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ASOUND/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

極上のリラクシン・グルーヴを響かせる新世代バンド・ASOUNDインタビュー「いい意味で敷居が低い音楽を作っていきたい」

特集連載

第85回

今回登場するのは、ルーツレゲエをベースに極上のリラクシン・グルーヴを響かせる新世代バンド、ASOUND。コアな音楽ファンからライトなポップミュージック・ファンまで幅広い層に訴えかけるサウンドと何よりボーカルのARIWAの存在が今後間違いなく大きな注目を集めそうだ。今回は、そのARIWAを迎えて、自身の音楽的ルーツやASOUNDで目指すサウンド、して9月15日(金)に配信リリースした「Meditation feat. 鎮座DOPENESS」のことなどを聞いた。

私たちの共通言語がレゲエでした

── アメリカに留学していたんですよね?

今から4年前の3カ月だけなんですけど。アメリカとあとジャマイカに。アメリカでは毎週オープンマイクバーに通って力試しをしていました。修行というか(笑)。

── そのために行ってたんですか?

そうですね。語学学校に行きながらオープンマイクバーに週2回通って、それをやりつつ、マライア・キャリーとかアリアナ・グランデ、ローリン・ヒル、あとはH.E.R.といった尊敬するアーティストのライブを行けるだけ行っていました。それといろんな音楽大学のキャンパスを見学に行ったり。

── その前までに音楽的キャリアはあったんですか?

KODAMA AND THE DUB STATION BANDっていう、ダブ・トランペッターのこだま和文さんがリーダーのバンドなんですけど、そこに高校を卒業したすぐ後くらいに加入して今も活動しています。

── それはコーラスとしてですか?

いえ、トロンボーンとして、ですね。その1年後くらいにASOUNDを結成しました。

── ということは、KODAMA AND THE DUB STATION BAND、海外、ASOUNDっていう流れなんですね?

はい。

── トロンボーンはどういうきっかけで始めたんですか?

高校に入って本格的に始めたんですけど、毎年全国大会の金賞を獲る強豪校で朝から晩まで練習していました。卒業したら歌をやりたいなって思ってたんですけど、KODAMA AND THE DUB STATION BANDに加入できることになってトロンボーンもやりつつ、自分たちでASOUNDを組んでそこで歌っているっていう感じですね。

── 歌はずっと好きだったんですか?

幼少期からずっと好きで、家ではもちろんなんですけど学校でも、今この歌を歌いたい!ってなったら授業中でも歌い出す、みたいな(笑)。感情と歌が直結していました。嫌なこととかあったら、ビヨンセの「リッスン」とか思いっきり歌って発散して感情を整理していました。常に音楽が自分とともにありました。

── トロンボーンをはじめ、楽器への興味も自然とわいたんですね。

そうなんですよ。今レゲエをベースにした音楽をやっているんですけど、そういう意味でもトロンボーンをやったことはすごく大きかったなって思います。

── レゲエやスカ界隈でのトロンボーン奏者と言えばリコ・ロドリゲスがパッと思い浮かびますね。

リコのレコードをお母さんが家でずっと流してたんです。

── へー。

それを私も聴いてて、ずっと小さい頃だったんですけど、その影響はすごく大きかったと思いますね。

── じゃあレゲエも身近にあったんですね。

そうなんですよ。親が結構コアな音楽が好きだったんで、逆にそういう音楽をいっぱい聴いて育ちました(笑)。

── なるほど。ASOUNDはどういう経緯で結成されるんですか?

私が東京に戻ってきたタイミングで最初にキーボードのCoutaに出会って、そこからちょっと時間が空くんですけど、Coutaがいろんなバンドで演奏していたので、そのうちのひとつのバンドがあるイベントに出た時に、ベースのSomaが違うバンドで出ていたんです。そもそも私たちには共通点があって、なんて言うんですかね、先輩たちと一緒にやってる若造っていうか(笑)。あんまりレゲエをやっている若い人っていなかったので、同じ世代で一緒にやりたいよねって言って意気投合して、そのちょっと後にドラムのManawに出会ってっていう流れですね。なのでみんな、数少ないルーツレゲエをやっている同年代っていうところでつながりました。

