ステージぴあExtra ~フリーマガジン「ステージぴあ」連動企画~
木原瑠生&武藤潤、『エグ女2025』で男子が演じる“女子の赤裸々”に挑む
第8回

笑顔で称え合うその裏でマウントを取り合い、殴り合い、かと思えば協力し、励まし合う……そんな女性たちの生々しい生態をあえて男性キャストのみで表現するという大共感オムニバスコメディ『エグ女2025』が上演される。女性役を演じる木原瑠生、武藤潤(原因は自分にある。)が、本作への意気込みを語ってくれた。
人間って普段から“芝居”をしてる(木原)
「赤いスイートピー」に女心のヒントが…!?(武藤)

── 男性キャストが女子の赤裸々なやり取りを演じるという今回の企画のオファーが来た際の心境を教えてください
木原 僕はずっとコメディ作品を映像・舞台問わずやってみたいと思っていたんですが、その中でも女の子として生きるというのが、僕の中ではすごく新鮮でしたし、お話をいただいた時から、すごく楽しみでした。
武藤 女装をするのは今回が初めてなので、似合うかな? という不安もちょっとありつつでしたけど、実際にビジュアル撮影に臨んだ時は「メイク術ってすごいな」と思いました。僕もお客さんが笑ってくれる舞台はすごく好きなので、コメディという部分に関して「どう頑張ってみようか?」と思いました。
── 多くの俳優が「コメディが一番難しい」とおっしゃいますし、今回の作品はギャグで笑わせるというよりは“あるある”で笑わせる、女子のリアリティで笑わせるという部分が大きいと思います。

木原 そうなんですよね。台本を読んで「めちゃくちゃ難しいな……」と思いました(苦笑)。セリフじゃない部分の感情みたいなところがお客さんに見えたら面白いだろうなと思いました。男性の自分から見ても「わかる!」という部分もあるし、意外と日常でやっているようなことでもあるんですけど、それをお芝居でやるとなった時、人間の心理というものを深く考えないとできないと思います。すごく大変ではあるんですけど、そこを乗り越えてやれたら素敵な舞台になると思っています。
── 物語全体に関してはどのような印象を持たれましたか?
木原 え? 女の子ってこんな感じなの? って思いました(笑)。途中までは、まあよく聞くような話なのかなと思いつつ、最後の最後でこんなどんでん返しある…? って(苦笑)。でも、それが結構リアルなのかなというのは感じました。
武藤 僕も「コメディは難しい」というのはいろんなところで聞いていて、でも僕自身、映画やドラマを見終わって、どこが印象に残っているかと考えたら、笑いのシーンだったりするんですよね。この脚本は、女性たちのリアルなエグい姿が描かれていると思うので、見てくださる方たちの共感を得つつ、笑ってもらいたいですけど、難しい挑戦になりそうだなと思いました。
── ちなみにご自身は、いわゆる女性の心理みたいなものを理解できているタイプだと思いますか?
武藤 僕はこの作品への出演が決まって、自分で聴く音楽が女性ボーカリストの曲が多くなったんですよね。最終的にたどり着いたのが、松田聖子さんの「赤いスイートピー」で、そこで歌われている内容に女心のヒントがあるんじゃないかって感じていて、最近ずっと聴いています。
木原 すごい! 僕は(女心が)わからないというわけではないんでしょうけど、結構そういうものを避けて生きてきたタイプなんですよね(苦笑)。どこか一歩引いて見てきたので「あぁ、わかる!」とはならないですね。ただ「あぁ、人間って普段から“芝居”をしてるんだな」というのはすごく感じましたね。
(ビジュアル撮影では)みんな“女子”でした
── 今回の公演で特に楽しみにされていることはありますか?
武藤 ミュージカルというか、途中で音楽やダンスが導入されるんですけど、今回のキャスト陣は、自分も含めてアーティスト活動をしている人が多いので、そこは楽しみですね。
木原 たしかに! 僕は共演経験のある人もいますけど、逆に「はじめまして」のみなさんは、ダンス&ボーカルとか、普段の自分とはまた違うジャンルの方が多くて、それはすごく新鮮ですし、彼らのお芝居を見て、自分で取り入れられるものもあると思うので、勉強したいです。
── 木原さんが村上大樹さんの演出を受けるのは、2017年の劇団番町ボーイズ 第8回本公演『ニーテンナナゴー』以来ですね。

木原 そうなんです。お芝居を始めて1年も経ってない頃にご一緒させていただいたんですが、当時は正直、お芝居というものを本当に何も知らなかったので、「とりあえずやってみよう」みたいな感じだったんですが、僕の中では「とにかく楽しい人だな」という印象が残っています。本当に面白いことが好きな人なんだなと。それ以降も、映像作品などで村上さんが演出に入られているものは結構、拝見していましたし今回、改めて村上さんの下で勉強させていただけたらと思っています。
── 他に楽しみなこと、逆に不安を感じている部分はありますか?

武藤 やっぱり動きですかね。ビジュアル撮影のポージングで、普段は使わない筋肉を使って翌日は筋肉痛でした(苦笑)。舞台なので動きも含めて、女の子っぽさを表現できたらと思ってます。
木原 同じですね。そこが日常的な「あぁ、わかる!」という部分につながると思うのでね。おそらく客席は女性のお客さんが多いでしょうから、より厳しい目にさらされることになると思うので、怖くもありますね。試されているなって。
── 先ほども「メイク術ってすごい」という話が出ましたが、衣装合わせで実際に衣装とメイクで女性になってみて、ご自身の姿を鏡でご覧になっていかがでしたか?
木原 「意外とイケるな」って(笑)。
武藤 「かわいくね?」と思いましたね(笑)。みんな“女子”でしたよね。
木原 みんなかわいいし、本当にメイクさんってすごいなって思いました。
武藤 これまで生きてきて、鏡に向き合う時間が一番長かったのが、この衣装合わせで女性の姿になった時だったかもしれません(笑)。
木原 カメラマンさんから「こういう感じで」とかポージングの指示をいただいた時はすごく難しかったです。どうすればかわいく見えるのか? 指先まで意識して……女の子って大変だなと思いました。
武藤 男らしさみたいなものを消すのが難しかったですね。
木原 ただ、僕は舞台でメイクをすることが多くて、普段の自分と舞台の上に立つ自分ってハッキリと違うという意識があるんですよね。それに近い感覚があって、そこまで自分の中で違和感みたいなものはなかったです。
武藤 女性は毎朝、時間をかけてメイクをやっているのかと思うと本当にすごいですよね。僕はブレザーの制服を着たんですけど、ボタンも男女で違うし、こんなに重ねて着るんだって初めて知りました。
── このビジュアルが発表された際の周囲やファンの反応はいかがでした?
木原 ファンの人は「キレイ」とか「かわいい」って反応だったけど、周りの知っている人は「意外とイケるんだね」という本人と同じ反応でした(笑)。
武藤 ちょうど情報が解禁された時、(「原因は自分にある。」の)メンバーと一緒にいたんですよ。本番の前日のリハの最中で、みんなが集中してる中で一瞬、空気が緩みましたね。「潤くん、これ何!?」ってみんなびっくりしてました(笑)。
初対面のふたり。第一印象は「お兄ちゃんに似てる」
── おふたりはこの取材の場が初対面だそうですが、現時点でお互いにどのような印象を持たれていますか?
武藤 声がめっちゃかっこいいっす!
木原 嘘でしょ(笑)!? 本当に? 恥ずかしい…ありがとうございます! 年齢差がすごく近くもなく、でも離れすぎてもいないので……。
武藤 3歳差ですね。
木原 友達になれそうだなと思ってます(笑)。第一印象が「ウチのお兄ちゃんに似てる」でした、顔が。
武藤 そうなんですか?
── というか、木原さん自身とも雰囲気が似ていると思います。
木原 そうかもしれないですね。絶対に相性も良いと思います!

── おふたりともアーティスト活動と俳優の仕事を両立されていますが、いま演技の仕事のどんな部分に面白さややりがいを感じてらっしゃいますか?
木原 僕は、俳優って人の言葉を借りる仕事だと思っていて、普段の生活とは全然違うので、自分の経験不足や勉強不足で「このセリフ全然わかんないな」みたいなことがあるんですけど、それが読み解けた時に、すごくやりがいも感じるし「楽しいな」と思えます。
── アーティスト活動とは全く違うものですか?
木原 違いますね。アーティストをやっている時とは正反対というか、アーティストとして歌う時は、その時の自分自身の気持ちに任せて歌っているんですけど、役というものがあっての言葉なので、もちろん、公演ごとに毎回、違う部分はあると思いますが、ひとつ役という軸を持っていなくてはならないという違い、難しさはありますね。

── この作品は、普段の自分とかけ離れた存在を読み解こうとするという意味で、最たるものですね。終わった時にどんな気持ちになっているのか……。
木原 良い意味で、女の子たちの気持ちを理解することができるようになってたらいいですね。
武藤 視野が広がっているといいですよね。僕にとっては、欲張りでいられる場所が俳優の世界かなと思っています。ひとりひとりに「ああしたい」「こうしたい」という思いがあって、でも目の前に障害や目的を妨げるようなものがあったりして、そこに抗い、乗り越えてほしいものを手に入れる――その過程で個性やキャラクターが出てくるのがすごく面白いなと感じています。貪欲に役と向き合う時間が楽しいです。

── 最後に公演を楽しみにされている方に「こういうところを楽しんでほしい」というメッセージをお願いします。
木原 女性の観客のみなさんには厳しい目で見てほしいなと思っています。“あるある”もありつつ、逆に女性のみなさんにとっても、新しい発見もある作品になっているんじゃないかなと思います。男性の方には「女の子ってのは、こういう感じらしいぜ!」というのを伝えたいと思ってます(笑)。
武藤 いままでの僕たちのことを知ってる方にも、絶対に新しい一面を見ていただけると思います。みんなで作り上げる面白いコメディになれたらいいと思っておりますので、楽しみにしていてください!

取材・文:黒豆直樹 撮影:石阪大輔
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公演情報
舞台『エグ女2025』
監修・脚本:金沢知樹 / 野花紅葉(AOI biotope)
演出:村上大樹
出演:木原瑠生 武藤潤(原因は自分にある。) 鳥越裕貴
佐藤信長 小南光司 栗田航兵(OCTPATH)
磯野 亨 槙尾ユウスケ(かもめんたる) 竹井亮介
なだぎ武
2025年10月3日(金)~10月5日(日)
会場:東京・日本青年館ホール
チケット情報
https://w.pia.jp/t/egujo2025/
公式サイト
https://aoi-stage.jp/egujo2025/
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