ステージぴあExtra ~フリーマガジン「ステージぴあ」連動企画~
植原卓也×三井淳平「本当に乱数だって、ドキッとした」『ヒプステ《Mix Tape1 Revenge》』で共演
第5回

音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』の舞台化シリーズである『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage。今回、《Mix Tape1 Revenge》として2022年に上演を予定していたスピンオフストーリーを2025年バージョンとして新たに上演する。登場するのは、ヨコハマ・ディビジョン“MAD TRIGGER CREW”、シブヤ・ディビジョン“Fling Posse”、そしてアカバネ・ディビジョン“North Bastard”。ヨコハマ・ディビジョンのリーダー・碧棺 左馬刻を演じる植原卓也と、シブヤ・ディビジョンのリーダー・飴村 乱数を演じる三井淳平に、互いの役柄やパフォーマンスへの思い、さらには最近のマイブームについても聞いてみた。
左馬刻と乱数を、それぞれに説得力をもって演じているふたり

── これまでの公演を振り返って、三井さんから見た植原さんの左馬刻、植原さんから見た三井くんの乱数、それぞれの「ここが好き」っていうポイントを教えてください。
三井 左馬刻は25歳でヤクザの若頭なのですが、たっくん(植原)の左馬刻は、芝居にもライブパフォーマンスにも説得力を備えた強さがあって、すごく魅力的なんですよね。きっとそれは、ご自身のこれまでの経験やスキルから来るもの。一緒に出演しているときも、《MAD TRIGGER CREW & どついたれ本舗 feat. 道頓堀ダイバーズ》を観たときも、「たっくんが左馬刻役で良かった」と思いました。
植原 おぉ~(嬉)! 淳平は、仕上がってますね。
三井 そんな、ボディービルダーみたいな(笑)。
植原 特に前回(-Grateful Cypher-)、左馬刻と乱数が相対するシーンで「本当に乱数だ」って思ったことを覚えています。1対1で向き合ってせりふを言った時に、変な意味じゃなくドキッとした瞬間があったんですよ。一緒に稽古をしていてもいい意味ですごく作り込んできていて、乱数と向き合っていると心から感じさせてくれます。
三井 わぁ! お客様にお芝居が伝わっていることがもちろん一番大事ですけど、仲間からこういうことを言われるのもすごく嬉しいですね。


── 乱数はファッションデザイナーであり、可愛らしい見た目とは裏腹な本性を隠しているなど、様々な要素を兼ね備えたキャラクターですよね。そんな乱数を演じるうえで、どういうことを意識しているんでしょうか。
三井 一見明るくケロッとしているように見えて、人間くさい一面もある人物だと感じています。彼の中にある苦しみや葛藤は必ずしも僕自身から遠過ぎるものではなくて、感じたことのある孤独感や恐怖、過去を遡ってそういった経験を反芻する作業も演じるうえで大切なものになっています。演じていてすごくやりがいがあるし、楽しいです。
── 素晴らしいコメントですね!
植原 そうなんですよ、三井先生はしっかりしてるんです。
三井 「先生」って……(苦笑)。
── 左馬刻についてはいかがですか?
植原 左馬刻を演じていて、キャストにも「今日のあのシーン、すごく怖かった」って言われたりすることがあります。でも「怖い」って思われるように演じたことは一度もなくて。
三井 そうだったんだ。

植原 もともと皆が左馬刻というキャラクターを知っているからこそ、そう見える瞬間があるんだろうなと思って、自分としてもすごく勉強になったし、「面白いな」と感じたんです。相対する役者によって「この人と一緒に演じたら、そういう風に見えている時もあるのか」と公演を重ねて気づいた部分もありますね。
三井 たぶん、たっくんは左馬刻を演じるにあたって、左馬刻の内面、心情を突き詰める過程を大事にしているんだと思います。強さとか怖さって、ヨコハマっていうシマを仕切る碧棺 左馬刻としては絶対に必要。それを、ちゃんと心根から湧き出るものとして作っている。
植原 確かに、内面はすごく意識しています。左馬刻も人間だから、悲しむし、楽しむし、すごく喜ぶけど、それを表に出し過ぎてもキャラクター像としては違ってきてしまって、うまく表現するのは難しいと感じます。
三井 本当に悲しい時って、実際にはあまり悲しい顔をしなかったりしますから。これは、それぞれの演じ方の美学の問題じゃないですか? 僕の場合、声色や動きで一番後ろの席まで乱数がどう存在しているのか伝わるような演じ方をしようって考える。特にこういう色のあるキャラクターだと、内面よりも見せ方のほうを意識する場合もあって。たっくんはそうじゃなくて、あくまで碧棺 左馬刻という人物を演じることを大切にしているからアプローチも変わってくる。その結果としてそう見えている、という話。
植原 その通り。だからこそ「そう見えていたのか」ってびっくりしたのかもしれない。でも結果としては、それで良かったのかもしれないですね。
芝居もライブもしっかりとしたパフォーマンスを披露したい
── 今回はアカバネも含めた3ディビジョンでの公演ですが、現時点でおふたりが期待していることは何でしょう。
植原 今回は、これまでの公演とはまた違う展開です。
三井 いただいた脚本を読み楽曲を聴いて、これまでの公演とは色の違いを感じました。日常の風景があったり、コメディータッチなパートもあるので、スピンオフストーリーとして一味違う楽しみ方をしていただけそうです。
植原 シブヤならではのポップで楽しいシーンや、ヨコハマもいい意味でこれまでとは違う、「こんなヨコハマが見れて嬉しい」と思っていただけるようなシーンが沢山ある脚本で、さまざまな楽しみ方ができる公演になると思います。
── どちらのファンにとっても、楽しみな内容ですね。

三井 テーマソングを初めて聴いた時、物語の匂いを感じたんです。まだ脚本をいただく前だったけど、ズシンとくる(低音)というより、高音で、今からポップなショーが行われるんじゃないか、みたいな始まり。「もしかしたらちょっと楽しい感じの作品になるのかな」って思ったんですよ。
植原 その通りだったね。これまでとは色が全然違うストーリーだと感じました。
三井 だから、ライブパートもすごく楽しみです。「ライブで盛り上がろうぜ」っていうのが、今作のひとつのキーになるかと思います。
── ここで少しラップバトルを離れて、素のふたりはどんな時間を過ごしているのでしょう? 最近のマイブームを教えてください。
三井 最近は、神社巡りとか。
植原 へぇ、素敵だね!
── 御朱印集めとかもしてます?
三井 集めてます。ちょっと前から神社巡りはしてたんですけど、今年、天照大神がおられる三重の伊勢神宮に行ってきたんですよ。「1回は行った方がいいよ」って先輩に言われていたし、自分としても行きたいと思っていたので、空きの時間ができた時に行ってきました。いい経験になりましたね。こういう仕事をしているうえで、運みたいな要素ってすごく大事じゃないですか。日頃の行いで徳を積んでいきたいので、都内の神社にもよく行ってます。
植原 素晴らしいね! 僕はもともとヴィンテージの洋服が好きだったんですけど、また最近ヴィンテージのブームが来て、あらためて勉強すると結構奥深くて。
三井 ジーンズとか革ジャンとかですか?
植原 それと、Tシャツ、トレーナーとかも全部。
── ヴィンテージ熱が再燃したきっかけが何かあったんでしょうか?
植原 20代の頃も好きでしたけど、当時は気づかなかったことがいっぱいありました。家にずっと置いてあった物を掃除していた時にふと見たら、「これ、すごい物じゃない?」って。古着がまた流行ってきたこともあって、お店を回ることも増えました。
「俺たちすごいじゃん」というところをみせていけるように
── それでは最後に、読者へのお誘いのメッセージと公演への意気込みをお願いします。

三井 今回はスピンオフという立ち位置の作品だからこそ、ポップな要素もあるし、ヒプステならではの熱いバトルもある。初見のお客さまにも楽しんでいただける作品です。自分の限界に挑戦して良いパフォーマンスを届けられるよう努めます。"Revenge"と銘打ったこの公演を1人でも多くのお客さまに喜んでいただけることを願って。シブヤ、頑張ります!
植原 ヨコハマで言うと、前作とは違った姿を観ていただけると思います。自分たちとしても、いろいろな面であらためてしっかりと勉強して、構築して、皆さんに楽しんでいただけるように頑張りたいと思います。シブヤ、アカバネと一緒に、芝居もライブも稽古からしっかり楽しんで一つひとつこなしていけたらいいなと思っていますので、ぜひ楽しみにしていてください。
三井 自分たち以外のディビジョンって、作品の中ではライバルだけど僕たちとしては一緒に戦ってきた戦友でもある。それを代表して「俺たちすごいじゃん」っていうところを見せていけるように、皆に誇りに思ってもらえるように、頑張りたいと思います。
取材・文:金井まゆみ 撮影:藤田亜弓
ヘアメイク:柿本穂乃香
ぴあアプリでは植原卓也さん、三井淳平さんのアプリ限定カットをご覧いただけます。ぴあアプリをダウンロードすると、この記事内に掲載されています。
公演情報
『「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」Rule the Stage 《Mix Tape1 Revenge》』
原作: EVIL LINE RECORDS
演出: 植木 豪
脚本: 亀田真二郎
音楽監督: KEN THE 390
テーマソング: 井手コウジ
配役・出演:
【ヨコハマ・ディビジョン“MAD TRIGGER CREW”】
碧棺 左馬刻:植原 卓也 入間 銃兎:YUKI 毒島 メイソン 理鶯:益永 拓弥
【シブヤ・ディビジョン“Fling Posse”】
飴村 乱数:三井 淳平 夢野 幻太郎:今井 俊斗 有栖川 帝統:木津谷 泰勇
【アカバネ・ディビジョン“North Bastard”】
堂庵 和聖:岸本 勇太 狐久里 梁山:南部 海人 蛇穴 健栄:松浦 司
正親町 直里:吉岡 佑
【ディビジョン・ダンス・バトル“D.D.B”】
Toyotaka RYO SHINSUKE HILOMU Dolton KENTA GeN KIMUTAKU kaito
2025年7月11日(金)~7月27日(日)
会場:品川プリンスホテル ステラボール
チケット情報
https://w.pia.jp/t/hypnosismic-stage-mixtape1re/
公式サイト:
https://hypnosismic-stage.com/mixtape1revenge/
「ステージぴあ」(フリーペーパー)
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