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Billyrrom/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

今もっとも勢いに乗るバンド・Billyrromインタビュー「体当たりでこれからもやっていく」

特集連載

第84回

左から)Yuta Hara(DJ/MPC)、Taiseiwatabiki(Ba)、Mol(Vo)、Rin(Gt)、Shunsuke(Ds)、Leno(Key/Syn)

櫻井海音が最新のリリース楽曲からライブイベントまで、“いま聴くべき音楽”を厳選して紹介するJ-WAVE『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』から、番組連動インタビューを掲載。

今回登場するのは、“トーキョー・トランジション・ソウル”を標榜する6人組、Billyrrom (ビリーロム)。すでに早耳のリスナーの間では注目を集める存在で、国内だけではなくアジアや南米を中心に海外での人気も急上昇している。昨年12月の渋谷WWWに続き、2月の渋谷WWW Xでのワンマンライブも即完売と、今もっとも勢いに乗るバンドだ。9月20日(水)にリリースされる2nd EP『noidleap』は、多種多様なサウンドとともにバンドとしての揺るがない姿勢を示し、ここからさらなる広がりを予感させる1枚となった。今回のインタビューでは、Mol(Vo)とRin(Gt)、ふたりのフロントマンに話を聞いた。

1年の時しか大学に通えてないんですよ。2年からはずっとコロナ禍で(Mol)

── 2020年、地元の町田で結成ということで、コロナ禍真っ只中にバンドが始まったんですね。

Rin 大学の授業もオンラインになって、他にやれることもなくなって時間ができたのでバンドができるようになったっていう感じです。

Mol 僕とRinは大学が一緒なんですけど、1年の時しか大学に通えてないんですよ。2年からはずっとコロナ禍で。それである日大学の帰り道に「バンドやろう」って言われて、「やるか」って感じで始まりました。お互い音楽が好きなのは知ってたので。

── それまではそれぞれで音楽をやってたんですか?

Rin やってなかったんですよ、そもそもちゃんとは。メンバーでやってたのって……。

Mol ベースのTaisei Watabikiが高校の軽音部でやってたのと、あとキーボードのLenoがクラシックピアノを小さい頃からやってたくらいで、それ以外はみんな何もやってないよね。

Rin そうだね。

Mol 聴く専門というか。音楽は好きだけどプレーヤーにはなってなかった。

── ギターも?

Rin そうですね。やったことないけどバンドをやってみたかったっていう。

Mol 死に物狂いでバイトやって結構いい値段のストラト買ってたもんね。

── やるならギターだっていうのは決めてた?

Rin 最初、Molと出会う前に、ドラムのShunsukeとベースのTaiseiが一緒の中学で、そっちの地元のメンツでバンドやったら面白そうじゃね?っていうので、やろうってなって、そこでの自分のパートがギター&ボーカルだったんですよ。で、ギターの練習をしようと思ってやっていたらボーカルのMolに出会い、ちょうどギターが楽しくなってきたところだったので、じゃあ自分はリードギターをやろうっていう流れで落ち着きました。

Rin(Gt)

── うまいこと各々がそれぞれのポジションに落ち着いたわけですね。

Mol そうですね。適材適所というか。

Rin こいつはここだろうっていう感じでね。

── じゃあまずは、Mol(Vo)、Rin(Gt)、TaiseiWatabiki(Ba)、Shunsuke(Ds)の4人が中心となって始まったと。そこに後々、Leno(Key/Syn)とYuta Hara(DJ/MPC)が加わってラインナップが揃うわけですね。

Rin そうですそうです。DJのYuta Haraは、まだ僕らが4人の時にアーティスト写真を撮るために友達が紹介してくれたカメラマンだったんですよ。だから最初は裏方で手伝ってくれてたんです。

Mol ファッションスナップとかカッコいい写真を撮るフォトグラファーで、気づいたら5人目のメンバーになってました(笑)。僕はその場にいなかったんですけど、後からYutaから聞くところによると、車の中でRinが運転しながら「お前はもうBillyromだよ」ってボソッと言ったって(笑)。それでYutaは、「こいつについてく」って思ったらしいです。

── 刺さったんだね。

Rin 恥ずかしいよ。知らずに射抜いてました(笑)。

── あとウィキペディに書いてあったんですけど、「3年後にフジロックに出るからバンドやろう」って言って口説いたっていうのは本当ですか?(笑)

Mol 本当です(笑)。ベースのTaiseiとかは最初サポートで手伝ってくれてたんですよ。それを正式にバンドメンバーに誘うのにそうやって口説いてました。

Rin 3年後フジロックに出るから就職しないでって言ったんですよ。そしたら「じゃあやるわ」って。

── でもきっちり3年後に実現しましたね。今年フジロックに初めて出演しましたから。

Rin そうなんですよ。

Mol(Vo)

動き続けるっていうのが自分たちの核ですね(Rin)

── メンバーが揃ってバンド活動をしていくなか、当然ライブが中心になってくるかとは思うんですけど、コロナ禍ということもあって、なかなか思い通りにはできなかったんじゃないですか?

Rin どうなんですかね。もし僕らが初心者じゃなかったら、うまくいかねーなっていう瞬間も多かったと思うんですけど、僕らの場合はめちゃくちゃ練習しないといけなかったし、やることも多かったんですよね。だから時間があった分、有効に使えたので、今から振り返るとそれがデカかったのかなって思いますね。

Mol そうだね。ライブハウスの遊び方もよくわからないままライブを決めたりしていたので、全部体当たりだったんですよね。だから窮屈さとかやりにくさも感じずにやれていたっていうのはありますね。

── Billyrromの音楽性の核みたいなものは、どこにあると思いますか?

Rin 体当たりでこれからもやっていくっていうスタンスをどこかで核にしようって決めたんですよね。だから自分たちの音楽的な核っていう部分も今後変わっていくだろうし、逆にそれが面白さかなって思ってますね。言ってしまえば、動き続けるっていうのが自分たちの核ですね。

── 曲ベースで言ったら、自分たちの核が見えたなっていう曲はどれになるんですか?

Mol 1stシングルの「Danceless Island」じゃないですかね。

Rin そうだね、うん。

Mol それまでは3曲入りのEPしか配信してなかったんですけど、そのシングルからメロディも開けて、展開もついて、しかもその曲から6人体制になっているので、そこから今のバンドサウンドに広がっていきましたね。

Rin 1枚目のシングルっていうのもあって気合いも入ってたし、3枚目とか4枚目とかだったらすっと決まってたところが1枚目だからっていうことでなかなか決まらないこともあったし。そういう意味では6人の考えていること、感じていることをギュッと詰め込めた作品になっていますね。

── 結構話し合ったりするんですか?

Mol しますね。一週間に1回はマストで話し合いますね。どんどん溜まっていっちゃうんで、話し合わなきゃいけないタスクが。もちろん制作のこともありますし、ライブのこととか、何かあればみんなで話し合って決めていますね。

── 曲作りもそんな感じなんですか?

Rin そこは曲によるんですけど、誰かがデモを持ってくるっていうパターンもあるし。

Mol 全パターンやってるかもしれないですね。スタジオにみんなで入って、一からセッションで作る時もありますし、まだこれっていう決まった形はなくて、いろんなやり方をその時々でやっていますね。

── さっきの核の質問と被るかもしれないんですけど、曲を作るのにいろんなやり方を試せるということは、確実に6人が真ん中で同時に掴んでいるものがあるはずだと思うんですよね。これはカッコいいとか、これは嫌だっていうようなものが。それって何なんでしょう?

Rin 何なんでしょうね。ちゃんとは言えないんですけど、確かに6人に共通しているものはあるんですよね。

Mol うん、ほんとにそう思う。すごい感覚的な部分だから言語化しにくい部分ではありますね。そこをあえて言語化しないから共通している部分の理解が深まったり、その領域が広がっていけるような気がするんですよね。

── なるほど。

Mol よく、何々らしさってあるじゃないですか。その共通している感覚って、Billyrromらしさっていうのとはまた違うんですよ。

たぶん自分たちの目印じゃないですけど、いつかこの曲(「noidleap」)が思い出させてくれるものがあるんじゃないかな(Rin)

── 4曲入りの最新EP『noidleap』、1曲ずつ伺いますね。1曲目は「Mayday」。セクションごとに音像が異なっているのが特徴ですが、まずはどんなイメージだったんですか?

Mol 最初に規模感が大きい曲がほしいねっていう話をしてて。グラミー賞の授賞式とかスーパーボウルのハーフタイムとか、そういう大きな曲っていうイメージはずっとありましたね。

Rin 結構時間かかったよね。

Mol かなりね。

── そうなんですね。時間がかかったのは何か理由があるんですか?

Rin デカイものを作りたいっていう意識はあるんですけど、じゃあサビはこういう感じねって言ってやったものが意外と違うぞっていうのをライブをやっていく中で感じて。そこの試行錯誤が結構続きましたね。

── ということは試作段階のものをすでにライブでやってたんですね。

Mol そうなんですよ。ただライブでやってる時は試作だとは思ってないんですよ。これだと思ってやったんですけど、あれ?違うかもな?っていう感じになって。だからサビが丸々違うものが披露された幻のライブが1回ありますね。

Rin 最初にMolがイントロを作ってきたんですよ。それが自分たちの中でいい感じに結構デカイ空間が広がって、これをどういうふうに最後まで完結させるかっていうのが意外とめちゃくちゃ難しかったんです。デカイ空間のまま最後まで行くと逆にデカイ空間じゃなくなるというか。

Mol ちょっと間延びするというかね。慣れてしまうというか、だんだん規模感の大きい曲に聴こえなくなってくるんですよね。それでサビをタイトなリズムにして空間を1回グッと狭めるっていう感じのものにしたら、めっちゃいい!ってみんななったんですよ。

── 2曲目が今回SONAR TRAXになっている、タイトル曲でもある「noidleap」ですね。これはそこはかとなくアシッドジャズの香りが漂ってくる曲ですね。

Mol そこは皆共通のルーツというか。

Rin まさにだね。

Mol この曲は、一からセッションで作った曲なんですよ。誰かがデモを作って持ってきたっていうことではなくて。今年の春くらいに作曲合宿に行ったんです、千葉の房総半島の方に。そこでスタジオにこもってみんなで一からセッションして作ったら、ああいうサウンドになったっていう感じなので、そういう意味では、みんなが感覚的に感じているルーツ感とか、こういうのカッコいいだろっていうのがそのまま楽曲ににじみ出ているんじゃないかなと。それがアシッドジャズだったり、ファンクだったりっていうところにつながっているのかなって思いますね。

Rin しかも他の曲で行き詰まっている時に、ちょっとセッションやろっかって言って、で、Molがカッティングを弾いて、そこから始まったらやっぱりセッション楽しいねってなって、そのままできた曲なんですよ。だからすごく純なものがみんなから出た曲なんじゃないのかなって思いますね。

── じゃあできるまでにそんなに時間がかからなかったんですか?

Mol 早かったですね。後々調整する部分はもちろんありましたけど、作曲合宿の場で8〜9割はできたので。

── それとこの曲は何と言ってもタイトルの言葉ですよね。

Rin これはそもそも自分たちが作った言葉で、noidっていうのは妄想とかそういう意味で、それがleapしていく、飛躍していく。自分たちが考えている世界、作りたい空間、音楽っていうのがどんどん大きくなっていくっていう意味合いが込められた言葉なんですけど、やっぱさっきも言ったみたいに自分たちの一番純なものが出たこの曲っていうのが、サウンドとしても何かこう合致したというか。だから自分たちのテーマとも言える言葉をタイトルにもつけたいなと思いました。

── この曲は重要な一歩ということが言えるわけですね。

Rin そうですね。今後も自分たちが曲を作っていく中で、やっぱりこの感覚を忘れちゃいけないなっていう部分があって。たぶん自分たちの目印じゃないですけど、いつかこの曲が思い出させてくれるものがあるんじゃないかなっていうことはすごく感じています。

Mol もともと“noidleap”っていう言葉をBillyrromの今後の活動のテーマとして決めたんですけど、バンドの指針というかひとつのテーマになるもので、だからこそもっとも純なものが出た曲にこの言葉をつけるっていうことにこだわりましたね。

── つまりnoidleapとは、常に自分たちを超えて行かなければいけないっていうことですよね。

Mol そうですね、それがなくなったらBillyrromはおしまいっていうことですから。

── 3曲目が「Flower Garden」。ラップとサビメロが交錯していく感じがすごくいいんですけど、MVを見るとそれがそのまま映像になっていて、ああMVってこういうことだよなって思いました。

Rin あのMVは一発録りだったんですよ。緊張したよね。

Mol 普段は使わない部分を使って、すっごい疲れました(笑)。

── ラップもあるんですね、Billyrromには。

Rin もともと自分はラップが好きで。そもそもルーツにRIP SLYMEだったりとかマック・ミラーとかがあって、自分のソロではボーカルもやっているのでラップしたりするんですよ。で、それこそさっきの作曲合宿の時に、いつかBillyrromでもラップをやりたいなって思ってたのを実現させた曲ですね。

Mol Rinがソロでラップをやったりしてるのを知らない友達に、「Molってあんな声でラップできんの!?」って驚かれて(笑)。おれじゃないよって(笑)。Billyrromとしては新しいことをやっちゃおうよっていうことで作ったんですけど、歌詞のテーマ的には結構ディープなことも含んでいるというか。Billyrromっていう6人組のバンドにも通じることだし、今のご時世というかね。

── バンドで言えば、6人それぞれ違うけど、重なる部分はあって、そこって愛しいなっていう感じが歌詞からは伝わってきました。

Mol それがバンドの6人だけじゃなくて、社会っていう単位の話もしているし、逆にもっと個にフォーカスした話もしているしっていうことで、すごく今の時代に刺さる歌詞だなって個人的に食らいましたね。あ、作詞はRinです。

Rin 端的に話すのは難しいんですけど、目の前の人を自分とまったく同じ人間だと思っちゃいけないっていうのがまず前提にあって。これをすごく伝えたかったんです。やっぱまったく同じだと思っちゃうと、そこから起こってくる悲しい出来事だったり、すれ違いみたいなものってあると思うし。でも絶対に思っちゃう瞬間はあるんですよね。だから目の前の人を100%理解できないっていうことをみんなで理解しようっていう、簡単にいうとそういう曲です。

── 4曲目「Eyes to the Mirror」。チルな曲で、BillyrromがJ-POPをやったらこういうことになるのかなっていうのを感じました。1音に対してひとつの言葉が乗って、あまりこれまでにない印象の曲ですね。

Mol バラードが1曲もなかったので、作ってみたいねっていうとところから始まった曲ですね。最初はメロディもちょっと違ったんですけど、言葉と音の関係っていうのを突き詰めて今の感じになりました。楽曲としては「Flower Garden」と対になっている部分もあって、相手を自分の鏡だと思っている人の嘆き、みたいな。だからEPの後半2曲はその関係性というか、そういうところにも着目して聴いてもらえたらうれしいですね。

Rin ああいう曲やりたかったんですよね。今まで、踊ろうぜってここまで走ってきたので(笑)。

── EPに収録された4曲それぞれにはっきりとした試みがありますよね。

Rin そうですね。だからこそ『noidleap』っていう言葉が意味を持ってくると思うし、この4曲でそこが表現されているEPになっているんじゃないかなと思っています。

Mol 『noidleap』っていうテーマが掲げられたので、ここが出発点だなっていう意識はありますね。

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

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リリース情報

2nd EP『noidleap』
9月20日(水) 配信スタート
税込価格:3,080円(税込)

[収録曲]
1. Mayday(6th single)
2. Noidleap(リード曲)
3. Flower Garden(7th single)
4. Eyes to the Mirror(新曲)

ライブ情報

『Billyrrom First One-Man Tour “noidleap” 』
2023年10月27日(金) 大阪:Umeda Shangri-La
2023年11月2日(木) 東京:LIQUIDROOM
チケット代:3,500円(税込)
※入場時ドリンク代が必要

プロフィール

Billyrrom
東京都町田市出身のメンバーによって2020年に結成された、Billyrrom(ビリーロム)。Mol(Vo)、Rin(Gt)、Taiseiwatabiki(Ba)、Leno(Key/Syn)、Shunsuke(Ds)、Yuta Hara(DJ/MPC)の6人組音楽集団。SOUL、FUNK、ROCKなど幅広いルーツを持つメンバーによって、次世代ポップミュージックを創出する。2022年から3カ月連続シングルを皮切りに、初のワンマンライブである渋谷 WWW、追加公演の渋谷 WWWXもソールドアウト。今年リリースした「Solotrip」「Time is Over」「Mayday」が3作品連続で100万回再生突破! METROCKやFUJIROCK FESTIVALʼ23など大型フェスにも出演し、注目集めている。

関連リンク

Billyrromオフィシャルサイト:https://www.red-hot.ne.jp/sp/billyrrom/

番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW