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憧れの『デスノート THE MUSICAL』L役で新境地へ 俳優・三浦宏規が描く10年目の現在地

第9回

映画やドラマ、アニメなどでも知られる大ヒット漫画『DEATH NOTE』を原作に、フランク・ワイルドホーンが音楽を手掛けた日本創作ミュージカルの傑作が5年ぶりに再登場だ。名前を書いた人間を死なせることが出来る“デスノート”を手にしたことで、自らが信じる正義のもとに殺人を重ねる主人公・夜神月(やがみライト)と、彼を追い詰める謎の名探偵L(エル)、ふたりの攻防がスリリングに描かれる。2015年の初演から10周年を迎えた今回の記念公演は、不動の栗山民也演出のもと、メインキャストにフレッシュな顔が集結した。突出した個性で見る者の心を惑わす名探偵Lをシングルキャストで担うのは、話題の舞台出演が続く俳優、三浦宏規。卓越した身体能力と涼やかな歌声、芯の確かな表現力で、新たな伝説の舞台を立ち上げようとしている。

「月(ライト)っぽい」と言われてきたからこそ、Lという役で裏切りたい

── 『デスノート THE MUSICAL』は初演から何度もご覧になっていたそうですね。

普段からいろんな舞台を観ている中での一本だったんですけど、この作品が凄く好きだったんです。自分もいつか出られたらいいな〜と思っていたから、何回も観たんでしょうね。だから今回の出演が決まった時は本当に嬉しかったです。

── いつか出られたらと願っていた、その役はLだったんですか?

Lでした! なので、イベントなどいろんなところでLの曲を歌っていたんです。まさか実際に歌えることになるとは!と。

── 夏に主演されたミュージカル『ジェイミー』で、三浦さんとダブルキャストでジェイミー役を務めた髙橋颯さんが再々演(2020年)でL役でしたが、本作の出演についてお話などされましたか?

はい、それこそ『デスノート』のビジュアル撮影があった時も『ジェイミー』の稽古中だったので、「どうしよう〜髪、切りすぎちゃった」とか話すなかで、「どうだった?」って聞いてみたり。「月(ライト)っぽいと思っていたから意外だった」と言われましたね。それで一番覚えているのは、浦井健治さん(初演、再演で夜神月を演じ、今回は死神リューク役に挑む)に「絡みが多いから嬉しい」と言われて、あれ? Lはそんなにリュークと絡むかな……と思っていたら勘違いされていたようで。後で「イメージ的に絶対月じゃん!」って言われました(笑)。

── ご自身としては、Lのほうが合っていると感じていらっしゃる?

自分のLが見てみたいなと思います。周りから「月だと思っていた」という声が多かったように、僕が演じる月は何となくイメージできてしまう気がして。そこをちょっと裏切れたらなと。月もLもそれぞれの正義があって、それがぶつかり合う時、月はどちらかと言うと感情を表に出し、Lは内に秘めるタイプではないかと。その内面が見える瞬間にLの人間性がわかると思うので、その表現を大切にしたいなと思っています。

── よく歌っていたというLの楽曲とは?

『ゲームの始まり』ですね。あの曲が大好きなんですよ。これまではただ三浦宏規として歌っていました。

── 次はLとしての歌唱ですね。初めてご一緒する演出の栗山民也さんについては、どんな期待がありますか?

栗山さんとお仕事をされた方々、皆さん口を揃えて「宏規、栗山さんと絶対に舞台をやったほうがいいよ!」って言ってくれていたんです。僕もいつかご一緒したいと思っていたので、本当に嬉しいですね。栗山さんの演出舞台で一番印象に残っているのは、こまつ座さんの『木の上の軍隊』。本当に衝撃を受けて、これもやはり、出たい! と思った作品です。

演出家との出会いがもたらした転機

── 三浦さんはバレエから表現の世界に入られて、今ではオールマイティな印象があります。歌や演技についてはどのように習得されていったのでしょうか。

芝居を始めてもう10年経っているので、今はすっかりミュージカル俳優ですけど? みたいな感じで生きていますが(笑)、やっぱり最初の頃は葛藤がありました。満足いかないことのほうが多く、ずっと「こんなのじゃない!」って思いながらやっていたなと思います。歌のレッスンもたくさん受けて、自分でもカラオケに行って歌って、録音したものを聴いて……といった練習を毎日やって。芝居も、よくこんなに好きになったなと思います(笑)。とにかく表現することがすごく好きなんです。

── 舞台表現に進む道もさまざまですが、踊り、ダンスの地盤がある人は強いなと感じます。

本当にそう思います。人それぞれに魅力があると思いますが、ステージでの綺麗な立ち方、見せ方というのはすぐ簡単に出来るものではないので、そこは強みだなと最近思うようになりましたね。

── バレエのクラスレッスンなどは、最近も受けていらっしゃるんですか?

しばらくしていなかったんですけど、舞台上でバレエを踊る機会が最近増えてきたので、やらなければなと。やっぱり年齢を重ねると、体が重くなって来ているのは感じますね。

── ミュージカルだけでなく、ストレートプレイにも挑んでいらっしゃいます。森新太郎さん演出の『メディア/イアソン』(24年)では稽古場取材をさせていただきましたが、三浦さんが快活に、積極的に動いていらしたのが印象に残っています。

本当ですか!? あの作品は転機のひとつと言えるくらい、自分にとって素敵な出会いでした。ミュージカルに呼んでいただくことが圧倒的に多いのでミュージカルをやっているけれど、自分としてはステージに立てれば何でも! という気持ちでいて。森さんの演出は本当に面白かったです。こんなにこだわるんだ! すごいな!と、一言にかける情熱を学びましたね。以前は、初めての演出家の方との出会いを怖いと思っていたんです。自分を一度丸裸にしなければいけないから、恐ろしいことだなと。でも最近は“ぶつかり稽古”みたいなことが自分は好きなんだとわかって、よし来た!という気持ちです(笑)。

── ここまで10年やって来られた、その蓄積がちゃんと自信になっているんですね。

少なからず自信になっているのだと思います。……もう10年もやっているんですね!(いきなりの感慨に取材陣爆笑)だって、この仕事のほうがバレエをやっていた期間より長くなっているとは……よく続いたなあ(笑)。でももちろん、まだまだこれからです。まだ何も成し遂げていないので。

── そんなふうに考えていらっしゃるのですね。

もちろん、まだ何も満足していないので。ただ、自宅の部屋にこれまでの仕事で使ったものを飾っているんですね。ニューヨークに行った時のもの、『千と千尋の神隠し』のロンドン公演で使ったバックステージパスとかをギター置き場にぶら下げているんですけど、それが増えていくのがすごく嬉しくて。人生を振り返るにはまだ早いけど(笑)、たまにそれらを見て、あ〜素敵な作品に関わってこれたな、本当にキャストやスタッフの方々との巡り合わせの運がいいなとしみじみ思ったりして。これまでのどの座組も素敵な人たちばかりで、それが本当に一番の財産かもしれないですね。

全力でやってしまう。でも、それが幸せ

── 先ほどバレエのクラスレッスンをやらなきゃ…といったお話がありましたが、日々の体調管理をしっかりされているほうですか?

いや〜どうでしょう。人よりは気をつけていると思いたいけれど、全然気をつけていないかも(笑)。つい飛ばしちゃって、あまり調整とか出来ないんですよね。仕事への向き合い方も、もうちょっとペース配分を上手くやって、いい意味で力を抜いたほうが身のためだとわかっているんです。でもいざステージに立つと、全力でやってしまう。やっぱりこの仕事が好きなんですよね。休みも欲しいけど、仕事に向かって「明日もやらなきゃ!」とか言っている時のほうが幸せなんです。そう思えるのは、自分を好きになってきたというのが大きいのかも。ミュージカルを始めた頃は、あ〜俺なんてダメだ!ってずっと思っていたんですよ。自分に自信を持ちたかったんですよね。だんだんと自信を得てきたからこそ、臆することなく表現出来るようになっているな、といった実感はありますね。

── 何年後にはこうなっていたい……といった目標、欲などはありますか?

何でしょうね……、今のこの仕事が続いていくのであれば不満はないなと。もちろんこんな作品を背負って海外に行きたいとか、あんまり大きな声では言えない野心はありますけど(笑)、極論として、舞台というものに携われていればいいかなと思っています。

── 目の前の作品から一つひとつ、ということでしょうか。今回の『デスノート THE MUSICAL』で準備しておこうと思っていることなどありますか?

今回はとくに、歌に真剣に取り組もうと思っています。僕、ワイルドホーンさんの音楽が大好きで、舞台作品として歌うのは初めてなんですよ。最近あらためて感じたのは、本当に歌の力ってすごいなと。ただ、朗々と歌うことを栗山さんは求めていない、それは演出作品を観れば分かります。Lとしていかに歌えるか、喋れるかという意味で取り組んでいきたいです。

── 念願の作品、役への挑戦でどのような進化を見せていただけるか、楽しみです!

『デスノート THE MUSICAL』は日本の誇れるミュージカル作品だと思いますので、10周年という記念すべき公演に呼んでいただけて本当に嬉しく思っています。自分なりのL像が出来上がる気がしていますし、月役のふたり(加藤清史郎と渡邉蒼のWキャスト)も若いので、勢いのある新しい『デスノート』をお見せできるのでは。ぜひ楽しみにしていてください!

取材・文:上野紀子 撮影:石阪大輔
ヘアメイク:佐藤友勝 スタイリスト:小林聡一郎

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公演情報

『デスノート THE MUSICAL』

原作:『DEATH NOTE』(原作:大場つぐみ 作画:小畑健 集英社 ジャンプコミックス刊)
作曲:フランク・ワイルドホーン
演出:栗山民也
歌詞:ジャック・マーフィー
脚本:アイヴァン・メンチェル
翻訳:徐賀世子
訳詞:高橋亜子
編曲・オーケストレーション:ジェイソン・ハウランド
音楽監督・指揮:塩田明弘

[配役と出演]
夜神月:加藤清史郎・渡邉蒼(ダブルキャスト)
L:三浦宏規
弥 海砂:鞘師里保
夜神粧裕:リコ(HUNNY BEE)
死神レム:濱田めぐみ
死神リューク:浦井健治
夜神総一郎:今井清隆
ほか

【東京公演】
2025年11月24日(月・休)~12月14日(日)
会場:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
★ぴあ全館貸切あり! 12月2日(火)13:00

【大阪公演】
2025年12月20日(土)~23日(火)
会場:SkyシアターMBS

【愛知公演】
2026年1月10日(土)~12日(月・祝)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール

【福岡公演】
2026年1月17日(土)・18日(日)
会場:福岡市民ホール 大ホール

【岡山公演】
2026年1月24日(土)・25日(日)
会場:岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場

チケット情報
https://w.pia.jp/t/deathnote2025/

公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/deathnote2025/

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