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ハク。/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

1stアルバムをリリースしたハク。インタビュー「わかりやすく一歩を踏み出したぞ、な感じの曲がいっぱい入っている」

特集連載

第83回

櫻井海音が最新のリリース楽曲からライブイベントまで、“いま聴くべき音楽”を厳選して紹介するJ-WAVE『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』から、番組連動インタビューを掲載。

今回登場するのは、あい(Gt&Vo)、なずな(Gt)、カノ(Ba)、まゆ(Ds)の4人で結成された平均年齢20歳のバンド。邦ロックと欧米のインディロックの両方の影響を受けつつ、瑞々しい感性で紡がれる言葉とメロディが多くのリスナーから支持されている注目のニューカマーだ。8月9日にリリースした1stアルバム『僕らじゃなきゃダメになって』では、さらに広がったハク。の音世界が存分に堪能できる1枚となっている。今後ますますその存在が大きくなっていくことは間違いないハク。の現在地を、あいに聞いた。

心が動くままっていうか、自分から出てくるもので作っていった

── 2019年にバンドを結成したときはおいくつだったんですか?

18かな? いや、17だったかな。今5年目なんですけど、高校生の時にドラムのまゆと私の学校が一緒で。で、ギターのなずなとベースのカノが別の高校だったんですよ。高校を卒業して私たちは同じ専門学校に進学することになるんですけど、高校生の時にその専門学校がやってる「楽器教えてあげるよ」サークルみたいなのがあって、そこで出会ってバンドを組むことになったんです。たまたま4人のパートも分かれてたので、先生に「じゃあ組んでみたら?」って言われて(笑)。

── 4人でバンドを組んだときはプロを目指そうという目標はあったんですか?

高校の軽音部以外で、知らない人と音楽をやるっていうのが初めてだったので、とりあえず誰かと一緒にやってみたいっていう気持ちが私にはあって。そのサークルの先生も「とりあえずやってみたら」ってノリだったので、だから最初はそうですね、そんな感じです。

── でも“そんな感じ”から(笑)、結構短いスパンでグイグイと行きましたね。

そうですね(笑)。勢いに押された感もあるし、その勢いに追い抜かされながらも右手伸ばしてついて行って、みたいな感じだったと思います(笑)。

── 最初にいけそうだなっていう予感はあったんですか?

うーん、何も感じなかったわけではないですけど、でも感じるか感じないかでいったら、感じなくて。ただオリジナル曲を作って、私のデモに反応を返してくれるっていうのがすごくうれしかったのは憶えています。

── どういう音楽をやっていくかっていうのは何か決め事としてあったんですか?

特ににそこを話し合ってっていうのはなかったですね。当時、高校生の頃にギターロックをみんながよく聴いてて、私もライブハウスに行き始めたりしていて、やるんだったらロックがいいなって思ってて、それでハク。で最初にできたのが「ワタシ」っていう曲だったんです。だからみんなでこうしようって決めたわけじゃなくて、心が動くままっていうか、自分から出てくるもので作っていったって感じですね。

── そこから曲作りは順調に?

今でこそ自分からいろいろなアイデアが出てきたりするんですけど、ちょっと前までは“難しい”の方が強かったですね。

── どういう点で難しさを感じていたんですか?

私はメンバーに曲をイメージで伝えることが多いんですけど、それがみんなにちゃんと伝わってるのかな?って思うところもあったし、フレーズとかも具体的に自分が決めていいのかな?とか。みんなやりたいものがあるんじゃないのかな?とか、そういうコミュニケーションの難しさという点もありました。

── そこが変わった転機があったということなんですよね? それは?

今回のアルバムには河野圭さんっていうプロデューサーさんがついてくれているんですけど、河野さんと一緒に音楽を作っていく中でみんなの士気も上がっていったっていうか。

── 河野さんが入ることによって具体的に何が違ったんでしょう?

私がチビ河野圭さんだとしたら(笑)、本物が来た!みたいな。

── ん?(笑)。

なんて言うんだろ(笑)、同じ「行くぞ」って言っても私とは迫力が違うというか。経験と知識も圧倒的だし、バリバリのプロとしてずっとやってきてる人だから安心感があるじゃないですか。そこがやっぱり一番大きいんじゃないですかね。

── 結構具体的なアドバイスがあったりしたんですか?

ありました。例えば、今までのハク。だったら、なずなのギターの音は空間系って言って浮遊感のある音が多かったんですけど、でもそうじゃなくて「もっと歪の効いた音で新しいハク。も出していこうよ」とか。あとは、私が弾き語りでデモを送った時にも、「弾き語りの人って手癖っていうか音が食い込んでくるよね」って言われて気づかされることもあったし。あ、そっか、食い込まずにストレートに弾いた方がカッコいいなって。そういう気づきはありましたね。

── 自分たちってこういうバンドだったんだ、とか、曲の特徴としてこういう部分があったんだ、というふうに河野さんとやることによって見えたハク。らしさはありましたか?

