BOYSぴあ Selection 第28回 西銘駿
西銘駿 Part2「僕のことは犬だと思って可愛がってください(笑)」
全2回
PART2

PART1では大好きな家族のことからインドアすぎるプライベートまでたっぷり話してくれた西銘駿くん。PART2では絶賛放送中のドラマ『Re:フォロワー』を中心に、お仕事への想いを熱く語ってくれました!
── 元気で明るい西銘くんですが、最近落ち込んだことってありますか?
主演をやらせていただいている『Re:フォロワー』で、あるワンシーンがどうしてもうまくできなくて、すごく落ち込みました。そのときに声をかけてくれたのが(W主演を務める)塩野(瑛久)くんで。「西銘が落ち込んでいるの、初めて見たかもしれない」って言いながら「大丈夫でしょ」って、さらっと励ましてくれて。塩野くんって、そういうカッコいい台詞をさらっと言えちゃう人なんですよ。女性の気持ちとかよくわかるんで。これはモテるなと思いました(笑)。
── なるほど。世の男子は、女心がわからなければ塩野さんに聞けばいいと。
そうです。男としてモテたいと思ったら、ぜひ塩野くんのSNSにリプしてください(笑)。僕から見ても本当にカッコいいんです。仕草だったり表情だったりファッションだったり。それでいて、ちょっと可愛いところもあって。あれはモテないはずがない!(力説)
── まさかの自分のインタビューで塩野さんのアピールをすることになるとは…(笑)。
いつも良くしていただいているんで、ここは全力でアピールしておきます(笑)。
── では、西銘さん自身の男性としてのアピールポイントも聞いておきます。
そこは唯一負けないところがありまして。僕、人を楽しませるのがめちゃくちゃ得意です。それも無理やり「楽しんでる? ウェーイ」っていう感じじゃないですよ! 嫌がられないように、気軽に楽しんでもらいます。好きなんですよ、人が楽しそうにしているのを見るのが。だから、僕といるときは笑ってほしいし、そのためならバカもしますし。
── で、落ち込んでいるときはそっと寄り添ってくれると。
そうです! 僕、“「男劇団 青山表参道X」のペット”って呼ばれているんで(笑)。犬って一緒にいると楽しいし癒されるじゃないですか。しかもすごいのが、飼い主がちょっと怒っていたり悲しんでいたりすると、ちゃんと遠くから眺めているそうなんです。察知するんですよ、相手の空気を。僕もそんな感じで、犬だと思って可愛がってください(笑)。
── ただし、塩野さんがふらっと前に現れたら飼い主を奪われちゃうかもしれません。
それはそうです。塩野くんには勝てませんから。塩野くんは彼氏枠で、僕はペット枠(笑)。一家に一匹、西銘駿をよろしくお願いします!
── では、『Re:フォロワー』に話を戻しましょう。撮影もすべて終了したとのことですが、改めて感想を聞かせてください。
役者を始めて4年目なんですけど、この4年で培ってきたものはすべて出し尽くしました。ドラマの主演自体が久しぶりだったし、監督の西田(大輔)さんも「本気出そう」ってすごく情熱を持っていたので、クランクイン前から特別な気持ちはあったんですけど、現場に入ってからの気合いはそれ以上でしたね。
キャストもスタッフもみんな「この作品はやってやるぞ!」という熱気に溢れていて、だから僕も自分が今持っている何倍もの力を出さなきゃダメだって必死になれた。すごく大変でしたけど、終わったときは感情が何にもなくなったというか。それだけ全部を懸けて臨んだ作品でした。
── 大変というのは、感情を使うという意味で? それともスケジュールがタイトという意味で?
どっちもです。スケジュールもタイトで、感情も使いました。ハッピーセットみたいにぎゅぎゅっとなって、もうお腹いっぱいっていう(笑)。
今までは喜怒哀楽を表現するときって、怒りとか悲しみとか、わかりやすい表現を求められていたんですけど、西田さんは「悲しみを通り越して笑っちゃう」とか「100%怒っているんだけど、あえてそれを表情には出さない」とか、繊細な表現を大切にする方で。毎日、撮影を終えて家に帰ると心がしんどくなっていました(笑)。
── 振り切った演技の方が楽といえば楽なんですよね。
そうなんです。難しい分、体も心もすごくハードで。おかげで撮影期間は寝つきが良かったです。疲れて、すぐ寝てましたから。
── 西田さんからもらってうれしかった言葉は?
西田さんって案外あんまり言わない人なんですよ。だからこそ、あるシーンで「はいカーット!」って言ったあとに「西銘、わかってる!」って言われたときは超うれしかったですね。西田さんの思い描いているところに自分が辿り着けたことに達成感がありました。
── クレシダ四人衆の塩野さん、和田雅成さん、佐藤流司さんとはどんな雰囲気でしたか?
すごく仲良いですし、みんなプロであることに尊敬していました。それぞれ個性が全然違うんですよね。お芝居を見ていても、3人まったく違っていて。それぞれが自分はこう行くっていう道をしっかり示していたからこそ、じゃあ僕は3人にないものを見せてやろうというつもりで一十三を演じられた。いい意味でお芝居に入ったらピリピリとした緊張感を与え合えたし、戦いだった。で、撮影が終わったら楽しくご飯に行ったりして。僕、この現場ですごく好きなところがあるんですよ。
── 何でしょう?
役者同士でご飯に行くと、どうしても「ここのシーン、もっとこうだったら良かったのに」っていう意見や後悔が出てしまうことがあるんですけど、この現場ではそれが1回もなかったんです。みんな西田さんの書く脚本が大好きで、「あのシーン良かったよね」っていう話しか出てこない。お互いについても「あのシーンのあの表情が良かった!」って言い合って、プラスになることだらけだったから、自然と活気づいたし。またこんなモチベーションの高い現場に出会いたいなって思うぐらい、すごくいい現場でした。
── 西銘さん自身が『Re:フォロワー』を経て変わったことは何ですか?
自信がつきました。主演だから自分はできないですなんて空気を出しちゃいけないとは思っていたんですけど、本当は不安な部分もたくさんあって。それをフォローしてくださったのが、西田さんでした。
迷っている僕に「みんなに何を言われようが、そこに生きてるのは西銘のつくった一十三という人間なんだから、思った通りにやっていい」と言ってくださって。その言葉があったから、自分のすべてを出せた。この作品をやり遂げられたことがひとつの自信になりました。
── 役者生活4年目という言葉がありましたが、この4年間は短かかったですか? それとも長かったですか?
あっという間でした。『仮面ライダーゴースト』(以下、『ゴースト』)のときに4年目のキャストさんの演技を見て、「すごいな。4年経ったらこういうお芝居ができるんだ」と思っていましたけど、もう今の自分がそのポジションにいるわけですから。年数って自信につながることもあるけど、それ以上にプレッシャーに感じることの方が多いです。
── プレッシャー?
もちろん『ゴースト』をやっているときから、ライダーとしてのプレッシャーや責任感は感じていました。でも、お芝居に関して言えば、たとえできなくても「まだ1年目だから仕方ない」で片付けられていたんですよ。それについて自分で引っかかるところはあったけど、同時に甘えていたところもあって。
それが3年目を迎える頃からちゃんとプロ意識を持たなくちゃって考えるようになった。そこから今まで以上にお芝居に対するプレッシャーを感じるようになりました。
── プロ意識に目覚めるきっかけは何があったんでしょう?
舞台『おおきく振りかぶって』で初めて舞台の主役をやったことが大きかったです。もちろんドラマの主演も大事なんですけど、ドラマと舞台で違うのは、ドラマって出演者がみんな集まることはほとんどなくて。でも、舞台はみんなで集まって一緒にひとつのものをつくり上げる。そこで主演を務めるというのは、またプレッシャーが全然違っていて。
しかも、同世代とはいえ周りは自分より経験のある役者さんばっかり。その中で主演としていちばん前に立たなきゃいけないことが不安だったし、頑張らなきゃいけないとわかっているのに何をどうしていいかわからなくて、プレッシャーに押し潰されそうになったこともありました。それこそ「まだ3年目なのに、何で自分が…」って思ったこともあったぐらいです。でも、そんな不安や葛藤を抱えながら作品を最後までやりきったことで、自分の中で意識が変わりました。
── そう考えると、『ゴースト』をやっていた頃の自分と今の自分では全然違う?
違いますね。『ゴースト』のときは自分がいちばんだと思ってましたから(笑)。これが終わったら売れるんだって、そんなことしか考えていなかった(笑)。今考えると、スタッフさんに対する感謝の気持ちに欠けていたところもあったんじゃないかと思います。
でも、自分のお芝居のできなさを知って、少しでもいいお芝居ができるように必死になっていくうちに、自然とひとつの作品をつくり上げるために、どれだけたくさんの人が自分をバックアップしてくれているのかがわかるようになった。こんな仕事なかなかないですからね。自分を支えるために周りの人が動いてくれる仕事って、本当に特殊だと思います。だからこそ、周りに感謝しなくちゃいけないなって思うし、もっともっとプロ意識を持って自分を磨いていかなくちゃいけないって、4年経った今も日に日に感じています。
── では最後に、25歳までにどんなふうになりたいか、これからの目標を聞かせてください。
いろんなことを難なくこなせるようになりたいです。僕、俳優だけじゃなくて、バラエティとか、極端な話、歌とか、いろんなことができる人になりたくて。たとえば、ミュージカルとか料理番組とか、今までやったことのないことに対しても、「西銘だったらできるんじゃないか」って任せられるようになりたいんです。そのためにお芝居の引き出しも増やしたいですし、バカキャラから真面目キャラまで、いろいろ提示できるようになりたい。たぶん欲張りなんですね。ひとつのところにとどまらず、役者業も、バラエティも、ネットでも、いろんなところで、いろんな西銘駿の顔を見せられるようになりたいです。
撮影/高橋那月、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹、ヘアメイク/和田しづか、 スタイリング/三宅剛、衣装協力/tk.TAKEO KIKUCHI(03-6851-4604)、CULLNI(03-6662-5525)