帝室技芸員の仕事 彫刻編

同館所蔵作品のうち、帝室技芸員による作品を一堂に展示する「帝室技芸員の仕事」シリーズ。今回は石川光明（1852～1913）と高村光雲（1852～1934）の作品を中心に、彫刻分野の帝室技芸員による名品を紹介する。
帝室技芸員制度は、宮内省（現在の宮内庁）が技術と人柄に優れた当代の美術工芸家を選出し「帝室技芸員」に任命する作家の顕彰制度で、その拝命は作家にとって大変な名誉だった。
光雲と光明は、帝室技芸員制度が発足した明治23年（1890）、ふたり同時に第一回帝室技芸員に任命されている。光雲が仏師として修業を積み生涯木彫一筋で制作を続けた一方、光明は牙彫を中心に木彫や彫漆にも取り組んだ。ふたりはそれぞれ異なる姿勢で制作に取り組みながらも互いに敬意を払い、ともに近代彫刻界の発展に貢献した。
この度の展示では、光雲・光明の作品に加え、竹内久一（1857～1916）や山崎朝雲（1867～1954）の作品も紹介。作品が持つ気品と迫力、そして人物や動物の描写に発揮された妙技を味わっていただければ幸いである。また、煙管筒のような小品も多数展示致します。精巧な彫りを作品の間近でご覧いただきたい。