「普通ラスサビ行くのに行かないよね」みたいなことを河野さんに言われて、あーたしかにと思って。振り返ってみれば、高校の時の入りはギターロックだったけど、そこから海外の音楽とかどんどんいろんなものを聴いて影響を受けて、自分で作る曲の構成も変わってきたなって思ったんですよね。で、ハク。の音楽は1番と2番のあいだに何かがあるというか、引っ掛かりがある曲、そこが強みになっているのかなっていうことに気づきました。

今でもなんですけど自分で自分のことはちゃんと理解できてなくて

── 「自由のショート」はまさにそんな曲ですね。

たしかに(笑)。わかりやすいですね。

── この曲が今回SONAR TRAXになっているのですが、1番の終わりの感想がドロッとしているというか、そこで空気が変わるような感覚がありますよね。そもそもこの曲はどのようなイメージで書かれたのでしょうか?

何日かに分けた夜の話なんですけど、簡単に言ったら、自分が生活している中でいろんなことを考えたりする時に、あーやっちまったな……とか、このまんまでいいのかな? いや、やらなアカンやろっていうようなウダウダした気持ちを書いた曲ですね。

── そういうモードがあったんですね(笑)。

そう(笑)。歌詞を見たら、結構場面展開があるんですけど、例えば2番の〈夏熱と秋風で雰囲気は出ている〉だったら、私がベランダにいて、ほんま何してんねやろ……っていうか、今でもなんですけど自分で自分のことはちゃんと理解できてなくて。だからこういう音楽を作って本当に歌いたいのか?っていうこととかも悩んだことがあって、それでちょっとホロリホロリ涙が出てきちゃってっていう場面とか。ちょっと順序が逆になってしまうんですけど1番の〈満月が速い日 走ってるんじゃないか〉とかは、夜に外を歩いてて、ビルが立ち並んでいる向こうに満月があって、自分が歩いたら月も動くように見えるじゃないですか、それでそうやって月と並んで歩いてたら私よりも先にビルに隠れちゃったから、月が走ってるように見えたなとか、そうやって見た風景とかその時の感情とかを書いてます。

── たぶんこういうインタビューなんかでも指摘されることは多いと思うんですけど、やっぱりあいさんの書く歌詞って独特な感性に裏打ちされていますよね。でも今お話しして思ったのは、あいさんにはそういうふうに見えているそのままを書いたリアルなものなんだろうなっていう感じがしました。

ちょっとひねってることもあるけど、基本的には本当に見えたものを書いて、で、書いてみてこれはなんか伝わりにくいなって思ったら変えるっていうような作り方ですね、とくに最近は。

── 言葉とメロディの関係で言ったら、どうなるんですか? 先にメロディがあるんですか?

メロディに歌詞をのせていくことが多いんですけど、でもその言葉のタネはすでにあるっていう感じですね。だからきっちりできたメロディにのせるためにちゃんと歌詞を書くんじゃなくて、メロディの断片に言葉をのせてみるっていう感じの方が多いですね。

── メンバーには歌詞の意味やここの言葉がどうしてこうなったかっていうようなことは説明するんですか?

最近聞いてくれるようになって、それで話すことはあります。ライブの見せ方とかも変わってくるからって、とくにベースのカノには言われます。

揺れ動く中でどうやって自分たちを表現していくか

── 全部ではないんですけど、ハク。の音楽にはほんのり不穏な感じっていうのが入り込んでいるような気がするんですよね。そこが面白いんですけど。

あー、そうなんや、なんやろう。

── 10曲目「僕らじゃなきゃだめになって」は揺れ動く心そのものを音楽にしていると思うし、4曲目「直感way」の最後もちょっと感じるんですよね、じんわりした不穏を。

「直感way」なんかは明るい曲調でサビも転調するけど、言ってることはめっちゃ現実、みたいな。そこの、明るさだけじゃなくてちょっと影もありますっていうところがそういう匂いになっているのかもしれないです。

── そのメロディやフレーズの感じっていうのは、やっぱり言葉からの影響が大きいのでしょうか?

例えば3曲目の「ナイーブ女の子」っていう曲は、わりと例外でメロディと言葉が結構グチャったんですよ。だからいろいろ同時に試行錯誤しながら作った曲ですね。

── さっき、見えてるものをそのまま書いてるんだろうなって言いましたけど、この曲もそうなんでしょうね。かなり感覚的なイメージがそのまま言葉になっているんですけど。

そうですね。これも見えたままですね。受け手にとってはすっごい無責任に投げた初めての曲だったんですよ。それまでは、別にわかりやすく書いていたわけじゃないんですけど、人にじんわり伝わるようにっていうのは思ってて。でも、一回ちょっと挑戦してみようって思った曲です、これは。

── 手応えはいかがでしたか?

ま、好きな人は好き、みたいな感じ(笑)。でも、周りの人にはこれが一番好きって言ってもらえたのがすごいうれしかったです。

── 自分の感覚と人に伝える時のさじ加減って難しいですよね。形を整えてわかりやすくすればするほど、なくなるものもあるわけじゃないですか。

そうなんですよね。それが熱量なのか何なのかわからないですけど、ライブで演奏する時に、この「ナイーブ女の子」はその時のテンションによって伝わり方も変わってくる曲だなって思ってて、そこの難しさもありますね、この曲は。

── ちなみに歌詞に関して河野さんからは何かあったんですか?

訂正とかは全然ないんですけど、「こんなん絶対書かないよね」って言われました(笑)。

── それは褒め言葉ですよね。

と、受け止めています(笑)。いちいち説明していますよ。これはこういう意味でって。

── 7曲目の「無題」は、少女期特有の物事の感じ方を書いた曲で、結構初期に書かれたものなのかなという気がしました。

そうなんです。ハク。で5、6曲目くらいにできた曲で、できてはいたんですけどライブではやってなくてっていう立ち位置の曲だったんです。ちゃんと真っ直ぐ深く伝えられるか、歌えるかっていう不安感とか、この曲に対してそこまで思い切れてなかったので、だからライブでできなかったんだろうなって思いますね。それである時、これ今やったらちゃんと伝えられるなっていうタイミングで仕上げました。

── しっくりこなかったんですか?

歌の技術もあるんですけど、息を吸い切って真っ直ぐ出せないとか、深く歌えないっていう感覚がずっとあって。でもちゃんとイメージができるようになって今歌えるようになったっていう感じですね。

── この曲はすごくバンドを感じるというか、ここにハク。の真ん中みたいなものがあるのかなっていう気がしたんですよね。

「無題」と、それと「本物」っていうちょっと古い曲があるんですけど、これがちょっとリンクするんじゃないかなっていう雰囲気がメンバーの中にもあって、だから、そういう曲が得意なのかもしれないですね。ふつふつじんわりドーン、みたいなのが。

── 1stアルバム『僕らじゃなきゃだめになって』、率直にどんなアルバムになりましたか?

みんなにわかりやすく一歩を踏み出したぞ、な感じの曲がいっぱい入っている感じがします。

── と言うと?(笑)。

今までのハク。のテイストを残しつつ、それでいてもうちょっとキャッチーだったりとか、さっきも言ったんですけど、なずなのギターの音やフレーズがちょっと違うとか、そういう挑戦を少しずつ閉じ込めた曲たちがいっぱいあって、自分たちの幅もここからすごく広がっていく第一歩という感じがしています。

── 何かに固執しているわけではない、ということですよね、バンドのあり方として。

そこの芯があった方がバンド的には強いっていうのはめっちゃわかるんですけど、でも揺れ動く中でどうやって自分たちを表現していくかとか、こんな曲ができたからこういうライブができるようになったとか、こういうライブをしたいからあんな曲を作りました、みたいなことが多くて、一貫してないって思われるかもなって思うんですけど、でもやってみたいから作ったっていう気持ちの方が大きいので、常に挑戦ばっかりのバンドです(笑)。

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

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リリース情報

ハク。1st フルアルバム『僕らじゃなきゃダメになって』
発売中
税込価格:3,080円(税込)

[収録曲]
01.回転してから考える
02.自由のショート
03.ナイーブ女の子
04.直感way
05.第六感
06.なつ
07.無題
08.君は日向
09.ハルライト
10.僕らじゃなきゃだめになって
配信はこちら

ライブ情報

『ハク。 presents.“Walk Walk Run!” -名古屋編- 』
日時:2023年9月1日(金)18:30開場、19:00開演
会場:名古屋CLUB UPSET
出演:ハク。/ mekakushe /KADOMACHI
チケット代:早割2,500円入場時ドリンク代が必要)

『ハク。 presents.“Walk Walk Run!” -東京編- 』
日時:2023年9月5日(火)18:30開場、19:00開演
会場:下北沢Flowers Loft
出演:ハク。/ 藍色アポロ / muque
チケット代:早割2,500円入場時ドリンク代が必要)

『ハク。presents.“Walk Walk Run!”oneman』
日時:2023年11月15日(水) 18:30開場、19:00開演
会場:心斎橋Live House Pangea
チケット代:一般2,800円、学生2,300円(入場時ドリンク代が必要)

プロフィール

ハク。
あい(Gt.&Vo.)/なずな(Gt.)/カノ(Ba.&Cho.)/まゆ(Ds)
2019年結成の大阪を中心に活動する平均年齢20歳の4ピースバンド。
感情の繊細な揺らめきや交差する裏と表を、透明感があり芯が強く自由で意思の強いあいの歌声と、POPSを中心にUK/USのインディの影響を感じさせるサウンドで表現。1st デジタルシングル「BLUE GIRL」がWEB動画の主題歌に起用される。そして十代才能発掘プロジェクト「十代白書 2021」に出演し見事グランプリを獲得。
6曲のデジタルシングルのリリースを経て 2022年1月19日に初のミニアルバム『若者日記』をリリース。リリース後開催の初ワンマンライブが見事ソールドアウトを記録。
2023年3月にデジタルEP『僕ら』、5月にデジタルシングル「僕らじゃなきゃだめになって」、7月にデジタルシングル「自由のショート」をリリースし、8月9日に初のフルアルバム『僕らじゃなきゃだめになって」』をリリースした。

関連リンク

ハク。オフィシャルサイト:https://hakumaru.com/

番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW