ステージぴあExtra ~フリーマガジン「ステージぴあ」連動企画~
中川大輔×牧島 輝「ずっと観ていたいと思える関係性を作れたら」
第1回
左から)牧島 輝、中川大輔
ケレン味とスペクタクル感満載のエンターテインメントを作ることを目的に、劇団☆新感線などの舞台企画・製作を行なうヴィレッジの若きプロデューサーが立ち上げた“浅まる企画”。第一弾公演は、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』をベースに、昭和の世話もの作品をオマージュした新作舞台『きたやじ オン・ザ・ロード~いざ、出立!!篇~』を上演する。
シライケイタ作、潤色・演出をウォーリー木下が務め、主演・喜多八を中川大輔、弥次郎兵衞を牧島 輝が演じる。さらに、浅川梨奈、尾上寛之、和田雅成、秋山菜津子、山本 亨といった実力派が集結している。
「喜多さん」役の中川大輔と「弥次さん」役の牧島 輝に、意気込みや作品について話を聞いた。
牧島さんが目を見開いている時は歌舞伎役者みたい(中川)
――まずはご自身が演じる役の魅力を教えてください。
牧島 どんなところを見てくださったか自分ではわかりませんが、当て書きしていただいているんですよね。
中川 和田(雅成)さんなどは本人のキャラクターが役に生きていると思います。自分ではわからないですけど、みんなを見るとピッタリ。(牧島の)クールなところとか、喧嘩師でちょっと悪い感じは通じるところがあると思います(笑)。
――全キャスト当て書きということですが、お互いに「特にここがはまっている」というポイントはありますか?
牧島 喜多さんは弥次さんの話をすごく聞いてくれて、自分ごとのように考えて悩んでくれる。大輔は真面目なので言われたことをすごく真剣に考えるし、誰かの気持ちに寄り添ってくれる思いやりを感じます。優しいところは共通しているのかなと思います。
中川 弥次さんはふたりのリーダー格というか頭脳担当。そこは牧島さんからも感じます。一緒にグッズのイラストを描いたときに、僕が感情的に言った「共作したい」ということを冷静に考えて現実的な意見を言ってくれたんです。そこが弥次さんっぽいなと思いました。
――稽古もスピーディに進んでいるそうですが、現時点での見どころ、注目ポイントはいかがでしょう。
中川 今回、“音楽劇”がテーマになっていて。全曲明るく楽しくて、お祭りみたいです。みんな汗だくになりながら舞台上を走っているので、“疾走音楽劇”の名に恥じないものになっていると思います。また、全世代が楽しめる舞台になっています。「舞台って難しい」という印象を持っている方も、「こんなに楽しい舞台があるんだ」と思っていただけると思います。
牧島 いろいろな戯曲の中には、解釈が難しいもの、苦しいものもあります。僕もそういった作品は好きですが、たまにはこの作品のように、ただただ明るく派手な世界に染まってみるのも良いのではないかと思います。あと、喜多さんはいろんな戦いかたをするよね。
中川 ストレートにかっこいいアクションシーンがたくさんある舞台になるはず。稽古を通してどんどんブラッシュアップし、見応えあるものになるよう頑張りたいです。
牧島 弥次さんはすごく目がいい役。今はとりあえず目を見開いて、「見てるぞ!」という感じでやっています(笑)。動きが速いという設定の人が多くて、それを目撃できるのは僕だけ。僕を追うことで物語を追えるシーンもあるので、ぜひ弥次さんの目線を追ってほしいです。
中川 牧島さんが目を見開いている時って、歌舞伎役者みたいな目力がありますよね。目力って演技で一番大事だと言われることもあるから、役者として羨ましいなと思います。
牧島 真剣に見ているだけなのに殺気を感じると言われることもあるので、使いかたが難しいです。
中川 (笑)。目利きの弥次郎兵衛という役にはピッタリ。そこが当て書きなんじゃないですか?
牧島 一度シライさんの演出を受けたことがあるので、そういう部分を見ていたのかもしれないですね。
――相棒感を出すためにやっていることはありますか?
牧島 今は(取材時)立ち位置や動きを入れているところなので、それが馴染んでから役作りについて話していくのかなと思っています。時間をかけながら作りたいですね。
中川 ふたりの関係性がこの作品の核になると思うので、ずっと見ていたいと思ってもらえるコンビニなったらいいなと思います。僕ら自身が気を使わない感じが根底にあるほうがお芝居にもブレーキがかからずにいけるのかなと。「これをしたら嫌がるかな」というところがゆるくなってきていて、そこは本当の幼馴染に通じるところがあると思います。本当の友達になって、友達同士だから許せる距離感が出てきたらいいなと思っています。
個性豊かで面白い俳優さんばかり。ずっと見ていたい(牧島)
――ウォーリーさんの演出の魅力についても教えてください。
牧島 いろいろとスピード感がある稽古です。
中川 ダイナミックさがすごいですよね。ノンバーバルの舞台とかも演出されているので、作るものにダイナミズムがある。総合芸術としての舞台だと感じます。あと、会話の中のちょっとした違和感とかを見逃さないです。
牧島 バレるね。バレたって思う(笑)。
中川 (笑)。ありがたいですよね。セリフの意味を理解してないとお客さんにもバレますから。細かくしてくださることで結果的にクオリティも上がる。信頼できる演出家でもありますし、お客さん代表のような感じです。
――キャストの皆さん、カンパニーの印象はいかがでしょう。
中川 皆さん面白いです。ベテランと曲者揃いの方々なので毎回違うことをしてくださるし、初日からもう舞台に立てるクオリティでした。そこからどんどんブラッシュアップされていくので、見ていて楽しいです。尾上(寛之)さんが演じる十吉とかも面白いです。見応え満載のキャラクターです。
牧島 十吉はかわいいね(笑)。
中川 和田さんも、隙がないキャラクターだけどすごくギャップがあるんです。完璧な部分も可愛らしさもある人なので、役に近いところがあるなと思います。
牧島 個性豊かで面白い俳優さんばかり。個人的には佐藤(真弓)さんがツボ。ずっと見ていたいなと思います。
中川 真弓さんと市川(しんぺー)さんという、元同じ劇団(猫のホテル)コンビの容赦ない小競り合いはそこだけ空気が変わる(笑)。「なんか始まった!」と思うし、見ていて面白いです。
――座長として心がけていることはありますか?
中川 ベテラン揃いのカンパニーなので、座長としてというより、まずは自分が自立して迷惑をかけないようにしなきゃと思っています。支えてもらっている状態です。
牧島 今回の座組が大好きなので、できるだけ力になりたいし、弥次さんとしても喜多さんを見守る瞬間が多いので、そういう部分を重ねてサポートできたらいいなと思っています。
中川 エネルギーや声量、運動量で他の人に負けないくらい頑張りたいと思っています。
――最後に、皆さんへのメッセージをお願いします。
中川 とにかく楽しい舞台で、音楽も殺陣も踊りもお祭りみたいに盛り上がります。観たら絶対元気になっていただけると思いますし、現代を生きる人たちの肩の荷が下りるというか、もう少し自由に暮らしてみてもいいのかなと思える話にもなっていると感じています。元気を出してもらい、ちょっと自由になって帰ってもらえるよう全力で演じますので、ぜひ劇場で見ていただきたいです。
牧島 いっぱい汗をかいて頑張ります。個性豊かなキャラクターがたくさん出てくるので楽しいと思う。あと、今回アンダー22のチケットがあって、若い方には税込2,500円で見ていただけます。若い世代も一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。
取材・文:吉田沙奈 撮影(稽古写真除く):源賀津己
公演情報
舞台『きたやじ オン・ザ・ロード~いざ、出立!!篇~』
作:シライケイタ
潤色・演出:ウォーリー木下
出演:中川大輔 牧島 輝/浅川梨奈 尾上寛之/和田雅成/市川しんぺー 佐藤真弓 村上大樹
百瀬朔 インディ高橋/秋山菜津子 山本亨
遠藤令 鈴木智久 花陽みく 真鍋恭輔 村田実紗
【東京公演】
2025年3月1日(土)〜3月16日(日)
会場:日本青年館ホール
【大阪公演】
2025年3月21日(金)~3月23日(日)
会場:Skyシアター MBS
チケット情報
https://w.pia.jp/t/kitayaji/
公式サイト
https://www.asamaru-kikaku.com/
「ステージぴあ」(フリーペーパー)
配布場所等の詳細は下記よりご確認いただけます。
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