ステージぴあExtra ~フリーマガジン「ステージぴあ」連動企画~

廣瀬友祐「いかに“ピアフが一番愛した”と言われる男性として存在出来るか、説得力を持って生み出したい」

第11回

歌手エディット・ピアフの激動の半生を描いた大竹しのぶ主演の名作舞台が、2011年の初演から6度目の上演を迎えようとしている。15周年記念公演となる今回、多くの話題作で強い印象を残し、その実力を知らしめている俳優、廣瀬友祐が、ピアフが心から愛した恋人で、その熱愛のさなかに飛行機事故で命を散らしたプロボクサー、マルセル・セルダン役を新たに担う。“念願の出会い”となる舞台を前に、心境を語った。

『スリル・ミー』で受けた衝撃を胸に、再び挑む栗山演出

── 実に6度目の上演となる『ピアフ』に初参加ですね。

15周年記念公演にこうしてお話をいただけたことを光栄に思います。大竹しのぶさんは、その表現について「凄まじい」と絶賛する声を方々から耳にしていましたし、僕自身も役者としてこの世界に踏み込む前からずっと目撃し続けて来ました。いつかお仕事をご一緒できたらと思っていたので、『ピアフ』という素晴らしい作品で一緒に板(舞台)の上に立てることが本当に嬉しいですし、興奮している自分がいます。

── ミュージカル『スリル・ミー』(23年)でご一緒した演出家の栗山民也さんとの再会も、廣瀬さんにとって大きかったのでは。

とても大きかったです。栗山さんは『スリル・ミー』でご一緒させていただいた時に、僕の中で衝撃的だったんですよね。だから、またご一緒したいという思いを強く抱いていたので、この『ピアフ』でそれが叶って嬉しいです。再演を繰り返している作品については、『スリル・ミー』もそうですけど、栗山さんはより繊細に、綿密に作り上げていっていると思うんです。僕も初参加ではありますが、より深い視点を要求されるだろうなと予想しています。自分がどこまで出来るのか、恐怖でもあり、楽しみでもありますね。

── 『スリル・ミー』で感じた衝撃について、お話しいただけますか?

栗山さんの稽古は、研ぎ澄まされた空間で行われる印象があって。照明も暗くして、本番のような空気感、緊張感を作ってくださる、その環境にまず惚れましたね。それにより役者の集中力が高まって、短い時間でより濃厚な稽古ができる……そんなスイッチが自然と入るというか。僕が一番衝撃的に感じたのは、栗山さんが「もっと分かりづらくていい」とおっしゃったんですね。人間はもっと不条理で分からない生き物であり、もっと動物的であると。また観客に能動的に参加してもらうためにも説明し過ぎない……といった話をしてくださった時に、僕はすごく自分自身が考えていたことに近いなと、救われたように感じたんです。例えば「人って普通こうだよね」という話が出た時に、普通って何だろう? それはあなたの主観であり、モノの捉え方はいろいろあるよね、と思ってしまうタイプなので。そうした決めつけは表現するうえでいらないのではないかと感じていたので、栗山さんのその言葉はとても刺激的だったし、表現することが一気に楽しくなって、前向きな気持ちで稽古場にいることが出来ました。自分の感覚を信じていいのかも、と思えた瞬間でしたね。

── 今回の稽古場でも、そんな刺激的な瞬間が訪れるかもしれませんね。

どうでしょうか。きっとまた稽古は研ぎ澄まされた時間になる気がしています。

新しい人、新しい作品との出会いが、作品選択の大きな要素

── 劇中では実在したプロボクサー、マルセル・セルダンを演じるほか、何役かを演じ分けます。

そうですね。20代の頃は割と体に自信のあるほうだったんですけど、今年40歳になりまして、ちょっとしんどくなってきたなと(笑)。ボクサー役なので、出来る限りビジュアル的な肉体を鍛え直さなければと思うのと、もちろん何より“芝居の筋肉”も鍛えなくてはと思っています。僕が演じるマルセルに限らず、ピアフが出会う男性たちの登場シーンはそれほど長くないんですね。そのわずかなワンシーンで、いかに「ピアフが一番愛した」と言われる男性として存在出来るか。大竹さんが演じるピアフと並んだ時に「このふたりは本当に愛し合っているんだな」という空気を、説得力を持って生み出せるか……、稽古でどこまでやれるかがとても楽しみです。あと、マルセル役の衣装はほぼ上半身裸なので、風邪をひかないようにしたいです(笑)。

── 近年はミュージカルで目覚ましく活躍されている感がありますが、彩の国シェイクスピアシリーズ2nd『マクベス』でのマクダフ役の演技も濃い印象を残しました。ご自身の中ではストレートプレイやミュージカルでの表現において意識の違いはあるのでしょうか。

もともとはミュージカルではなくストレートの芝居で舞台を好きになったので、基本的に自分のことを“ミュージカルの人”だと思っていないんですね。自分としては感覚的にはミュージカルよりもストレートの芝居がやりたいし、やってきた感があるんです。ただ、30歳を過ぎたくらいからミュージカル畑に本格的に踏み込んで、気づいたらほぼミュージカルに出演してきたので“ミュージカル俳優”と呼ばれるのも納得ではあるんですけど。自分としてはジャンルを問わず、挑んでいきたいと思っています。シェイクスピアはずっとやりたいと思っていたので、『マクベス』を経験出来たことは嬉しかったです。とにかく新しい挑戦への憧れみたいなものは、常に感じていますね。新しい人、新しい作品との出会いが、選択の大きな要素になっている気がします。

── 唐突ですが、廣瀬さんは打たれ強い人?

いや〜どうなんでしょう。大学3年生までサッカーの部活動に打ち込んで、体育会系で育ったので、いわゆるひと昔前の厳しさ、激しさといったものはギリギリ体験してきた年代ですね。そういう意味では雑草魂みたいな、何クソ!って思いながらやるほうが成長につながってきたのかな、とも思います。だから、褒められたら嬉しいんですけど、その嬉しさの裏で恐怖を感じたり(笑)。

── 慎重なんですね(笑)、その恐怖とは?

この人に一回褒められたら、次に褒められるためには今よりも成長しなきゃいけない、今よりもいいものを見せなきゃいけない。じゃないとこの人に飽きられる……みたいな恐怖を、褒められたと同時に感じるタイプなんです(笑)。どちらかと言うと相手に厳しく言われて、この人をギャフンと言わせたい!みたいな精神の方が近いのかもしれない。ちゃんと凹んでもいるんですけど、クソ〜やってやるぞ!と闘志も湧く、みたいな感じですかね。

── 『スリル・ミー』で栗山さんに褒められたりしたことは……。

栗山さんが褒め言葉としておっしゃったかは分からないですけど、僕と尾上松也君のペアの公演をご覧になる度に「この組は海外公演だ」と……。どういう意味かはっきりとは分かりませんが、僕たちは割とそれをポジティブに受け取っていました(笑)。

── ポジティブ思考の闘志で立ち上がる、新しいマルセル・セルダン像がとても楽しみです。大竹さんとの化学反応にも期待しています。

15周年で、6回目の上演って凄いことですよね。その舞台にずっと立ち続けている、大尊敬するキャストの方々と一緒に、このタイミングで初めて出演させてもらえることに感謝の気持ちでいっぱいです。大竹さん演じるピアフを取り囲む人物たちが輝けば輝くほど、よりピアフの人生が鮮やかに見えてくるのだろうなと思っています。これまでの公演それぞれが素晴らしかったと思いますが、今回のカンパニーで作り上げる『ピアフ』のベストを目指して、自分自身、挑戦し続けます。

取材・文:上野紀子 撮影:石阪大輔

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公演情報

上演15周年記念公演『ピアフ』

作:パム・ジェムス
翻訳:常田景子
演出:栗山民也

出演:
大竹しのぶ
梅沢昌代 / 彩輝なお / 廣瀬友祐 / 藤岡正明 / 上原理生
山崎大輝 / 川久保拓司 / 前田一世 / 土屋佑壱 / 小林風花

【東京公演】
2026年1月10日(土)~1月31日(土)
会場:日比谷シアタークリエ

【愛知公演】
2026年2月6日(金)~2月8日(日)
会場:御園座

【大阪公演】
2026年2月21日(土)~2月23日(月・祝)
会場:森ノ宮ピロティホール

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2562413

公式サイト
https://www.tohostage.com/piaf2026/index.html

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