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BOYSぴあSelection 第26回 渡邊圭祐

渡邊圭祐 Part2「追い込まれるのは好き。生きているなって感じがするから」

全2回

PART2

実はお化けとジェットコースターが苦手という可愛い一面や、仲間との厚い友情を感じさせてくれるエピソードまでたっぷり披露してくれた俳優の渡邊圭祐くん。

PART2では、一心に駆け抜けた『仮面ライダージオウ』(テレビ朝日系)のこと、そしてこれから踏み出す俳優としての新章をまっすぐな目で語ってくれました。

── 仙台で大学生活の傍らモデルとして活動していた渡邊くん。そこから俳優業を目指すことになるわけですが、どうして俳優をやりたいと思ったのか詳しく聞かせてもらってもいいですか?

まずモデルの仕事が面白いなと思って。この道を最高峰まで極めたらどうなるんだろうという興味が湧いて、自分なりに調べて出た答えがパリコレだったんですね。海外のショーでランウェイを歩けたらカッコいいなって。それで、最初はパリコレを目指してみようとも思ったんですけど、いかんせん身長が足りないと。モデルの世界にはどうあがいても超えられないボーダーがあって、自分はそこで弾かれる側の人間なんだっていう限界に気づいたんです。

── 確かに。身長に関しては物理的にどうしようもないところがありますもんね…。

そこから表現者という括りで自分のこれからを考えたときに浮かんできたのが役者の道でした。今は雑誌モデルから役者になる人も増えている。そういう先輩たちの姿を見て、自分も役者をやってみたいなという欲がふつふつと湧いてきて。そんなときに、たまたまお声かけいただいて仙台のとある劇団がやっているワークショップに参加させていただいたんですよ。それがめちゃくちゃ面白くて。

── そのワークショップは何がそんなに楽しかったんですか?

いろんな大学の演劇サークルの人たちが集まっていて。そのときのお題が「とにかく振り切れ」だったんですけど。たとえばそれぞれ兵士っていう設定で、相手から指を差されたら撃たれたリアクションをするんですね。で、匍匐前進しながら仲間に伝令を伝えるっていう。傍から見ると、この年になって何をやっているんだっていう感じなんですけど、それがすげえ楽しいなと思って。

やっぱり大人になると自分の感情を抑えなきゃいけない場面が多くなるわけじゃないですか。そんな中でこうやって思い切り感情を出せるのって気持ちいいなと思ったし、いい意味でバカになれるところに魅力を感じたんです。銃で撃たれるのをひとつとってもおのおのやり方があって、それを見て表現っていろいろあるんだなと気づけたし。役者って面白いんだなって、そのときはっきりと感じたんです。

── そこから事務所が決まり、初オーディションでウォズ役に合格。あれよあれよという間に俳優デビューを果たしました。

本当にあれよあれよでした(笑)。

── まだまだ右も左もわからない中、撮影中は悔しい想いをしたことも?

それはもう全49話ずっとですね。自分が表現しようと思っていることが表現できていないなって感じることばっかりで。ただ、その中で少しずつ思い描いている理想に近づけた瞬間もあって。自分の今の力量や立ち位置をよく知ることのできた1年でした。本当にいい経験をさせてもらったと思っています。

── 撮影中、できない自分から逃げたくなったりしたことはありますか?

それはないですね。そこはもうやるしかないんで。今の自分が出せる最高点を出すための努力をするしかないと思っていました。

── この1年を経て変われたと思うところはありますか?

変われたという実感はないんですけど、この間、やってて良かったなと思ったことがあって。『仮面ライダージオウ』のパイロット(第1・2話のこと)を撮られたのが田﨑竜太監督で。夏に公開された『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』でもメガホンを取ってくださったんですね。

僕たちも田﨑監督に芝居を見てもらうのは久しぶり。しかも1・2話の際は僕は一度も監督から褒められたことがなかったんですよ。けど、劇場版の撮影をしているとき、監督が言ってくれたんです、「良かったよ」って。監督は、僕の役者としてのスタートを見てくださっている方。そんな大事な人に認めてもらえたことがうれしくて。言われた瞬間は全然気づかなかったんですけど、あとから「あれ? そう言えば初めて褒められたんじゃない?」って、ジワジワと喜びが湧いてきました。

── 1年間、一緒にやってきた奥野壮さん、押田岳さん、大幡しえりさんは渡邊さんにとってどんな存在ですか?

どうしても綺麗事みたいな言葉になっちゃうんですけど、“チームメイト”ですね。今まで一緒にいろんな練習をやってきて、いろんな試合を戦ってきた。同じチームの一員ではあるけれど、時には同じポジションでレギュラーを競い合うライバルみたいなところもあるし。それも含めて“チームメイト”だなと。

── この4人でやれて良かったと思う瞬間はどんなときですか?

常々思います。やりやすいんですよ、誰かが突出してキャリアがあるわけでもなく、みんな同じスタートラインに立って、そこからよーいどんで一緒に走りはじめたような感覚なので。個々の性格のバランスもすごくいいし。僕だけちょっと年が離れているんですけど、変にお兄さんお兄さんしなくてよかったので、すごく楽にやらせてもらいました。

── みなさんのこれからって気になりますか?

楽しみですね。それは同じ役者としてどうこうというより、あの3人がどんな人間になっていくんだろうっていう意味で。壮なんてまだ19歳、シェリー(大幡しえり)が20歳、岳で22歳。僕もまだ若輩者ですけど、ここからあの3人がどう世間に揉まれて、どう人として育っていくのか気になるところです。おじさんみたいですけど(笑)。

── いずれ4人で同窓会をしてみたいなと思ったり?

会いたいですね。まだ壮が未成年なので、5年後とかに4人でお酒とか飲めたら楽しそうだなって。

── 1年間やってみて、お芝居のことはさらに好きになりましたか?

もちろんです。お芝居って、やってもやってもまだ先があるんじゃないかって気になるんですよ。もっといいものを出せる、いい芝居ができるっていう気持ちが尽きない。だから全然満足できないし、たぶんこの感情がなくなったら終わりだろうなって。

今はとにかくひとつのシーンを撮り終えるごとに、もっとこんなふうにやれば良かったかなっていろんなアイデアが出てくる。プライベートで映画を観ているときも、すぐに俳優の芝居を見て、「この動きいいな、今度やってみよう」とか考えちゃうんです。そう思うと、本当、役者って奥の深い仕事。自分との戦いだなって思います。このジリジリと追い込まれている感覚は、部活以来ですね。

── 追い込まれるのはわりと好き?

結構好きな方だと思います(笑)。今までなら、わからなければいいやって投げ出せていたものが、今は投げ出せなくなった。それが楽しいし、気持ちいいです、生きているなって感じがします。

── 渡邊さんはこれからどういう人間でありたいと考えていますか?

カッコよくありたいですね、シンプルに。

── 渡邊さんの思う「カッコいい」を定義づけするとすれば?

難しいんですよね、これが(笑)。今パッと浮かんだのが、何事もやらされているんじゃなくて、楽しんでやっている人。あとは、周りの人から頼られる人、尊敬される人はカッコいいんじゃないですか。僕ももっと自分の内面を磨いて、誰かに憧れられる男になりたいとは思います。

── その理想のカッコいい男になることが100点だとしたら、自己採点で今いくらぐらいですか?

全然。ほぼゼロ点です。自分のやりたいことはやっているけど、でもまだまだやりきれていないな思うところもたくさんあって。そういう自分はダサいなとも思うし。

── じゃあそこから点数をさらに押し上げていくために、今の自分に何が必要だと思いますか?

何が必要なんでしょうね(笑)。今考えているのは、ちゃんと善し悪しの判断ができる人間になりたいということです。そのためには、とにかく経験が必要。いろんな人と出会って、いろんなことを経験して。その中から自分が良いなと思うものと良くないなと思うものを分別して、いいことだけを吸収できる能力が身につけられたらいいなって思います。

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撮影/高橋那月、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹、ヘアメイク/Emiy、スタイリング/SATOSHI YOSHIMOTO