── ルーツレゲエっていうのはそもそもの最初からバンドのベースとしてあるんですね。

みんないろんな音楽を聴くんですけど、ルーツレゲエのバンドに在籍していたりとか、親が昔からレゲエを家で流していたとか、だから私たちの共通言語がレゲエでした。それがベースにありつつ、いろんな音楽性が混じり合っているっていうのがASOUNDのサウンドですね。基本的に自分のパートは各々が責任を持ってやるっていう感じで、私もメロディと歌詞を担当して、それが合わさったらASOUNDになるっていう感じですね。

── 2020年に結成されるわけですが、ちょうどコロナの時期ですよね。そこはどのような影響がありましたか?

ASOUNDとしての初めてのライブが1回目の緊急事態宣言の日だったんですよ。

── 4月。

そうです、4月1日。なので最初のライブが無観客の配信でした。そこからも1年くらいはずっとそんな感じだったんですけど、でもそういう状況で無観客でもライブを続けてくれたライブハウスという場所があったおかげで少しずつではあるんですけどバンドとしての成長を止めずにやって来られたというのは大きかったですね。で、3年経って今はきちんとライブができる環境になったので。国立地球屋とか新百合ヶ丘のBar Chit Chatとか吉祥寺のWorld Kitchen BAOBABとか、ずっとライブをやらせていただいて、今でもお世話になっています。

── 方でコロナの期間というのは、制作に集中することができたのでは?

そうですね。なので音作りに専念して、1st EP『Feei It』(2021年7月)を出すことができました。

── 自分たちの楽曲を突き詰めていく中で、目指すサウンドというのはどういうものだったんですか?

私たちが曲を作る上で一番大事にしているのは、ジャンルとか関係なく自分たちで「カッコいいね」って思えるっていうところなんですよね。日本だけじゃなく世界で聴かれるアーティストになっていきたいって最初から思っているので、いい意味で敷居が低い音楽を作っていきたいなって思っています。

みんなが聴ける、そういう意味でのポップな音楽を作りたい

── 7月13日にメジャーデビュー盤となるEP『オリジナル』がリリースされました。まず気になったのが、タイトルがカタカナというところですね。

最初は英語にするかカタカナにするか迷ったんですけど、世界でやっていきたいっていう思いがあるからこそ、やっぱり日本人っていうことに誇りを持ちたいと思っていて。オリジナルって言葉の意味って、唯一無二の個性というか、ASOUNDのジャンルをミックスしているスタイル含めて「私たちのオリジナルはこれです」っていうことを示したかったし、だからカタカナで表記することにこだわりました。

── ルーツはレゲエを筆頭にファンクやヒップホップなどコアな音楽にあると思うんですけど、それらが混ざり合った結果ASOUNDが作り出す音楽は“ポップス”なのかな、と今お話を伺ってそんなふうに感じました。

結果的にそうなってほしいなって思ってて。結構私たちもアングラというか、コアなものを好んで聴いているから自分たちでもそっちの方に行きがちなんですけど、それが自己満みたいにはなりたくないんですよね。一部の人には理解されるけど──それはそれでカッコいいんですけど──でも私たちの目指すところではないかなと思っていて。ASOUNDっていうバンドとしては、レゲエとかいろんな音楽的知識とか関係なく、ちっちゃい子からおじいちゃんおばあちゃんまで、ヒップホップが好きな人からJ-POPが好きな人まで、みんなが聴ける、そういう意味でのポップな音楽を作りたいなって思っています。まだまだ模索している最中なんですけど、そういう方向にきちんと向かって行けているんじゃないかなって私たちも感じています。

── 曲はどんなふうに出来上がることが多いんですか?

例えば最初にベースのSomaがフレーズを弾いて、そこからインスパイアされてみんなでセッションしながら作っていくっていうパターンがあったり、前のEPだとひとり1曲デモを作ってきて、それをみんなで仕上げたり。

── 歌詞とメロディを担当するARIWAさんはかなり重要なポジションですね(笑)。

私はひとりで考えたいタイプで(笑)。セッションをやりながらメロディはその場で浮かんでくるんですけど、でもメロディも歌詞も「これだ!」っていうものを出したいので、そこは精神を統一して向かいます(笑)。なのでよくあるパターンは、できたトラックを持って帰って家で歌詞とメロディを考えるっていうことがほとんどですね。歌いたいテーマを決めてトラックができる時もあれば、トラックが先行してできる時もあるんですけど、そこで鳴っているビート感とか色とか雰囲気に寄り添いながらメロディや歌詞を考えていきます。メロディに関してはイコール、リズムだと思っているので、ベースラインやドラムと絡んでみたり、わりと私はトラックと馴染んでいる方が好きなので、そんな感じでいつも作ってます。

── トラックが先行してメロディや歌詞ができるっていうのは、ラッパーっぽい作り方ではありますよね。

そうなんですよね。まだ曲作りのパターンが決まってはいないんですけど、言いたいことをバーっと書いて先に歌詞から作ってそこにメロディをつけていくパターンで1回やったら、文字数が多くなりすぎて(笑)。

── やっぱりトラックに導かれる方が言葉もメロディも出てきやすいんですね。

ラップをやっている友達が何人かいて、例えばパーティーでDJのビートに合わせて即興のラップをやったりしているのを見たりして、そういう作り方というか、やり方に影響を受けているのかもしれないですね。結構影響受けやすいので(笑)。

── じゃあ作り方も含めて変わっていく可能性もあるということですね、これから。

歌唱的にはR&Bアーティストからすごい影響を受けていますし、サウンドとしてはもちろんレゲエだったりヒップホップもそうなんですけど、ハウスとかクラブミュージックからも影響を受けているので、メロディや歌詞の作り方に関しても今後いろいろなやり方にトライしてみたいですね。それこそ今回のEPではファンクとかクンビアとかいろいろ挑戦したので。

── 8月のSONAR TRAXになっていたのがタイトル曲でもある「オリジナル」でした。クンビアをフィーチャーしたリズムが特徴的な曲ですね。

自分たちの感覚では、周りでクンビアが流行っているっていう感じだったんですよ。DJがかけたりとか。それでちゃんと聴いてみたらすごいカッコいいなって思って、クンビアとレゲエがミックスした感じのASOUNDスタイルでやったらめちゃくちゃいいんじゃないかなって思って、最初からクンビアをテーマに曲を作ろうって始まったのが「オリジナル」でした。

── 手応えはいかがでしたか?

クンビアってコロンビアとかそっちの方の言ってしまえばオールドスクールな音楽じゃないですか。

── そうですね。

それと私たち──メンバーの平均年齢が21、22歳くらいなんですけど──若い世代のスタイルとミックスさせたら面白いものができるんじゃないかなってやってみたら、結果的にこれまでで一番聴きやすい曲になって、日頃クンビアとかレゲエを聴かない人たちも気に入ってくれているので、手応えはありますね。

── 歌詞のテーマはもうズバリタイトル通りって感じですね。

人間って当たり前ですけど全く同じ人っていないし、だからそれは一人ひとりオリジナリティがあるってことじゃないですか。歌詞にも書いたんですけど、〈誰かを目指す必要なんてない 私は私にもう満足〉って。一人ひとりがオリジンナルストーリーを生きてる、そういうことでいいじゃんっていうメッセージを込めました。

── 他の曲においても、そこがARIWAさんの伝えたいこの中心なんじゃないのかなと思いました。

はい。まさにそうで、だからリード曲にしましたし、曲の中の「オリジナル」、EP全体のタイトルとしての「オリジナル」っていうふうに、いろんな意味で「オリジナル」っていう言葉を使っています。

── 6曲目の「Gorgeous」に出てくる〈Look at me baby〉っていう言葉も「オリジナル」と共鳴していますよね。

そうですね。「Gorgeous」は2年前くらいに作った曲で。デモの状態でずっと眠ってて、ふと思い出して久しぶりに掘り出したら、「あ、この曲いいじゃん」ってなって、で、今回収録しました。2、3時間くらいでできた曲なんですけどね。

感情的になっているときにいい歌詞が書ける

── 5曲目に入っている「Meditation」なんですが、これが9月15日(金)に、「Meditation feat. 鎮座DOPENESS」としてリリースされます。まずはどういった経緯で鎮座DOPENESSさんをフィーチャリングに迎えることになったんですか?

