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カメレオン・ライム・ウーピーパイ/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

カメレオン・ライム・ウーピーパイ インタビュー「どの曲も根本はどれだけ落ちても最後はなんとかやってこう、みたいな感じ」

特集連載

第77回

櫻井海音が最新のリリース楽曲からライブイベントまで、“いま聴くべき音楽”を厳選して紹介するJ-WAVE『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』から、番組連動インタビューを掲載。

今回登場するのは、オレンジ色の髪の毛がとにかく目を引くChi-(チー)によるソロユニット、カメレオン・ライム・ウーピーパイ。2019年から着実にリリースを重ね、海外アーティストとのコラボやCMタイアップなど、すでに大きな注目を集めている。5月17日(水)には初めてのアルバムとなる『Orange』をリリース。ヒップホップ、パンク、テクノなどエッジーなサウンドをとことんポップに変換して踊らせるカメレオン・ライム・ウーピーパイの音楽に迫るべく、Chi-に話を聞いた。

ネガティブをポジティブに変えるというか、一周回ってポジティブで踊らせる

── 活動はいつからスタートしたんですか?

2016年くらいからですね。

── 基本的にはChi-さんのソロユニットで、仲間にWhoopies1号・2号がいるという体制ですが、3人はどういういきさつで出会ったんですか?

2016年の末くらいに音楽をひとりで始めて、もうその時すごい落ちてて、人生最後に音楽でもやるか!みたいな感じだったんです。それで、ギター始めて1カ月くらいしか経ってないのに曲を作ってライブハウスに出る、みたいなことをやり始めて。もちろんめちゃくちゃだったんですけど(笑)。それと同時に、その自分で作っためちゃくちゃな曲をネットに上げてたら、それを偶然Whoopies1号・2号が聴いて、ライブを観に来てくれたんです。その時点で音楽を始めて2カ月くらい。そこから、一緒にやろうって誘ってくれて、それが結成って感じです。

── なんか、ヤバ!(笑)。音楽始めて1カ月目にライブハウスに出てたっていうのもすごいですね(笑)。

私の精神状態がかなりヤバイ感じだったので、もう怖いものなしというか(笑)。今考えると恐ろしいんですけど、その時はただ楽しくて。やっちゃえ!みたいな感じでやってましたね。

── 音楽にはそもそも興味があって、という感じだったんですか?

そうですね。昔ちょっとだけピアノをやっていたというのもあって、一番興味があったのが音楽っていう感じでした。

── それまで音楽をやろうとは思わなかった?

全然やるつもりはなかったんですけど、もう最後、ほんと最後になんかやっとこうかなって感じで思いついたのが音楽だったんですよね。

── なんで「最後」なのよ(笑)。

あはは! 謎の最後(笑)。

── 音楽始めてよかったですね(笑)。

そうですね。生き延びたって感じです。

── Whoopies1号・2号との出会いから、自身のなかの表現するモチベーションとかやりたいこととかは結構変わっていったんですか?

変わりましたね。ひとりでやってた時は結構ネガティブな感じというか、まあそこは今もそうなんですけど、でももっとよりネガティブな感じで。作詞はできるけど曲作るのが全然出来ないなって思ってて、自分のネガティブな歌詞と真逆のポップな曲を作れる人がいたらいいのになぁって思ってるところにふたりが現れて、ふたりの作ってるトラックがめちゃくちゃ明るくてポップだったんですよ。自分が心から欲しかった音だったんですよね。そこから、ただ単にネガティブというのではなく、ネガティブをポジティブに変えるというか、一周回ってポジティブで踊らせる、みたいなところに行き着きました。

── 確かに、意外と歌詞はグロかったりしますよね。

グロめなこと書いてます(笑)。

── でもそこがChi-さんの表現における本質的な部分だったりするんですね。

そうですね。もともと音楽を始めた時がネガティブのどん底だったので、そこをどうやってポジティブにするのかっていうところをぐるぐる回っているような気がします。

── そこにはダンスミュージックの肉体性がかなり大きな役割を担っているような気がしますね。

もともと音楽はノッて身体を動かして楽しむものっていうふうに思ってたので、そこの部分と歌詞の感じがうまく合わさって、結果ダンスミュージックになっているっていうのはWhoopies1号・2号のおかげですね。

「歌詞まだ出来ないの?」って聞かれたら、めっちゃキレるっていう(笑)

── カメレオン・ライム・ウーピーパイの音楽ってこういうものだよねっていう共通認識は3人の間で最初からあったんですか?

3人が共通して好きなのがビースティ・ボーイズだったんですけど、踊らせるっていうことは基本にありながら、ちょっとダサい感じというか、イナタイ感じというか、へっぽこなんだけどカッコいいっていう、そこはブレたことはないですね。そこをどうやって合わせてるのかっていうのはよく聞かれるんですけど、言葉で表そうとすると難しいんです。でも自分たちの中の感覚として、ここはカッコいい、ここはダサすぎるっていうところが3人とも合ってるので、あんまり難しく考えずに自分たちの好きなものを作っているという感覚ですね。

── 曲作りの作業も3人でやってるんですね?

そうなんですよ。Whoopies1号のところに集まってやってます。

── 曲作りで、何か気をつけていることは?

あんまりこだわらないっていうのはありますね。誰かとコラボする時も楽曲提供とかする時もこだわらないっていうのは意識しています。普通に自分たちが好きなものを作れば良いものができるって思っているので。どうやってもカメレオン・ライム・ウーピーパイになるっていうか。

── そこに見た目のインパクトも加わるからすごい(笑)。

見た目は気づいたら仕上がってたんですけど(笑)。

── 曲はどんなプロセスを経て出来上がるんですか?

私が「こういう曲やりたい」っていうのをWhoopiesのふたりに伝えて、ふたりが曲を作ってメロディをつけてくれるんですけど、その時にWhoopies1号が自分で歌ってメロディを適当につけるんです。でも1号がめちゃくちゃ音痴で、なんだこのメロディ?みたいな感じなんですよ(笑)。それを私が歌詞をつける時に整えるというか、ここは上がった方がグルーヴでるかなって話し合いながら作っていくって感じです。

── あははは! ベースのデモが音痴なの?

音痴がゆえに、すごい不思議なメロディが出来てるっていうのはあります(笑)。

── 逆にこっちの方が面白いじゃん、みたいな(笑)。

そうですね。誰も聴いたことがない、なんだこりゃ!?っていうメロディは、本人は意識してないんですけど勝手にそうなってるっていう感じです。

── Whoopies1号・2号はそれぞれどういう役割なんですか?

基本的には一緒に曲を作ってます。1号がメインで曲を作ってて、2号は技術的な部分、映像とかもそうなんですけど、まあガッツリ分かれている感じではないですが、あえて言えばそんな感じですかね。

── 3人の役割があって、かつ3人同時に関与して、そうすると曲作りは速そうですね。

Whoopiesのふたりが曲作るのがものすごく速くて、CMの曲なんかを頼まれたらクライアントさんが驚くくらいのスピードで作って渡しちゃうんですよ。1日とかで。だからもうオタクなんですよね(笑)。朝から晩までずっと曲作って、それが楽しいっていう人たちなので。そこは尊敬しますね。

── 歌詞はどうなんですか?

歌入れの日を決めて、そこに向かって歌詞を書くんですけど、ほんと1日前になっても全然やる気出なくて作れなかったり、逆にめちゃくちゃ速く出来て、「え、もう出来ましたけど?」みたいな感じの時もあったり(笑)。ほんとまちまちではあるんですけど、基本、1日前とかに慌てて書くって感じです。

── 追い込まれないと火がつかないタイプですね。

そう。そのくせに、Whoopies1号とかに「歌詞まだ出来ないの?」って聞かれたら、めっちゃキレるっていう(笑)。「それだけは言わないで!」って。めちゃくちゃめんどくさいタイプです。

── 曲のイメージを伝える時に歌詞に書きたい内容は頭の中にあるんですか?

でも、どの曲も根本は言いたいことは同じなんですよ。要は、どれだけ落ちても最後はなんとかやってこう、みたいな感じのことを言ってるので。そこは変わらないんですけど、言い方というかコンセプトというか、そこはトラックが上がってきてからイメージしますね。例えば、「Mole Dancer」(2nd EP『MAD DOCTER』収録)だったら、モグラが地下を這っているようなイメージだなって感じて、そういう歌詞にしたり、トラックから導き出されることが多いですね。

自分たちのスタイルを変えずに、メジャーシーンのスタンダードになれればいいな

── 4月5日にリリースされたシングル「Stand Out Chameleon」について伺います。この曲は、どのようなイメージで作っていったんですか?

まずは、アルバムのリード曲にしようっていうことで作って、ライブでジャンプしたりできるような曲がいいなって思ったんですよね。歌詞の中に〈もーいーよー〉っていうフレーズがあるんですけど、それは諦めの意味ではなくて、かくれんぼしてる時の〈もーいーよー〉で、みんなそろそろ私たちを見つけてくれてもいーよっていう意味です。

── 「scrap」(10thシングル)に〈もーいーかい〉って歌詞が出てきますが、それとは呼応してないんですか?

特にそういうことではないんですけど、でもかくれんぼの感じはちょくちょく出てきますね。

── 深層心理のどこかに何かがありそうですね。

たぶん、もっといろんな人に聴いてほしいとかっていう気持ちの部分が滲み出てるんだと思います。

── サウンドで意識したことは何ですか?

Whoopiesが言ってたのは、ヒップホップっぽくならないように、けどヒップホップの要素を入れて、跳ばせて踊らせるっていうことを意識して作ったっていうことでした。この曲を初めて披露したのが、このあいだアメリカのテキサス州オースティンでやった『SXSW 2023』(サウス・バイ・サウスウエスト)だったんですけど、ものすごいみんな跳んでくれて、まさに想像していた光景のライブが出来てうれしかったですね。

── 『SXSW』は、街全体がライブ会場となってあちこちでショーケースのライブが行われているものですが、いかがでしたか?

めちゃくちゃ面白かったです。初めてアメリカでライブしたんですけど、オーディエンスの反応が新鮮でした。もう叫んでるんで、みんな(笑)。それが自分的にはめちゃくちゃいい経験になって、そこから日本でライブをする時も前より自信を持って臨めるようになりました。アメリカの人って、私たちが有名かどうかではなくて、その時のパフォーマンスでちゃんと評価してくれるんですよね。それで、その時やったライブが結構インパクトあったみたいで、現地の大きなメディアの『VIBE』が選ぶベスト・パフォーマンスアーティスト10選に選ばれたんですよ。他に選ばれた人たちはわりと有名な人たちが多かったんで、正直自分たちでもびっくりしました。

── Chi-さんの中で、音楽をやることが今は確固たるものとしてあると思うのですが、その感じというのは、最初の頃と比べて変わったという意識はありますか?

最初自分でやってた時は、どちらかと言うと投げやりというか、最後に音楽やっちゃおうって感じで、その時から考えることとかは同じなんです。でも、今の方が責任を持ってやっているというか、もっといろんな人に聴いてもらいたいとか、ライブでもみんなで楽しみたいとか、そういう感じになってきました。

── この「Stand Out Chameleon」には、ユニット名の一部が入っているんですけど、「カメレオン」は何かを象徴するものとしてあるんですか?

このユニット名をつけた時に、チョコライムウーピーパイというお菓子のチョコをカメレオンに変えたんですけど、カメレオンの生き様が好きというか(笑)、カメレオンはいろんなところに馴染めるけど自分は馴染めないというところでつけたんですよね。そこの思い入れがあるので、アルバムのリード曲だし、入れたって感じですね。

── カメレオン・ライム・ウーピーパイの音楽の特徴として、過剰なポップさ、みたいなところがあると思うのですが、そこは意識せずとも3人の中から自然と出てくるものとしてあるんですか?

そうですね。自分たちとしては、特別尖ってるというかキテレツなことをしてやろうと思ってやっているわけではないんです。結果的にそういうものが出来ているっていう感じで、狙っているわけではないですね。

── 何を突き詰めていったら今の感じになったんでしょう? 楽しさ?

どうなんだろう? どんな曲調でも踊れる曲っていうのは意識してやっているのでそこの部分と、カッコいいだけじゃないっていうところは意識してやっていますね。

── その、自分たちの思うカッコいい感じっていうのが、もしかしたら世間的な価値基準に照らし合わせた時にズレているというか、そこで発生するものにカメレオン・ライム・ウーピーパイのオリジナリティがあるのかもしれないですね。

日本の音楽のメジャーシーンに対して、そこに自分たちみたいなのがいてもいいんじゃないかって思ってるんですよね。自分たちのスタイルを変えずに、メジャーシーンのスタンダードになれればいいなって。そこは目指してますね。

── 素晴らしい目標です。

前は、全部をぶち壊して私がスタンダードになるんだ!って思ってたんですけど、今は、スタンダードにしれっと加わるって感じですね(笑)。

── それってすごくカメレオンぽいですね(笑)。

ははは。どこにも馴染めないけど、どこにでも馴染める、みたいな感じだと思うので、それをスタンダードにできればと思っています。私みたいな人って、クラスの大半にはいないけど、数人いるんじゃないかなと思うんです。それが全国規模で集まればすごいいっぱいな気がするんで、そこを目指します(笑)。

── 5月17日(水)に1stアルバム『Orange』がリリースされます。Chi-さんの髪の毛がどアップになったジャケットですが、オレンジというのには何か特別なこだわりがあるんですか?

最初に出したシングル「Dear Idiot」のちょっと前からオレンジ髪になったんですけど、そこから気に入ってやっていたら、だんだんそれが私たちのトレードマークみたいに認識してもらえるようになったので、今回初めてのアルバムを出すにあたって、私たちの色って何だろうね?ってなったらやっぱりオレンジでしょっていうことで、ジャケットも髪の毛の写真にしました。

── 全17曲、すごいボリュームですね。

最初に出した曲から、ほぼ入れてるんですけど、1stアルバムということで、これが私たちですっていうのを詰め込みたかったんですよね。最初はもうちょっと少なかったんですけど、これも入れようよってやっていったら結果17曲になっちゃってました(笑)。

── 17曲が1枚にまとまったものを聴いてみて、いかがですか?

最初に出した「Dear Idiot」を聴いても、今でもイケてるなって思うし、自分たちが好きなことをブレずにやってこれたなって改めて思いますね。

── 7月に東京と大阪の2カ所でワンマンライブが決定していますね。

初めてのワンマンライブなんですけど、私たちがリリースをし始めたすぐ後にコロナになっちゃって、そういう意味では万全な状態でのライブってあんまり経験したことなくて、やっとできるなっていう感じですね。私たちは曲作りも好きなんですけど、ライブがめちゃくちゃ好きなので、とにかく楽しみですね。いろんな仕掛けを考えるのが今からワクワクします。

── クラスの2、3人、大決起集会ですね(笑)。

あははは。ひねくれてるやつみんな集まれ!

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

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リリース情報

カメレオン・ライム・ウーピーパイ「Stand Out Chameleon」

配信中:https://clwprecords.lnk.to/StandOutChameleonWE

1st アルバム『Orange』
2023年5月17日(水)リリース
価格:3,300円(税込)
〈収録曲〉
1. CHAMELEON LIME WHOOPIEPIE's THEME
2. Stand Out Chameleon
3. Mushroom Beats
4. LaLaLa
5. Burn Out
6. Dear Idiot
7. Dislike
8. Where Is The Storm
9. Love You!!!!!!
10. scrap
11. Skeleton Wedding
12. Wonderful
13. Unplastic Girl
14. MANabUUUU
15. Crush Style
16. Indie Slime [CLWP×PARKGOLF]
17. Whoopie is a Punkrocker (CLWP ver.)

ライブ情報

カメレオン・ライム・ウーピーパイ 1ST ONE-MAN LIVE “Orange”
公演日:2023年7月2日(日)
会場:大阪・心斎橋 Music Club JANUS

公演日:2023年7月9日(日)
会場:東京・渋谷 WWW X

チケット代:3,900円(税込)

プロフィール

カメレオン・ライム・ウーピーパイ
Chi-によるソロユニット〈カメレオン・ライム・ウーピーパイ〉。
オレンジの髪が特徴的なChi-と、仲間にWhoopies1号・2号がいる。
楽曲制作やライヴ活動に限らず、MUSIC VIDEOやアートワークなどをはじめとした、自らの活動にまつわるすべてのクリエイティヴを3人のみで手がけている。

2019年12月に初めてリリースしたシングル「Dear Idiot」が、ノープロモーションながらも日本国内に留まらず海外でも大きな話題を呼ぶ。その後も定期的なリリースを重ね、リリースから半年で総再生回数100万回を突破。
2021年には、Spotifyの「RADAR:Early Noise 2021」に選出される。2022年8月に『SUMMER SONIC 2022』東京・大阪に出演。2023年3月には米国テキサス州オースティンにて開催された世界最大級の複合フェスティバル『SXSW 2023』にも出演を果たした。
国内外のミュージシャンやプロデューサーからのラブコールも多く、国やジャンルを問わず様々なクリエイターとコラボレーションも積極的に行なっている。

エクレクティックな感性で、鬱屈とした時代の空気や感情を、カオティックにないまぜにしながら、誰も聴いたことのないポップ・ミュージックを産み出す──次世代型アーティスト、カメレオン・ライム・ウーピーパイが世界をマッドなオレンジ色に塗り替える。

関連リンク

公式サイト:https://clwp.jp/

番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW