりしてきましたか? それとも、どんどん広がっていますか?
広がっていますね。このアルバムを制作する中でも、自分の可能性というのがいろいろわかってきたので、今年もいろいろな挑戦をしていきたいです。
── 具体的に何かありますか?
アコースティックギターでの弾き語りもやってみたいし、自分でエレクトロ・ポップの曲にも挑戦してみたいです。真逆の感じのことを言っているかもしれないんですけど、いろいろな私をファンの方たちにみてもらいたいなって思います。
Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子
リリース情報
デジタルシングル「We've Come So Far」
配信中:https://lnk.to/WeveComeSoFar
1st アルバム『HUES』
配信中:https://lnk.to/HanaHope_HUES
収録曲
1. HARU (Lyrics, Music & Arranged by Black Boboi)
2. 16 – sixteen (Lyrics & Music by Hana Hope Produced by ROTH BART BARON)
3. Weʼve Come So Far (Lyrics & Music by Andrew Clutterbuck James Hatcher Produced by HONNE)
4. Your Song (Lyrics by Yui Mugino Music by 會⽥茂⼀ Arranged by 浦上想起)
5. きみはもうひとりじゃない (Lyrics by 加藤登紀⼦ Music & Arranged by 江﨑⽂武)
6. Dawn Dancer (Lyrics & Music by 三船雅也 Produced by ROTH BART BARON)
7. CUE (Lyrics by ⾼橋幸宏 細野晴⾂ Peter Barakan Music by ⾼橋幸宏 細野晴⾂ Arranged by toshi808)
8. the ace (Lyrics by Keisei Loubté Music & Arranged by Maika Loubté)
9. SORA (Lyrics & Music by 三船雅也 Produced by ROTH BART BARON)
10. Sentiment (Lyrics, Music & Arranged by Black Boboi)
11. それでも明⽇は (Lyrics by 柴⽥聡⼦ Music by UTA Arranged by UTA for TinyVoice, Production)
ライブ情報
Hana Hope Live -HUES-
日程:2023年04月06日 (木) 18:45 開場 / 19:30 開演
会場:表参道WALL&WALL
出演アーティスト
・Hana Hope (Vo)
・永井聖一(Gt)
・網守将平(Key)
・toshi808(Seq)
・Smooth Ace (Cho)
チケット代:前売3000円/当日3500円 (スタンディング、入場時ドリンク代が必要)
詳細はこちら
プロフィール
Hana Hope(ハナ ホープ)
2006年東京都出⾝。2020年伝説のレコーディング・スタジオ、⾳響ハウスの映画「Melody-Go-Round」に出演、テーマソングを歌う。2021年には細⽥守監督の映画「⻯とそばかすの姫」で声優デビュー。2022年2⽉にシングル「Sentiment / Your Song」でデビューし、国内外における数多くのプレイリストやチャートに⼊り話題のニューカマーとなる。17歳とは思えない表現⼒、という評価を集めるHana Hopeは、デジタルネイティブ世代。小さな枠にとらわれることのない幅広い⾳楽性を表現する、新世代のフィーメール・シンガーである。
関連リンク
リンクリスト:https://lit.link/hanahope
番組概要
放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW