ステージぴあExtra ~フリーマガジン「ステージぴあ」連動企画~

加藤将「ハジケリストを満足させる、中毒性のある舞台を」

第12回

「週刊少年ジャンプ」で2001年から2007年まで連載された、澤井啓夫による伝説の不条理ギャグバトル漫画『ボボボーボ・ボーボボ』。2024年の舞台化では、全21巻の原作を約2時間で駆け抜け、テンションとクオリティの高さで話題を呼んだ。舞台化第2弾となる『超ハジケステージ ボボボーボ・ボーボボ〜因縁!鼻毛!決戦!』は、ボーボボの旧友でありライバル・軍艦との戦いを中心に描く。第一弾に引き続き主人公・ボーボボを演じる加藤将に、作品の魅力や意気込みを伺った。

自分自身をボーボボだと錯覚できるくらい、原作を叩き込んで挑んだ

── 『ボボステ』が帰ってくると聞いた時の思いはいかがでしたか?

体感的には1年くらいなので、2年空いていることにびっくりしています。稽古期間も本番も充実していたのでボボステは良い意味で長く感じましたし、前作が終わってからの時間が一瞬で過ぎたので、あっという間に始動したという感覚です。

── 前回を振り返って、手応えや思い出はいかがでしょう。

僕も『ボボボーボ・ボーボボ』が大好きですし、少年ジャンプの主人公って誰もが憧れる存在だと思います。ギャグ漫画の主人公になるとは思っていませんでしたが、すごく光栄だし嬉しかったですね。「役作りはどうしてるの?」とよく聞かれますが、僕は特化型というか、集中するとそのことしかできなくなってしまうんです。前回は原作を全部読み返して、自分の言動全部がボーボボだと錯覚するくらいの状態にして稽古に挑みました。ただ、前回首領パッチを演じていた大先輩の稲荷(卓央)さんにも「どうやってセリフ覚えてる?」と聞かれたくらいセリフを覚えるのが大変で。次々に展開が変わっていくので、頭の中に台本が映像で浮かぶまで叩き込みました。覚えると、「ここから派生してこんな面白いことができるんじゃないか」というアイデアが浮かぶので、それをモチベーションにしていました。

── 原作やアニメがあるとはいえ、完成系がわかりにくいのも大変そうだと感じます。

そうなんです。ボーボボは何が正解かわからなくて。お客様ありきだとは思っていましたが、カンパニーのみんなで話し合って手探りで作りました。

前作の本番前、(前回は総合演出、今回の演出を務める)川尻(恵太)さんから「自分自身も30代で芝居が変わった。それまでは個人プレーや勢いで笑いに持っていっていた。今は、暴走しているように見えるけど全体をコントロールし、全員を活かして笑いを取るようになった」という話を聞いたいんです。お客さんが今求めているもの、ライブ感をキャッチして動くという意味で、ボーボボは作中最強の存在なんです。一歩引くこともできるし自分で笑わせることもできる。120%コントローラーを握って何をするか、すごく研究しました。得たスキルはシリアスな作品でも役立っているので、この作品を通して成長できたと感じます。内容はぶっ飛んでいますが、実はすごく深い作品なんです。

── 作品と役にしっかりと向き合ったからこその今のお話だと思いますが、前回公演を経て、今回はどんな部分をパワーアップさせたいと考えていますか?

普通は何回も出演したらやりやすくなると思うんですが、ボーボボはわからないんです。HPに掲載するキャストコメントも4回NGになりましたから(笑)。原作やアニメがギリギリ〜アウトなラインを攻めているのでそこを狙ったんですが、アウトでした。マネージャーさんたちにご迷惑をかけてしまいましたが、これも役作りに役立っていると思います。

本番のアドリブでもこういう駆け引きは生まれると思うので、大人の事情も理解しつつ、ボーボボらしい方向性やお客さんに喜んでもらえることを考えて挑戦していきたいです。

僕はエンタメ業界を盛り上げたいという思いがまずあって。エンタメ業界に関わる人は全員面白くあるべきだと思っているんです。芸人さん的な面白さじゃなくて、人間としての個性と熱意が必要。小さいことでも良いので、誰かの活力になりたい・人に喜んでもらいたいという思いで、作品に挑んでいきます。

個性と実力を兼ね備えたカンパニー

── 脚本・演出を務める川尻さんの面白さや魅力を教えてください。

2025年に川尻さんとご一緒した舞台『春醒』では、小劇場で50公演上演しました。類を見ない公演で、川尻さんが一番暴走するという(笑)。でもそこに「脚本・主宰として責任を持ってお客さんを満足させる」という意思が見えたのでかっこいいなと思いました。川尻さんもエンタメに対する思いが強くて、日本の演劇をもっと良くしたいと考えている人。シリアスに振り切ったら演劇賞なども狙えると思うんですが、芸人魂みたいなものがあるので、コメディ要素も盛り込んでお客さんを楽しませようとしています。川尻さんが脚本で何を伝えたいのか、役者がきちんとキャッチして表現することができたらすごく良い作品になるのは『ボボボーボ・ボーボボ』も同じです。ギャグ漫画だけど、実は超バトルものでもある。川尻さんに「ボーボボはバカなことをしているように見えるけど、それは相手を自分のペースに巻き込んで隙を突くためだ」と言われて、殻を破ることができました。

── 現時点で見どころになりそうな部分はどこでしょう。

今作は軍艦の話がメインで、皆さんも好きだと思います。僕は軍艦と戦うまでに(原作者の)澤井先生が散りばめている謎の小ネタや変なキャラクターたちなど、サイドストーリーの部分も大好きなんです。そういう部分も細かく作ることができると思うので、ボーボボとして絡むのがすごく楽しみです。

── キャストの皆さんの印象、お稽古で楽しみなことも教えてください。

新しく首領パッチを演じられる鯨井(康介)さんは舞台のゲストとしていらっしゃった時に全員にツッコミながら捌きまくっているのを見て、めちゃくちゃ面白い人だということは知っています。「ツッコミで3年スケジュール埋まってるわ!」とか言っていて(笑)。首領パッチはツッコミじゃないけど、ご一緒するのが楽しみです。

色々なジャンルの人が集まって総合格闘技みたいなキャスティングになっているのが面白いし、その中に「こんなベテランが!?」と思うような人がいるのでプレッシャーもあります(笑)。前回は稲荷さんがいたので、稽古までにセリフを全部入れなきゃいけないと思ったし、軍艦役の成松(修)さんも大ベテラン。戦うと考えた時に負けられないので、舞台上では先輩・後輩という関係値を出さずにしっかり演じ切りたいです。前回の公演から続投するみんなとの信頼関係は深まっていますし、セリフがない部分のガヤなどはやりやすくなると思います。稽古中からお客さんが入ったことを想定して色々試し、自由度を上げていきたいですね。

子供の頃の意外なライバルとは……

── ボーボボと軍艦の関係にちなんで、子供の頃の親友やライバルとの思い出話があったらお聞きしたいです。

人間以外でもいいですか? 僕が飼っていたヨークシャーテリアのちびたです。もう亡くなっているんですが、一緒に育ってきた僕の弟だと思っています。そのちびたが脱走したことがあるんです。家の扉を開けた瞬間「俺は自由だ!」みたいな感じで走って行ってしまって。当時小学1年生の僕を明らかに舐め腐っていて、ある程度走ったら止まって振り返るんです(笑)。で、僕が走ったらちびたも走り出して。こっちが疲れ果ててゼエハアしてると「お前その程度か」みたいな顔をされて、勝てないと思いました。普段はすごく仲良くて、僕が行くところについて回っていたのに、脱走した時は全然捕まえられず、いとこのお兄ちゃんに助けてもらいました。僕の中で最大のライバルです。あの時に追いついていたらライバルが違っていたかもしれないんですが。ちびたと再会することがあったら、全力でかけっこ勝負をしたいです。

── 側から聞いていると微笑ましいエピソードです。

役者なので余計にそう思うのかもしれないけど、同じ人間と戦っても差なんて小さいという思いがあって。演技やダンス、歌は人それぞれ成長があるし、自分が良くなったらいいと思うんです。どうしても比べられる職業だけど、自分の中で人と比べることをやめたら楽になりました。
そうするとライバルは自分か? と思うけど、自分と戦うのはある程度できると思ったらやっぱりちびたでしたね。あと、子供の頃、おとなしいタイプの転校生の男の子が急に「弾き語りができる」って言って自分のギターを持ってきて英語の曲を歌ったことがあって、「こいつのポテンシャルすげえ」と思いました。小学生だったので上手い下手はよくわからないし、選曲も謎だったけど、印象に残っています。その子も子供の頃のライバルかもしれません。

── 最後に、楽しみにしている皆さんや、前回見逃して今回こそはという方に向けてメッセージをお願いします。

前回見てくださったお客様はボーボボファンの方が多いと思います。今回はより繊細にボーボボの世界をお届けできると思うので楽しみにしていてください。まだボボステを見たことがない方、悩んでいる方がいたら、舞台ならではの魅力も絶対あると伝えたいですね。僕自身、『ボボボーボ・ボーボボ』との出会いはアニメで、そのあとで漫画を読んで、同じ作品だけど全然違って、どっちも魅力的だと思いました。舞台に足を運ぶのは勇気がいると思いますが、皆さんに喜んでもらえるよう、カンパニー全員で作るのでぜひ見に来てください。一度見に来ていただいたら、あなたを舞台中毒にします。ボーボボという作品であなたの人生が広がると思います!

取材・文:吉田沙奈 撮影:藤田亜弓

公演情報

『超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ ~因縁!鼻毛!決戦!~』

原作:澤井啓夫「ボボボーボ・ボーボボ」(集英社 ジャンプコミックス刊)
脚本・演出:川尻恵太(SUGARBOY)

出演:
加藤将 工藤晴香 樋口裕太 兎(ロングコートダディ) 鯨井康介
成松修 岸みゆ ほか

(声の出演)小松準弥 (ナレーション)太田真一郎

2026年6月12日(金)~21日(日)
会場:シアターGロッソ

(C)澤井啓夫/集英社・2026ボボステ製作委員会

チケット情報
https://w.pia.jp/a/bo-bobo-stage/

公式サイト
https://bo-bobo-stage.jp/

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