実はこの曲を作る前段階から鎮座DOPENESSさんと一緒にやりたいっていうイメージがあったんですよ。で、この曲はテーマがチャクラなんですけど、それを考えるとやっぱり鎮座DOPENESSさんだなっていうのと、ASOUNDはみんな大好きなんで、鎮座DOPENESSさんのことが。2回くらいイベントでご一緒したことがあったんですけど。あともうひとつの決め手が、鎮さんも歌われるじゃないですか、それで私のメロディと鎮さんのオクターブが重なる作りになってるんですけど、そういうこともイメージして相性がいいんじゃないかなっていうことでお願いしました。そんな感じで、了承をいただく前から鎮さんありきで勝手に作ってて(笑)。なんですけど結局EPのリリースには間に合わなかったので、いったん私だけのバージョンを作ってEPに入れて、だから今回念願の“feat. 鎮座DOPENESS ver”を出すことができました。両方気に入っているんですけど、ようやく想像が形になったという意味では鎮さんとやったバージョンの方が感無量ですね。

── どういうふうにオファーしたんですか?

鎮さんのパート以外のところは全部作って、ここにお願いできませんか?っていう感じで。いただいたものを聴いた時は本当に最高でしたね。鎮さんこそオリジナルというか唯一無二のスタイルでずっとやっているし、歌いながらラップするっていうことに関しても、本当にリスペクトですね。

── よく見たら、確かに歌詞も鎮座DOPENESSさんとやることを想定した言葉になっている、という気がしてきました。

特にサビの〈もらう つなぐ これはMeditation〉からのフレーズはそうですね。そこを鎮さんとオクターブで一緒に歌ったら素敵だろうなって想像しながら書きました。

── ARIWAさんの創作のもとにあるものって何なんでしょう? 人によっては怒りとか悲しみとか、いろいろだと思うんですけど。

私は衝動的に曲を書いたりすることが多いんですけど、振り返ってみてみんなに共感してもらっている曲って、結構自分の感情をリアルに吐き出すように書いた曲なんですよね。頭で考えて書いたものよりも。ネガティブもポジティブもひっくるめて両方入っているリアルなものの方がみんなが共感してくれるっていう感触がありますね。だから私の場合は感情的になっているときにいい歌詞が書けるのかなって思います。

── そこにバンドサウンドが加わることによって単なるネガティブやポジティブを超えて広がっていくものになるということなんでしょうね。

そうですね。曲としてはシンプルなサウンドが多いんですけど、ボーカルの表情であったり、ちょっとした工夫できちんと伝わるようになっているのがASOUNDの魅力なのかなと思います。

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

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リリース情報

デジタルシングル「Meditation feat. 鎮座DOPENESS」
9月15日(金)配信開始
https://ASOUND.lnk.to/Meditation

EP『オリジナル』
配信中

1. Midnight Drive
2. オリジナル
3. Nature - 2023 Mix
4. Quirky Jam
5. Meditation
6. Gorgeous
https://asound.lnk.to/original

プロフィール

ASOUND
2020年春、コロナ禍にある日突然始まった次世代バンド。Reggae、R&B、Jazzなどジャンルにとらわれず、”その時にやりたい曲を自分たちのスタイルでやる。”がスタンスの毎回ガラッと色が変わるバンド。NY留学を経験する圧倒的歌唱力の”ARIWA”を筆頭に、数々のバンドでステージをこなしてきたキーボーディスト”Couta”、音楽専門学校を卒業し、トラックメイクも手がけるベーシスト”Soma”、そしてさらに18歳にして海外公演も経験する実力派ドラマー”Manaw”で結成されている。2021年7月に1st EPを発表。東京、神奈川を中心に全国各地で精力的にライブ活動を展開。2022年には『FUJI ROCK FESTIVAL』、2023年には『横浜レゲエ祭 The Final』、『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2023 in EZO』に出演を果たしている。

関連リンク

公式サイト:https://www.asound-music.com/

番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW