夭折の天才アーティストの魅力に迫る 『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』特集
【REPORT】 ついに開幕!『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』展示内容を徹底リポート!
全5回
第4回

ジャン=ミシェル・バスキア 《無題》 1982年 Yusaku Maezawa Collection, Chiba Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
1980年代、ニューヨークのアートシーンに彗星のごとく現れ、わずか27歳で亡くなった伝説的なアーティスト、ジャン・ミシェル・バスキア。10年にも満たない活動期間に、3000点を越すドローイングと、1000点以上の絵画作品を残したバスキアの絵画やオブジェ、ドローイングなど約130点を世界各地から一堂に集めた、日本初となる本格的な展覧会がついに9月21日(土)、森アーツセンターギャラリーにて開幕した。
言葉やイメージを巧みに操り
80年代アートシーンの要に
展示は、ニューヨークの路上に描いたグラフィティで注目されたバスキアが、アートシーンでも頭角を現し始めた1980年代初頭の作品からスタートする。

Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
ギャラリーでの作品展示がメインとなった後も、バスキアはキャンバスだけでなく、打ち捨てられた窓やドア、箱、木の板など路上で見つけてきたものに描くのに熱中したという。初期の絵画作品から一貫して、詩や批判的な警句といったテキストとともに、王冠や黒い仮面などの象徴が繰り返し描かれ、それらは「消費社会」「社会的不平等」「人種差別」といった、バスキア作品の中で重要な主題を有しているのが見てとれる。
20世紀最大の巨匠のひとりとして
再評価されるバスキア作品
バスキア研究の世界的権威で、同展のキュレーターを務めたディーター・ブッフハート氏によると、「80年代初頭にはすでに、バスキアはアメリカのアートシーンのスターであり、ニューヨークで行われる最先端のイベントには必ずバスキアの存在があった」と言う。

Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
その短く破滅的な生涯は何度も映画化され、ウォーホルやマドンナなど80年代のスターたちとの華やかな交際とあいまって存在自体がレジェンド化されつつある。